とろける肉に悶絶!クラフトビールで煮込む絶品・福岡牛スジビールカレー/全国カレー巡礼の旅Vol.27

2016.06.17

今や世界中で愛されるカレー。しかし、カレーの世界というのは奥深いもの。この企画では、カレーの第一人者・井上岳久先生と、私、カレー初心者ライター・井上こんの“ダブル井上”で全国の名店カレーを食べ歩き、先生の解説とともに地域性や歴史背景も交えてさまざまなカレーを紹介していきます!

前回は福岡県の門司港から、水の代わりに地ビールを使った熱々の「鉄板焼きカレー」をご紹介しました。さて、今回はどんなカレーが登場するのでしょうか?

【Contents】

1.DJから飲食店オーナーへ ヒューガルデンホワイトとの出会い
2.食感と香りで遊ばせる唯一無二のカレー

福岡イチの繁華街・天神に近く、おしゃれなカフェや雑貨屋が集まる街、薬院。今回、井上先生に案内していただいたのは、薬院の中心地にお店を構えるビアバル「soiree(ソワレ)」です。
▲「以前、たまたま表の看板を見て入ったのですが、ここのカレーといったら専門店も顔負けくらいのおいしさでね」
▲壁にかかる鍋やフライパン、そしてレコードの数々――、関連性がないように見えるアイテムがセンス良く配置された店内。肩の力が抜けるような落ち着いた空間にひとり客も多いとか

1. DJから飲食店オーナーへ ヒューガルデンホワイトとの出会い

お店を1人で切り盛りするのは若き店主、田添幸治(たぞえこうじ)さん。これまでの経歴は、曰く「DJをしたり、クラブのディレクションを手掛けたり」と、ハイセンスな出で立ちにも納得!そんな田添さんが飲食業界へ身を転じたきっかけは、ある日何気なく口にしたベルギービールの代表格、「ヒューガルデンホワイト」でした。その味にハマり、ついには世界中のビールを専門に扱うお店を開くまでに。
▲「初めてヒューガルデンホワイトを飲んで以来、すっかりビールの虜になっちゃいました」

次いで、ビールを盛り立てる料理にも「ソワレ」らしさは外せない、と試行錯誤を重ねて作り出したのが、今回ご紹介する一番人気「ビールで煮込んだ牛スジカレー」(税込800円)だそう。
▲ルウとのコントラストが美しいターメリックライスは、熊本のご実家で作られるヒノヒカリを使用。「カレーがおいしそうに見えるものを」とこだわり、器は有田焼をチョイス

「自分には料理の師匠がいないので全部独学です……」と田添さん。しかし、その工程を聞いてびっくり!

スパイスはグリーンカルダモンやコリアンダー、クミンなど10種類をじっくり焙煎、香りを引き出してからヒューガルデンホワイトとカールスバーグ、水、丁寧に洗った牛スジとともにじっくりと加熱。そこに加える風味アップの隠し味はなんと“みかん”ですって。もっともヒューガルデンホワイト自体にオレンジピールが入っているので、よ~く考えれば筋が通っているような……。終始「特別なことはしていません」と謙遜される田添さんですが、さては策士やも?(失礼!)

その後、火入れと寝かしを数回繰り返して味に深みを与え、完成には3日(!)を要するとのこと。あぁもう聞いているこちらは生唾ゴクリ!果たして井上先生も惚れ込むその味とは?

2. 食感と香りで遊ばせる唯一無二のカレー

▲では、いただきま~す!

ご紹介のとおり“牛スジ“カレーでありますが、丸い味に仕上げるためブイヨンに使うのはあえて鶏ガラ。香味野菜とともに引き出された旨みが口内でふくらみを持って広がったと思ったら、続いて押し寄せるはスパイスの面々に負けないコク!のっけから素敵なアプローチ、いただきました!
▲「ふむ、後味にグリーンカルダモンの独特な香りが感じられるね。カレーのプロでも使いこなすのが難しいといわれるグリーンカルダモンを見事に使いこなしています」
▲「ライスもオリジナル要素が強くて素晴らしい。バターの香りと刻みレンコンの食感が◎です!」
▲丁寧に下ごしらえを施された牛スジ肉は身悶えするほどの柔らかさ。強く噛まずとも繊維がほろほろとほどけ、内から旨みがにじみ出ます
▲「あ、もしかしてこれがヒューガルデンホワイトのオレンジピールと隠し味のみかん?スパイスとも違う爽快感が鼻から抜けていって……やっぱり田添さんは策士ですね!(またまた失礼!)」
▲旨みも香りもぜ~んぶひっくるめて流し込む!くあ~!……煩悩、万歳

「ビールを使ったカレーの難しさは、食材や水、スパイスとのバランスにあります。ちょっとした分量の違いでビール特有の苦味が立ちかねませんが、このカレーの完成度には驚くばかり!使いこなすのが難しいグリーンカルダモンを果敢に使ったり、みかんを陳皮に見立てて隠し味に使ったりと、細かなところに工夫が凝らされています」(井上先生)

それでは、本日もカレー格言にて締めさせていただきます!
井上先生「福岡の新タイプのカレーは日々進化中!(次回が楽しみ)」

こん「ビールを愛する若き店主による変化球カレー!」

「日進月歩という言葉がぴったりなお店。食材の組み合わせや使い方など、師匠がいないからこそできる自由な発想は強みですよね。実は近年、クラフトビールとカレーを出すお店は増加傾向にあるので、この分野は今後、より注目されていくこと間違いなしです!」(井上先生)
▲カウンターの中心に鎮座するピカピカのサーバーは田添さんの“運命の相手“、ヒューガルデンホワイト。ほかベルギービールを中心に国内外合わせ30を超えるビールが揃います
▲ソワレさん、ありがとうございました!

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。

井上こん

井上こん

1986年生まれのフリーライター。「Yahoo!スポーツナビDo」「SPA!」「nomooo」「ウートピ」などのWEBメディアや雑誌「散歩の達人」などで執筆。

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