徳島縦断!徳島ラーメン3色制覇の旅

2016.08.03

地元タウン誌からブームに火が付いた「徳島ラーメン」。独特の濃い茶色をしたスープと甘辛く味付けされた豚バラ肉から、一般的には「すき焼きのよう」と形容されますが、じつは徳島ラーメンはそんな単純なもんじゃありません。スープの色は大きく分けて茶系、黄系、白系が存在しており、それぞれが独自の味わいを持っているのです。今回はそのディープな徳島ラーメンの世界をご紹介します!

▲白系の徳島ラーメン。あなたのお気に入りはどのお店かな?

ほなちょっと「そば」食べに行こか

一口に「徳島ラーメン」といいながらも、実際には徳島のラーメン店ではメニュー名や屋号に「支那そば」「中華そば」という名称を使っているお店も多く、そのせいもあってか徳島県民、特に年配の方はラーメンのことを指して「そば」と呼ぶ傾向にあります。ですから徳島県民に「そば食べに行こか」と誘われたら、十中八九ラーメンのことだと考えてください(※記事中ではあえて「ラーメン」と呼称しますが)。

それはさておき、冒頭でもご紹介したとおり徳島ラーメンとして最も知られているのは茶系スープ。現にほとんどのお店ではこの茶系ラーメンが提供されていますから、まずはこのスタンダードな茶系から攻めてみましょう。

茶系はキレのあるシャープな味わい

▲使い込まれた暖簾が歴史を感じさせる「巽屋(たつみや)」の外観

まず最初に訪れたのは、徳島市内の人気店「巽屋」。こちらは1995年に創業したお店で、ラーメンが大好きだったという今は亡き先代のご主人(通称:マスター)がレストランや喫茶店を営む傍らで独自に作り上げたスープを、現在ではマスターの奥さんと、喫茶店の元常連客で今では厨房を取り仕切る橋本さんが引き継いでいます。
▲来ました、肉玉! ほとんどの県外人はこの色の濃いスープと生玉子にびっくりしますが、徳島県民にとっては当たり前のスタイルです

注文したのは「支那そば肉玉入(並)」(750円・税込)。スープの色以外に徳島ラーメンの大きな特徴として、ほとんどのお店で生玉子をトッピングすることができる点があります。…とはいえまずは玉子には手を付けずにスープをストレートで堪能し、その後で玉子を割り混ぜてまろやかに変化するスープを楽しむのが正しい食べ方です。
▲生玉子を混ぜる前に、店主が全霊を注いで作るスープをひと口

徳島ラーメンがすき焼きに似ているのはあくまで見た目だけで、豚骨と鶏ガラから取ったダシと醤油がベースとなったその味は、すき焼きのような甘さは帯びておらず全くの別モノです。

そんな徳島ラーメンの中でもスッキリとしたスープの味わいこそが巽屋の真骨頂で、いかにも濃そうな色合いとは裏腹に、驚くほどキレのある口当たりのスープに驚かされるはず。豚骨や鶏ガラの臭みをとるために丁寧な下処理をほどこし、添加物を使わずに10時間も煮込まれたスープが期待を裏切るはずもありません。
▲いよいよ生玉子に着手!
▲スープだけでなく、麺にも生玉子が絡むことで味わいは劇的に変化します

トッピングされた豚バラ肉は甘辛く炊かれていて、この肉に関しては「すき焼きのよう」という表現が当てはまると思います。もっとも、すき焼きの牛肉よりもこちらの豚バラのほうが味は数段濃いのですが。
▲ライス(小 150円・税込)に豚バラ肉をオン!食いしん坊さんならこのビジュアルが嫌いなはずがない!

そして、茶系の徳島ラーメンを食べる時にオススメしたいのが、ご飯とのセットです。スープを絡めた麺やお肉をいったんご飯の上に乗せてから食べ、スープの浸みたご飯をかき込む幸せは、味のはっきりとした徳島ラーメンならではのお楽しみ。
▲厨房を取り仕切る橋本さん。彼もマスターが作り出した“巽屋の味”に惚れ込んだファンの一人

合計3店を巡る最初の1店目からこのインパクト。初めて徳島ラーメンを体験する人は、まず茶系の味のスタンダードとして巽屋を知っておくことで、他のお店との比較をより楽しめると思いますよ。

黄色く澄んだスープは手間暇の証

お次は徳島県の最北に位置する鳴門市へ。
こちらにお店を構える「三八(さんぱ)」は、黄系スープの徳島ラーメンを出してくれます。徳島市内にも支店を出していますが、やはりせっかくなら創業の地・鳴門で味わいたい。
▲鳴門市内に2店舗あるうち、アクセスが良く県外からでも訪れやすい黒崎店

運ばれてきた「支那そば肉入・大盛」(900円・税込)は、一目見ただけで茶系との違いが明白。ダシに使うのは「巽屋」と同じ豚骨に鶏ガラですが、こちらは長時間強火で炊きあげることで豚骨から出る脂分の乳化が進み、そこに鶏から出た脂の黄色みが加わっているのだそうです。またスープに加える「かえし」にうす口醤油を使うことで、茶系スープとは色や味の違いがいっそう明確になっています。
▲黄色というより、むしろ黄金色。いつまでもすすっていたくなる、愛おしいほどの味です
▲徳島市と20kmほどしか離れていないのに、この変わりっぷりはどうですか

