長崎で訪れるべき「長崎カステラ」のお店。歴史ある老舗の2店+新進気鋭の1店

2016.06.02 更新

キリスト教や鉄砲とともにポルトガルから長崎に伝わった「カステラ」。黄金色に輝く甘~い「カステラ」は、400年以上の昔から私たちをちょっと贅沢な気分にさせてくれる特別なお菓子です。そんなカステラの歴史や長崎ゆかりの偉人・坂本龍馬とのつながり、おすすめの店舗を紹介いたします!

400年超私たちを魅了し続ける「カステラ」
名前の由来は国名だった!?

時は16世紀半ば、ポルトガルから長崎へもたらされた「カステラ」。
もともと、かつてスペイン誕生の元になったカスティーリャ王国で生まれたお菓子だそう。ポルトガルではカスティーリャ王国のことを「カステラ」と発音しており、日本にもたらされた際「ボロ・デ・カステラ(=これはカスティーリャ王国のお菓子だ)」と言ったことから「カステラ」という名前で伝わったとされています。

卵、小麦粉、砂糖…と原料はいたってシンプルなのに、製法や素材によって様々な味わいが生まれるカステラは、今なお老若男女に愛され続けています。

スペインとポルトガル、
2国に「カステラ」のルーツが!

「カステラ」にはスペインとポルトガル、それぞれにルーツとされるお菓子があります。スペインのルーツは、「ビスコチョ」というお菓子。
「ビスコチョ」とは「ビス=二度」+「コチョ=料理する、焼く」の意味。二度焼いていた「ビスコチョ」は、現在のカステラより硬い食感だったようです。
ポルトガルでのルーツは、「パン・デ・ロー(=ローのパン)」というお菓子。
「ロー」とは、当時中国から輸入していた絹織物「絽(ろ)」のこと。
薄く透けた生地の「絽」と、お菓子の焼き上がりのふわふわ感が似ているから、と言われているそうです。

坂本龍馬が作ろうとした?
魅惑のお菓子「カステイラ」

こうしてポルトガルから伝わった「カステラ」が、日本人を魅了するのに時間はかかりませんでした。かの坂本龍馬も然り。
龍馬が作った日本初の商社「亀山社中」の文書「雄魂姓名録(ゆうこんせいめいろく)」には、下記のようにカステラの配合を示しています。

カステイラ仕様
玉子百匁(=375グラム)、うどん七十匁(=263グラム※小麦粉のこと)、砂糖百匁(=375グラム)、此ヲ合テヤク也(=これを合わせて焼く)

あまりに美味しかったので、「亀山社中」で量産できないか検討したのかもしれませんね。ちなみに、上記は柔らかめに焼き上がる良い配合だそう。「これは玉子が多い!」「硬いから失敗だ…」とか、いかつい龍馬たち志士が試行錯誤したのでしょうか…?そんな姿を想像するのも面白いですね。

現在では長崎県の様々な店が
カステラを作っています!

長崎市に伝わった「カステラ」はその後、和菓子店が作るようになり、今なお愛されるお菓子「長崎カステラ」として独自に発展・進化するに至ります。
現在では長崎県内でも百数十店舗がカステラを製造しているそう。
原料はシンプルですが、素材や製法などでそれぞれ味わいも異なります。
その中から、押さえておきたい「長崎カステラ」の名店をご紹介します。

きめ細やかなしっとり食感は
手づくりならではの味わい「福砂屋」

▲カステラ小切れ0.6号1本1,188円(税込)

寛永元(1624)年創業、「カステラ本家」として商標登録を有す老舗中の老舗がココ。
こちらの特徴は、何といっても“手作り”ということ。
創業以来、手作業による製造を守り続けており、さらに添加物を使用せずに生成。だから「福砂屋」のカステラの賞味期限は9日前後(季節によって異なるそうです)と短めなんです。まさに、手作りたる事象ですね!
逆に言えば、それだけ安心・安全な素材で製造をしているということ。

また特徴として挙げられるのが、しっとりふっくらとした食感。
これは「別立法」という卵の泡立て方によるもの。
「別立法」とは、卵を手割りで白身と黄身に分け、職人の手わざによってまず白身を十分に泡立て、その後黄身とザラメ糖を加えてさらに撹拌…という何とも手間のかかる方法…!しかし、この手間こそが創業以来愛され続けてきた「カステラ」の味を生んでいるのです。ひと口食べてみて、スポンジのしっとりとした食感ときめ細やかさは、手間暇かけた製法が生み出す食感なのだと思わず納得。上品な甘さと、底に敷かれたザラメのシャリッとした口あたりも抜群です。
▲若い女性に人気の「フクサヤキューブ」1個270円(税込)

見た目にキュートな、小さな箱入りカステラ「フクサヤキューブ」。2切れ入っており、個別のお土産にもぴったり。また季節ごとに色が変わるオシャレな小箱も人気の秘密です。
▲老舗ならではの重厚感ある店構え

店舗は長崎と福岡のみ!
甘さ控えめカステラ「松翁軒」

天和元(1681)年創業とこちらも老舗で人気の高い「松翁軒(しょうおうけん)」は、16世紀に伝わった「カステラ」に水飴を加えるなどの製法をとり、日本独自の和菓子として進化させました。また8代目の山口屋貞次郎は、明治時代に、当時まだ珍しかったチョコレートを使用したカステラ「チョコラーテ」を生み出したことでも知られます。さらに明治33(1900)年には、パリの大博覧会にカステラを出品して名誉大銀盃を受賞!続いて明治37(1904)年のセントルイス万国大博覧会では、名誉大金牌を受賞します。
こうして「長崎カステラ」は世界で高い評価を得るようになったのです。「松翁軒」は、「長崎カステラ」の国内外への普及に大きく貢献した店と言えますね。
▲商品パッケージもレトロで可愛い!カスティラ・チョコラーテ各594円(税込)※いずれも0.3号

