スリル満点!崖の上から地獄を覗く、鋸山「地獄のぞき」へGO!

2016.06.13

房州石の産地として知られる千葉県房総半島の「鋸(のこぎり)山」は、石を切り出した岩肌が鋸の歯のように尖っていることからその名がつきました。なかでも断崖が垂直に切り立つ「地獄のぞき」は房総半島を一望できる絶景ポイント。日本一鋸山に詳しいという噂のガイド、忍足(おしだり)利彦さんと一緒に、地獄をのぞきにいきました。

▲今回ガイドしてくださったお茶目な忍足さんは『鋸山完全ガイド(冬花社)』の著者でもあります

ロープウェーで、車で、歩いて。登山ルートは大きく3つ

鋸山にのぼるなら、ロープウェーが早!楽!近!ということで、この日は午後から、JR浜金谷駅から徒歩10分ほどの鋸山ロープウェー山麓駅に向かいました。標高329.5mの鋸山の頂上にも近い、ロープウェー山頂駅まではわずか4分。山頂展望台からは360度の大パノラマが拝めるとのこと。晴れていれば富士山やスカイツリーも見えるところが、いざ行ってみると、ロープウェーは強風のため運転休止。そこで第2のルート、登山自動車道(往復1,000円)で山頂に向かいました。ちなみに歩いて登ることもできるそうですが、それはまたの機会に。
▲運行時はこのような感じです。大きな窓で景色も良く見えそう!
▲ロープウェーの乗車券は昔懐かしい硬券。行きと帰りでハサミの切り口が違います
ロープウェーの入口から車で数分行ったところに、「鋸山 日本寺」の西口管理所につながる片道2.6kmの有料道路「登山自動車道」の入口があります。道路沿いにはヤシの木も植えられて南国ムード満点。ヘアピンカーブの途中に車を停めて、景色を眺める人の姿もちらほら。この道路のほかに、東口管理所につながる鋸山観光自動車道(無料)ルートもあります。
▲南国ムードが漂います
▲車を路肩にとめて眼下の絶景を眺めました
▲こちらが西口管理所の入口

約10分弱で西口管理所に到着。ロープウェーの山頂駅からも近いので、ここから山頂をめざします。

まるで古代遺跡を歩くよう。
石切り場跡で「百尺観音」を拝む

▲アドベンチャー気分でワクワク!

鋸山の山腹10万坪は1300年前に開かれた「鋸山 日本寺」の境内。お目当ての「地獄のぞき」も、日本寺の境内にあります。
西口管理所から入り、急こう配の階段をのぼって10分ほど歩くと、石が垂直に切り出された道が見えてきました。明治以降に盛んに切り出された鋸山の房州石は、横浜の港の見える丘公園や早稲田大学の基礎工事にも使われているそう。一時はこのエリアの人口の80%が石材産業に関わっていたそうです。
▲房州石が使われた台座。実はこの上に鋸山タワーがありました。「東京タワー(333m)より高い!」がウリだったそう(by忍足さん)
▲切り出された石の断面。垂直に一定の幅で切り出されているのがわかります
▲岩肌に生息するイワタバコ
▲6月には星型の花をつけ、見応えがあります

足元に気を取られながら歩き、ふと見上げると…まるで門のように開いた石壁と、その向こうに広場が見えてきました。さらに進むと、中東の遺跡を思わせる巨大な観音像「百尺観音」が出現!百尺=約30.3m、かなりの高身長です。
▲遺跡のような石壁の先には…
▲直角に切り出された石に囲まれた「百尺観音」!
岩場に囲まれた広場は抜群の音響効果があるため、この場所でコンサートが公演されたこともあるそうです。上を見上げると、そこに飛び出す小さな岩…(写真中央左付近)。そう、あそこから地獄を覗くのです。

まさに産業遺産、「石切り場跡」「車力道」など絶景ポイントが点在

広場の先の北口管理所を抜け、少し下ると石切り場跡を横から眺められるスポットが現れます。中国の世界遺産を思いおこさせます。
▲石切り場跡。海外のツアー客にも人気だそう

「せっかくなので別のアングルからも攻めましょう」と忍足さん。そこからロープづたいに急こう配な階段をくだりました。すぐ横には、採石業が盛んだった時代に石をボブスレーのような荷車で運んだ「車力道」が見えます。切り出すのは男性、運ぶのは女性が担当していたそうですが、重労働を思わせる轍(わだち)が今も残ります。
▲ロープにしがみつきながら階段を降りた先に現れたのは…
▲新緑越しに石切り場跡を見上げる絶景ポイント!

来た道を引きかえし、いよいよ「地獄のぞき」へ。そこは鋸山の尾根にあるため、さらに急こう配の階段を昇っていきます。早くも太ももに軽い筋肉痛が…。
▲そして、また登る…地獄はまだ?

