荘厳な富士山を望む静岡の絶景レストラン&カフェ3選

2016.06.03

古来より神宿る山として崇拝され、世界文化遺産にも登録された霊峰富士。その雄大にそびえる秀麗な姿は、ただ眺めているだけで心が安らぎます。今回は、そんな日本人の「心の故郷」とも言える富士山を望みながら、ゆっくりと食事やお茶が楽しめる、静岡のとっておきヒーリングスポットをご案内。表情豊かな霊峰の絶景とこだわりグルメで、心も身体もリフレッシュしちゃいましょう!

2つの日本一&世界遺産と一流のホテルブッフェを味わう!
日本平ホテル「オールデイダイニング ザ・テラス」

▲ホテルロビーから見下ろす野外庭園の景色とレストランラウンジ

静岡市清水区の駿河湾沿岸部、標高307mの有度(うど)山を基点に広がる「日本平」は、国指定の名勝であり、1980年の日本観光地百選コンクールでも第1位に輝くほどの景勝地です。

その山頂近くに構えるのが、最初のおすすめスポット「日本平ホテル」。館内に足を踏み入れた瞬間から、目の前に現れる大パノラマに心奪われること間違いなしです。

全面ガラス張りの窓の外に広がるのは、活気ある清水の港と街並みを眼下に、駿河湾を挟んで対峙する「霊峰富士」と「三保の松原」の2つの世界遺産。実は、ここには日本で一番高い山と深い海という2つの日本一も潜んでおり、まさに「日本の宝」を詰め込んだ景色が一望できる何とも贅沢な場所なのです。
▲レストランから望む絶景は一枚の絵画のよう。野外庭園の芝生の緑が濃くなる5月以降はさらに気持ちがいい

このホテルには、宿泊客だけでなく誰でも利用できるレストランとカフェ&バーが4つありますが、今回訪れたのは本格フレンチとランチブッフェが人気の「オールデイダイニング ザ・テラス」です。

早速、2階のロビーから1階に降りて席に着くと、正面に見える高さ10m×幅30mのガラス越しの景色は、まさに巨大な絵画のよう。コンセプトである「風景美術館」そのものです。それに、2階から見下ろすのとは違って空が高く見えるので、何だか野外庭園の上で食事をしているみたいで気持ちいい!
▲ランチブッフェの一例。子どもから年配者まで楽しめるメニューが揃います
▲目にもおいしそうな料理は、全種類食べたくなっちゃいますね

美しい景色もごちそうだけれど、振り返れば、エレガントな白テーブルの上には約50種類のブッフェ料理がズラリ!もちろん、どれも豪華な内容ですが、中にはカレーなどの親しみやすいメニューもあるので、小さな子ども連れでも安心。また、専属パティシエが手掛けるデザートが10種類ほど並ぶのも、スイーツ好きにはたまりません。
▲メインディッシュの魚料理より。この日は筍入りの魚のムースと旬の真鯛の取り合わせ。海老の殻を使った濃厚なアメリケーヌソースが、淡白な魚の味を引き立てます
▲メインディッシュの肉料理より。この日はスモークした国産鶏をこんがり焼いたもの。桜チップの薫りと鶏皮の香ばしさが絶品!

さらに、このランチブッフェの最大の魅力は、肉か魚が選べるメイン料理が一品、セットとしてついていること(ただし5~12歳までの子どもはブッフェのみ)。これなら、ブッフェ料理と組み合わせて自分好みにコースが仕立てられるので、うれしいですね。

しかも、開放的なオープンキッチンで、目の前で調理してくれるので、出来立てが食べられます。もし、あいにくの天気で富士山が見えなかったときは、厨房のライブ感を楽しむのもオススメです。
ちなみに、ランチブッフェは11:30~と13:00~の2部制で、大人3,600円(税込)~。通常は予約なしでも大丈夫ですが、特に週末や休日は大人気なので予約を入れておくのがベターです。
▲清水の港町の美しい夜景は、ディナーやバータイムをステキに演出してくれそう

また、日本平ホテルは夜景スポットとしても有名で、空気が澄んだ明るい満月の夜には、月明りで富士山が見えることもあるのだとか。港町の夜景を眼下に味わうディナーは、とってもロマンティックです。

ちなみに、ホテルまではJR静岡駅から路線バスが出ているほか、JR静岡駅とJR東静岡駅からはホテルのシャトルバスも運行されています。

素朴な田舎の原風景×富士山が楽しめる粋な店
「無上帑(むじょうどう)」

▲奥にそびえる「旧岩淵の火の見櫓」は、国指定の有形文化財でもあります

次に訪れたのは、静岡県富士市郊外ののどかな田園地帯に佇む「無上帑」。ここは、建築業を手掛ける会社が、「日本の古き良き文化をいろんな人たちに伝えたい」と手作りした「久保田野園(のうえん)」という里山にある喫茶処です。
▲かまどでは、毎週火曜日に薪火でごはんが炊かれます

