黄金の島に眠る、廃墟マニア必見の遺跡群!「佐渡金山」400年の歴史ロマン

2016.06.17 更新

日本最大の離島「佐渡」。新潟県の西部に浮かぶ佐渡島と言えば、日本最大の金銀山を持ち、「今昔物語集」や世阿弥の「金島書」にも登場するなど古くから「黄金の島」として知られています。現在、世界文化遺産登録を目指している「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」。その魅力を体感してきました!

▲佐渡金山のシンボル「道遊の割戸(われと)」。V字に見えるのが、江戸時代に手掘りで鉱脈を削りとった跡

佐渡で最も有名な「相川金銀山(佐渡金山)」は1601年(慶長6年)に開山され、江戸時代を通じて徳川幕府の財政を支えてきました。金の産出地としての歴史はさらに古く、11世紀には古今物語集に「佐渡ノ国ニコソ金ノ花栄タル所」と記述される島でした。
古い歴史に想いを巡らせる方が多い金山ですが、実は相川金銀山の操業停止は「1989年(平成元年)」とごく最近!江戸時代から平成まで388年間にわたって採掘され続け、産出した金は78t、銀は2,330tと、まさに日本最大級。江戸、明治、そして大正、昭和と、採掘のため常に時代ごとの最先端技術が投入され続けてきました。

そんな金山に残る、坑道跡、採掘施設、製錬施設などは、そのほとんどが国の重要文化財、史跡、近代化産業遺産に指定されており、鉱山技術や生産システムの変遷のほぼすべてを見ることができる、世界でも例のない大変貴重な産業遺跡群です。その希少性は、世界遺産候補である「世界遺産暫定リスト」に記載されるほどなのです。

大産業のスケールを味わえる!産業遺跡ツアー

佐渡金銀山の産業遺跡を丸ごと体感できるのが、ガイドさんと一緒に巡る「ガイド付 世界遺産(世界文化遺産候補)ツアー」(団体10名以上1,200円/人・税込)。約400年という歴史と、産業遺跡の壮大なスケールを感じられると好評です。

所要時間約100分の盛りだくさんの見学スポットの中から、特にオススメのポイントをご紹介します!

立ち入り禁止の坑道内を特別見学!「大立竪坑」

▲日本初の洋式立坑「大立竪坑(おおだてたてこう)」

ツアーの最初に見学するのが、1869年(明治2年)にドイツ人技術者の指導により、日本に初めて導入された洋式立坑です。立坑とは垂直に掘り下げた坑道のこと。中には深さ352mの地中エレベーターがあります。佐渡鉱山の鉱脈群のほぼ中央に位置し、平成元年の採掘中止まで金山の大動脈として活躍したそうです。

ここでは、ツアーでなければ入ることのできない大立竪坑の岩盤内部に案内してもらえます。
▲むき出しの岩盤とコンクリートの空間に残された機械類

内部には立坑の奥底に続くエレベーターの巨大な巻揚機や、坑道内で使う機械の動力である「圧縮空気」を作る空気圧縮機がそのまま残されています。
▲1918年(大正7年)に輸入されたアメリカ製空気圧縮機。国内に現存する最古のものの一つ

平成元年の操業停止後に、多くの機械や道具類は持ちだされたそうですが、残された機械類や、何かのレバー、スイッチ、スパナ。無骨な空間と、暗い坑道の冷んやりとした空気、そして立坑の穴から降りそそぐ光が、ノスタルジックな気分を高めてくれます。
▲ガイドさんのライトに照らされた「金鉱脈」

さらに、ここでは岩盤の割れ目から貴重な「金鉱脈」を見ることができます!奥の黒い筋が金鉱脈で、光の当て具合で微かに光の粒がキラキラみえるような……。相川金銀山には、この金鉱脈が東西3,000m、南北600m、深さ800mに広がっていました。金山が開山されてから400年間、人々はこの金鉱脈を追いかけてきたのです。

「江戸時代はこの鉱脈をノミで削り取っていました。そのノミも2日に1本はダメになったと言われています」とガイドさん。昔の苦労が想像できました。ガイド付きでないと見られない貴重なスポットです。

荒廃した産業遺跡はまるで「ラピュタ」!
北沢浮遊選鉱場跡

産業遺跡ツアーだけでなく、近年観光客の人気スポットになりつつあるのが、かつては「東洋一」と言われた金銀抽出施設の跡地「北沢浮遊選鉱場跡(きたざわふゆうせんこうばあと)」です。

金山から海側へ車で約7分ほどのところにあります。
▲高台から北沢浮遊選鉱場跡を一望

1885年(明治18年)に当時最先端の西洋技術を導入し、この地区に金属と岩石を選別する「選鉱場」と「精錬施設」が建設されました。その後1938年(昭和13年)に国を挙げて大増産が始まり、月間7万tの鉱石処理が可能な東洋一の規模と言われる浮遊選鉱場が完成しました。
▲コンクリート施設の中には入れませんが、選鉱場跡にこんなに近寄れます!

