祝!開業 北海道新幹線/見たい!乗りたい!撮りたい!第1回鉄道旅行旅!

2016.05.17 更新

鉄道そのものを目的にする旅は楽しいもの。歴史、車両、車窓、きっぷ、鉄道写真などを知れば、さらに味わい深いものになるでしょう。「鉄道旅行のススメ」では、鉄道タレントで鉄道ライターを目指す、私、古谷あつみが、鉄道旅行の達人である土屋武之さんと鉄道カメラマンの皆さんを指南役に、鉄道の旅の魅力をお伝えします!

ついに開業!夢にまで見た北海道新幹線!

▲取材中の土屋武之さんと、私、古谷あつみ。これからこのコンビで全国の鉄道をめぐります

記念すべき鉄道企画第1回目ということで、私が旅の舞台に選んだのは、北海道・函館。
函館といえば、そう! 北海道新幹線・新青森~新函館北斗間が2016年3月26日に開業したのです。東京~新函館北斗間を約4時間で走り抜ける、北海道新幹線。本州と北海道が新幹線で結ばれるという、これまでになかった鉄道の旅がはじまります。
今回の撮影は、鉄道写真が専門の写真事務所「マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ」所属の助川康史(すけがわ・やすふみ)さんにお願いしました。助川さんの得意技は「流し撮り」。さて、どんなテクニックなのでしょう。答えは後ほど!
▲開業初日には、多くの見学者が早朝から新函館北斗駅に列を作った

古谷「ついに来ましたねぇ、北海道! この企画、とっても楽しみにしていました! 朝5時半なのに凄い数の人!」
助川カメラマン「今日は、記念すべき北海道新幹線の開業日ですからね。」
古谷「東京からの一番列車に乗るというのも良いですが、新函館北斗駅からの一番列車を地元の方と見送るのも素敵だと思いまして。早速行ってみましょうー!」
土屋「そんなに急がなくても駅は逃げないよ…。」

新函館北斗発の東京行き一番列車は、6時35分発の「はやぶさ10号」。東京には11時04分に到着します。北海道の皆さんも、出発の様子をひと目見ようと、夜が明けるずっと前から集まってきていました。
▲JR新函館北斗駅舎はガラス張りが特徴

ガラス張りの駅舎は、いかにも現代的で“オシャレな駅”といった印象です。このガラスには衝突防止のために「赤とんぼ」のイラストが貼り付けてあるのですが、そのなかに7つだけ、北斗市のキャラクター「ずーしーほっきー」がいるのです! 見つけた方は幸せになれる…かも? と言われているので、是非探してみてくださいね。
▲駅舎の内装にはレンガも使われている

また、駅舎の内装にはレンガが使用されています。この駅の所在地である北斗市内に、明治時代、レンガ工場があったからです。木製のインテリアには道南の杉が使われ、近隣にあるトラピスト修道院の並木道をイメージした白い柱が特徴的です。このように、新函館北斗駅の各所には、地元のシンボルがあしらわれています。
▲白い柱はトラピスト修道院の並木道をイメージ

朝6時なのに、ホームは既に大勢の人で賑わっています。マスコミなどの取材陣も大集合! 私も旗を振って、東京行き「はやぶさ10号」のお見送り! なんとなく、緊張感が漂っています!
▲発車を待つ上り一番列車「はやぶさ10号」をお見送り!

古谷「なんだか緊張してきました。北海道にある新函館北斗駅で行き先表示が『東京』って出ているのも不思議な光景ですね。」
助川カメラマン「鉄道の新たな歴史の始まりです。乗っている人たちも嬉しそうですね!」
▲H5系の帯は「彩香パープル」。エンブレムは北海道をかたどったもの

ホームにて出発の時を待つのは、JR北海道の新幹線H5系。JR東日本のE5系をベースに作られた車両には、北海道のシンボルともいえるラベンダーをイメージさせる「彩香パープル」の帯があしらわれています。

――――緊張の発車時刻6時35分――――

はやぶさ10号は定刻通りに新函館北斗駅を出発。
▲「はやぶさ10号」発車!