八角形の屋根が美しい「火の見櫓」をシンボルに広がる里は、「自然のままに」がテーマ。山からの湧水が生み出すせせらぎに、飯炊きの薪かまど――それは、ほんの何十年か前には当たり前に存在した、素朴で美しい田舎の原風景。初めて訪れた人でも、きっと懐かしい気持ちを抱くに違いありません。
▲「無上帑」という屋号には、「最高の空間になるように」という思いがこめられています

まるで昔の「名主の家」といった趣が漂う「無上帑」の扉を開けると、まず見事な大黒・小黒柱と梁のド迫力に嘆息がもれます。
▲柱は両方とも大黒柱と思いがちですが、よく見ると、右側は小黒柱で天井まで達していません

「築何百年の古民家を改装したか、由緒ある建物の古木を再利用しているのだろう…」と思って聞いてみると、何と、これらの建材はすべて新品なのですって!

職人さんが、ケヤキや松の新材に弁柄(ベンガラ)や松煙(ショウエン)などの自然素材を塗っては拭き、塗っては拭き…という仕事を何度も繰り返すことで、このように赤黒く艶やかな古材の風合いを再現したのだとか。改めて、日本の匠の技のすばらしさを実感します。
▲土間から小上がり席を望めば、まさに額縁に入った絵画のよう。手前の「命」の書は、「今年の漢字」の揮毫(きごう)で有名な京都・清水寺の森清範(もりせいはん)貫主の手によるもの
▲薪ストーブのある土間席は、大正ロマンの風情が漂います

建築美を楽しみたい人には薪ストーブもある入口側の土間席がオススメですが、富士山を望む美しい景色に心癒されたい人は、ぜひ奥の小上がり席へ――。
▲小上がり席からは、天気や気象条件が良ければ、こんな田園風景とセットの美しい富士山が見られます
▲庭先からの眺め。ここは富士市の中でも富士宮市に隣接した北部に位置するため、富士山をより近くで眺めることができます
まるで額縁のような窓の向こうに広がるのは、絵に描いたようなのどかな田園風景。そして、小高い丘の上には、何とも雄大で神々しい富士山がそびえます。季節で移ろう水田の情景と、刻一刻と表情を変える霊峰の姿は、いつまで見ていても飽きることがありません。
▲「無上帑スペシャルサンド」。フードの種類は少ないので、「しっかりごはんが食べたい」という人は、食後の喫茶としての利用がオススメ

そんな美の余韻に浸りながら味わえるのは、一貫した無上帑スピリッツがあふれる厳選メニュー。
その中から、まずいただいたのは、定番の「無上帑スペシャルサンド」(単品640円)。これは、地元で生産されたソーセージと天然酵母パンを使ったこだわりの一品。優しいパンの味わいが、ソーセージのジューシーさを引き立てています。

続いては、毎週火曜日の昼しか味わえない名物「おむすび」の登場です。
▲薪釜炊きの「おむすび」は2個(税込860円)と3個(税込1,080円)の2セット。右側のような「おこげ」を求めるお客さんもいるのだとか

新潟産のお米を薪火のかまどで炊いたごはんは、香り豊かでふっくら艶やか。そのおいしさが最もよくわかる素朴な「塩むすび」は、頬張ればごはんの甘さと旨みが口中に広がます。そこに手作りみそで仕立てた味噌汁と自家製梅干し、ぬか漬けに日替わり小鉢が添えられたセットは、日本人の心を癒すごちそうです。
▲コーヒー(税込540円~)には手作り小菓子が付くのもうれしい(食事とセットの場合は小菓子なし)

また、ドリンクメニューの定番は、3種類のコーヒーと100%の各種フルーツジュース。その他季節のメニューとして、冬は抹茶ミルクやおしるこ、夏は人気のかき氷が登場。もちろん、お餅やあんこ、シロップ類はすべて手作りにこだわっています。

「皆さんの『第二の故郷』と思って通ってもらえる場所でありたいですね」と店主の久保田常右(くぼたじょうすけ)さん。

美しい富士山と里山の情景だけでなく、日本の伝統文化や手間をかけて丁寧に生きることの大切さを気づかせてくれるこの場所には、「日本人の心」そのものが息づいているのかもしれません。

大地のエネルギーを享受した自然派レストラン
「ビブラ ビブレ」

▲まさに富士山が歓迎してくれるかのようなロケーション

1707年の大噴火で南東斜面に「宝永山」という側火山が誕生した富士山は、実は静岡県側から見ると、場所によってかなり表情が異なります。
例えば、静岡市方面からの景色には右側面にフックのような隆起があるし、富士宮方面から見ると「大沢崩れ」という深い浸食谷が縦断して荒々しい。一方で、伊豆方面からの眺めは、中央に宝永山の火口のくぼみこそあれ、個人的には最も円錐形が整っていて、おとなしい姿をしていると感じます。

そんな伊豆からの富士を見晴らせるのが、最後に紹介する「ビブラ ビブレ」です。

熱海市と函南(かんなみ)町を結ぶ熱函道路から、一本脇道に入った山間地。看板に案内されて店へのスロープを下って行くと、悠々と裾野を広げて出迎える霊峰「富士」の姿が正面に現れて、一気にテンションが上がります。海抜100mの山肌から見下ろす視界に、さえぎるものは何もなく、箱根連山から駿河湾、南アルプスまでを一望できるパノラマは実に爽快!心まで解き放たれてゆくようです。
▲一面ガラス張りにした店内からの眺望も抜群!

