年間出荷わずか30頭ほどの「もりおか短角牛」。ヘルシーな赤身が人気上昇中、旬の希少肉を食べ歩く!

2016.02.13

盛岡産の新ブランド牛「もりおか短角牛」。噛むほどに感じる赤身肉の旨みと、ほんのり入った脂身のバランスにハマる人も少なくない。出荷量が限られるため、知る人ぞ知る希少な肉だが、今なら盛岡市内25店舗で堪能できる!

「もりおか短角牛」って?

「もりおか短角牛」は日本短角種という和牛品種。赤身が多くて柔らかく肉本来の旨みのもとであるアミノ酸がたっぷり含まれている。噛むほどに味わい深く全国的にもファンが増えつつあるそうだ。
日本短角種の中で「いわて短角和牛」は岩手を代表するブランド。これまで岩手県北を中心に育てられてきたが、数年前から産地に加わった盛岡で生まれ育った「もりおか短角牛」は、短角牛の中でも少しサシが入って脂身があり、赤身の色が鮮やかで柔らかいのが特徴だ。

脂身に頼らない赤身の肉汁の旨みに惚れる

「もりおか短角牛」を通年提供している店はまだ少ないが、いくつかを訪ねてみることに。その一つ「ジョアンズキッチン シャトン」へ。
▲県産材を取り入れたモダンな店内

同店のチーフシェフ、ジョアン・サントスさんはブラジル出身。フランスやスペインなど各地を歩いて学んだ料理は、イタリアンメニューを中心に県産食材を生かし、創造性にあふれた料理が地元で評判を呼んでいる。
▲丁寧に肉を焼き上げるジョアンさん

数あるメニューの中で……、発見!「もりおか短角牛の低温ローストグリル」。そして、「ラザニア」、「生ハム」もある!迷いつつ、ローストグリルをオーダーする。

ローストグリルは、リブロースを70度以下の低温でじっくり約6時間加熱したあと炭火でこんがりと焼き目をつける。

「低温でローストすることで、肉のアミノ酸を壊すことなく柔らかくジューシーに、しかも均等にムラなく火を通すことができます」とジョアンさん。
▲肉の旨みをしっかり閉じ込めつつ、表面は炭火で香ばしくカリっと仕上げるのが美味しさの秘密だ
▲「もりおか短角牛の低温ロースト」150g(税込2,700円)

焼き上がったローストグリルは、甘口の赤ワインを煮詰めてバターで仕上げたソースでいただく!
▲厚めにカットした肉のどこを食べても柔らかい

さっそく、ひと口ほおばると肉の旨みが口にふわっと広がり、想像以上の柔らかな食感に驚く。真っ赤なビーツのピューレも、赤身肉の味わいを引き立てる。

「脂身を抑えた『もりおか短角牛』はさっぱりしていて重たくないので、コース料理の最後を締めくくるひと皿にぴったりです」とジョアンさん。

ヒレ肉を特製塩で20日ほど漬け込み、約1カ月間冷蔵庫で干した「自家製生ハム」も絶品で、有機栽培の野菜を添えたサラダでいただく。
▲「自家製生ハム」(税込1,620円)

たっぷり堪能した「もりおか短角牛」(品切れの場合は「いわて短角和牛」を使用)だが、脂がしつこくないので、まだまだ食べられそう。ちょうどいい満腹感を感じつつも、次は「ぜひコース料理で食べよう」と心にメモして店を後にした。
▲ジョアンさんの気さくな笑顔に見送られて

「肉感」たっぷりのレアハンバーグに感動

次に訪れたのは、本町通りにある「レストラン パイオニアファーム」だ。
中の橋通りにあったステーキレストラン「パイオニア牧場」をリニューアルし、2014年に現在の場所にオープン。手軽なランチメニューから本格的ステーキなど、盛岡牛(黒毛和牛)や短角牛をそれぞれの部位・肉質にあった焼き加減でもてなしてくれる。
▲温かみを感じるカジュアルな雰囲気の店内

