さばを丸ごと串焼きに!ソウルフード「焼きさば」と「焼きさば寿司」を味わう

2016.05.20

島根県雲南市では、さばを一匹丸ごと串焼きにした「焼きさば」が昔から親しまれています。そんな雲南市で“バラ寿司”と言えば「焼きさば」のほぐし身を混ぜた「焼きさば寿司」がスタンダード。地元で愛され続ける家庭の味です。現地でいただく「焼きさば」と「焼きさば寿司」の美味しさをご紹介します!

▲「焼きさば」をほぐした身を混ぜ込んだ「焼きさば寿司」。通称「バラ寿司」

さばを丸ごと串に刺して焼いた焼きさばが大きすぎ!

雲南市で親しまれている「焼きさば」を求めて、三刀屋町(みとやちょう)にある「藤原鮮魚店」へ向かいました。昭和30年代から「焼きさば」を焼き続けている老舗の魚屋さんです。
▲店名には“鮮魚店”とあるが、今は「焼きさば」のみを販売する「焼きさば」専門店
▲味のあるショーケースにずらっと並ぶ「焼きさば」

店の軒先に置かれた木枠のショーケースの中には、焦げ目のついた美味しそうな「焼きさば」が並んでいます。さばはどれも長さ30cmほどはある大きさ。国内産とノルウェー産の2種類が、サイズ別で販売されています。
▲国内産(税込1,000円~)は脂が少なくあっさり、ノルウェー産(税込1,300円~)は脂が多めでジューシー

お客さんの半分は隣接する広島県からで、出雲大社などへの観光で訪れた帰りにお土産として購入していく人が多いそうです。地元の主婦はこちらで買った焼きさばを使って「焼きさば寿司」を作る人も。

焦げ目がつくほど近い強火で焼くのが美味しさの秘訣

▲しっかりと焦げ目がついた「焼きさば」。香ばしい香りにそそられる

藤原鮮魚店の「焼きさば」のこだわりは、強火かつ近い火で焼くこと。こうすることで旨みが閉じ込められ、身はふっくらジューシーに仕上がります。「焼きさば寿司」に混ぜた時も、焦げ目の香ばしさが味のアクセントになるそう。
▲一匹で4人前はありそうな大きさ(ノルウェー産)
▲しっかりと焼き固められた皮とは反対に、内側の身はふっくらジューシー

おすすめの食べ方は、醤油やおろしポン酢で頂くか、身をほぐして「焼きさば寿司」にする食べ方。丸ごと焼き上げるので、旨みと脂が身の中から漏れ出しておらず、家のグリルで焼いたさばとは別物の豪快な味わいです。

地元で親しまれる名店で頂く「焼きさば寿司」

「焼きさば」と同様、雲南市民のソウルフードである「焼きさば寿司」。地元では“バラ寿司”と言えば「焼きさば」のほぐし身が入っているものの事を指すのだそうです。各家庭で食べられていた「焼きさば寿司」を雲南市の名物として提供しているのが木次町(きすきちょう)にある老舗のお食事処「おくい」です。
▲JR木次駅のすぐ近くにあり、地元の老若男女から長年愛されているお食事処

家庭の味だった「焼きさば寿司」を、雲南市の名物として観光客にも提供しようと売り出し始めたのが1990年代。その後徐々に評判となり、「焼きさば寿司」は雲南名物として定着しました。
▲平日の昼にも関わらず「焼きさば寿司」の予約で1階座敷は埋まっていました

「焼きさば寿司」は作るのに時間がかかるため予約注文制。今回は味噌汁・小鉢・漬物が付いた「焼きさば寿司セット」を予約しておきました。
▲「焼きさば寿司セット」1,000円(税込)。単品ならお持ち帰りもできます

「焼きさば寿司」の器のふたを開けると錦糸卵が敷き詰められた可愛らしいバラ寿司が。卵をかき分けていくと「焼きさば」のほぐし身がまんべんなく混ざっているのが分かります!
▲「焼きさば」のほぐし身のほか、具だくさんのご飯

ご飯には「焼きさば」の他に煮付けた椎茸や筍、かまぼこ、木の芽などが細かく刻んで混ぜ込まれています。この具の組み合わせによって各家庭の個性が出るそうです!
▲「焼きさば」のほぐし身がこれでもかというほど入っていて贅沢!

ご飯は酢飯ですが、さばの風味を邪魔しないようほんのりと酢が効いている程度でとても食べやすく、さばと酢飯の組み合わせは鉄板の美味しさです!甘めの錦糸卵もさばとマッチして、やさしい素朴な味わい。結構ボリュームがあるのにペロリと食べてしまいました。

「焼きさば寿司セット」以外にも、お造りなどがついた「焼きさば寿司御膳」1,900円(税込)、持ち帰り用の単品「折り詰め」800円(税込)もあります。(いずれも要予約)

海のない地域で魚を保存する知恵として生まれた「焼きさば」

雲南市は海に面していない山間地でありながら、なぜ「焼きさば」が親しまれるようになったのでしょうか?実は、そこには地理的な背景がありました。
▲雲南市木次町の斐伊川(ひいかわ)堤防と桜並木

明治以前のこと、交通の発達していないこの地で、魚の仕入先である出雲方面の漁港から、生魚の来る限界は木次まで(雲南市木次町)と言われていました。そこで当時の商人が、さばを焼いて売り歩くことを思い付いたのです。

その後、農繁期の保存食としても「焼きさば」は重宝されるようになり、定着したということです。海のない地域=海の生魚を食べられない地域だからこそ生まれた食文化だったのですね。

道の駅でも「焼きさば寿司」を発見!

取材の帰り、雲南市木次町の道の駅「さくらの里きすき」に寄ってみると、敷地内の産直市「たんびにきて家」でも、焼きさば寿司を発見しました!
▲道の駅「さくらの里きすき」内の産直市「たんびにきて家」
▲「道の駅さくらの里きすき特製 焼さば寿し」450円(税込)

こちらもたっぷりの錦糸卵!ご飯にはさくらでんぶ、野沢菜、かんぴょう、白ごまなどが混ざっており、“田舎のおかあちゃん”が作った「焼きさば寿司」のイメージそのもの。味わいも先ほどの「おくい」の焼きさば寿司とはまた違い、さくらでんぶと白ごまの甘みが、塩気のある「焼きさば」と良く合って、ついつい箸が進む美味しさでした。子どもにも喜ばれる味だと思います。
▲ごまの香りがアクセントになっていて、こちらも美味

具の組み合わせ次第で色々なバリエーションが楽しめる雲南市の「焼きさば寿司」。各家庭で受け継がれる“お母さんの味”も食べてみたくなりました。
海の生魚を食べられないという山間地で昔の人の知恵から生まれた「焼きさば」。流通が発達した現代においてもそれが残っているというのは、「焼きさば」そのものの味が地元民に受け入れられ続けているからに違いありません。

雲南市民のソウルフード「焼きさば」と「焼きさば寿司」を求めて、雲南市へ出かけてみませんか?
小島有加里

小島有加里

島根県在住のグラフィックデザイナー。島根県の観光情報サイト、フリーペーパーなどでライターも務める。山陰のおいしいもの・楽しいこと・素敵な場所を発掘するのが趣味。(編集/株式会社くらしさ)

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