数百の光が織りなす幻想的な風景…「ヤエヤマヒメボタル」に会いに石垣島へ

2016.05.25

沖縄・石垣島でホタルが見られることをご存知ですか?さまざまな種類のホタルが生息する石垣島では、気温が低い2月を除き、ほぼ1年中ホタルを見ることができるそうです。亜熱帯の緑の中で戯れるホタルを一目見ようと、ホタルツアーに参加しました。

息をのむほど美しい景色が広がる
「ホタルツアー」

今回参加したのは「石垣島エコツアーりんぱな ホタルツアー」。ガイドの内藤さんは、ヤエヤマヒメボタルの調査も手がけるプロのガイドさんです。日々のガイドや調査、ホタルに関する映像製作など多くの経験をお持ちで、他のガイドさんからホタルの情報を求められることもあるのだそう。ツアーは石垣市内から送迎付きですが、現地集合もOKです。
▲ガイドの内藤さん。30以上のスポットから季節や天候に合わせて「今日一番見られる場所」に案内してくれます

ツアー一行はとある森の入口へ。亜熱帯のうっそうとした森、しかも夜、なんだか大人でもちょっと怖い気がしてしまいます。

「私たちはこれから、ホタルの結婚式を見に行くんです」

ツアー冒頭、内藤さんの優しい声でアナウンスがありました。ホタルは、敵を驚かせるために光ることもあるそうですが、多くは求愛行動のために光っているのだそうです。それを「結婚式」と表現するなんて、なんてロマンチックなんでしょう。3月下旬~5月に見られるのは「ヤエヤマヒメボタル」で、多い日で数百~千匹ほどが姿を現すそうです。小さな光がちりばめられた結婚式を想像するうち、森への恐怖も忘れ、期待に胸が高まりはじめました。
▲ツアー最初の説明が終わり、いざ森の中へ!風や森の香りを体内に取り入れることでリフレッシュ効果も

ちなみに、ホタルは光を嫌うため、懐中電灯はもちろん液晶画面が光るカメラやスマホも使用NG。ガイドの内藤さんの足取りだけが頼りです。

動物たちの鳴き声、風の音、森の香り…
亜熱帯の森を五感で感じる

だんだんと日も暮れ、月明かりに照らされた森の奥へ…視界が開けてきた場所で、内藤さんが足を止め小さな声でささやきました。

「目を閉じ、耳を澄ましてください。森の音を聞いてみましょう。いろんな動物の鳴き声や、木々のざわめき、風の音が感じられます」

深い闇に身を委ねるように目を閉じると、いろんな音の存在に気がつきました。トトトッ、カタカタ、ほっほー…虫や鳥の声でしょうか?どの音も主張しすぎることなく、静かに森に響き渡ってゆきます。

「森には私たちの想像以上にたくさんの生き物がいて、みんな仲良く生きています」

五感で森を感じると、人間は本当にちっぽけで、自然によって生かされていると実感。森をもっと大切にしなくてはいけないと思いました。内藤さんの言葉が心に沁みます。
▲質問にていねいに答えてくれる内藤さん。ホタルだけでなく、森に棲む動植物全般について詳しく説明してくれます

生き物との偶然の出会いに、驚きと興奮が止まらない

暗闇でもはっきり木々が見えるほど目が慣れてきたころ、亜熱帯ならではの植物についてもガイドしてもらいました。里いもの仲間の「クワズイモ」、シダ植物の「ヒカゲヘゴ」など、知っている植物の仲間なのに、この森ではどれも巨大。そんな木々の特徴を知ると、森が一層身近に感じられ、石垣島についてもちょっと詳しくなったような気がしてきます。
▲雨傘のかわりになりそうなほど大きな葉で森全体を包み込む「クワズイモ」
▲森で光るのはホタルだけじゃない!雨季(5月中旬~7月上旬ごろ)には、光るキノコ「アミヒカリタケ」も鑑賞できます
▲「シロヒカリタケ」も雨季に出会える光るキノコ。国内では八重山地方でしか見られないそう

すると、立ち止まった内藤さんが「音を立てないように…」とひとこと。続けて「ほっほー」と低音の口笛を鳴らしはじめました。しばらくすると頭上から同じような鳴き声が。今度は奥の方向からも。その綺麗な声の主は日本で一番小さなフクロウ「リュウキュウコノハズク」。縄張りを主張するために鳴いているそうです。
▲体長が20cmほどしかない、小さな小さなフクロウ「リュウキュウコノハズク」

