京都の夏の風物詩「鴨川納涼床」で、ゆるりと過ごす夏の宴

2016.06.25

京都の象徴でもあり、町の人々の憩いの場でもある鴨川で、初夏から秋にかけて開かれる「納涼床」。昼と夜、それぞれの床の様子をお伝えします。

涼しげに、川の上にならぶ床席で、美味と美酒を味わう。言わずと知れた京都の夏の風物詩、「納涼床」の季節が今年もやってきました。

鴨川の納涼床の歴史は古く、豊臣秀吉治世の頃に遡ります。五条、三条の橋の掛けかえを経て、見世物や物売りでにぎわうようになった川原に、茶店や見物席が設けられたことが始まりと言われています。

江戸期には石垣や堤も整備され、祇園祭の神輿洗いは大変な数の見物客でにぎわったと言われています。最盛期には400軒もの茶屋が軒を連ね、当時は「川原の涼み」と呼ばれていました。

明治・大正を経て定着した納涼床も、先の大戦の際に、その灯りが消えてしまいます。戦後、多くの人の努力によって復活した床は現在、古くから続く都の文化を今に伝えています。

そんな納涼床のお店の中で、気軽に床を楽しめると人気のお店を2軒紹介します。

お昼:若き料理長が生み出す創作和食
「先斗町 魯ビン」

1軒目に紹介するのは、先斗町(ぽんとちょう)にある「魯ビン(ロビン)」さん。先斗町は、細い路地に多くのお店が軒を連ねる風情ある町。鴨川をどりで知られる歌舞練場もすぐそばにあります。

お店は築150年以上経つ「高木福」というお茶屋を改装していて、古さと新しさが同居したよい雰囲気です。

ちなみに、鴨川の納涼床は夜の営業が基本になりますが、一部のお店でお昼営業もしています。ただし、気温と食材の鮮度の関係もあり5月と9月のみの営業と条例で定められているのです。
頂いたのは「鱧(はも)の落とし付の会席弁当(税別2,900円)」。京都の初夏らしい食材がいっぱいのお弁当です。9月になると内容は変わりますが、その時期の旬の食材を使用したものになる予定だそうです。
弱冠27歳の料理長が作る品々は、見た目にも美しい創作会席のお弁当。毎朝市場に足を運び目利きした旬の食材を使って作る「京都のおばんざい」が中心。さわらの西京焼、万願寺唐辛子や茄子の煮物など京都らしい素材も多く、品数、ボリュームともに大満足の内容です。
特にデザートは、社長の奥様のご実家から直送されたという、愛媛県産の新鮮ブラッドオレンジのシャーベット。爽やかな酸味が印象に残る一品です。
さっそく床席に陣取って、料理を頂きます。
この日は快晴で気温も高く、汗ばむ陽気に誘われてついつい冷酒もすすみます。

川上から流れてくる風が爽やかで、初夏のすがすがしい空気がなんとも贅沢です。
京都の夏といえば、やっぱり鱧。淡白でほろほろとした食感の身、独特の歯応えがある皮の味わいは鱧ならでは。梅肉の爽やかな酸味が食欲をそそります。
鴨川沿いの散歩道を行き交う人々を横目に、昼間から美味しい料理とお酒に舌鼓。日常と非日常が交錯する不思議な時間と空間を堪能しました。

夜:貸切で楽しむ特別な日の納涼床
「割烹 露瑚」

続いて紹介するのは、二条木屋町にある「割烹 露瑚(ろこ)」さん。
木屋町通り沿いは、森鴎外の小説「高瀬舟」の舞台ともなった高瀬川と鴨川に挟まれ、老舗の旅館や料亭などが立ち並ぶエリア。最近では、フレンチやバルなども増え、新旧入り混じった賑わいを見せています。

お店は築120年以上で、もとは江戸時代の置屋だった建物を改装したそうです。旅館として営業されていた時代もあり、銀幕スターの常宿だったこともあるとか。
今回案内してもらったのは、通常の床席ではなく、2階に設けられた特設の床席。1日1組限定で、貸切で利用できるというから贅沢です(要予約)。
▲床から眺める鴨川の景色。床席がならぶ河岸はこの季節ならではの京の情景です

さっそく、席について料理を頂きました。
まず1品目は「鱧水仙(はもすいせん)」。
旬の鱧の落とし、ウニ、枝豆のムースに、じゅんさい、いくら、ダシのジュレをかけた一品。上品な磯の香りと食感の変化が楽しく、ひんやりのどを滑り落ちます。
続いては、「稚鮎の酒蒸し」。

こちらも、初夏の京都らしい一品。頭までふんわりと柔らかく蒸しあげられた稚鮎は、身の優しい旨みと、ワタのほんのりとした苦味が爽やかな味わいです。
メインはこちら、「のどぐろの酒蒸し」。素材の良さがしっかりと感じられる、上品な味付け。巻いた鱧の身も添えられて、食感のバリエーションを楽しむことができます。
今回頂いたのは7,000円(税込)のおまかせコース。
鱧の落としや旬魚のお造り、ノドグロの煮付け、金目鯛の鍋、鯖寿司など全7~8品(季節により異なる)。どの品も丁寧な仕事が垣間見える美味しい料理でした。
三条大橋を眺め、夜風に当たりながら、美食と美酒に酔いしれる。こんな景色を独り占める時間はそうそうありません。貸切の床席は人気のため予約がお勧めです。
いかがでしたか?5月から9月の間にだけ楽しめる、涼やかな夏の宴。古来より続く、季節限定の京都の風情を楽しんでみて。
妙加谷 修久

妙加谷 修久

京都市在住の旅行系ライター兼ディレクター。全国各地に足を運び、旨いモノを食べ、温泉に浸かる日々。ここ京都を中心に、知っているようで知らない「日本のイイトコロ」を紹介します。日本酒好きが高じて利き酒師の資格を取得しました。

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