「松翁軒」本店の2階には、喫茶室「セヴィリヤ」があり、カステラをいただくことができます。この喫茶室がまた素敵!美しく飴色に磨かれた木のテーブルや椅子、ショーケースには古伊万里などの骨董品が多く並べられています。
▲セヴィリヤの店内

一番人気はやはりカステラセット。カステラと「チョコラーテ」を一切れずつ、コーヒーなどのドリンク付きです。
「松翁軒」のカステラは、甘さ控えめですが風味豊かです。個人的には底のザラメが多く感じ、スポンジとのバランスも絶妙です。チョコレートのコクが合わさった「チョコラーテ」も甘すぎず、大人の方好みの印象です。原料に板チョコを使用しているとあって、チョコレートのまったりとした濃厚な味わいが堪能できますよ。
▲カステラセット750円(税込)
1階の店舗では、カステラや「チョコラーテ」以外の商品も多く販売しています。取材日は昼前に伺ったのですが、カステラを求めるお客様が途切れることはありませんでした。地元の方々に愛されているのでしょうね。
▲店内には、「ジュレ」などの季節商品も

材料・製法までこだわり揃い!
新進気鋭の「和泉屋」

まず、こちら「和泉屋(いずみや)」さんを紹介する上でお詫びを。
取材させていただくまで、こんなにこだわりを持ったお店だと思っていませんでした…。それほどにこだわりの詰まったカステラ屋さんです。

通常の「長崎カステラ」と言われる商品のほかに、カステラにチョコレートをコーティングした「長崎しよこらあと」やカステラをラスクにし、4種類のチョコレートをかけた「恋するラスク」を開発するなど、革新派のこちら。
本社カステラ工場を長崎県雲仙市に持つ「和泉屋」は、何とカステラ専用の契約養鶏場があるのです。カステラに合う卵にするため、エサの配合や環境などを考慮し、育てているというからスゴイの一言。ちなみに、この養鶏場で採れるのは濃厚で弾力のある卵。その鶏卵を使用しているから、しっかりとした味わいで、しっとり滑らかなカステラが出来上がるそう。
▲五三焼カステラ蜂蜜5切入1,190円(税込)

「和泉屋」の「長崎カステラ」には、少し高級な“五三焼(ごさんやき)”というカステラ商品があります。この名前の由来には使用する卵黄と卵白の割合が五対三であったから、桐箱(桐の家紋が“五三の桐”)に収めて贈るから、など諸説ありますが、通常より卵黄を多く配合し濃厚な味に仕上げたカステラのこと。
卵黄を多く使用するため水分活性量が多く、焼き上げるのが難しいといわれているカステラです。多くの店舗で生産している“五三焼”ですが、いち早くPRしたのはこちらだとか。
なるほど、一口含めば濃厚な卵の風味。しっとり感とコクを生み出したちょっと贅沢な味わいです!

ニーズに応えた多様な「カステラスイーツ」

そして、前述した「長崎しよこらあと」や「恋するラスク」など、「長崎カステラ」における革新的な商品の数々。
ラスクなど、通常のカステラの切り落とし部分を使用しているのでは?と勘繰りましたが、とんでもない!
こちらはラスク専用に材料や配合を変えたカステラを、別に作っているとのこと!具体的に言うと、ラスクのサックリ感を出すために、国産小麦粉を使用し焼き上げたカステラを、再度オーブンで焼いてラスクにしているそうです。
「いつも新しい美味しさ」をつくり続ける、和泉屋らしいアイデアで生み出された商品たち。上の写真左は、「長崎しよこらあと(ホワイト、ビター)」8袋入詰合せ1,400円~(税込)、右は「恋するラスク(ビター、ホワイト、ストロベリー、キャラメル)」4種詰合せ20袋入1,295円~(税込)。※個別包装タイプなど様々な商品あり
この他にもフルーツチョコをコーティングした「フルーツしよこらあと」やカステラと大納言小豆を使用し2層にした「綺麗菓(きれか)」など、独創的なカステラスイーツも。そしてパッケージがまたオシャレで可愛いのです!かつ個包装商品も多いのでお土産にしやすいのもポイント!

斬新さとバリエーションの多さで若年層を中心に人気の商品たち、こちらの企画やネーミング、パッケージデザインに至るまで、すべて社長によるアイデアなのだそう…!

伝統的な「長崎カステラ」ももちろん重要で守っていかなければならない、でも現代世の中の変わりやすいニーズに対応して「長崎カステラ」を進化させるのもまた重要、との社長の考え。
「長崎カステラ」を大事に考えていらっしゃるからこそ。
新しい美味しさを楽しむ「カステラスイーツ」、こちらも「長崎カステラ」愛に溢れた商品です!
▲本店含め長崎県内に7店舗、その他空港、駅でも販売中

今も昔も愛される「カステラ」
長崎でお気に入りを見つけよう

歴史上の人物も愛した長崎のお菓子「カステラ」。
昔から私たち日本人を魅了し続けるこの黄金色のお菓子は、原料こそシンプルですが、味わいも歴史もとっても深~いのですね。
長崎市内を旅すれば、あちこちに「カステラ」の看板を見つけるはずです。
しっとり、ふわふわ、さっくり…食感だけでも様々。旅のお土産に、ぜひ色んな「カステラ」を味わってみてくださいね。
桑野智恵

桑野智恵

フリーの雑誌ディレクター/ライター。福岡生まれ、福岡育ちの博多女。3つの出版社を渡り歩き、雑誌編集歴はや18年。3歳娘の子育てをしながら、旅行情報誌を中心に活動中です。

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