「私たちの近くで鳴いているのは女の子で、最近結婚したばかりの新婚さんなんですよ」

フクロウにとっても春は出会いの季節らしく、運が良ければツアー中にラブラブなフクロウのカップルに遭遇することもあるのだとか。その鳴き声にうっとりしていると、今度は大きなコウモリが目の前を遮って飛んで行きました。
▲木に止まっていると小さく見えますが、羽を広げると60cmほどになる「ヤエヤマオオコウモリ」

私たちを驚かせたのは、この地方に生息する「ヤエヤマオオコウモリ」。目の前の木に止まり、木の実を物色するとまた飛んで行ってしまいました。一瞬でしたが、生命力あふれる森の生き物を間近で見ることができてちょっと興奮。
▲夏になると、ツアー中に「ヤシガニ」に遭遇することもあるそうです
▲こちらも夏に出会える、国の天然記念物「ヤエヤマセマルハコガメ」

亜熱帯といっても季節による変化は顕著にあります。また、天候によっても出会える動植物は違うそうで、「毎日森に入るのが楽しい」と内藤さんはおっしゃっていました。

いよいよホタルの出没スポットへ!
森に突如現れる幻想的な風景

内藤さんが足を止めると、自然とツアー一行も止まりました(この頃には、言葉がなくとも全員の連携が取れるようになっていました)。

すると、「あ、光ってる!」とツアーに参加中のお子さんの声。目を凝らすと、小さな光がところどころに見えはじめました…ホタルです!
▲森の中に突然現れたまばゆい風景に思わず息をのみます

不思議なことに1匹が光りだすと、どんどん連鎖し、気がついたらたくさんの光の粒が漆黒の闇に呼応するように灯りはじめます。まるで夢を見ているかのような美しい景色が目の前に広がっていました。ただただ、一同見とれて立ち尽くすばかりです。
▲時を忘れて見とれてしまいます

米粒ほどの小さな命が、美しい景色を創りだす不思議

この「ヤエヤマヒメボタル」、こんなにも輝いているのに米粒程度の大きさしかなく、ホタルとしては日本で一番小さいそう。光に強弱があるのは、オスに比べメスの方が強い光を放つから。やはりホタルの世界でも女性が強いのですね(笑)。
▲本当に小さくて、儚ささえ感じる「ヤエヤマヒメボタル」

しばらくすると、私たちの前で強い光を放っていた一匹(おそらくメス)が、光を放たなくなりました。

「そのホタルはパートナーに出会えたのかもしれません」と内藤さん。

結ばれると、もうパートナーを見つける必要がなくなるのです。なんだか感慨深いものがありますね。
▲小さな一匹一匹が美しい光をまとい、この景色を創っています

季節ごとに現れるホタルの種類は変わり、12月ごろには日本最大の「オオシママドボタル」が見られるそう。日本最小と最大のホタルがこの森に生息しているなんて…なんだかすごいですね。訪れるたびに季節ごとの感動がありそうです。
「ヤエヤマヒメボタル」が最も多く飛ぶ季節は、例年であれば4月中旬~6月中旬ごろ。気温20度以上で無風、雨や曇りなどの湿った気候を好むそうです。

ちなみに、このホタルツアーは口コミで広がっているらしく、“ホタルの結婚式”が見られることから、恋愛成就を願う女性旅行客をはじめ、親子で参加される方も多いとか。過去には、小さな我が子に美しいホタルの景色を見せることができ、感動して泣き出すお父さんもいらしたそうです。その気持ち、ちょっとわかります…感動的な景色でした。
▲ツアー終了後、ポストカード(税別500円・4枚セット)も購入可能。また、ツアー参加者全員に小さな栞がプレゼントされます!

石垣島を訪れたら、海だけでなく美しいホタルも必見です!内藤さんのゆっくりと心地よいガイドとともに、亜熱帯の森に心も体も癒されますよ。
堤 亜紀子

堤 亜紀子

ディレクター&コピーライターとして、広告代理店に長年勤務。退職した現在も、広告制作のため日本各地を駆け巡る。進学や教育、旅行、結婚といった、人生を豊かにするための情報発信が得意分野。趣味は、グルメ、現代アート、旅行、映画、ファッション、恋愛についてSNSに書き込むこと。(制作会社CLINK:クリンク)

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