このスープの特徴は、女性や高齢者でもスッと食べられるまろやかな味わい。茶系よりも少し角の丸い風味が特徴的です。
▲今回はチャーシューをオーダー

トッピングのお肉はバラ肉とチャーシューから選ぶことができますが、柔らかく仕上げられたお肉はどちらを選んでも間違いではありません。ボリュームを求めるならチャーシュー、濃いめの味着けが好みならバラ肉をチョイスすればよろしいかと。
▲ドンブリを覆うチャーシューの中から、ようやく麺が

麺はスープとの相性を考え、主張しすぎない中細麺が使われています。玉子を使わずに作られたその麺は「三八」創業当時のままの素朴な食感で、いい具合に模様のかすれたドンブリとあいまって、どこかノスタルジックな気持ちにさせてくれます。

チャーシューの一番味の染みた端の部分を細切れにして乗せた「肉飯」(350円・税込)などサイドメニューも豊富なので、お腹に余裕のある人はそちらもチェックしてみてください。
▲食後のお楽しみは、季節を問わず人気のソフトクリーム(250円・税込)

さて、一杯平らげて終了…といきたいところですが、食後は大人も子どもも名物のソフトクリームを食べるのが「三八」での当たり前の光景。じつはこのお店、昭和44(1969)年の創業以前はアイスクリームの製造販売を家業としていたそうで、今もソフトクリームを提供しているのは、その当時の名残りなんです。

いい具合に口の中もすっきりしたところで、いよいよ3杯目を目指して今度は南へ移動です。

創業60年の歴史が、この白いスープに

3杯目の白系スープを求めて向かったのは、徳島市の南にある小松島市の「岡本中華」。これまでの2店もそれぞれに長い歴史を持つお店でしたが、岡本中華は創業昭和26(1951)年とぶっちぎりの老舗です。後継者不足で古くからの同業者が減っていく中、屋台から始まった創業当時の味をそのまま今に伝えるお店として、「岡中(おかちゅう)」の愛称とともに根強い人気を誇っています。
▲県道に面しているので、土地勘の無い人でも見つけやすい

オーダーしたのは「中華そば肉入大」(850円・税込)。スープの見た目こそ博多の豚骨ラーメンを思わせる白さですが、まず香りの違いに気付くはずです。こちらでは豚骨と鶏ガラの下処理、そして炊き出す時間に気を使って入念に臭みを取り除いているため、同じ白さでも博多ラーメンのようなワイルドな香りはせず、誰もが抵抗なく受け入れることができるでしょう。
▲見るからに上品な一杯。しかし、なかなかパンチのあるスープなのです

口に運ぶと、白いスープからは想像もできないほどのコクが口いっぱいに広がります。豚骨+鶏ガラという組み合わせはこれまでの2店と同じはずなのに、薄口醤油を使い独自に作り上げた秘伝の元ダレによって、また違った色と風味を醸し出しているのは不思議です。

3代目店主の福井さんいわく、「甘辛さと濃さの一番いいポイントを探っとるんです」というこの味わいは、決してしつこくなく、それでいて十分なインパクトを感じさせてくれます。
▲表面にうっすらと浮いた脂も、「岡中」のコクと風味には欠かせない存在
▲スープの白さも加わって、真っ白な麺がより印象的に

スープから現れる麺は中太のストレート麺で、麺そのものの甘みを感じさせつつ、力強いスープに負けない存在感を意識しているそう。なるほど、もしこのスープに細麺を合わせても、ここまでの調和は出せないでしょう。
▲「岡中」のお肉はチャーシューのみ。上質な「阿波ポーク」を使った、どこまでも柔らかく優しい食感

「岡中」ではサイドメニューも充実。豚肉の甘みを楽しめる豚丼(小300円)やスダチをしぼる夏季限定の冷やし中華(小750円)などもおすすめですが、根強い人気があるのは昔ながらの手作りにこだわったお寿司(400円・すべて税込)です。
▲ガラスケースに並んだお寿司は、巻き寿司といなりorバッテラ(しめ鯖の押し寿司)の組み合わせです

こちらでは生麺とスープ、具材がセットになった持ち帰り商品(1人前550円・税込~)も用意されていて、取材にお邪魔した日は朝から20食もの持ち帰り注文が入ったそうです。「岡中」の味を家でも堪能したいという人は、ぜひ買って帰ってくださいね。
▲お土産にぴったりな箱入りラーメン(3人前1,080円・税込)もあり。麺とスープのみのセットですが、そのぶんリーズナブルなのがうれしい
3色の徳島ラーメン、いかがでしたか?今回紹介した以外にも徳島の街にはラーメン店がたくさんあり、それぞれのお店のラーメンがサイドメニューも含めて個性的なものばかりです。お目当てのお店に行くもよし、手当たり次第にハシゴするもよし。徳島に来たらちょっと徳島ツウを気取って「ほなちょっと“そば”食べに行こか」と、友達を誘ってみてくださいね。
青井 康

青井 康

地元徳島のタウン誌で勤務後に独立し、現在フリーのライター兼グラフィックデザイナー。なぜかやたらと人から道を聞かれやすい体質。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
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