全国七大やきとりの街・長門市で生まれた地鶏「長州黒かしわ」を味わう!

2016.06.12 更新

山口県長門市のブランド地鶏「長州黒かしわ」。仕入れの問い合わせが全国から寄せられるなど、人気は上昇の一途をたどっています。「全国七大やきとりの街」に名を連ねる同市で、その美味しさを堪能すべく地元で評判の焼鳥店を訪ねました!

山口県長門市は古くから養鶏業が盛んで、市街地には焼鳥店が多数点在。人口1万人あたり8.7軒という店舗数は日本トップクラスといわれ、美唄市、室蘭市、福島市、東松山市、今治市、久留米市が選ばれている「全国七大やきとりの街」にも名を連ねています。

そんな長門市で近年人気が高まっているのが、地元で生まれたブランド地鶏「長州黒かしわ」。
週400~600羽程度という生産量は地鶏の中でも少ない部類、全国から仕入れ希望が寄せられていることもあって、お膝元の長門市でも「長州黒かしわ」の焼鳥を味わえる店は多くありません。
▲緑黒色のシルエットが印象的な「長州黒かしわ」(写真提供/深川養鶏農業協同組合)

鶏料理の名店「ながと本陣」で味わう「長州黒かしわ」の焼鳥!

長門市内の数ある焼鳥店の中でも「長州黒かしわ」に出会えるのは5店(2016年5月時点)のみ。今回はその中から、地元の人に「『長州黒かしわ』が味わえて、〆のお楽しみがある」と教わった「ながと本陣」にお邪魔しました。

「ながと本陣」は、JR山陰線長門市駅から徒歩5分ほど。観光客よりも地元客の利用が多く、地元ファンの多さこそが美味しさの証といえるでしょう。
▲「ながと本陣」では、焼き鳥をメーンに新鮮魚介など数々の長門名物が味わえる

「長州黒かしわ」の焼鳥は「もも」「ささみ」「手羽」の3種類(各税込1本300円)。そして、お店のこだわりはというと、しっかり旨みを閉じ込めて火が通り過ぎないように炭火でじっくりと焼き上げることだそう。
▲「もも」(左2本)と「ささみ」(右2本)。火が通るにつれて振られた塩が肉の旨みに浸透していく。なお、注文は1本からOK

肉の美味しさをダイレクトに味わってもらうために、味付けは軽く塩を振るのみ。やがて染み出した脂が炭の上へと落下、ジュワッと煙とともに食欲をそそる香ばしい匂いが広がってきました。
▲「手羽」は鶏皮も一緒に味わえる

早速3種類すべてを注文し、まずは「もも」からいただきます。地鶏といえばコリコリとした強めの歯ごたえがある印象ですが、「長州黒かしわ」は思っていたよりもかなり柔らかめ。よく「噛めば噛むほど味がでる」といいますが、まさにその表現がぴったり。一口頬張ると、肉汁、脂が絶妙~!
▲「もも」の歯ごたえは、地鶏と一般的な鶏肉のちょうど中間。肉汁たっぷり!

なお、長門市の焼鳥店には、カウンターやテーブルに「ガーリックパウダー」「一味唐辛子」「ゆずきち胡椒」が置かれています。これらをお好みで焼鳥にトッピングするのが「長門やきとり」の特長なのだそう。
▲上から時計回りに「ガーリックパウダー」「一味唐辛子」「ゆずきち胡椒」。「ゆずきち胡椒」はカボスやスダチの一種「長門ゆずきち」で作られるご当地名物の一つ

そこで「もも」の2本目には「ガーリックパウダー」をトッピング。塩だけでも十分美味しいのですが、肉の旨みが際立ってこれもウマイ~!
▲肉と脂が程よいバランスの「もも」は「ガーリックパウダー」と相性抜群

続いて「ささみ」をいただきます。絶妙な焼き加減で食感はふわふわ!「もも」同様に噛むほどに肉の美味しさが口いっぱいに広がって、「ささみ=淡泊」という思い込みを見事に裏切ってくれます。

2本目は、料理長・森本純生(すみお)さんのおすすめで「ゆずきち胡椒」をトッピング。鮮烈な風味と程よくほぐれていく肉の繊維質とが見事なまでに絡み合います。
▲「ゆずきち胡椒」と「ささみ」の組み合わせ、これはクセになる~!

最後に満を持して「手羽」の登場。肉の部分はさることながら、皮の脂の濃いめの風味がたまりません!皮と肉、双方の旨みがお互いを補い合って、これはトッピングなしにそのまま味わうのがおすすめかも。
▲「手羽」の皮の部分が程よく焦げて、香ばしい風味がいっそう食欲をそそる

さて、焼鳥を味わう上でお酒を欠くわけにはいきません。通常なら熱々の肉汁したたる焼鳥とくれば誰もがビールを連想してしまうのでは?