「もりおか短角牛」メニューのおすすめは、「レアハンバーグステーキ」。盛岡ではレアハンバーグを食べられる数少ない店なのだ。

店の看板メニューのレアハンバーグは、当日の朝に仕入れた新鮮な肉を使う。オーダーが入ってから肉を捏ね表面を焼いたらオーブンに入れて芯まで温めるだけ。

「お客さま自身が熱々の鉄板で好みの焼き加減にして食べていただく料理です」と店長の村木進一さん。
▲ランチの「もりおか短角牛のレアハンバーグ(180g)」はスープとライス付き(税込1,380円)。夜は「レアハンバーグ(200g)」単品(税込1,400円)

少し待つと、ジュウジュウ音を立てた鉄板が運ばれてきた。なんという厚みのハンバーグ!ドキドキしながら、こんがり焼けた表面にナイフを入れると、刃先に感じる弾力の先に肉汁がジュワっと溢れてくる。そして、中にはキレイなレア肉が!
▲旨みあふれる赤身肉が食欲をそそる

「まずは、短角牛の肉本来のおいしさを味わってもらうため、ソースをつけずにどうぞ」と村木さん。卵だけをつなぎにしたレアハンバーグは、肉の香りと旨み、炒めずに混ぜたタマネギのシャキっとした食感が絶妙だ。
▲デミグラスソースが、肉の味を一層引き立てる

4日間じっくり煮込んだデミグラスソースは甘さを抑えた大人の味。他にガーリック、トマト、大根おろしソースもある。

同店ではサーロインやヒレ肉などのステーキも人気で、「短角牛の食べくらべ」メニューもある!だが、まるで「肉」そのものを味わった気分になるレアハンバーグは「もりおか短角牛」をリーズナブルに楽しめる一品だ。
▲「昼はもちろん夜もお手頃メニューが揃っていますので、気軽にお越しください」と店長の村木進一さん(左)とシェフの中村和哉さん(右)

のびのび育つ「もりおか短角牛」

うーん、食べるほど、その魅力に引き込まれる「もりおか短角牛」。どうやら、おいしさの秘密は育て方にもあるようだ。

「いわて短角和牛」は岩手県を代表するブランド牛だが、古くからその繁殖を担ってきたのが盛岡周辺の農家。そこで、繁殖だけでなく盛岡で生まれた短角種を盛岡で育てようというプロジェクトが2008年に始動した。
▲親子でゆったり過ごす「もりおか短角牛」

自然交配で春先に生まれた子牛は、夏から秋を母親と広大な草原でのびのび過ごし、冬になると里の牛舎に下りてくる。そして肥育農家へ受け渡され、20か月齢以降に出荷される。

現在は2軒の肥育農家が年間30頭弱の出荷をし、生産数増加に向けて取り組んでいる最中。肥育農家の一人は黒毛和牛の繁殖と肥育実績20年の達人。エサにビールかすを加えるなどの工夫をすることで、脂身が固くならず肉の食味も良くなるという。2軒で協力しながら情報をやりとりして肥育に励んでいるのだ。

市内25の飲食店で、「もりおか短角牛」三昧!

「もりおか短角牛」はまさに今が旬。盛岡市内では、2016年1月29日(金)から3月15日(火)まで市内25の飲食店でオリジナルメニューが楽しめる「もりおか短角牛フェア」を開催中だ。ステーキ、串焼き、煮込み料理などバラエティ豊かな料理を食べられるという。まだ「もりおか短角牛」を食べたことのない赤身好きは、ぜひこの機会にご堪能あれ。
水野ひろ子

水野ひろ子

岩手県在住フリーライター。行政や企業等の編集物制作に関わる傍ら、有志とともに立ち上げた「まちの編集室」で、ミニコミ誌「てくり」やムック誌の発行をしている。(編集/株式会社くらしさ)

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。

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