徳島縦断!徳島ラーメン3色制覇の旅
地元タウン誌からブームに火が付いた「徳島ラーメン」。独特の濃い茶色をしたスープと甘辛く味付けされた豚バラ肉から、一般的には「すき焼きのよう」と形容されますが、じつは徳島ラーメンはそんな単純なもんじゃありません。スープの色は大きく分けて茶系、黄系、白系が存在しており、それぞれが独自の味わいを持っているのです。今回はそのディープな徳島ラーメンの世界をご紹介します!

ほなちょっと「そば」食べに行こか
それはさておき、冒頭でもご紹介したとおり徳島ラーメンとして最も知られているのは茶系スープ。現にほとんどのお店ではこの茶系ラーメンが提供されていますから、まずはこのスタンダードな茶系から攻めてみましょう。
茶系はキレのあるシャープな味わい

まず最初に訪れたのは、徳島市内の人気店「巽屋」。こちらは1995年に創業したお店で、ラーメンが大好きだったという今は亡き先代のご主人(通称:マスター)がレストランや喫茶店を営む傍らで独自に作り上げたスープを、現在ではマスターの奥さんと、喫茶店の元常連客で今では厨房を取り仕切る橋本さんが引き継いでいます。

注文したのは「支那そば肉玉入(並)」(750円・税込)。スープの色以外に徳島ラーメンの大きな特徴として、ほとんどのお店で生玉子をトッピングすることができる点があります。…とはいえまずは玉子には手を付けずにスープをストレートで堪能し、その後で玉子を割り混ぜてまろやかに変化するスープを楽しむのが正しい食べ方です。

徳島ラーメンがすき焼きに似ているのはあくまで見た目だけで、豚骨と鶏ガラから取ったダシと醤油がベースとなったその味は、すき焼きのような甘さは帯びておらず全くの別モノです。
そんな徳島ラーメンの中でもスッキリとしたスープの味わいこそが巽屋の真骨頂で、いかにも濃そうな色合いとは裏腹に、驚くほどキレのある口当たりのスープに驚かされるはず。豚骨や鶏ガラの臭みをとるために丁寧な下処理をほどこし、添加物を使わずに10時間も煮込まれたスープが期待を裏切るはずもありません。


トッピングされた豚バラ肉は甘辛く炊かれていて、この肉に関しては「すき焼きのよう」という表現が当てはまると思います。もっとも、すき焼きの牛肉よりもこちらの豚バラのほうが味は数段濃いのですが。

そして、茶系の徳島ラーメンを食べる時にオススメしたいのが、ご飯とのセットです。スープを絡めた麺やお肉をいったんご飯の上に乗せてから食べ、スープの浸みたご飯をかき込む幸せは、味のはっきりとした徳島ラーメンならではのお楽しみ。

合計3店を巡る最初の1店目からこのインパクト。初めて徳島ラーメンを体験する人は、まず茶系の味のスタンダードとして巽屋を知っておくことで、他のお店との比較をより楽しめると思いますよ。
支那そば 巽屋
徳島県徳島市住吉5-68-1
[営業時間]10:30~20:15L.O.
[定休日]水曜(祝日の場合は営業、翌日休)
088-653-3839
黄色く澄んだスープは手間暇の証
こちらにお店を構える「三八(さんぱ)」は、黄系スープの徳島ラーメンを出してくれます。徳島市内にも支店を出していますが、やはりせっかくなら創業の地・鳴門で味わいたい。

運ばれてきた「支那そば肉入・大盛」(900円・税込)は、一目見ただけで茶系との違いが明白。ダシに使うのは「巽屋」と同じ豚骨に鶏ガラですが、こちらは長時間強火で炊きあげることで豚骨から出る脂分の乳化が進み、そこに鶏から出た脂の黄色みが加わっているのだそうです。またスープに加える「かえし」にうす口醤油を使うことで、茶系スープとは色や味の違いがいっそう明確になっています。


このスープの特徴は、女性や高齢者でもスッと食べられるまろやかな味わい。茶系よりも少し角の丸い風味が特徴的です。

トッピングのお肉はバラ肉とチャーシューから選ぶことができますが、柔らかく仕上げられたお肉はどちらを選んでも間違いではありません。ボリュームを求めるならチャーシュー、濃いめの味着けが好みならバラ肉をチョイスすればよろしいかと。

麺はスープとの相性を考え、主張しすぎない中細麺が使われています。玉子を使わずに作られたその麺は「三八」創業当時のままの素朴な食感で、いい具合に模様のかすれたドンブリとあいまって、どこかノスタルジックな気持ちにさせてくれます。
チャーシューの一番味の染みた端の部分を細切れにして乗せた「肉飯」(350円・税込)などサイドメニューも豊富なので、お腹に余裕のある人はそちらもチェックしてみてください。

さて、一杯平らげて終了…といきたいところですが、食後は大人も子どもも名物のソフトクリームを食べるのが「三八」での当たり前の光景。じつはこのお店、昭和44(1969)年の創業以前はアイスクリームの製造販売を家業としていたそうで、今もソフトクリームを提供しているのは、その当時の名残りなんです。
いい具合に口の中もすっきりしたところで、いよいよ3杯目を目指して今度は南へ移動です。
支那そば 三八 黒崎店
徳島県鳴門市撫養町黒崎松島157
[営業時間]11:00~22:00L.O.※金~日曜・祝日は~23:30(23:00L.O. いずれも売り切れ次第終了)
[定休日]火曜、月1回月曜不定休
088-685-7680
創業60年の歴史が、この白いスープに

オーダーしたのは「中華そば肉入大」(850円・税込)。スープの見た目こそ博多の豚骨ラーメンを思わせる白さですが、まず香りの違いに気付くはずです。こちらでは豚骨と鶏ガラの下処理、そして炊き出す時間に気を使って入念に臭みを取り除いているため、同じ白さでも博多ラーメンのようなワイルドな香りはせず、誰もが抵抗なく受け入れることができるでしょう。

口に運ぶと、白いスープからは想像もできないほどのコクが口いっぱいに広がります。豚骨+鶏ガラという組み合わせはこれまでの2店と同じはずなのに、薄口醤油を使い独自に作り上げた秘伝の元ダレによって、また違った色と風味を醸し出しているのは不思議です。
3代目店主の福井さんいわく、「甘辛さと濃さの一番いいポイントを探っとるんです」というこの味わいは、決してしつこくなく、それでいて十分なインパクトを感じさせてくれます。


スープから現れる麺は中太のストレート麺で、麺そのものの甘みを感じさせつつ、力強いスープに負けない存在感を意識しているそう。なるほど、もしこのスープに細麺を合わせても、ここまでの調和は出せないでしょう。

「岡中」ではサイドメニューも充実。豚肉の甘みを楽しめる豚丼(小300円)やスダチをしぼる夏季限定の冷やし中華(小750円)などもおすすめですが、根強い人気があるのは昔ながらの手作りにこだわったお寿司(400円・すべて税込)です。

こちらでは生麺とスープ、具材がセットになった持ち帰り商品(1人前550円・税込~)も用意されていて、取材にお邪魔した日は朝から20食もの持ち帰り注文が入ったそうです。「岡中」の味を家でも堪能したいという人は、ぜひ買って帰ってくださいね。

岡本中華
徳島県小松島市中田町奥林60-1
[営業時間]11:00~22:00(売り切れ次第終了)
[定休日]木曜(祝日の場合は営業、翌日休)
0885-32-0653

青井 康
地元徳島のタウン誌で勤務後に独立し、現在フリーのライター兼グラフィックデザイナー。なぜかやたらと人から道を聞かれやすい体質。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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