季節によって&お店によって異なる「キラキラ丼」。おすすめをピックアップ!

2016.06.24 更新

リアス式海岸で有名な仙台の沿岸部は、沿岸漁業や養殖が盛んなため新鮮で美味しい海産物が豊富な地域。漁港が近い街では水揚げしたばかりの海産物を楽しめるのは有名だが、春夏秋冬で異なる魚介を楽しめる「キラキラ丼」なる丼料理があるという話を聞きつけ、早速現地の「南三陸町」を訪れてみた。

~南三陸さんさん商店街~三陸の海と人が育む商店街

三陸自動車道桃生津山ICから国道45号線を車で30分ほど走ると到着する志津川(しづがわ)湾に面した南三陸町志津川地区にある「南三陸さんさん商店街」。東日本大震災後の同地区の復興シンボルとも言われるこの商店街では、四季折々の「キラキラ丼」を求めて県内はもちろん、全国から大勢の人が集まってくるという。
▲2012年2月25日に仮設店舗でオープンした「南三陸さんさん商店街」

「南三陸さんさん商店街」では飲食店をはじめ、食料品や衣料品、電化製品などの生活用品を扱うお店や写真スタジオなど、32店舗が軒を並べる。また、商店街の中央付近にはフードコートも用意してあり、各飲食店で注文した飲食物を外に持ち出して食べることもできる。
▲商店街の入り口付近に設置されているモアイ像。なんとイースター島より寄贈された本物のモアイ像なのだそう

~季節料理 志のや~人と人を繋げるキラキラ丼と生みの親の想い

震災以前より隠れ家の様なお店として人気を博していた「季節料理 志のや」。地元食材を使った海鮮料理などを提供していた中で、特に人気だったメニューが「キラキラ丼」のルーツになったという。商店街に出店する5店舗と協力してメニュー化に取り組む過程で生まれたのが、「四季に応じて具材が変化する」というアイデアだ。

春は春野菜と春の海で獲れる海鮮を盛り込んだ「春つげ丼」、夏は新鮮なうにを贅沢に使った「うに丼」、秋は脂の乗った旬な魚が豪華共演する「秋旨丼」、冬はぷりぷりのいくらが丼いっぱいに盛られた「いくら丼」と、季節によって変化する「キラキラ丼」が訪れる観光客を楽しませている。
▲地元の素材を使った絶品料理にリピーターも多い「季節料理 志のや」

早速、夏の「キラキラ丼」として提供期間がスタートしたばかりのうに丼を頂くことにした。
▲うにを盛り付けるのは「志のや」店主である高橋さんの義理の息子、熊谷圭次郎(くまがいけいじろう)さん。

ちなみに、「キラキラ丼」を提供する全店舗でうにの量(最低100g以上を使用)や丼の器の大きさなどが決まっているとのこと。どのお店でも安心して注文できるように配慮されているのだ。
▲ついに待ちに待った「キラキラ丼」とご対面!

出てきたのはキレイな黄金色に輝く「キラキラうに丼」。眼前に広がる三陸の海で獲れたばかりのうにと宮城県産のひとめぼれを使用しているとのことで、「キラキラ丼」という名称も納得できる輝きを放っている。
▲「キラキラ丼」の生みの親、「志のや」のキラキラうに丼、2,500円(税込)。丼を埋め尽くすほどのうには色からして市販の物とは別格

一口食べてみるとその違いは歴然。新鮮なうにはエグさやクセが一切無く、口に広がる上品な甘さと、後に残るほのかな潮の香りが本来のウニの旨さの何たるかを物語ってくれる。実はうにがあまり得意でなかった筆者。今まで様々なところでうにを食べては苦手意識を積み重ねてきてしまったのだが、今回は違った。生まれて初めて「美味しい!」と感じ、思わず夢中になって食べてしまったほど。
▲まずは素材の味を楽しむために塩をかけて味わうのが「志のや」流

そんな名物丼を企画した店主の高橋修(たかはしおさむ)さんに話を聞いた。

「うには海水が温かくなると水深40mほどから、10m程度の浅瀬まで上がってきます。カジメという海藻を餌にしながら秋口の産卵に備えるのですが、一番身が厚くて美味しいのは7月から8月。最も甘くて美味しくなります。この商店街では、そんなうにの旨味を損なわないようにミョウバン水は使用しません。だから本来の甘さやコクを楽しんでもらえると思います。」

お客さんに「本当に美味しいものを食べてほしい」という想いから、保存を効かせるための処理を施した素材は極力使わないようする。そんな地元素材に対する強いこだわりが人気を呼んでいる理由の一つなのだ。
▲店内はカウンター席とテーブル席にお座敷席。仮設店舗の席数は以前の3分の1だが、来客数は以前とは比べられないほど増えているという

「震災以前より地元で獲れた新鮮な素材を使った丼物を提供していました。お店の名物として多くの人気を頂いていたメニューということもあり、復興を目指す街の名物にできないかと町の振興会の方々や商店街の方々と話し合って考え出したのがこの『キラキラ丼』。町おこしの一環として取り組んでいる企画です。」
▲笑顔が素敵な店主の高橋さん。復興に向けて街の将来も見据えるその瞳には、人に喜びを感じてもらいたいという強い思いが宿っているように見えた

