大阪で包丁作り体験/クリエイター女子が行く!vol.24

2016.08.17

こんにちは。フリーでイラストレーターをしています五島です。「ものづくりに興味はあるけどどこで体験できるのか分からない、なかなか行動に移せない……」この企画は、そんな悩めるあなたのために、クリエイター女子を代表してわたくしが全国各地で「ものづくり」を体験しまくります。そして、ものづくり体験の思い出を描き下ろしのイラスト付きでお送りします!前回は奈良で手延べそうめん作りを体験しました。さてさて今回は……?

どうも、こんにちは。
暑い夏がじわじわと近づく今日この頃、私は大阪にいます。
もうかりまっか?ぼちぼちでんなあ。おおきに~!

大阪というと、日本三大都市のひとつに数えられる大きな街。
ご飯が安い上に美味しいことでも有名ですね。たこ焼き食べたい。
今回、そんな大阪は堺市にて、包丁作りを体験いたします。

……ほ、ほ、ほ、ほうちょうーーー!!!!
いやあもう、想像しただけでなんとなくコワい。危ない。
ちょっとしたミスでなにか大事件が起こりそう。

なんて、怖じ気づくにはまだ早いですね。
まずは行動、行動。いってきまあす!

想像以上の品揃え

▲2階の窓の大きな包丁が目印

ということで、本日やってまいりましたのは「堺伝統産業会館」さんです。
こちらは刃物をはじめとした堺市の伝統産業を、見て・学んで・体験できる施設となっています。ショップも併設されているのでお買い物もできちゃう。

まずは2階の「堺刃物ミュージアム」で、刃物の種類や歴史を学びます。
▲ずらりと並ぶ大小様々な包丁
▲本日、体験まで案内してくださる『和田商店』の和田さんが解説してくれました

和田さん「現在、全国で使われている職人用包丁のほとんどが堺製と言われています。もちろん、一般のご家庭でもお使いいただけますし、様々な用途に合わせた刃物を取り揃えているんですよ」

ほえ~!たしかに、とんでもない種類だ。
刺身包丁や果物包丁は知っていたけれど、中にはスイカ専用包丁なんてのもあるんですね。
刃物、と一言ではくくれません。
▲5歳児の身長くらいはありそうな巨大包丁も!

和田さん「堺の刃物の製造工程は、鍛冶(かじ)・研ぎ・柄付けの3工程があります。それぞれの職人が専門技術をもってして生産する、分業制なんですよ。今日五島さんには、この3つの中の“研ぎ“と“柄付け“を、それぞれの工房で体験してもらおうと思います。どちらも徒歩圏内なので、最後まで私がご案内しますよ」

ふむふむ。
多くの職人さんの巧みなスキルが集結して、ひとつの包丁が完成するのですね。
格好いい!本格的な体験ができそうな予感。
和田さん、よろしくお願いします。

まだ知らぬ世界を覗くワクワクと、刃物を扱う緊張のドキドキを入り混ぜながら、いざ最初の工房に出発です。

火花を散らして職人芸

和田さん「まずはじめに、研ぎ師がいる『柏刃物』さんに移動します。そこで刃物の研ぎを体験していただいたのち、『和田商店』さんで柄付けを体験してもらう流れになりますね。柄付けをしていただいた包丁に関しては、名入れをして後日お届けいたします」
▲というわけで、歩いて5分ほどで「柏刃物」さんに到着
▲中にお邪魔してみると……

うわあああすっごいいいい!
鉄と土が混ざった香りと見たことのない道具たちを目の前にして、思わず奥へ進むのをためらってしまいます。

そんな腰が引けている私を、研ぎ師である柏先生が出迎えてくださいました。
▲柏先生、よろしくお願いします!

