河内のゴキゲンを知る「一忠」「與兵衛 桜林堂」「河内音頭記念館」

2015.06.17 更新

♪イヤコラセードッコイセー♪…河内音頭のふるさと・八尾では、梅雨どきに音頭のシーズンが始まる。明るく温かく情に厚い河内の人柄を、名物のうどんや和菓子で知った後は、あの踊り方を教わろう。河内音頭の一節風に言うなら「行けば心もちょっと浮き浮き」となること間違いなしだ。

讃岐から持ち帰った種はここを起点に広がった「釜揚うどん 一忠」

▲JR八尾駅から徒歩10分はかかるが、皆さんあちこちからやって来ます。
店主・森岡一彦さんが讃岐の釜揚げの名店で修業し、地元で釜揚げうどん専門店を開いたのが41年前。今の讃岐うどんブームの遙か昔からのお話だ。以来、〝関西讃岐うどんの中でも釜揚げといえば〟の名店で、今や平野や新今宮など、大阪市内に5軒、北海道、徳島と合わせてお弟子さんが7軒の店を出し、「一忠系」と呼ばれているほど。2016年の夏をもってご勇退されるとあって、早くも「今のうちに食べておかねば」とうどん好きが集う。
とはいえ地元のお客さんたちには日常使いの店として重宝されていて、注文を済ませばつゆのお椀をセルフで運び、薬味の土生姜をガリガリ、ゆで上がった釜揚げうどんをヅルヅル~っと食べてさっと帰る。
▲春夏冬=秋ない(商い)、二升=升升(ますます)、五合=半升(はんじょう)。
洒落てます。
「美味しいうどんを皆さんに食べてもろたらそれでええんです。若いのにも伝えたし、あとは好きなことします」と森岡さん。ご家族を中心とした店員さんたちも、初心者につゆを注いでくれたり、すりゴマ(これまた自分でガリガリ)や柚子胡椒などの薬味を説明してくれたり。つやつやで熱々のうどんを飲み込むと、腹の底から温かくなってほっとする。
▲十数分のゆで時間。仕上がりを丁寧に確かめてお客さんのもとへ。
▲メジカ、ウルメ、イリコに、道南真昆布を用いたダシつゆ。大きなとっくりで温められる。
▲釜揚うどん大。細麺、おみやげ用もあり。ざるうどんもあるが、皆さんほぼ釜揚げ。もちもちです。
▲土生姜、すりゴマのほか、徳島のキレのあるスダチ酢、鰹とイリコ、昆布の佃煮など、お好みで。
▲真ん中にご主人(一彦さん)、左隣は奥様の忠子さんで、合わせて「一忠」。店名だけでなく皆さんええお顔でした。

「ものは言わずとも人を引き寄せる」銘品の最中「與兵衛 桃林堂(よへえ とうりんどう)」

▲八尾出身の歌姫・天童よしみも大好きな店だ。
うどんでほっこりした後には、お抹茶と最中でひと息ついていこう。「與兵衛 桃林堂」の店舗は国登録有形文化財にも指定されている。300年以上前の木綿問屋の旧家で大和棟の間口9間半、奥行き4間、切妻造の茅葺き屋根の堂々たる店構え。
手土産にも最適な名物の桃李もなかは、「桃李(とうり)もの言わざれども下自ら蹊(みち)を成す」(『史記・李将軍伝賛』より)から名付けられた。桃や李(すもも)は何も言わないが、花や実を慕い求めて人が多く集まるので、その下には自然に小道ができる。徳望のある人のもとへは、黙っていても人が自然に集まることのたとえで、その意味にあやかったそうで。
和菓子の基本、シンプルながらも餡の素朴な美味しさをしっかりと味わえる一品。関西には珍しく香ばしい焦がし皮。岡山の備中大納言に白ザラメ糖。サックリ、しっとり、さらりとした甘みと小豆の風味がしっかりと広がり、もうひと口と手がのびる。
▲一本から購入できる桃李もなかは、店内でもいただける。お抹茶は別途
洋菓子のような華やかな一品もある。一辺1センチ足らずのキューブ状のゼリー。カラーは季節によって変わり、16粒ごとに包装されている。むっちりとした歯ごたえとフルーツの風味で懐かしさが溢れる。

あの伝統河内音頭継承者が館長の「河内音頭記念館」

▲ゆったりとした時間が流れる商店街「八尾ファミリーロード」にある
せっかく八尾に来たなら必ず立ち寄りたいのがこちら。9歳で父・河内家菊水に入門し、初櫓は14歳という、かの河内家菊水丸さんが館長を務める記念館。
デビュー以来、音頭取りの出演料で通ったのがこの場所にあった「山口レコード店」で、河内音頭のレコードを買いあさっていたという。その館長の名演DVDが流れる中、なんと代表的な踊りも教えてもらえるのだから、ぜひものの貴重体験だ。
不定期に変わる館内展示には河内音頭の歴史やルーツが分かる資料などもある。代表曲のCD販売、映画『悪名』で河内音頭を歌った勝新のレコードなど、貴重盤も展示される中、踊りを覚えたら、初夏から秋まであちこちで開催される河内音頭のスケジュールをチェックして、気軽に会場へ繰り出そう。
▲この館のみで販売されるオリジナルレーベルCD。館長のライヴ音源もたっぷり2枚組み、河内音頭保存集1。
▲河内十人斬りほか全11曲、館長の解説トークも収録された同2河内音頭さわり集。
▲「手踊りから行きましょか」と踊りの先生、山川博子さん。ご不在のこともあるので電話で確認してからどうぞ。ソラ ヨイトコサッ♪
曽束政昭

曽束政昭

フリーライター。小4の夏休みに初めて体験した河内音頭の、リズムとギターの音色、「まめかち」踊りのステップにシビレました。京阪神を中心に、全国各地の地元の料理を訪ね歩いて取材する日々。著書に関西からの旅記事をまとめたムック『1泊5食』(京阪神エルマガジン社)など。

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