見上げるコンクリートの巨大建造物はたまらない迫力です!植物が侵食し、崩れかかった産業遺跡は「天空の城ラピュタ」を連想させてくれます!
▲この選鉱場に3基あったうち、唯一残る50mシックナー

こちらの古代ローマのコロッセオのような建造物は、鉱物と水を分離するための施設「シックナー」。まるで映画の世界に迷い込んだかのよう。
▲どこを切り取ってもフォトジェニック
▲ガイドさんお手製のフリップには、全体像や当時の写真が満載

「ここに残されたコンクリートは建物の土台です。かつては屋根のある工場だったんですよ」とガイドさん。目の前にある景色からは、当時の姿は想像もできません。
手前の赤レンガ造りの建物は、1907年(明治40年)に佐渡で最初に建設された石炭火力発電所の跡。現在は近代化写真館として、佐渡金山の歴史や当時の様子がわかる写真が展示されています。
▲別アングルの高台から
▲車窓から

ツアーは金山から採掘された金銀が、港から積み出されるまでの山から海のルートを楽しみます。その道中に車窓から見える町の風景の中にふっと収まっている姿もとにかくカッコいい北沢浮遊選鉱場跡。「昔はこれが観光資源になるなんて思ってもいなかったです」とガイドさん。こんな景色が日常にあるなんて羨ましい!

金山からは少し離れていますが、個人で観光に行った際にも忘れずに足を運んでもらいたいスポットです。

江戸時代の面影や、近代を感じるスポットが満載

ツアーでは他にも江戸時代の雰囲気を感じられるスポットや、近現代の産業遺産が満載です。
▲江戸初期に開削された「大切山坑(おおぎりやまこう)入口」
▲江戸時代の繁華街跡「京町通り」
▲江戸時代に金山を管理した佐渡奉行所
▲昭和初期建設。鉱石を細かく砕き運びだした「破砕場」
▲明治時代の破砕・製錬所跡「搗鉱場(とうこうば)跡」
▲鉱石や資材運搬のため整備された港「大間港跡」

この地で営まれてきた産業と、長い歴史をたっぷり味わえる約100分のツアー。これを体験すると「早く世界遺産に登録されて欲しい!」と思ってしまうくらい佐渡金山の魅力に取り憑かれてしまいますよ。

佐渡金山のメインコースもお忘れなく!

最初に「ガイド付 世界遺産(世界文化遺産候補)ツアー」を紹介しましたが、佐渡金山といえば実際に使われていた「坑道」を巡る2つの見学コースも有名です。

ひとつ目は、江戸初期の手掘り坑道跡である「宗太夫坑(そうだゆうこう)江戸金山絵巻コース」(900円・税込)。坑道跡に、「佐渡金山絵巻」に描かれている採掘作業が再現されています。
▲江戸時代、実際に行なわれていた作業の様子が蝋人形で再現
▲コース内の資料館に展示された鑑定書付き佐渡製小判

コース内の資料館では、江戸時代の佐渡金山の仕事の様子を縮尺1/10の500体の人形や模型で分かりやすく説明しています。1600年台の佐渡相川には5万人もの人がいたといいます。同時代の長崎が2万人だったことを考えると、日本有数の産業都市だったそう。
▲時価約6,000万円の純金延べ棒の取り出しチャレンジ!腕がやっと入るほどの穴から取り出せたら記念品がもらえる

もう一つのコースは、「道遊坑(どうゆうこう)明治官営鉱山コース」(900円・税込)。明治期に開削され平成元年の休山まで採掘されていた現存する採掘跡を見学できます。他にもこのコースでは、佐渡金山のシンボルである「道遊の割戸」を間近に見るポイントや、操業当時の姿のままで残されたトロッコ、機械工場、粗砕場など多くの設備を見学することができます。
▲「道遊の割戸」を間近に見上げられるポイント

下の空洞は明治以降にダイナマイトを使用して明けた穴とのこと。スケールの大きさに思わずため息が漏れてしまいます。
▲ここは「道遊の割戸」の真下!
▲産業遺跡マニア心をくすぐる機械類の数々が展示された倉庫

どちらのコースも様々な角度から鉱山を楽しめ、見所満載です!

また、お土産売り場で買える「金箔ソフトクリーム」や、麓の「金山茶屋」では金粉の入った金山カレーやうどんなど、佐渡金山オリジナルの軽食が楽しめます。
▲金箔ソフトクリーム(350円・税込)
▲左:金山ラーメン(700円・税込)、右:金山そば(800円・税込)

佐渡旅行というと、観光地が近くに点在しているため、ついつい自動車で複数箇所を回る予定を立ててしまいがち。しかし、佐渡金山は丸一日いても飽きない、すべてを見学しきれないほど、見どころが盛り沢山!たっぷり時間を確保して来て欲しいと思いました。

大自然、伝統文化、食と他の地域にはない独特の魅力が詰まった離島・佐渡ですが、「産業」でも世界に類のない魅力を秘めていました。映画の中に迷い込んだようなロケーションを味わえる佐渡金山へ、足を運んでみてはいかがでしょうか?
唐澤頼充

唐澤頼充

編集・ライター。新潟をもっと楽しくするWEBマガジン「にいがたレポ」編集長。農学部卒業後、マーケティング会社に勤務後、独立。現在はNPO職員として勤務する傍ら各種媒体で執筆活動を行っている。「情報流通量の多さが地域の豊かさ」をモットーに、地域に眠る資源をコンテンツ化し、発信する活動を行う。

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