ビールだけで煮込んだほろ苦アツアツ鉄板カレー!「門司港地ビール工房」/全国カレー巡礼の旅Vol.26

2016.06.10

今や世界中で愛されるカレー。しかし、カレーの世界というのは奥深いもの。この企画では、カレーの第一人者・井上岳久先生と、私、カレー初心者ライター・井上こんの“ダブル井上”で全国の名店カレーを食べ歩き、先生の解説とともに地域性や歴史背景も交えてさまざまなカレーを紹介していきます!

前回は、焼きカレーブームの火付け役「伽哩本舗」をご紹介しました。さて、今回はどんなカレーが登場するのでしょうか?

【Contents】

1.「水を一切使わない」焼きカレー?
2.その熱さ、門司港イチにつき注意!鉄板が生む至極のシズル感

▲前回に引き続き、福岡県は北九州市の港町、門司港から注目カレーをご紹介します!

1.「水を一切使わない」焼きカレー?

「さて、こんさん。門司港といえば焼きカレーが名物というのは分かってもらえたよね。さらに最近は、お店ごとの趣向を凝らした焼きカレーがどんどん登場しているんだ。たとえばこちら!」(井上先生)

井上先生に連れられてやって来たのは、ビアグラス型の巨大看板が目印の「門司港 地ビール工房」さん。
▲こちらはカレー専門店ではなく、地ビールとそれに合う料理が楽しめるビアレストラン
ここで、覚えのある香りの存在に気がついた私。これ、もしかして……ビール?

井上先生「正解!こちらは地ビール醸造所とレストランが一体となった施設なんです」

良質な門司港の水と本場ドイツから輸入する麦芽やホップを使い、常に新鮮な状態で提供できるよう一度の仕込み量を抑えるなど、こだわり抜かれた地ビール「ヴァイツェン」「ペールエール」「門司港驛(えき)ビール」の3銘柄は全国的にも人気が高いとか。ああ~喉が鳴る!編集Sの目を盗んでこっそり飲めないかしら?
▲窓の外に広がる完璧なまでのオーシャンビューは門司港の中でも指折りの絶景!

井上先生「で、ここからが本題ですよ!今日紹介するのは、こちらで製造された地ビールを使った珍しいカレー。しかも鉄板で提供されるから超アツアツという噂ですよ!」

いやはや、高を括るというのはよくありませんなぁ。「地ビールを使うといっても隠し味程度でしょ?」な~んて思っていたものだから、料理長の藤原純一さんのお話を伺ってびっくり。なんとこちらでは水を一切使わず、代わりに下の工房で作ったヴァイツェンでカレーを煮込むそう!

白ビールとも呼ばれ、苦味が少なく飲みやすいことで知られるヴァイツェンですが、ちょっと待って藤原さん、本当にALLヴァイツェン・NOウォーターなんでしょうか?

「はい、水はまったく入れていません。芳醇でフルーティーなヴァイツェンには、水では出ないコクが出せるんですよ」
▲「どこにもない、私どもの特色を生かしたものを作りたかった」と藤原さん
▲こちらが同工房で作られるヴァイツェン。「ジャパン・アジア・ビアカップ2011」においてヴァイスビール・ドラフト部門で金賞を受賞した、知る人ぞ知る地ビールでもあります

2. その熱さ、門司港イチにつき注意!鉄板が生む至極のシズル感

地ビール工房による地ビール好きのための地ビール焼きカレーがこちら!「ヴァイツェン焼きカレー」税抜1,200円です。
▲ジュワジュワ~!という音とともに勢いよく飛び回るカレーの粒。ん~このシズル感、たまらない!

「どこよりも焼き上げたカレー」をモットーとする同店では、焼きカレーは鉄板で提供され、専門店ではないにもかかわらず店一番の人気を誇る名物料理とのこと。
▲鉄板のふちには国民からの支持率100%(?)のお焦げ

「実は最近、鉄板でカレーを出す店は都内でも増えていてね。香りだけでなく音でも楽しませようということだね!」と井上先生。まぁまぁ、解説はこのあとゆっくりするとして、熱々のうちにいただいちゃいましょう!
▲目、耳、鼻と目一杯刺激されたことだし……いただきま~す!

ビールとの相性から、ブイヨンには牛ではなく豚肩ロースを使用。「一口目にブイヨンのコクがぐいぐいと押し寄せるね」と井上先生。「次にチャツネのフルーティーさや甘みが追いかけてきて、口の中で絶妙に絡み合う。塩味をしっかり効かせているから、食べるほどにビールが飲みたくなるなぁ!(笑)」
▲たっぷりかけたグラナチーズがコクをさらにプラス
▲では、私も……
▲って、熱っ!「ほわちゃぁ!」みたいな悲鳴、飛び出ました

なんといっても“門司港イチ“を謳う熱さ。それゆえ香りの広がりも勢い知らず!口内では先生の言うとおりコクがぐいぐい押し寄せ、舌に残るはビールのわずかなほろ苦さ……オツな仕上がりに勝手ながら“大人カレー”の称号を贈りたい!(※アルコール分は完全に飛ばしてあるそうなので、お子さまもご安心を)
▲食べ進めると、中心にはとろ~り溢れる半熟卵!
▲さらに下には焦げを防ぐトマト。火照ったお口に爽やかさをもたらす、心憎いひと工夫に思わず頬が緩みます
▲のんびり取材しながら食べているというのに、まだ熱い!おそろしや、鉄板の底力

それでは、本日のカレー格言の発表です!
井上先生「食シーンを考えたトータル設計のカレー」

こん「ほろ苦がたまらない!飲ませ上手な大人カレー!」
▲「食べている間、ずっとビールを飲みたがっていたもんね、こんさん。でも、ビールが飲みたくなるというのは、地ビール工房からすれば狙いどおりだね。よし、このあとはビール祭りといきますか!(笑)」
▲「門司港 地ビール工房」さん、ありがとうございました!

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。

井上こん

井上こん

1986年生まれのフリーライター。「Yahoo!スポーツナビDo」「SPA!」「nomooo」「ウートピ」などのWEBメディアや雑誌「散歩の達人」などで執筆。

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