那須深山の雪解け水で醸造する那須高原ビール。自然の恵みと人の感性が造り出す地ビールの味を堪能する

2016.08.01

那須連山を臨む緑豊かな森の中、良質の水が湧き出るこの地に醸造所を構える「那須高原ビール」では、「時が経っても変わらない美味しさ、そして時が経つほどに美味しくなる味──」、世界も認めるさまざまな種類の地ビールが造られています。できたての地ビールとその地ビールを使った美味しい料理を楽しめると聞き、訪ねました。

麦芽100%、成分無ろ過。雪解け水を使った自然の恵みあふれるビール醸造

地ビール愛好家の中でも人気が高い「那須高原ビール」は、地元の家具屋の三代目である小山田孝司(おやまだたかし)さんが1996年に創業。もともと物を作ったりデザインしたりということが好きだった小山田さんが、ふと耳にした地ビール醸造解禁のニュース。そしてこの地に湧き出る良質な軟水との出合いが「この地で世界に類を見ないビールを造りたい」と「ものづくり」のDNAを騒がせ、ビール醸造への道が始まりました。
▲約3,000坪の森の中にある「那須高原ビール」。建物を建てる際はできるだけ木を伐採しないようにしたという
本場ドイツのクラフトビールはろ過をしないのでビール酵母が生きた状態。かつ成分無調整のためどんなに飲んでも飽きず、さらに翌日に残りにくいといわれます。そんなビールを造りたいとの思いから、「那須高原ビール」は、麦芽100%で完全無ろ過、いわば「果汁100%のフレッシュジュース的ビール」。遠心分離機も使っていないので、ポリフェノールも豊富に含まれていて健康にも美容にもいいといわれ、国内だけではなく世界中からも注目されています。
▲建物内にある醸造所には、発酵タンク、熟成タンクがずらり。ここで年間10種類以上、約100キロリットルの地ビールを目標に醸造している(ショップ、レストランの窓越しに見られる)
2人いるという醸造技師は、創業当初から変わらないメンバー。それでも、湿度や温度、天候だったり、少し設備を変えたりしただけでも味が変わってしまうそうで、「ずっと変わらない味=美味しさ」を提供するため、小山田さんは常に醸造技師に寄り添い、ここの地ビールを求める人たちの期待を裏切らない「本来の味」になっているかの確認をしているそうです。
▲小山田さん(右)と醸造技師の野田さん
▲この日醸造所では、定番商品の地ビール「愛」の麦汁づくりが行われていた
▲手作業で麦芽を丁寧に沈め、麦芽の成分をしっかりと溶け込ませる

ずらりと並ぶ賞状、トロフィーは
世界が認めた美味しさの証

「那須高原ビール」で醸造される地ビールは、2年に一度開かれる世界最大級のビールコンテスト「ワールド・ビアカップ」で日本初の5大会連続入賞するなど、世界にも認められている味。醸造所に併設されたショップには、その賞状、トロフィーがずらりと並びます。

醸造施設が見えるレストランで
できたてほやほやの地ビールを

お話を聞いたところで、早速併設するレストランで地ビールを!
レストランを囲む広い窓には木々の緑が迫り、自然との心地よい一体感の中、できたての地ビールを味わうことができます。テーブルや椅子などの調度品はすべてデンマーク、スウェーデン製で、もともと家具屋である小山田さんのセンスが光ります。
▲レストランの入り口には世界的な評価を得る美術家・菅木志雄(すがきしお)さんの作品「三間の泉」が。その感性に五感をくすぐられながら店内へ
▲レストランのカウンターの窓越しに醸造施設が見え、タイミングが合えば仕込みの瞬間も見られるとか。というわけで、グラスに注がれるのはまさにできたてのビール!

まずは定番の一杯!上品で飲みやすく、誰もが「愛する」地ビール「愛」

まずいただいたのは、「愛」というビール(グラス200ml 税込・464円)。那須に御用邸があることから、皇室との関わりがとても深いこの地で、敬宮愛子様の誕生を記念し造られたそうです。
早速飲んでみると、なんという飲みやすさ!アルコール度数は5%ありますが、清らかな雪解け水に引き出されたホップの優しく上品な香り、そして軟らかで爽やかなのどごし…あっという間にグラスが空になったことは言うまでもありません。
▲愛子様のおしるし「ゴヨウツツジ」がラベルに描かれている
実はこの「愛」、かつて公務で栃木県を訪れた皇太子ご夫妻の目に止まり、宮内庁から注文を受けたそうです。後日係官を通じ「皇太子ご夫妻が『美味しかったと伝えてほしい』とおっしゃっていました。それに、宮内庁から直接メーカーへの注文はとても珍しい事で、とてもラッキーな事ですよ。大事にして下さい」とおっしゃっていただいたそうです。

