高知の屋台ロードで、名物餃子を味わい人情に触れるはしご酒

2016.07.24 更新

高知市の歓楽街・追手筋と交差するグリーンロード。南北約200mのこの道には、夜になると屋台が出現して、明け方近くまで酔客で賑わう。週末には7軒ほどの屋台が並び、昔に比べると数は減ったものの、屋台がこれほど密集しているエリアは四国ではここだけ。またこれらの屋台の大半は「屋台餃子」と呼ばれる餃子を提供しているのも特徴だ。そんなグリーンロードの屋台のなかで人気の3軒をピックアップしてご紹介しよう!

▲グリーンロードの中央付近のビルから南へ追手筋方面を望む。屋台はクスノキの大木が植えられた中央分離帯を利用して営業している

豪快な牛すじおでんと肝っ玉女将の人柄に
魅せられる「じゅんちゃん」

最初に紹介したい屋台が、グリーンロードの一番南側で営業する「じゅんちゃん」。創業は50年以上とも言われ、現在の女将さんの花川春子さんが二代目を任されてから13年。暖簾をくぐるとカウンターに据えられた大きなおでん鍋が目に飛び込んでくる。
▲木枠とアクリル板を使い、しっかりした造りが特徴

おでんのネタは約15種類。昆布とカツオ節などでダシを取ったツユは継ぎ足すことはなく、その日の気温やネタの内容によって毎日丁寧に仕込んでいる。
▲お店を切り盛りする二代目女将・花川春子さん。陽気な人柄が魅力だ。「みんな私を慕ってくるのよ」と笑う。 手にしているのが名物の「牛すじ」だ

おでんの人気のネタは、なんといっても「牛すじ(M700円、L900円 共に税込)」。通常のおでんの牛すじなら串に刺したものだが、ここは串には刺さずそのまま豪快におでん鍋に放り込んでいる。注文すればコンニャクと共に食べやすいサイズにカットし、牛豚合挽肉と辛味調味料を合わせた「肉味噌」をトッピングして提供してくれる。
▲もうもうと湯気を上げる「牛すじ」。写真は二人前
▲「牛すじ」のMサイズ。高知県産「窪川牛」のすじ肉を使用して3時間ほど下茹でしている

適度な歯応えが残った牛すじは、噛むほどに旨みがジュワッと広がる。さらに特製肉味噌のスパイシーな刺激も心地よく、ついお酒を追加でオーダーしてしまいそうだ。上品な味のおでんのツユもぜひ飲み干していただきたい。
▲「じゅんちゃん」の「餃子(600円・税込)」

高知の屋台の名物でもある「屋台餃子」は、当然「じゅんちゃん」でも人気メニューのひとつ。ここの餃子の特徴は、具材のキャベツを手切りして歯応えを残し、油を多めに焼き上げ、揚げ餃子風にパリッとした皮に仕上げていること。口に運べばキャベツ、ニラの野菜のフレッシュな味わいが楽しめる。

「じゅんちゃん」は屋台としては早い午後5時から営業しているため、一次会からも利用できる。もちろんラーメンは10種類以上揃っているので、シメの一杯にも心強い味方だ。
▲屋台なのに小上がりがある店内。屋台ながら靴を脱いでゆっくり腰を据えてお酒と料理を楽しめる

パリッとしてホロリととろける
屋台餃子の人気店「松ちゃん」

続いて紹介するのはグリーンロードのちょうど中間地点に店を構える「松ちゃん」。ブルーシートを駆使した開放的な店構えで、「ラーメン(塩・醤油)」と「餃子」のみのシンプルなメニュー構成で勝負する屋台だ。
▲開放感あふれる広いスペースには、40人ほど収容できる

店長の正木直之さんを中心に、威勢の良い男性スタッフがてきぱき働く様子は、いかにもプロフェッショナル。見ていても気持ちが良い。その一方で奥の厨房では、正木さんが時間を見つけては餃子の仕込みに忙しい。餃子のオーダーが入れば、コンロの前に立ち、次から次へと餃子を焼き上げていく。
▲餃子を仕込む正木さん。一日平均2,000個、多いときには3,000個を作る
▲餃子を調理する際には、油に水を注いだ瞬間に火柱が上がる。ここの餃子は基本的に強火で揚げるようして焼く
▲「松ちゃん」の「餃子(600円・税込)」は、一つが若干小振りで皮は薄め。おつまみに最適だ

