海水で育てたとーーーっても甘い、沖縄カナンファームの塩パイン

2015.06.18

沖縄に“幻のフルーツ”といわれる果物があります。その名も「塩パイン」。「え?しょっぱいパインなの?」そう思う人もいるかもしれませんが、実際は全く逆。一般的なパイナップルの糖度が12~13度程度のところ、この塩パインは糖度17~18度もあるんです。食べてみると、ジュワ~とみずみずしい甘みが口いっぱいに広がります。

「塩パイン」って一体なに?

南国フルーツの代表格である、パイナップル。実は日本で買うことのできるパイナップルのうち、国産のものはおよそ1%といわれています。そして、そのほとんどが沖縄県産。なかでも、沖縄県北部に位置する「東村(ひがしそん)」は、日本一のパイナップルの産地として知られています。その東村にあるカナンファームで栽培されている幻のフルーツ、それが「塩パイン」なのです。
「塩パイン」の特徴は、なんといってもその甘さ!蜜のように甘く、ジュワ~と果汁がほとばしります。カナンファームでは、熟してから収穫するため、甘みが最大化しているんだそう。一般的に口にするパイナップルと比べると、糖度は1.5倍ほど。また、完熟した「塩パイン」はとてもやわらかく、芯まで食べられるものもあるといいます。

甘さの秘密は・・・その立地と逆転の発想にあり

「沖縄って台風が多いでしょ?ある時、台風後に収穫したパインがとても甘いことに気づいたんです。そして、それは潮風が要因なんじゃないかって思って」

そう話すのは、「塩パイン」の生みの親である、カナンファーム代表・依田啓示さん。「塩パイン」の“塩”とは実は海水のミネラルのことでした。カナンファームでは「塩パイン」を育てるのに、薄めた海水を散布しているのです。海水に含まれるにがり成分が、パイナップルの光合成を促し、糖分を増やすんだそう。
沖縄らしい日射しと、海風からもたらされるミネラルをたっぷり浴びる環境で育つ「塩パイン」。当初、海水を撒くことに対して、周りからは「ありえない」と言われていたそう。しかし、依田さんは2年間の試行錯誤の末、その農法を確立しました。こうして、それまでの農業の常識を越えた発想の転換により、極旨の「塩パイン」は誕生したのです。

安全で持続可能な農業

“安全だけど美味しくない”ではなく、“安全で美味しい”食材の生産を目指す、カナンファーム。農業とは無縁だった依田さんが、「これからの時代は農業だ!」という志を胸に、2003年に創業しました。

カナンファームでは、化学農薬や除草剤はいっさい使用しません。そのため、畑は雑草も共存するワイルドな環境。しかし、依田さんはこの雑草こそが、土を乾燥から守り、養分を保ち、パイナッツプルを風雨から守ってくれる大切な役割を果たしているといいます。

また、カナンファームではアグー豚と牛も飼っています。もちろんペットとしてではなく、彼らもパイナップル栽培に欠かせない強力なパートナー。
パイナップル栽培において出る廃棄物を餌として食べてもらい、その糞を有機肥料にして畑に戻して循環させているのです。
「“継続可能かどうか”という視点を大切にしています。自然にも動物にも人間にも負担のない農業を目指していますから」

素材のおいしさを味わえる場所

さて、依田さんの確固たる農業哲学により育てられた「塩パイン」は、依田さんの妻・英恵さんが運営する「カナンスローファーム」で味わうことができます。カナンファームが作る食材をメインにしたカフェで、宿泊も可能。
「実はここにはプロの料理人はいないんです。素材の味をそのまま味わってもらいたいから、味付けは最小限にしています」と英恵さん。そして、「これもぜひ食べてみてください」と出してもらったのが、なんと「塩パイン」を贅沢に使ったアイスクリーム!
これは!!!チーズケーキのような、濃厚でありながらもさっぱりしたアイスの中に、「塩パイン」が見事になじんでいます。その食感と味わいは初体験ながら、病みつきになります。
シンプルながら食材本来の味を引き出している料理のおいしさ。そして、笑顔で迎えてくれる依田さん夫妻のいるカナンスローファームは、沖縄に来たら必ず立ち寄りたくなる故郷のような場所なのです。

「塩パイン」が食べられる場所

「カナンスローファーム」を訪れるイベント

長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)

長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)

広告出版社を退職後、世界一周、日本一周を経て「くらしさ」を設立。全国各地のモノ・コト・ヒトを伝え、つないでいく活動に尽力している。全国の仕事人に会いに行ける旅「Life Design Journey」も運営。http://lifedesign-j.com/

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