柏先生「はい、こちらこそどうぞよろしく。なんだか散らかっているところでごめんねえ。今日は包丁の手研ぎを体験してもらおうと思うんだけど、せっかくだから迫力ある機械研ぎもお見せしますよ。あんまり近づきすぎると危ないけれど、普段見る機会が無いだろうから面白いんじゃないかな」

間近で職人芸を拝見できるんですね。
やっぱりまだ少しこわいけど、楽しみ。
▲研ぐ前の包丁はこんな感じ
▲長年使い込まれた機械を使います

予想以上に巨大な研磨機は圧巻の佇まい。
ごくりと唾を飲み込みます。

柏先生「さあ、それでは研いでいきますよ」
▲ギュイイイイイイイイイイン

えええ!? 火花が、火花が出ているー!!

ものすごい早さで回転する研磨機に、ひとつも物怖じしない柏先生。
当たり前のことかもしれないけど、いやいやちょっとすごすぎませんか?
静かな工房に刃が削られる甲高い音だけが響き渡り、臨場感バツグンです。
見ているだけの私が小さく叫んでしまいました。コワー!!

柏先生「もう何十年も続けていることだから、なんてことないさ。こうして少しずつ研いで調整を重ねることで、切れ味抜群の包丁になるんだよ」
▲あっという間にツルッツルの刃に変身

めちゃくちゃビビったんですが、仕上がりがとんでもなく綺麗なんですよ。
刃に照明が当たるとピカッと反射するほど、美しいカーブを描いています。
包丁だということを忘れてうっとり眺めてしまいました。

柏先生「さあ、次は手研ぎを一緒にやってみよう。今見せた機械研ぎはすぐに教えられるものではないからね、わはは。刃が傷んだ包丁を用意したから、しっかり両手で支えて角度をつけて研ぐんだよ。こわがっちゃダメさ」

はいっ。がんばります!
▲こちらの砥石(といし)を使います。明らかに重そう

となりの柏先生の手つきを真似ながら、スーッと刃を滑らせます。
▲おそるおそる

柏先生「うんうん、その調子。でもしっかり押しつけないと上手に研げないよ。もう少しがんばろう」
そうか、こわがって滑らすだけじゃ意味がない!
力を込めて、綺麗になあれの気持ちも込めて、一心不乱に研ぎまくります。
少し斜めに寝かせながら研ぐと良い音がする、とコツが掴めてきました。
スーッスーッ、スーッスーッ。
▲10分ほど研ぐと、ツヤツヤツルツルの手触りに!

柏先生「うんうん、上出来です。この手研ぎを覚えると、今持っている包丁もずいぶん長持ちすると思うよ。わずかな体験だったけど、少し刃物の奥深さや魅力を感じてもらえたかな?」

はい、はい、もちろんです!
普段、包丁は洗うだけでこれといった手入れをしたことがありませんでした。
でもこうして職人さんの想いが詰まっていると思うと、長く大切にしたくなりますね。

柏先生「それはよかった!このあとは『和田商店』さんに移動して、柄付けの体験をするんだよね。研ぎとはまた違った魅力があるので、楽しんできてください」

柏先生、ありがとうございました!
▲最後にもう一度火花を散らしてくれた柏先生。迫力ありすぎい!

鳴らしてトンカントンカンカン

包丁に対する恐怖心が好奇心に変わってきたところで、お次にお邪魔したのは柄付け体験を行っている「和田商店」さんです。
▲早速、柄付け職人の和田先生にご挨拶

和田先生、よろしくお願いいたします。

和田先生「どうも、こんにちは。研ぎの体験お疲れさまでした。こちらではね、包丁の柄付けを体験してもらいますよ。まずはじめに、包丁の柄の部分をガスバーナーで焼きます。そのあと木柄に包丁をさし込んで木づちで叩けばできあがり、というわけです」
▲木柄のついていない包丁たち

