まるごと一棟貸切できる奈良の茅葺き古民家の宿で、美しい原風景をひとり占め!

2016.05.30 更新

「にほんの里100選」に選ばれる奈良県宇陀市(うだし)室生深野は、近鉄名張駅から車で15分ほどの場所に広がる三重県名張市との県境。この風光明媚な山里にたたずむのが、1日1組限定の貸切宿「棚田の宿 ささゆり庵」です。敷地内には、茅葺き屋根の母屋と蔵を改装した客室のほか、ビジネスセンターやお風呂を備える別棟「山人庵(やまびとあん)」、バーベキュースペースなどがあり、広々とした空間で心のままにゆっくり過ごせます。日本人だけでなく、外国人をも魅了する話題の宿を訪ねました。

▲郷愁を誘う古民家の宿(写真提供:ささゆり庵)

懐かしいながらも洗練された居心地のいい空間

築150年の茅葺き屋根の古民家を、約1年かけて改装した「ささゆり庵」。さっそく玄関を入り、広々とした囲炉裏の間へ通していただきます。

真ん中には実際に使用することができる囲炉裏、床の間には大きく「蔵王」と書かれた掛け軸、壁際には年代物の和箪笥(わだんす)が配され、凛とした空気が漂います。
▲囲炉裏の間

天井を見上げれば、立派な梁が渡され、これまで見たことのないような、美しくかつ力強く結い上げられた茅葺の屋根裏が。
▲見事な屋根裏

そして、腰をおろして窓の外に目を移せば、その先に室生赤目青山(むろうあかめあおやま)の山々が連なり、眼下には、太陽の光をキラキラと水面に反射させる棚田が望めるという贅沢。
▲晴天の日の風景。山には霞がかかっています(写真提供:ささゆり庵)
▲朝焼けの棚田。息をのむ美しさ(写真提供:ささゆり庵)

貸切なので、囲炉裏端でくつろぐもよし、縁側でただぼーっと風景を見るもよし。
誰に邪魔されることもなく、自分だけの過ごし方ができるのも、魅力の一つです。
さらに贅沢なのが、2階に設けられた約10畳のロフト。
隠れ部屋のような特別感があり、童心に返ったようにワクワク。
上から囲炉裏の間を見下ろせ、なんだかこの庵の主にでもなったかのような気持ちになります。
自身と向き合ったり、瞑想したり。静かに過ごすのにピッタリな空間です。
▲琉球畳が敷かれたロフト部屋
▲囲炉裏の間の様子を見ることも

一度に宿泊できる人数は、2名~10名(10名以上の場合は要相談)。
囲炉裏の間とロフト部屋のある「母屋」と、蔵を改装した「蔵部屋」があり、人数によって好きな場所で寝ることができます。
▲蔵を改装した「蔵部屋」。2階も使用することができます

お風呂は、天然檜の香りに癒される檜風呂と、里山の風景を望みながら入れる信楽焼の壷風呂の2つ用意されており、どちらにも入浴することができます。水周りも快適でとっても清潔。
▲檜風呂。大和地方で採れる日本古来の天然生薬を配合した薬用入浴剤を入れた天然薬草湯が楽しめます
▲壷風呂。別棟の「山人庵」にあります

夕食は付いていないので、備え付けのキッチンで好きなものを作ったり、ケータリング料理を用意してもらったり、屋外でバーベキューをすることもできます。食材や料理を持ち込むこともOK。お好きなスタイルで楽しんでください!

キッチンはIHクッキングヒーターをはじめ、最新の設備が整っているので、好きな時間に好きなものを作ることができます。

冷蔵庫、オーブンレンジ、トースター、炊飯器などの電化製品をはじめ、フライパンやお鍋、包丁などの調理器具のほか、各種お皿や器、カトラリ―などたいていのキッチン用品はすべて揃っています。
▲使い勝手のいいキッチン
▲引き出しにはたくさんの調理器具と、和モダンな食器が常備されています

ケータリング料理は、地元料亭の懐石料理や、囲炉裏端でいただける伊賀牛のしゃぶしゃぶやステーキ、フランスで最も権威あるあの美食ガイドで5年連続一つ星を獲得する奈良市の割烹「万惣」の料理人が作る日本料理などがあります(要事前予約)。