遊び心から生まれた奇跡の岩。空中をふわり「地獄のぞき」

多少息切れしながらも尾根まで登ってきました。さらに小さな石山を登り、突き出した岩の先端「地獄のぞき」の展望台に到着!展望台から下をのぞくと、先ほどいた「百尺観音」前の広場にちっちゃな人がうようよ見えます。
▲尾根にある石山の先に岩の先端が!
▲いざ地獄への第一歩。高所恐怖症の人にはおすすめしません

先端はかなり狭いので、まるで空中に浮いているよう…!下を見ると恐ろしいので目線を上にあげると、こちらはどこまでも続く水平線と青くなだらかな山の稜線。もはや聖域です!ただ怖いだけじゃなく天国と地獄、どちらも体感できるから「地獄のぞき」なのか、と納得しました。
▲真下はこんな感じ。ブルブル…
▲お約束のポーズ!「地獄のぞき」の手前にある山頂展望台もしくは奥の瑠璃光展望台から、ナイスショットが撮れます

「実はこの岩は石切り職人さんの遊び心から生まれたんです。まさかこんな名所になるなんて、その職人さんは思ってもなかったでしょうね。職人さんが所属する石切り場の屋号が今も岩肌に残ってるんですよ」と忍足さん。よく見ると「久」という字の上に「一」の文字。こんな発見もまた、面白いのです。
▲写真右側の屋号、見えますか?写真では判別しづらいので現地でぜひ確認を!

自分にそっくりの石仏や若き日の聖徳太子に会える!?
「千五百羅漢道」

ここからはくだり。1,553体の石仏が並ぶ「千五百羅漢(らかん)道」を散策しつつ、大仏広場を目指します。江戸中期の名工・大野甚五郎とその門弟たちが約20年かけて掘り上げた道沿いの石仏は、表情も顔も千差万別。「自分にそっくりの石仏に必ず出会えると言われています」と忍足さん。訪れた際はぜひ探してみてください。
▲百体の観音様が並ぶ「百躰観音」。やさしい表情の観音像は、江戸メンたちに大人気。今時の女性アイドルグループのようなものだったそう。推しメンは誰?
▲船に乗った岩船観音という珍しい観音像もあります

千五百羅漢道では弘法大師や聖徳太子の像も拝むことができます。一段高い岩肌に立つ孤高の聖徳太子像は、少年時代の姿だそう。
▲若き日の聖徳太子が高い岩肌に一人。こんなところでお会いできるとは…
▲よく見て!かつて立派な滝だった場所には不動明王がポツリ

羅漢像が並ぶこのあたりの道は、急な石段やアーチ状の石橋、小さなトンネルや滝など景色の移り変わりも楽しいルート。スダジイの原生林もあり、ハイキング気分で巡ることができます。
▲このような洞窟がいくつもあって、探検気分があがります!
▲木の根が地表に現れてマスクメロン状態の道もあり。忍足さん曰く“木の根道”

日本一の大仏様と、願いを叶えてくれるお地蔵様

散策を終え、大仏前参道に到着。広場の奥には、大きな大きな大仏様が鎮座していました。高さは約31.05m。奈良の大仏が18.18m、鎌倉の大仏が13.35mであることを考えると、圧倒的な大きさです!一度は自然の風蝕で崩壊したものの、昭和44年に現在の姿に復元されました。
▲磨崖仏としては日本最大の大仏様。正式名称は「薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)」。すぐ近くまで行って見上げると、その大きさがわかります

この大仏広場に安置されている「お願い地蔵尊」は、願いがかなえられる名所。早速お願いごとをしました。
▲たくさんのお地蔵さん。みんなどんな願い事をしているのでしょう
▲小さなお地蔵さまに名前を書いて奉納すると、願い事がかなうそう(500円)

午後からの3時間ハイクもOK。
多様な楽しみ方が魅力の鋸山

ロープウェーが動いていないというハプニングはあったものの、3時間弱で「地獄のぞき」に加えて、境内の散策も一通り達成。ガイドの忍足さんのおかげで、歴史や自然、面白エピソードに触れることもできました。鋸山の面白いところは、こんな気軽な散策から、一日がかりの本格的な登山まで楽しめてしまうところ。

景観を眺め、自然と触れ合い、歴史を知る。楽しみ方も多種多様な鋸山、次はまた違う目的で訪れてみたくなりました。
▲鋸山はこれからがオンシーズン。さまざまな動植物に出会えます。サルにも!?

鋸山ボランティアガイドについては、下記鋸南町役場で受け付けています。登山ガイドや、団体での利用についても応じてくれます。希望を伝えれば、適したルートを紹介してもらえるので、ぜひ相談してみてください。
平間美樹

平間美樹

某広告代理店で情報誌・Webサイト等の広告企画・制作を経て独立。現在、企画制作会社CLINK(クリンク)を運営し、結婚・進学・就職・旅行など幅広い分野で企画・ライティング活動中。テニス・フラ・猫にハマる日々。 テニス観戦でグランドスラムを達成するのが目下の目標。

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