「愛」はソフトラガータイプのビールなので「苦いビールが苦手」という人にもおすすめ。2016年で創業20周年を迎え、感謝の気持ちを込めて考案された「那須黒毛和牛チーズピザ(税込・1,296円)」と共に、さらにグビっと一杯…。
▲どんな料理とも相性がいい「愛」と「那須黒毛和牛チーズピザ」
▲ピザには那須黒毛和牛のひき肉がたっぷり!どこを食べても肉の旨みが口いっぱいに広がります

まるでワイン!?歳月がおいしくさせる
ヴィンテージビール

喉が潤ったところで、続いていただくのは、2016年5月に米フィラデルフィアで開催された「ワールド・ビアカップ」の「エイジドビール部門」で、見事金賞に輝いた「ナインテイルドフォックス(リキュールグラス100ml 税込・1,080円、生チョコ付き)」。「鮮度=美味しさ」というビールの概念を覆し、何年間も熟成させて美味しさを引き出すという、世界初のヴィンテージビールです。
▲琥珀色をした「ナインテイルドフォックス」。レストランで提供されているのは2015年に醸造されたもの
開発を始めた1998年から毎年数量限定で造り続けているという「ナインテイルドフォックス」。一番古い1998年物(1本500ml 税込・12,960円)から販売しているそうです。

銘柄名は、那須地方に古くから伝わる「九尾の狐」伝説に由来。「狐が絶世の美女に化け、人々を震撼させた。どこか神秘的で近寄りがたく、けれども人を惹きつけてやまない魅力を感じさせる──」。人間の第六感にまで訴えかける、常識の枠を超えたビールを造りたいという思いで付けられたといいます。
▲一緒に提供される生チョコは、黒ビール入り。甘さとほろ苦さが、熟成された「ナインテイルドフォックス」の深みをさらに引き出します
アルコール度数はビールとしてはかなり高めの11%。芳醇な香りを楽しんだ後に一口飲んでみると、今まで飲んだことのない「ビール」。強い甘み、そして苦味、さらにコクが五臓六腑に染み渡ります。このビールが重ねてきた年月を体全体でゆっくり丁寧に味わう、大切な記念日などに大切な人と飲みたい味です。

地ビールはオールラウンダー
飲むだけではなく料理にも

メニューには地ビールを使った料理もあるということで、おすすめの「牛肉の地ビール煮(税込・1,458円)」をチョイス。カラメル麦芽の香ばしい香りと甘み、コクが特徴の地ビール「スコティッシュエール」とデミグラスソースで牛バラ肉を数時間煮込んだもので、お肉がとても柔らかくさっぱりとした味です。
もちろん、ビールとの相性も抜群で、つまみにしても良し、「ビール酵母入りパン(税込・237円)」と共に食事にしても、また良しです。
▲「牛肉の地ビール煮」と「ビール酵母入りパン」、牛肉の煮込みにも使われているビール「スコティッシュエール(グラス200ml 税込・464円)」
▲見よ!この牛肉のホロホロ感!!

レストランでもショップでも、提供されるのは
もちろん美味しい地ビールのみ!

お腹も満たされ、自宅でも地ビールを楽しもう!ということでショップへ。ここで創業当初から販売している黒ビールの「那須ロイヤルスタウト」が、2016年の「ブルワーズカップ」で優勝したと聞かされ、その味にも興味が。「ブルワーズカップ」は地ビール醸造業者が造り手の立場で、本当に美味しいビールを決定するものだそうで、そうと聞いたら飲まずにはいられません。すでに満腹なので、家でじっくり味わおう!
▲「ナインテイルドフォックス2006年(500ml 税込・8,640円)」、「愛(330ml 税込・615円)」、「那須ロイヤルスタウト(330ml 税込・864円)」。酵母が生きているため、地ビールのお持ち帰りは要冷蔵で(保冷剤付き)
少量ずつ仕込むことで、常に造りたてを提供することを心掛けているため、なかなかここのレストランやショップにさえ並ばない銘柄も。つまりは、ここではいつでもできたての美味しい地ビールしか飲めない、買えないということなのです。
そして究極の地ビールの楽しみ方は、やはりその地で飲むからこそ。ぜひ、造り手の顔が見えるこの場所で味わってみてください!
yuka

yuka

栃木が大好きで、大学卒業まで県内を出たことのない「栃木箱入り娘」。地元の魅力を知ってもらうべく県内の出版社、テレビ局、新聞社などに勤務。好きなことは直売所&日帰り温泉巡り。おいしい野菜と気持ちいい温泉のためならどこまでも行く。モットーは「思い立ったら即日!」

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