「食材は地産地消を目指し、漁業や農業に還元できるようになればと思っています。そうすることで新たな雇用も生み出すことができる。大切なのは1店舗だけではなく、商店街のみんなで協力していくことだと思います。」

そんな熱い想いで生み出された「キラキラ丼」を求めて大勢の人が訪れるようになったという「南三陸さんさん商店街」。2015年度はなんと70万人が商店街を訪れたというのだから驚きだ。

「この街の魅力を感じてもらい、街全体が楽しく元気であるためにも『キラキラ丼』は欠かせない存在です。今後も『キラキラ丼』を通じてみなさんに愛される街でありたいですね。」

~弁慶鮨~鮨職人が作る絶品「キラキラ丼」

南三陸さんさん商店街では他にも多くのお店が「キラキラ丼」を提供している。各お店の趣向を凝らした一杯は、どれも個性があって魅力的なのだ。
▲寿司屋の「弁慶鮨」が提供する「キラキラうに丼」、2,500円(税込)。お米は南三陸産の「つや姫」、ウニは地元の海で獲れた「ムラサキウニ」と素材もこだわっている

商店街の中で唯一酢飯を使用した「キラキラ丼」を提供している「弁慶鮨」。海鮮素材の甘さやまろやかさを引き立たせる酢飯の酸味加減は寿司屋ならではの塩梅。

「ムラサキウニ」は、うに漁が解禁されるまでの時期は地元の潜水士さん二人に漁を依頼。潜水して獲ってもらったうにを使用している。卓越した目利きで選ばれた素材ゆえ、その美味しさは折り紙付き。「キラキラうに丼」には追加で海苔を注文して、お寿司気分を味わうのもオススメだ。
▲関東から来たお客さんが新鮮な味に感動して「うにの味がしない」と言ったというエピソードもあるそう

~創菜旬魚 はしもと~活魚料理で磨いた技術で絶品「キラキラ丼」を提供

南三陸さんさん商店街がオープンするのに合わせてお店を立ち上げた「創菜旬魚(そうさいしゅんぎょ)はしもと」。和食や活魚料理で修行した店主が腕を奮って作る丼ものは訪れる人の舌を魅了する。
▲お米は宮城県産の「ひとめぼれ」、うには南三陸近海で獲れた「ムラサキウニ」を使用した「キラキラうに丼」。2,500円(税込)

「創菜旬魚 はしもと」の提供する「キラキラうに丼」は、自然由来の海水で滅菌処理をした新鮮なうにを使用している。身が分厚く口溶けも抜群。まずは海水にいるときに近い状態の味を楽しむために塩で楽しみ、そのあと醤油で味の変化を楽しもう。
▲四季折々の「キラキラ丼」をはじめ、定食なども人気。現在はお昼の時間帯のみ営業中

~四季できらめく「キラキラ丼」~季節によって変化する丼ものたち

「キラキラ丼」は四季に応じて種類があるのだが、同じ時期でもお店によって具材のアレンジが施されているので、何度でも通いたくなる魅力がある。シーズン別に南三陸さんさん商店街を含む、南三陸町内の各お店が提供する「キラキラ丼」からいくつかをピックアップしてご紹介したい。
▲「寿司・お食事処 たいしゅう」が提供する緑が鮮やかな「春つげ丼」。1,500円(税込)
▲「松原食堂」の「春つげ丼」は煮付けたホタテや牡蠣のほか、たこのから揚げが味のアクセントに一役買っている。1,500円(税込)

春は、メカブと春野菜を様々な海鮮と一緒に頂く「春つげ丼」。毎年3月1日から4月30日の間に提供されている「キラキラ丼」で、草木の芽吹きを感じながら楽しめる一杯となっている。
▲秋の魚介類が盛りだくさん!「南三陸 竜巳や(たつみや)」の「秋旨丼」。2,000円(税込)
▲「鮨処 えんどう」の「秋旨丼」。炙った魚を添えることで香ばしさも楽しめる一杯に。2,000円(税込)

5月1日から8月31日に提供される夏の「うに丼」に続き、9月1日から10月31日に提供されるサーモンやカツオなど旬な魚を盛り付けた「秋旨丼」。「キラキラ丼」ファンの中には、この時期の丼が一番好きだという人も多いのだとか。
▲直球勝負の「いくら丼」を楽しみたいなら「静江館 山内鮮魚店」へ。1,850円(税込)
▲「豊楽食堂」の人気メニュー、いくらも海鮮も両方楽しめる「いくら丼」。1,800円(税込)

11月1日から2月28日の冬期は弾けんばかりのいくらが主人公の「いくら丼」。南三陸産の新鮮ないくらを惜しげもなく盛り付けた一杯は、いくら好きも唸らせる逸品だ。

年間を通して旬な魚介類を楽しめる工夫が嬉しい「キラキラ丼」。県外から来る人の中には4年間南三陸町に通い、すべての店舗の「キラキラ丼」を制覇した人もいるという。どのシーズンに訪れても至高の一杯に出会える南三陸町を是非、次の旅行先にしてみてはいかがだろうか。
飯塚鉄平

飯塚鉄平

1980年生まれのフリーライター。ファッション雑誌「Fine」や旅行情報誌などの他、WEBメディアや企業系webサイトなどで執筆。

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