古谷「きゃ~!!! いってらっしゃ~い!!」

古谷「発車ブザーが鳴ったと思うのですが、緊張で聞こえませんでした。」
土屋「無事に見送ったことだし、新しい駅舎をゆっくり見てまわろうよ。」
古谷「そうですね~。まだまだ、帰るわけにはいきません!」

そこで、新幹線ホームから、再び駅舎へ…

古谷「あ! これこれ! 私の趣味なんですよねぇ。」
土屋「駅スタンプか。いいねぇ。駅スタンプの歴史は古いんだ。1931年に福井駅に設置されたのが最初だと言われている。地元のシンボルなどがデザインされているから、あとで見返すと、旅の記念になるよね。僕も取材のときは資料になることもあるから、押すようにしているよ。」
▲駅スタンプも旅の思い出に書かせない。新函館北斗駅のものは、もちろん北海道新幹線のデザイン

古谷「そんなに長い歴史があったんですね。よし! 押してみよう!」

土屋「2種類あるね。『未来につながる北海道新幹線』と『童謡赤とんぼ 誕生のまち』か…。」
古谷「なるほど! 駅舎のガラスに貼り付けてあった『赤とんぼ』は、詩人の三木露風(みきろふう)が、今の北斗市内で『赤とんぼ』を作詞したからですね。ゆ~うや~けこやけ~ぇの♪」
土屋「……なかなかの歌唱力だね(笑)」
▲新函館北斗駅内にある「BENTO CAFE 41°GARDEN」は、新しいタイプの駅弁屋

土屋「あの行列はなんだ?」
古谷「BENTO CAFE 41°…? 駅弁屋さんですかね?」

新函館北斗駅2階に併設されている観光交流センターにオープンした「BENTO CAFE41°GARDEN(弁当カフェよんいちガーデン)」は、青森県の駅弁屋「吉田屋」が開いたお店。店内にはイートインスペースもあり、商品を購入していなくても休憩可能だそう。

古谷「なんだか凄く人気みたいですね! 気になってきたので、お話だけでも聞いてきます!」

古谷「土屋さん! 凄いです! ショーケースにお弁当の中身が沢山並んでいて、そこから好きなものを2、3種類選んで、オリジナル駅弁にできるみたいです。3種類のお弁当の組み合わせは、4,000通り以上もあるそうですよ!」
土屋「ほお。それは面白いね。自分の好みに応じてチョイスできるとは、考えたね。これまでにはない新しいタイプの駅弁屋さんだと思うよ。帰りに買って帰ろう!」
▲新函館北斗駅の南側はガラス張りで、すごく眺めがよさそう

土屋「それにしても、ここは景色が素晴らしいね。」
古谷「街中が見渡せますね! 見晴らしが良いですね。」

新函館北斗駅のコンコース南側からは、函館山が一望できます。駅舎の壁がガラス張りで出来ており、他に高いビルなどがないため、北斗市の展望台のような雰囲気です。

古谷「駅の北側も行ってみましょう。」
土屋「在来線は北側だったね。」
▲新函館北斗駅の北側には、田園風景が広がる!

古谷「うわぁぁぁ~! なにもない! 一面、田畑ですよ!」
土屋「おいおい、もっとライターらしい事を言いなさい。古谷さん、この景色はよく見ておくんだよ。」
古谷「やっぱり、田んぼしかないです。南側もレンタカー屋さんしかありませんでしたし。」
土屋「ここが、10年後どうなっていると思う? きっと、10年後には今より駅前開発が進んでいるだろう。そして、この景色もきっと変わっていくことだろう。10年後に君がここに来たとき、今日の日のことを必ず思い出すはずだ。変わっていく駅前を見守るのも、鉄道旅の楽しみの一つだよ。」

古谷「変わっていく景色と言えば…! 今回の旅、木古内(きこない)駅も旅程に入れました。そろそろ行きましょう!」
土屋「君にしては良いアイデアだね。木古内は僕も久しぶりだ。どうなっているんだろう?」

私たちは、木古内駅を目指すべく、早速、北海道新幹線に乗り込みました。
▲北海道内には、北海道新幹線の駅として新函館北斗駅の他に木古内駅がある。一行は木古内駅に向かうことに
▲道内にあるもう一つの新幹線の駅が木古内駅(北海道新幹線側の駅舎)

古谷「着きましたよ! 木古内駅! 駅舎も新しいですねぇ。」
土屋「この駅も、木が沢山使われているね。北側には北海道新幹線用の駅舎もできて、僕が以前来た頃とは、ずいぶん印象が変わったなあ。」
▲木古内駅の中は、木古内の「木」がいっぱい

古谷「駅スタンプだ! 押します!」

土屋「もちろん、ここも絵柄は北海道新幹線だね。」
▲木古内駅でも駅スタンプをゲット

土屋「南側の駅舎は元のものが改装されて使われているね。昨日までのJR津軽海峡線のうち、木古内と五稜郭の間は、北海道新幹線開業と同時に第三セクターの『道南いさりび鉄道』になったんだ。改札口のあたりなどはJRだっと頃と、あまり変わっていない。」
古谷「ちょっと、昭和な雰囲気も残っていて、味があります。」
▲従来からある南側の駅舎も、お化粧直し

