佐藤錦が食べ放題!発祥の地・山形県東根市で旬のさくらんぼ狩り体験

2017.05.18

山形と言えばさくらんぼ。初夏に赤い実をつけるさくらんぼは、山形のトップブランドです。中でも、さくらんぼの王様「佐藤錦」は真紅に輝く大粒の実に甘みがギュッと凝縮された珠玉の逸品。その発祥の地、山形県東根市(ひがしねし)でさくらんぼ狩りを体験してきました。

さくらんぼの旬は6月~7月にかけて。その時期、東根市、寒河江市、天童市といった県内の生産地は活気に溢れ、車を走らせると、いたるところで赤い実をつけたさくらんぼの木を目にすることができます。

山形県の空の玄関口、山形空港がある東根市は、県都山形市から北へ車で約30分のところにある田園都市です。

世界中には2,000種以上のさくらんぼの品種があると言われていますが、現在、日本で栽培されている中で有名なのは、さくらんぼの王様と呼ばれる「佐藤錦」、最も古くからある「ナポレオン」、甘味が多く酸味が少なめの「紅秀峰」などの品種。「佐藤錦」は6月中旬から7月上旬まで、「ナポレオン」「紅秀峰」は6月下旬から7月中旬まで収穫されます。

ここ東根市では、露地物の収穫を前に温室で栽培した「佐藤錦」のさくらんぼ狩り体験が4月下旬から楽しめるということで、全国一早くスタートするさくらんぼ狩りにやってきました。

「佐藤錦」を生んだ東根の偉人たち

▲山形新幹線の停車駅「さくらんぼ東根駅」の正面には、さくらんぼ作りの祖として語り継がれている佐藤栄助(えいすけ)さんのブロンズ像が

西アジアが原産とされているさくらんぼが山形県に伝えられたのは明治9(1896)年。当時の内務省がアメリカやフランスから輸入した苗木を、山形市や米沢市などに植樹したのが始まりとされています。

そして、佐藤栄助さん…この人こそ、今ではさくらんぼの代名詞にもなっている「佐藤錦」の生みの親!東根市の資産家の長男として育った彼が果樹農家を始めたのは40歳の時でした。当時、さくらんぼは収穫期が梅雨と重なるせいで実が割れてしまううえに、日持ちがせず出荷が難しいとしてあまり栽培されていませんでした。

そこに目をつけた栄助さんは、甘いけれど保存の難しい「黄玉(きだま)」と果肉が固くて日持ちはいいけれど酸味のある「ナポレオン」との交配を考えたのです。友人の岡田東作(とうさく)さんとともに品種改良に取り組んでから10年の歳月が経った大正11(1922)年に初めて実を結びます。そして、その2年後にはついに原木の育成に成功。

こうして、日持ちがするうえ、甘みと酸味のバランスがとれた最高品種のさくらんぼが誕生したのです。

東根市のさくらんぼ農家たちは「佐藤錦」が誕生した町としてのプライドを持ちながら、これからも最高のさくらんぼを作っていこうと日々研鑽を積んでいます。
▲栄助さんの視線の先には、可愛いさくらんぼが!

最高に贅沢な果物を惜しげもなくパクパク食べる!

毎年4月20日頃になると、東根市の観光果樹園では温室でのさくらんぼ狩りがスタートします。4月にスタートするのは全国でも一番の早さ。6月に入ると露地栽培によるさくらんぼ狩りへ移行し、7月上旬頃まで楽しむことができます。
▲観光果樹園オープンの日のセレモニー。イメージキャラクターの「タントくん」も大活躍(写真は2016年のもの)

この日は、いち早くさくらんぼを味わいたいと、観光果樹園「神町(じんまち)りんご研究所」を訪れました。温室でさくらんぼ狩りができるのは「佐藤錦」をメインに、「ナポレオン」や「紅秀峰」といった品種です。

初のさくらんぼ狩り体験にワクワク!温室の中へ入ってみると…。

温室の中は、初夏を思わせる温かさ。旬を前に、すでに赤く熟した可愛いさくらんぼがたわわに実っています。
▲立派なさくらんぼの木がお出迎え
▲今回体験したさくらんぼ狩りの品種は「佐藤錦」

葉に隠れることなく、太陽の陽を浴びて真っ赤に色づいているさくらんぼ。緑の葉と赤い実のコントラストが何とも言えないくらい愛らしくて、つい顔がニンマリしてしまいます。

さくらんぼは、ビタミン・ミネラルを多く含み、疲労回復、利尿作用、消炎作用、美肌維持などの効能があると言われています。赤い色素を作り出す、アントシアニンやフラボノイドなどの抗酸化成分は眼精疲労の回復にも効果があるとか。

一粒一粒大切に育てられるさくらんぼは「赤い宝石」と言われるほど高価なもの。そのさくらんぼを食べたいだけ食べられるという贅沢さに興奮しきり!

だからと言って食べ過ぎは注意!くれぐれも自分のお腹と相談して食べてくださいね。

まずはさくらんぼ狩りのコツから

さくらんぼ狩りはハウスの中で行なうので、台風などで風が強い日以外は雨が降っても濡れずに楽しむことができます。

「一度さくらんぼ狩りに来てくれた方たちは、毎年のように来てくれます。“おいしい”のと実をもぐ楽しさがありますからね」と、「神町りんご研究所」を営む須藤一元(かずもと)さん。さくらんぼ狩りのコツを教えてくれました。
▲さくらんぼを手にアドバイスをしてくれます

注意したいポイントは「花芽を取らないようにすること」。花芽を取ってしまうと、次の年から実がならなくなってしまいます。
▲左手の人差し指で指しているところが花芽

粒全体が赤く熟していて、皮のハリがよく、色が濃く艶やかに輝くもの、軸が青くしっかりしたものを選びます。葉の数に対して果実が少なめについた枝のものは甘いそうですよ。

お気に入りのさくらんぼを見つけたら、さくらんぼの軸ごと上に持ち上げながら採ってみましょう。
▲優しく持ち上げて

コツがわかったところで、早速さくらんぼ狩りスタートです。
▲日光がよく当たる枝の上方の実は、特に赤く染まっています

手を伸ばした先には真紅の実が!

