姫路インデアンカレー/全国カレー巡礼の旅Vol.24

2016.05.27

今や世界中で愛されるカレー。しかし、カレーの世界というのは奥深いもの。この企画では、カレーの第一人者・井上岳久先生と、私、カレー初心者ライター・井上こんの“ダブル井上”で全国の名店カレーを食べ歩き、先生の解説とともに地域性や歴史背景も交えてさまざまなカレーを紹介していきます!

前回は、神戸の中華街・南京町から70余年の歴史を持つ昔懐かしい「中華カレー」をご紹介しました。さて、今回はどんなカレーが登場するのでしょう?

【Contents】

1.修行を断られ続けること3回!姫路から京都へ通う日々
2.京都のファンも納得!スパイシーな和テイストを完全再現

前回・前々回と2連続でお届けした神戸市から西へ進み、兵庫県内で人口第2位の都市・姫路市へ。
▲奥に見えるのは、白壁の美しさから「白鷺(はくろ)城」とも呼ばれる世界遺産、姫路城

1.修行を断られ続けること3回!姫路から京都へ通う日々

井上先生「お店へうかがう前に、伝説のカレー屋と言われた京都の『インデアン』について触れておきましょう」

こん「あれ、今日行くお店も『インデアン』ですよね?」

井上先生「京都の『インデアン』は、カレー好きで知らない人はいないほどの有名店でした。2009年に閉店したとき、ショックを受けたファンは多かったと思います。しかし弟子を取らないと思われていた『インデアン』に、実は修行を許された方がいた。今日お邪魔するのはその方のお店というわけです!」
▲井上先生「私もずっと気になっていたんですよ」
▲こちらが「カレーハウスインデアン」オーナーの秦豊子(はたとよこ)さん
▲もともと純喫茶のようだった店内は陽気なサンタフェスタイルに改装

ある日、京都の木屋町で偶然食べた「インデアン」のカレーに衝撃を受けたという秦さん。修行を申し込むも断られ続け、ようやく許可をもらったのは4回目、秦さんが39歳のとき。こうして一念発起し、子育ての傍ら姫路から京都へ通う生活を半年続けたそう。「最初の2カ月は厨房にも入れてもらえなかった。それでやっと入れてもらえたと思ったら『見て覚えろ』なものだから、そりゃあ必死で観察しました」
▲「大将はいわゆる“カタブツ“な人だったのよ(笑)。でも優しいところもあって。家族ぐるみでお付き合いさせてもらいました」

その後、昭和58(1983)年にのれん分けという形で姫路に「カレーハウスインデアン」をオープン。伝説のカレー店の味を受け継ぐ唯一のお店として、京都から足を運ぶファンも多いそう。そのお目当てがこちら!
▲ビーフカレー(税込750円)。器も本家の写しを使うこだわり

サラリとしたルウにライスがまんべんなく浸った、個性的な盛りつけのビーフカレー。驚くべきはそのリピート率で、多くは週に一度、中には年間200日通うツワモノ客もいるとか。
▲秦さん曰く「焦げないように焦がす」ことで生まれる独特の香り高さ

カレーパウダーは軽やかな辛さを持つ2種類をブレンド。鶏ガラと豚骨、香味野菜をコトコト炊いたブイヨンと合わせた後、3~4日間寝かすことで味に深みが出るそう。隠し味には醤油とイチゴジャムをそれぞれほんの少しずつ。これらすべて京都「インデアン」のレシピに倣ったもの。
▲ライスは兵庫米を使用。ルウに浸ることを計算し、あえて芯が残るようガス火で炊き上げるのも「インデアン」流

2.京都のファンも納得!スパイシーな和テイストを完全再現

▲いただきます!
▲井上先生「そうそう、こうやってライスがルウにしっかり浸っていてね……いや~何もかもが懐かしい!」
▲漬物を添えるのも京都「インデアン」と変わらないスタイル
▲牛肉は赤身と脂身をバランスよくブレンド。口内でほろほろとほどけていきます

こん「ブイヨンの旨みがじんわり広がりますね。そのあと、波のように押し寄せるスパイシー感もいい!さらっとしていて、さらに隠し味の醤油であっさり和テイストに仕上げているから食べ飽きません」
▲「京都のときよりも肉がボリュームアップしたような……」

井上先生「そうそう、この味!丁寧に焙煎されていて、香ばしさ満点です。固めに炊いたライスもルウによく馴染んでお腹にさらっと入る。それから辛さのバランスもいいです。後を引くくらいのちょうどいい辛さで、スプーンが止まらなくなるね!」
秦さん「京都よりもメニューは多いけれど、大将の『カレー屋をやるならカレー1本でいけ!』という教えは守っています」
▲ボリューム満点のヤサイビーフカレー(税込1,000円)も人気メニューのひとつ

もうひとつ、「カレーハウスインデアン」で是が非でも食べておきたいのがカレーパンです。地元のパン屋から特別に仕入れるパンはすでに焼いてあり、そこに特製ルウを挟みます。さらに注文を受けてから揚げることで、従来のカレーパンにはないカリカリ感が実現するとか。
▲カレーパン(税込200円)はこの店のオリジナル商品。揚げたても人気ですが、おみやげ用に持ち帰る人も多いとか

こんがりきつね色の衣に歯を立てると、もっちりと心地いい食感。次の瞬間、湯気とともに熱々のルウが飛び出してきます。ジュワッ!アツッ!うまっ!
▲こん「カリカリ&もちもちのダブル食感がたまらない!カレーパンの概念が180度変わりました」
▲井上先生「私もこれまで色々なカレーパンを食べてきたけれど、この発想には驚きです!」

それでは、本日のカレー格言にまいります。
井上先生「一味一代……でも本モノのカレーのDNAは残る!」

こん「姫路に生きる京都・伝説の味!そこには衝撃のカレーパンも」
井上先生「料理人には自分にしか作れない味があります。しかし、こちらのお店のようにDNAがしっかり継承されているのは、いちファンとしてもうれしいです」
▲開店祝いに京都の大将から贈られた暖簾とともに。「カレーハウスインデアン」さん、ありがとうございました!

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。

井上こん

井上こん

1986年生まれのフリーライター。「Yahoo!スポーツナビDo」「SPA!」「nomooo」「ウートピ」などのWEBメディアや雑誌「散歩の達人」などで執筆。

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