土屋「木古内駅から海岸までは歩いて5分ほど。全国の新幹線の駅のなかで、いちばん海に近いとも言われているよ。そして僕は、来たときはいつも『駅前飯店急行』。通称『急行食堂』という駅前食堂に行くんだ。焼きそばが名物だから、時間があったらぜひ立ち寄って味わってほしいね。」
▲木古内を通過する「はやぶさ」。最高運転速度260km/hにもおよぶ超高速列車を、助川カメラマンは見事、得意の「流し撮り」で写し止めた! 流し撮りとは、走る列車に合わせてカメラを振りつつシャッターを切り、周囲の風景を流すテクニック

古谷「さて、新函館北斗駅に帰りましょう!」
土屋「そうだね。そろそろ。帰りの新幹線の時間もあるし。」
古谷「土屋さん、そろそろ帰りの新幹線に乗る準備をしましょう!」
土屋「準備ってなんだい?」
古谷「食べ物に決まってるじゃないですか! 北海道の物を食べないと! でも、さっきの『BENTO CAFE 41°GARDEN』、もう売り切れです…」
土屋「残念だね…。今日は開業初日ということもあって混んでたけど、次に来たときは買えるでしょう。1階に南北海道の物産が集まったアンテナショップがあったから、そこで何か買おう!」
▲土屋さんと2人で、東京から到着する新幹線をお出迎え(新函館北斗駅)

乗ってみました! 北海道新幹線! 車内の楽しみ方、教えます!

古谷「走り出しました! やっぱり乗ると、感動しますね。このまま乗っているだけで東京へ帰れちゃうんですもん。」
土屋「北海道新幹線は、新函館北斗から東京へ向かうときは、A席、つまり進行方向左側に乗ると良いんだよ。むしろ、左側でなくちゃ。」
助川カメラマン「たくさん、シャッターチャンスがありますからね!」
▲A席側に座ると、新函館北斗駅発車直後に北海道新幹線の車両基地が見られる

ここからは、助川カメラマンに車窓風景を撮るときの、ちょっとしたコツ、テクニックを教えていただきました。
古谷「助川さん、車窓を撮るときのコツはありますか?」
助川カメラマン「いろいろ撮り方はあると思うんだけれど、窓枠を入れることかな…。」
古谷「窓枠…ですか!?」
▲車窓を撮るときは、窓枠を入れるのがコツ! きっぷもさりげなく置いてみた

1.窓枠を入れる。こうすることにより、列車からの風景だということが分かる。そして、その列車が、特急列車か? 普通列車なのか? 新幹線なのか?までわかり、旅の思い出にもなる。
2.窓の上部にある席番まで入れると、より列車らしくなる。(新幹線の窓は飛行機と似ているため。)
3.きっぷなど、旅のアイテムをそっと窓枠に置くと、旅情が出てくる。

古谷「助川さん、勉強になりました! 北海道新幹線で押さえたい車窓撮影ポイントはありますか?」
助川「いくつかありますよ。それも、すべてA席側から見えるんです。」
▲北海道新幹線からは函館山がよく見える!
▲函館山の写真が撮れた!

助川カメラマンお勧めの、北海道新幹線車窓撮影スポットをご紹介します!

1.函館山
2.青函トンネルに入る直前と、出てすぐに見える津軽海峡
3.湯の里知内信号場(北海道側。元の知内駅で新幹線がここで追い抜く貨物列車もある)
4.新中小国信号場(在来線と北海道新幹線との、複雑な分岐ポイントが見られる)
※既出のマップでそれぞれの位置関係がわかります
▲北海道新幹線の車窓からも、海が見える!