ここは、車がなければ行きづらい場所にありながら、平日でも昼の12時前にはほぼ満席になってしまうほどの人気店。確かに、美しい情景とくつろげる空間は大きなポイント。そしてこの景色を盛り立てるのが、自然素材にこだわった料理です。
▲眼下に広がる6000坪のエディブルガーデンは散策もできます

実は、眼下に広がる雄大な敷地は、日本語で「食べる庭」と直訳される「エディブルガーデン」。いわば大きな家庭菜園のようなものですが、「毎日、朝は花摘みと野菜の収穫から始まるんですよ」と、若くてチャーミングな女性店主はほほ笑みます。季節を彩る可憐な花々や果物、点在する畑の野菜やハーブたちはみんな、皿を飾る大切な食材。もちろん、全て農薬などは使わず自然農法で育てています。
▲店頭販売もされる泥付き野菜たちが、朝採れの新鮮さを物語ります

そのほか、地元農家からその日の朝に届く有機栽培の採れたて野菜を使うなど、食材は「旅をしない安心安全なもの」にこだわります。そんなフレッシュな野菜たちは、店の入り口付近で販売もされていますよ。

「採れたての旬の食材を、シンプルに調理してお皿に乗せる。そこでまず季節と自然を感じ、それを身体に取り込んで自然とつながる」。これが「ビブラ ビブレ」の真髄です。
▲パスタランチの前菜とメイン。野菜たっぷりでヘルシー!

メニューは、その時々で内容が変わるパスタとピッツァを主体とした黒板書きの日替り料理と、カレーや地元のブランド肉を使ったハンバーグなどの定番が4種類。

今回は、本日おすすめのパスタランチより「彩り有機野菜とビブラガーデン原木しいたけのペペロンチーノ」(税抜1,600円)をいただきました。ちなみに、パスタには全て季節の前菜とミニデザート、ドリンクが付きます。

この日の前菜は、「有機春キャベツのオリーブソースがけミモザ風」。ちょうど窓の外に咲いていたミモザの花があしらわれたオシャレな皿は、春の喜びがあふれ出てくるようで、食べると心がウキウキします。

一方、なばな、カブ、ブロッコリー、プチトマトに原木しいたけ…と季節の野菜がたっぷり入った色鮮やかなパスタは、まさに目の前の庭園を丸ごと味わっているような気分。ガーリックの芳香が食欲をかき立てて、野菜だけでも食べ応え十分ですよ。
▲ミニデザートとドリンク。皿やテーブルをさりげなく彩るエディブルフラワーもステキ

セットの締めくくりはミニデザートとドリンクです。この日は、韮山・神田農園さんの紅ほっぺイチゴを使ったソースがかかったミルクプリン。優しい甘さにほっこり癒されます。
▲定番メニュー「大地の誘惑カレー」。添え付きの自家製ピクルスも絶品

また、オープン当初からある人気メニュー「大地の誘惑カレー」は、季節のサラダとミニデザート、ドリンク付きで1,400円(税抜)です。野菜の種類は季節で変わりますが、大地に生えた状態を再現したような盛り付けは芸術的で、食べるのが楽しくなってきますね。
▲店に置かれた双眼鏡は自由に使ってOK。さて、何が見えるかな?

実はここは、広い庭園の先にJRの線路が通っており、東海道線の電車や新幹線が走る姿が見られる隠れスポットでもあるんですよ。店の窓際に置かれた双眼鏡で、電車や野鳥のウォッチングをするのも楽しいですね。

富士山と四季の移ろいを愛でながら、大自然の恵みをいただいていると、本当に身体中に大地のエネルギーが染みわたっていくような気がします。きっと、店を出る時には、心も身体も軽くなっているはずですよ。
近年は、パワースポットとしても人気を集めている富士山。ただ、静岡県以外にお住まいの皆さんは、「晴れていればいつでも見えるもの」と思われているかもしれませんが、実は湿度が高いと濃霧が発生してしまうため、特に6~8月の夏場は、快晴でも富士山が見られないことも多いのです。だから、その時期に霊峰の姿を拝みたいのなら、本当に空が澄み渡った雨の日の翌日(できれば早朝)に出かけるのがオススメです。また、白雪をまとった美しい姿が見られるベストの季節は冬場ですが、中でも空気が乾燥した11~2月頃なら、その確率がグンと高まりますよ。
今回ご紹介した3軒以外にも、ぜひ、いろんな場所をめぐって、いろんな表情の富士山と出合い、心と身体の洗濯をしてみてください!
松下三枝子

松下三枝子

スポーツ専門の出版社で約10年、自身も競技をしていたソフトテニスの月刊誌編集を担当。退職後、故郷の伊豆に戻り、フリーライターとして活動。歩くのが好きで、四国と熊野の遍路旅も経験。

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