しかし、「ながと本陣」でのおすすめはなんとなんと赤ワイン!さっそく試してみると、意外な組み合わせなんてとんでもない!これは目からウロコかも…。しっかり濃い味わいの「長州黒かしわ」に、どっしりとした味わいの赤ワイン。肉の美味しさと酔いが五臓六腑に染みわたっていきました。

最後に、程よく酔いがまわったところで、地元の人に教わった“お楽しみ”を注文します。飲んだ後の〆と言えば麺類、その名も「長州黒かしわの本陣特製ラーメン」(税込670円)です!
▲「長州黒かしわの本陣特製ラーメン」はランチでも人気

まず一口、初めて出会う味に思わず絶句…。スープは「長州黒かしわ」の鶏ガラだけを6時間煮込んで、昆布、鰹節、いりこなどでとった海鮮出汁をブレンドしたもの。チャーシューは「長州黒かしわ」と同じく長門市で生産されている「長州どり」を使用しているそう。
▲「長州黒かしわ」の鶏ガラスープはコラーゲンもたっぷり

麺や具材も含めて、とにかくマイルド。あれほど食べたり飲んだりしたのに、あまりの美味しさに最後の一滴までスープを飲み干してしまいました。

長門の風土によって育まれる絶品の味わい。地域の“美味しさ”を凝縮!

「長州黒かしわ」は、山口県初の地鶏ブランドとして、長門市内にある深川養鶏農業協同組合によって2009年に開発されました。同組合黒かしわ・地どり推進部の磯部充利さんによると、20年の歳月をかけて商品化が実現したとのことで、鶏の産地としてその美味しさへのこだわりが伝わってきます。

同組合で生産された雛鳥は、生後28日が経過したところで3カ所の育成地へと運ばれ、一般的なブロイラーに比べて2倍の期間をかけて、しっかりと運動できる環境でのびのびと育てられます。
▲生育地の一つ「ファンファーム」は「長州黒かしわ」専門鶏舎(写真提供/深川養鶏農業協同組合)

また、「長州黒かしわ」の美味しさの秘密はその飼料にもあるよう。山口県内産の厳選穀物(米、麦など)、3種類の天然ハーブ(タイム、セージ、ローズマリー)をベースに、さらに地域ならではの資源が配合されます。

日本海に面し、仙崎港(せんざきこう)を擁する長門市には水産加工品の製造工場が数多く立地。飼料には、これらの工場で生ずる魚のあらや練り製品の切れ端などが粉末状にされた上で加えられます。

「長門市はかまぼこの名産地でもあり、その美味しさは一級品。飼料には商品にならないかまぼこの切れ端も入っています」と磯部さんは話します。

飼料には、さらに地域で生産される野菜の規格外品も加わるそうで、「長州黒かしわ」の肉は、ご当地のあらゆる美味しいものとその栄養分が凝縮されてできあがっていることになります。

なるほど、絶品の味わいに納得!まさに長門の風土によって育まれる自慢の地鶏といえます。

「長州黒かしわ」の祖先は神話にも登場する「黒柏鶏」

実は「長州黒かしわ」のベースとなった鶏は、古来より山口県と島根県を中心に飼育されてきた「黒柏鶏(くろかしわ)」。『日本書紀』や『古事記』にも記載があり、天照大神が天岩戸に隠れるエピソードにおいて「常世之長鳴鳥(とこよのながなきどり)」として登場します。

現在、山口県内でもその飼育数はごくわずかで、貴重な在来種として国の天然記念物にも指定されています。その飼育場所の一つである山口県防府市の玉祖(たまのおや)神社は「黒柏鶏」発祥地ともいわれ、境内には顕彰碑が建立されています。
▲玉祖神社の祭神は「玉祖命(たまのおやのみこと)」。写真右手にあるのが「黒柏鶏発祥之地」顕彰碑
▲玉祖神社境内で飼育されている「黒柏鶏」。運が良ければ“長鳴鳥”とも言われるその特長的な鳴き声を聞くことができる

神話にも登場した鶏の子孫と考えると、その美味しさには神々しさすら感じてしまいます。
昨今、牛肉などにおいては熟成肉の人気が高まっていますが、鶏肉は鮮度が命。「長州黒かしわ」を味わうならぜひ生産地のお膝元、やきとりの街・長門市へ!
兼行太一朗

兼行太一朗

記者兼営業として、地元山口の地域情報紙に14年間勤務。退職後はNPO法人大路小路ひと・まちづくりネットワークに籍を置き、守護大名大内氏や幕末における歴史資源の取材に携わる。同時にフリーライターとして活動しながら、たまに農業も。自称ネコ写真家。(編集/株式会社くらしさ)

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