古谷「津軽海峡を写真に収めたいです! それにしても、新幹線なので仕方ないですが、トンネルが沢山あって少し残念ですね。」
土屋「そう言われているんだけれど、北海道新幹線の車窓を楽しむポイントがいくつかあるんだ。」

古谷「そうは言っても、青函トンネルをはじめ、トンネルだらけですよ…。」
土屋「そのトンネルを楽しむんだよ。」
古谷「トンネルを楽しむ!?」
土屋「青函トンネルには、吉岡海底駅と、竜飛海底(たっぴかいてい)駅という、青函トンネル見学専用の海底駅があったんだよ。」
古谷「もう、見学はできないのですか?」
土屋「北海道新幹線の工事によって、駅としては廃止されちゃったんだ。でも、この2ヶ所は、もともと『定点』と言って、火災などが起こったときの避難施設として設けられたところ。もちろん、定点としては現役だから、長いトンネルのなかで、アクセントになっている。それが見ていると面白いんだ。」
▲青函トンネル通過中にも見どころはある

古谷「車窓から目が離せなくなってきました(笑)」
土屋「あと、北海道新幹線や青函トンネルならではという車窓があるんだけれど、わかるかい?」

古谷「あ! 貨物列車とのすれ違いですか!?」
土屋「その通り。貨物列車とのすれ違いシーンは、他の新幹線では見られないからね。」

古谷「こうして見てみると、トンネルの車窓も楽しいですね。こんな楽しみ方があったんですね。」
土屋「古谷さん、その大事そうに持っているもの、そろそろ出したいんじゃない?」

古谷「あは。バレました? 列車での長距離移動といえば、これですよ! これ!」
土屋「出た…。お酒(笑)」
▲旅のお供はビールとおつまみ! 上が「こうれん」だ

新幹線の旅の楽しみの一つは「グルメ」。今回、残念ながら駅弁は購入できなかったのですが、代わりに北海道の魅力が詰まった食べ物や飲み物をたくさん買って、「はやぶさ」に乗り込んだのです。

古谷「北海道と言えば、サッポロビールですよ! クラシックですよ! 北海道以外では、あまり手に入らないんです!」
土屋「僕はお酒が飲めないからわからないけれど、地域限定品はいいね。旅の楽しみだ。」

古谷「そういう土屋さんも、何か買ったのでは?」
土屋「甘党の僕は、ガラナさ。」
▲こちらが土屋さんがチョイスした甘党向けの品々。右のペットボトル飲料が「ガラナ」

古谷「ガラナも北海道限定ですもんね。北海道の人に昔から愛されている飲み物ですよね。」
土屋「コーラのような見た目だけれど、また違う味わいなんだ。味付けの液糖の原料には、北海道産のじゃがいもも使われている。」

古谷「そうなんだ…北海道といえば、じゃがいもですものね! あ、おつまみも買いましたよ。『こうれん』という、道南地方独特のお菓子です。」
土屋「僕は、北島製パン製の名物『箱館塩かすてら』と『箱舘二十間坂ばうむ』を買ったよ。このバウムクーヘンは、メイプルの味がほんのり香って、食感も心地よく食欲をそそる味なんだ。」

古谷「私が買った『こうれん』は、昔から伝わる伝統菓子らしいんですが、揚げたものが、すっごくサクサクして、脂っこくもないし、ビールによく合います!」
土屋「なんだか、古谷さんはオジサンみたいなチョイスだね。」
古谷「土屋さんは甘党だし…。私たち、ちょっと逆ですね…。」

そんな、不思議なコンビの旅はまだまだ続くのであった…。

次回、vol.2、「ぐるり一周! 函館本線ぐるっと旅」へと続く!

土屋武之(鉄道ライター)

鉄道を専門分野として執筆活動を行っている、フリーランスのライター・ジャーナリスト。硬派の鉄道雑誌「鉄道ジャーナル」メイン記事を毎号担当する一方で、幅広い知識に基づく、初心者向けのわかりやすい解説記事にも定評がある。
2004年12月29日に広島電鉄の広島港駅で、日本の私鉄のすべてに乗車するという「全線完乗」を達成。2011年8月9日にはJR北海道の富良野駅にてJRも完乗し、日本の全鉄道路線に乗車したという記録を持つ、「鉄道旅行」の第一人者でもある。
著書は「鉄道のしくみ・基礎篇/新技術篇」(ネコ・パブリッシング)、「鉄道の未来予想図」(実業之日本社)、「きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)、「鉄道員になるには」(ぺりかん社)など。

古谷あつみ(鉄道タレント・松竹芸能所属)

古谷あつみ(鉄道タレント・松竹芸能所属)

小学生の頃、社会見学で近くにある車両基地へ行き、特急電車の運転台に上げてもらったことがきっかけで、根っからの鉄道好きとなる。 学校卒業後は新幹線の車内販売員、JR西日本の駅員として働く。その経験から、きっぷのルールや窓口業務には精通している。 現在はタレント活動のほか、鉄道関係の専門学校や公立高校で講師をしている。2015年には、「東洋経済オンライン」でライター・デビューし、鉄道旅行雑誌「旅と鉄道」等で執筆活動中。

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