なかでも、牛1頭に5kgしかとれない貴重なミスジ肉のしゃぶしゃぶは、驚くほどのおいしさ。囲炉裏端でいただけるなんて、最高の贅沢ですね!
▲囲炉裏特別料理。「Aコース:鉄鍋ミスジ牛肉のしゃぶしゃぶ もしくは すき焼き」1人税別・7,500円(写真提供:ささゆり庵)
▲「ミシュラン星を獲得したシェフが作る和食」税別・13,000円~。4名より受付。写真は税別・17,000円のお料理(写真提供:ささゆり庵)

バーベキュー場には石窯も完備。ピザも焼けますよ!
▲夜にはここで焚き火を囲んで語らうのも◎(写真提供:ささゆり庵)

茅葺き家屋とささゆりを、未来へと継承するために

2014年のオープン以来、「日本の原風景の中に身を置いてみたい」と、たくさんの外国人が訪れています。
取材当日も、イギリス人のお客様が来られており、その前日は、オーストラリアの方が宿泊されたとか。

交通アクセスを考えると、とても利便性のいい場所とはいえない土地。にもかかわらず、彼らがわざわざここを選んでやって来るのは、この美しい日本の原風景を体感したいから。

庵主の松林哲司さんは、若い時に世界中を旅し、現地の宿の良さを知ったことで、お風呂や食事の時間が決まっている日本の旅館様式ではなく、もっと自由に過ごせる宿を作りたいと思うようになったそうです。
▲庵主の松林哲司さんと奥様の裕美さん。貿易会社を経営する哲司さんは英語がペラペラなので、外国人客への応対もスムーズ

山岳で修行する山伏(修験者)でもある松林さんにとって、ここ「深野」は、理想の風景だったといいます。
同時に、日本家屋の原点である茅葺き家屋が失われていく現代で、茅葺き家屋を再生し、未来へ遺していくことへの使命を感じ、この地で宿を開くことに。

また「深野」は、環境の悪化によって希少になってしまった日本原種のユリ「ささゆり」を保護・増殖させる活動を行っており、ユネスコの未来遺産にも登録されている地。
その活動に賛同した松林さんが宿名を「ささゆり庵」としました。
▲ささゆり。見頃となる6月~7月には、麗しい花を咲かせます(写真提供:ささゆり庵)

日本の伝統や文化を知ることができるワークショップも

敷地内には、「山人庵」という別棟があります。ここは、松林さんがこの宿を開くにあたって、自身が経営する大阪の会社を移転したオフィス。

その一部をビジネスセンターとして利用者に開放しており、インターネットやプリンターなどのビジネスツールを使うことができます。
こちらも、母屋もWi-Fiが利用できるので、外国人やビジネスマンの宿泊客に喜ばれています。
▲大きな窓から光が注ぐビジネスセンター
▲書棚には、ジャパニーズカルチャーに関する英書がずらり

また、外国人にも大好評のワークショップもさまざまに行われ、山伏の松林さんに教わる法螺貝(ほらがい)をはじめ、尺八、和太鼓、ヨガなどが体験できます。
▲自然と向き合い、ヨガでリラックス(写真提供:ささゆり庵)

お天気のいい日は、里山を巡るサイクリングがおすすめ!無料でクロスバイクを貸し出してくれますよ。
▲カラフルなクロスバイクで風を感じるツーリングへ

室生から名張までのこの辺り一帯は、かつて伊賀忍者の里だったのだそうで、本物の手裏剣を投げて遊ぶこともできます!
ここには時計もテレビもありません。
あるのは、雄大な大自然と茅葺き家屋、そして古き良き日本を感じるアクティビティ。
静寂の中に身をゆだねる時間は、日常の喧騒を忘れさせ、心の奥底にある日本人のDNAを呼び起こしてくれるよう。

棚田の緑が美しい新緑の季節、清らかに咲くささゆりを愛でに「大人の隠れ宿」へ。
※「棚田の宿 ささゆり庵」紹介動画はこちら
白崎友美

白崎友美

奈良の編集制作会社EditZ(エディッツ)の編集者。大阪、京都で雑誌や通販カタログなどの制作を行い、現在は居住する奈良県に軸足を置き、奈良の観光関連のガイドブックやホームページなどを制作。自社媒体の季刊誌『ならめがね』にて、「ユルい・まったり・懐かしい」奈良の魅力を発信している。

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