「これは甘そう!」

一粒ほおばると、口いっぱいにジューシーで甘酸っぱい果汁が広がります。

「あま~~~い!」
▲口の中に入れた瞬間、熟した実から果汁がジュワ~ッと!

高級なさくらんぼを2個、3個といただきながら、次のターゲットに狙いを定めて…。
▲「これはきっと甘いよ!」
▲手の届かないところは低めの脚立に上って

木になっているさくらんぼを初めて見る子ども達は大興奮!
「赤いの見つけたよ!」
▲いちばん赤いさくらんぼは誰のかな?

さくらんぼ狩りの楽しさは、木から直接もぎ取りながらその場で食べること。
お持ち帰りはできないので“本物”の美味しさをその場で味わってくださいね。

山形のさくらんぼが美味しい理由

山形県のさくらんぼは、全国一の生産量を誇り、そのシェアは国内の7割以上を占めます。県全体の栽培面積は約2,500ha(東京ドーム約534個分)、そして、さくらんぼ狩りができる観光果樹園は約200カ所もあります。
なぜ山形がさくらんぼ王国なのか、なぜ東根市のさくらんぼはおいしいのか、その理由を探ってみると…。

山形は梅雨の時期に雨が少なく、花芽の時期や開花の時期に適した昼夜の寒暖差があるため、果実の育成には最高の環境が整っています。また、東根市は最上川の支流である乱川(みだれがわ)の扇状地に位置し、水はけがよい礫質の多い地質のため、耐水性の弱いさくらんぼの栽培には格好の環境なのです。
▲生産者のプライドをかけて育てられる逸品

そして忘れてならないのが、生産者の弛まぬ努力とさくらんぼへの熱い思い!土地環境、気候条件、生産者の努力…山形には美味しいさくらんぼを育てる条件が揃っているのです。

切磋琢磨しながらトップブランドを守り続ける

先程、さくらんぼ狩りのコツを教えてくれた須藤さんも、その生産者の一人。果樹園名称の「りんご」というのは、おじいさんの代までりんごをメインに栽培していたことからついたのだそう。
▲4代目として果樹園を守り続ける須藤さん

「雨が直接当たると実割れがしてしまっていたんですけど、50~60年前に雨よけハウスが普及したことで、美味しいさくらんぼを提供できるようになりました。どの生産者も実を守るため雨よけ栽培を行い、剪定や受粉作業等、作業一つ一つに細心の注意を払いながら育てています。今年よりも来年、来年よりも再来年と努力を積み重ねながら、皆さんに喜ばれるさくらんぼをつくっていきたいです」と話す須藤さん。
最高のさくらんぼをつくっていこうという思いに少しのブレもありません。
▲桜の花が舞い散る頃に、果樹園ではさくらんぼの花たちが一斉に花開きます
▲花は真っ白なのに、そこから真っ赤な実がつく不思議さ

須藤さんの果樹園では、露地物のさくらんぼの花が満開でした。4月にさくらんぼ狩りができる温室のさくらんぼは1月~3月にその花を咲かせます。露地物は4月下旬から5月上旬にかけて花を咲かせ、6月の収穫期に向けて次第に赤い実をつけていきます。
「佐藤錦」は6月中旬頃まで、その後は「紅秀峰」がメイン。4月~7月まで切れ目なくさくらんぼ狩りができるように、時間差をつけて生育するよう工夫しているのです。

露地物のさくらんぼの木が開花する4月は温度管理が大事な時期ですが、夜間から明け方はまだ寒い日も。凍霜害を乗り切るため、夜中の2時頃に樹木の下に置いた燃料を焚き、地中から温める作業を行います。
▲地面に置いた固形燃料(黄色)に点火

梅雨の時期を迎えると、雨による実割れを防ぐために露地物のハウスには雨よけテントがかけられます。
▲高台から見下ろすとテントが光に反射し、一面銀色の世界に

初めてのさくらんぼ狩りは、興奮のし通しでした。「佐藤錦」の美味しさはもちろんのこと、さくらんぼの実の愛らしさにも感動しっ放し!さくらんぼ狩りは一人で行くより友達同士や家族で行くのがオススメ。なぜって…赤い実を見つけると、必ず誰かに自慢したくなりますから(笑)。

山形県では“オール山形”で、さくらんぼの栽培に取り組んでいます。県内それぞれのさくらんぼ産地ではさくらんぼ狩りや多彩なイベントを実施していますので、初夏の山形を思いっきり楽しんでみては。さくらんぼ狩りに行くときは、それぞれの果樹園に生育状況を確認することもお忘れなく。

撮影:佐藤友美
佐藤昌子

佐藤昌子

エディター&ライター。山形県知事認可法人アトリエ・ミューズ企業組合専務理事。山形県内を中心にタウン誌、フリーペーパーや企業広報誌等ジャンル問わず、印刷物の企画、取材・編集の仕事を手掛ける傍ら、モデルハウスのディスプレイやリメイク等『気持ちの良い暮らし方』も提案している。

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