ええっ。包丁を焼くの……?
ただでさえ鋭く研がれてキンキンの包丁を、焼く……?
想像の斜め上を行く制作方法に、これまた怯えてきてしまいました。

和田先生「包丁を焼いてからさし込むと、柄の内側が熱されたことによって腐りにくくなり、密着度も高くなるんです。今日作ってもらうのは扱いやすいペティナイフという包丁ですし、ゆっくりちゃんと手順を守って行えば安全ですよ。大丈夫。最初に私が刺身包丁で手本を見せますね」
▲熱されていく包丁、もわっと広がる熱気

ほんとうに焼いてる。すんごく焼いてる。
下は焼いていて上は尖っていて、結構な絵面です。
▲木柄に包丁をさし込み、下から木づちで叩く和田先生

トンットンッと小気味良い音が数回。
徐々に包丁が押し込まれていくのが見てとれます。
叩いた振動で少しずつはめ込んでいくんですね、面白い……!
▲シャキーンと輝く包丁のできあがり

和田先生「まあ、最初はこわいかもしれないね。コツはしっかり木柄を押さえること、強めに木づちで叩くことです。何度か練習したら、本番の包丁の柄付けをしてみましょう」
▲不安しかない

うう、こわい。
でも研ぎも最後は楽しめたし、先生も見守ってくれているし大丈夫、大丈夫。
自分に言い聞かせながら、まず練習としてウロコ取りの柄付けを繰り返します。
なんとなく分かってきたところで、いよいよ本番!
▲焼きの作業は先生がやってくれます
▲ぐっと握って叩きまくる

トンカントン、トンカントン。
ああ、左に手が滑れば包丁が、右に滑れば木づちが当たる。
だらだらと汗を流しながら、自然と持ち手に力がこもります。
▲ぐぬぬぬぬ

刃物の扱いに慣れていないと、こわい。
たしかにこわいのだけれど、カーンと木柄の真ん中に木づちが当たると気持ちいい。

どんな職人さんだって最初は素人だったはずで、こわかった時期があったはずだ。
失敗や恐怖心を乗り越えた先に、“職人“は存在するんだよなあ。
5分くらい経ったところで、奥まで柄がさし込まれた感触がありました。
ふう、ふう。できあがりだ!
人生で一番緊張した5分間かもしれません。
▲自分で包丁を作る日が来るなんて、思わなかったよ

たくさんの職人さんの技術と想いが込められた包丁の、最後の仕上げに関われたこと。
何度もこわいと連呼したけれど、完成後には不思議な高揚感がありました。

包丁に限らない全ての道具を、これからずっと愛してあげたいなあ。

和田先生「お疲れさまでした。はじめてにしては真っすぐ、よくできたと思います。こうして体験してもらうことで、刃物への印象がガラリと変わるでしょう。柄付けをしてもらった包丁は、このまま持ち帰ってもらうこともできますが、今回は名入れをして後日お届けします。楽しみにしていてくださいね」

和田先生、ありがとうございました。
ひとつを極める職人さんたち、めっちゃくちゃ素敵だー!!
▲お二人の先生と、記念撮影

料理上手は刃物から?

後日、柄付けをした包丁が届きました。
ご覧くださいませ。
▲キラリーン
▲無料サービスの名入れもしていただきました

ソーソーソーソービューティホー!
こんなに輝いている包丁、使ったことないよ。
うれしいなあ、きれいだなあ。

使うのがもったいないけれど、切れ味が知りたくてトマトを切ってみました。
▲スッ

……うわ。こりゃ大変だ。今まで私が持っていた包丁は包丁じゃない。
これがホンモノだわ。
通販番組みたいな説明になってしまいますが、本当に手を添えるだけでストンと切れるんです。切れすぎて笑っちゃう。
▲料理上手に見えますよね?

この包丁を使えば、見栄えも美しいお料理が作れること間違い無し。
明日からキッチンに立つのが楽しくなるぞ~!

(きょうのいちまい)

五島夕夏

五島夕夏

桑沢デザイン研究所卒業。学生時代ロシアの絵本に大きく影響を受け、絵本画家を志す。現在はサロンのレセプションをしながら、イラストレーターとして活動中。

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