ここの餃子の特徴は、パリッと揚げた薄めの皮、そして噛めばホロリととろけるような柔らかな具材の口当たりだ。具材はキャベツ、ニラ、挽肉など基本的なレシピ通りだが、ひとつひとつを果てしなく細かく刻むことで独特の口どけのよさを実現している。酸味が強いタレも個性的。一人で何人前も味わえるおつまみとして支持されているのも頷ける。
▲カウンターでは、ラーメンのスープを作るため、野菜や鶏ガラなどをグツグツ煮込む光景を目の当たりにできる

「醤油と塩、どちらの味も人気」と正木さんが言うラーメンもぜひ味わいたい。今回は「醤油ラーメン」をオーダー。スープは野菜、鶏ガラ、豚骨がベースで、麺は中細のストレート。見た目は透き通ったスープながらしっかりと出汁が効いて、ほのかな甘さも感じることができる。丁寧な仕込みを想像できる一杯だ。
▲「醤油ラーメン(600円・税込)」。シンプルでどこか懐かしい昔ながらの「中華そば」を連想させる一品ながら、コクのある味わいにこだわりを感じる

ラーメンと餃子というシンプルなメニューながら、二つだけに絞ることで、どちらもしっかりと作り込んでいることを教えてくれる屋台だ。

豊富なメニューが揃うから居酒屋感覚でも
楽しめる「ボギー亭虎ちゃん」

最後に紹介するのがグリーンロードの南端に近い位置に店を構える「ボギー亭虎ちゃん」。ここの特徴はなんといってもフードメニューの豊富さだ。おでんのネタは約20種類、ラーメンは8種類、焼き魚をはじめとする一品料理は約15種類が揃う。
▲当初は「虎ちゃん」だけの店名だったが、大将のゴルフ好きが高じて「ボギー亭」を追加したという「ボギー亭虎ちゃん」

オープンしたのは1991年。今ではその豊富なメニューを求めて、居酒屋感覚で利用する年配の常連さんも多いとか。メニューに使う素材は高知県産にこだわる。メニュー表を見れば「トマト」(200~300円・税込)、「ニラトン」「ピーマンじゃこ」(いずれも500円・税込)など、高知名産の野菜を使った料理も並ぶ。
▲「ピーマンじゃこ」は鉄板でピーマンとじゃこを塩コショウで炒めて、ぽん酢で味付けした一品。歯応えのいいピーマンとじゃこの旨みが楽しめる
▲人気メニューのひとつ「なんこつ(500円・税込)」。豚のノドボトケの軟骨を使用。コリコリ歯応えと少しスパイシーな味付けがビールに良く合う

料理を担当するのは主に若いスタッフだが、時には女将さんの横井純子(すみこ)さんも鉄板の前に立つ。炒めものなどを調理する際には鉄板を使うのがここの流儀。「5年前から鉄板を使い始めました。こっちのほうが美味しくできるからね」と言う横井さん。
▲鉄板で「なんこつ」を調理する横井さん。遅い時間になると大将も登場して屋台はさらに賑やかさを増す

「ボギー亭虎ちゃん」にも、他の屋台同様にもちろん餃子はある。ここの餃子の特徴は、揚げ餃子風ではなく歴然たる焼き餃子であること。
▲「ギョーザ(500円・税込)」

パリッと焼いた部分と柔らかい部分の皮の食感の違いはもちろん、キャベツ、ニラを多めに使用して、野菜そのものの風味が広がり、さっぱりとした味わいで楽しめる。

金曜と土曜以外には、屋台では珍しくご飯ものも提供している。ここはしっかりお腹を空かせて足を運ぶのをおすすめしたい屋台だ。
提灯の横に掲げられた「高知で二番においしい店」のメッセージ。開店時に料理のアドバイスをしてくれた飲食店経営者の先輩に対する敬意が込められている。
高知の屋台は、シメとしてはもちろん、最初の一杯としても利用できる夕方オープンのお店も少なくない。また屋台餃子の食べ比べも楽しい。そんな屋台のはしご酒を満喫できるのは、やはり出店数が多い土曜日の夜。グリーンロード以外にも人気店は点在しているので、少し足をのばしてみるのもおすすめだ。まだまだ高知の屋台にはディープな世界が存在しているので、屋台探訪の旅にぜひ挑戦してみて欲しい。
藤川満

藤川満

清流・仁淀川流れる高知県いの町在住。出版社勤務を経て「撮って書く」フォトライターに。カヌーやトレッキングなど自然と親しむ一方で、利酒師の資格を有する日本酒党。またジャズライブの撮影はライフワークのひとつ。

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