気のきいたもてなしの有馬「金の湯」「ニュールンベルグ」「旬重」

2015.06.17 更新

日本三古湯のひとつ、有馬。関西の奥座敷というのはもう昔話で、今や日帰りでピュンと行ってドブンと浸かってプハァ~と一杯…とリビング感覚で利用するのが楽しい温泉街になっています。しかも期待の"ひとつ上"をいくもてなしで、「次は泊まりたい」と思わせるのが憎いところ。公衆浴場「金の湯」、ビアバー「ニュールンベルグ」、そして和食の「料膳 旬重」とすてきな“有馬三段活用”でくつろぎました。

まずは温泉街をぶらり

ここ十数年で大きく様変わりした有馬温泉。築100年以上の町家をリノベーションしたお店も増え、新旧が混じり合う風景はなかなか味わい深いもの。ゆるい坂道や階段をのぼったり、くだったり、「ねね橋」を渡ったり…1時間ほど散歩すれば、小さな温泉街の全貌がざっくりと掴めるはず。
さて、街歩きで少し汗ばんだところで、公共の湯「金の湯」へ。建物の前には、無料の足湯もあれば、飲泉場もあります。この飲泉は飲むと消化器系にいいともいわれているので、私は有馬で暴飲暴食をしてしまった時には、鉄臭さを我慢して、ゴクッと飲みます。

肩までつかって10数えられる?

さぁ「金の湯」の暖簾をくぐるとします。タオル1本持参してれば、町の銭湯にちょっと毛の生えた価格(大人650円・税込)で名湯に入浴できます。
鉄分を多く含むため空気にふれると茶褐色になるのが〝金泉〟と呼ばれる所以で、初めての人は湯船の色にびっくりするかも。しかも、この湯、しっかり肩まで浸かるのが至難の業! 湧出時に約98度もある湯をタンクで冷やし、ふたつの浴槽にためられているのだけど、「あつ湯」の浴槽が44度。「ぬる湯」でさえ42度! 
そろり、足先からつけて、肩まで沈む時には「ウッ」と思わず声が出てしまいます。でも不思議なもので、体がじんじんするほど温まると、体も気持ちもシャンとします。
湯上がり処も今日は誰もいなくて貸切状態。思わずマッサージ機に座って有馬名物の炭酸水「てっぽう水」を飲みかけたものの、栓を開けず…我慢。すぐそばにある立ち飲みバーにて、カラッカラの喉に染み渡る一杯をいただくことにします。
この湯、「金」というぐらいだから、ちゃんと「銀」もある。少し上がったところにある「銀の湯」は現在工事中だけど2015年秋に再オープン予定。これもお楽しみに。

金の湯から徒歩「30歩」のバー

湯あがりにすぐ、気軽に美味しいビールが飲めるバーがほしい!とオーナー自らが切望し、造ったという「ニュールンベルグ」。なるほど、湯あがりの髪も乾かぬうちに、30歩も歩けば到着します。
カウンターに陣取り、まずは「とり(あえず)ビー」ならぬ「もち(ろん)ビー」を。プハァー!すぐ近所のキリンビール神戸工場から届く鮮度抜群の樽から注がれた一杯は、泡まで味わい深い気がします。1杯500円(税込)
アテはドイツ・ニュールンベルグで食べられているソーセージ600円(税込)。日本人好みの味に改良したそうで、プリップリの焼きたてから、時間がたってしまった最後の1本までジューシーさが変わらないという逸品。
カウンターのヒップバーにちょこっと腰かける姿勢がこれまた快適で、ちょっと寄り道のつもりが、ついつい2杯、3杯…。

ご飯が主役の料亭

いかん、いかん。お昼ご飯をしっかり食べたいお店があるのでした。
温泉寺へと続く長い階段の途中にある門構え。なかなか一見さんはくぐりにくい雰囲気かもしれませんが、ご安心を。旅館「花小宿」の一階にある「料膳 旬重」は、宿泊客だけでなく誰でも朝食、昼食、夕食をいただくことができるのです。ただし予約したほうが無難ですよ。
お店に入れば、まず釘付けになる「おくどさん」。大きな釜で炊きあげるご飯がなによりの主役です。
焼き物は、十分に熱を含んだ備長炭でじっくりと。魚は明石の漁港で買い付け、水槽車で運び、生け簀で泳がしているという新鮮さが魅力。牛肉はブランド牛の草分けである但馬牛のいい部位を用意。
良質の素材をシンプルな調理法で仕上げ、ひと工夫こらした副菜を添える。こういった丁寧な食事は、他にもあるようでなかなか出合えないもの。
この日は魚コース(3,400円・税込)を注文。前菜3種にお造り、炊き合わせが続き、メインは炭火で焼いて身がぷっくりとしたサヨリが登場。それを醤油でなくドレッシングのようなもので「どうぞ」と(下の写真右奥)。
「なんですか?」と尋ねると、包士長(旬重では料理長をこう呼ぶ)松岡兼司さんが「淡路産玉葱を土佐酢にあわせました」と教えてくれました。
調理法や食材も、聞けば丁寧に答えてくれますし、おくどさんから立ち上がる湯気や炭の炎、料理人さんたちの所作を見るのもご馳走のひとつ。できればカウンター席につきたい。
最後はツヤツヤに輝くご飯につけもの、片口イワシの一夜干しにお味噌汁、焙じたての香ばしい熱々のほうじ茶とデザートで「ごちそうさまでした」。
あ~、この丁寧なご飯を、今度は朝食でいただきたい。そして夜は、時間を気にせずあのプリップリのウインナーをアテにトロトロになるまで酔ってみたい…。そんな想いが募り、帰りのバスに乗り込む時、後ろ髪ひかれまくり。
本当に居心地のいいリビングという感じの有馬温泉。ぜひ、スーパー銭湯に行くぐらいの気楽さで、お出かけしてみてくださいな。
中島美加

中島美加

甲子園在住のフリーランスライター。1988年、大学在学中に『月刊せんば』にてライターデビュー。卒業後は阪急電鉄の宣伝課にて沿線情報誌『TOKK』やポスターなど宣伝物を作成。1998年にフリーに。旅ネタが好きだが、現在、9歳の双子の育児でなかなか家を空けられず……地元商店街のPRや育児、高齢者向けのフリーペーパーなど新たなジャンルを開拓中。

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