歩かないハイキング!?奥祖谷の山の中を進む、世界一だらけのモノレール

2016.07.12 更新

祖谷(いや)地方は、数ある紹介記事でほぼ例外無く“秘境”と称される山深い場所にあります。ここは「祖谷のかずら橋」でも知られる観光地ですが、本日のお目当ては、さらに奥地へと進んだ場所にある「奥祖谷周遊モノレール」!自然豊かな山の空気を、自分の足で歩くことなくラクチンに満喫しようという魂胆です。山頂では素晴らしい景色にも出会える、1時間ちょっとの小さな旅へ!

祖谷地方への旅は、険しい山道から

さすがに“秘境”だけあって、奥祖谷周遊モノレールへの道のりはかなり険しい山道が続きます。現地へのルートはいくつかありますが、中には徳島県の最高峰・剣山(つるぎさん)を越えなければならないルートもありますので、事前にしっかりと下調べしておくほうがよいでしょう。ちなみにオススメは、国道439号を使って剣山の西側から回り込むコースです。比較的山道が短いので、山道の運転に自信のない方は参考にしてくださいね。
▲道中で見つけた小便小僧

切り立った崖の上から眼下の祖谷川に向かって用を足す小便小僧の姿は、かつてこの場所で地元の子どもや旅人が度胸試しをしたという言い伝えに基づいているとか。ちなみに水は出てません。
▲たまにこんなレトロなボンネットバスともすれ違います

変化に富んだ山道を適度に堪能した後に辿り着いた、温泉宿泊施設「いやしの温泉郷」。モノレール自体は三好市の観光事業のひとつとして2006年に誕生しましたが、管理はこちらに委託されているそうです。
▲駅舎があるのは標高790m。モノレールはここからさらに590mも登ります

「いやしの温泉郷」の敷地内を奥へと進めばすぐに見えてくる駅舎。そこで待ち構えていたのは、大きなツノとカラフルなボディのカブトムシ型モノレール!
▲ナリは小さくても、斜面に合わせてシートの角度が変化するスグレモノ

モノレールは前後2人乗りで12台が運行されており、奥祖谷の急な斜面が続く一周4,600mのコースを65~70分かけてゆっくり進みます。
係員さんによるとコースの全長とともに高低差590m・最大傾斜40度・最頂標高1,380mはどれも観光用モノレールとしては世界一なのだとか。自然の風景をハイキング気分で満喫しつつ、世界一のモノレールを楽しめる…そんな期待に思わず胸も高鳴ります。

休日にはかなりの人数が訪れるそうで、土曜日や日曜日には午後早くに乗車チケットが売り切れることが多く、特にゴールデンウィーク中ともなると最終便となる16時のチケットが午前10時には売り切れてしまうのだそうです。
チケットは当日のみの販売なので、確実に乗るためには早く到着するしかないことを覚えておきましょう。

自然の中へ、行ってきます!

モノレールに乗り込んだら安全ベルトを締めつつ、係員さんから緊急時の無線機の使い方などの説明を受け、いよいよ出発!
電動のモノレールは音も静かで力強く、人が歩くぐらいのスピードなので恐怖心はありません。ちなみに一旦出発したら再び駅舎に戻ってくるまでノンストップなので、先にトイレを済ませておくことをお忘れなく。

駅舎を離れて杉林の中へと進んだモノレールは、すぐに急な角度の斜面へとさしかかります。
▲見よこの急角度!でもこれはまだまだ入口、この先にはもっと急な斜面が待ち構えています
▲木々が作る木陰の間を、モノレールはゆっくりと進んでいきます

途中の木々には樹種を紹介する立て札が付けられていて、一見どこも同じように見える山の中の風景にも細かな違いがあることを教えてくれます。季節によってはヤマシャクヤクなどの花を見ることができるので、一度乗った人でも違った季節に再度訪れてみるのもまた楽しいかもしれません。
▲ミツマタといえば、和紙の原料として知られる植物

レールの脇には100mごとに標高を記した立て札があり、今いる場所の高度が確認できます。
▲勾配が急なせいか、あっという間に標高1,000mに!

1,000mを越えたあたりから、周囲の空気がひんやりしてくるのに気付きます。
そういえば駅舎で係員さんが「上は5度ぐらい温度が低いですよ」と話していました。
晴天のせいもあって駅舎に着いた時はうっすら汗ばんでいたのに、途中ですっかり汗も引き、5月だというのに少し肌寒く感じるほど。寒がりさんは、夏場でも長袖を用意しておいたほうがいいでしょう。
▲少しだけ風景が開けてくれば、頂上まであとわずか…

そしてモノレールはいよいよ標高1,380mの頂上へ到達。
▲見えた! あれが県内最高峰にして徳島県のシンボル・剣山の山頂

視界の開けた頂上からは、はるか彼方に剣山を望むことができ、自分の足で歩いて登ったわけでもないのにどこか達成感すら感じることができます。

さて、あとは残りのルートを下るばかり。
▲同じ急斜面でも、下りはこんなふうにレールが見えなくなる場面もあってちょっとスリリング!

上りとはまた違った感覚で楽しめるのがおもしろい!
時折すれ違う対向車には、これから山頂を目指すお客さんの姿が。「この先まだ長いですか?」「あと半分くらいですよ」などと言葉をかわせたりするのも、この小さなモノレールの魅力。

上りとは逆に、杉林を吹き抜けてくる風が温かくなってきたのを感じれば、そろそろ駅舎到着の合図。ホームに停車したモノレールから降りて軽くひと伸びすれば、長いようであっという間だったモノレールの旅もおしまいです。

世の中はちょっとした山ブームですが、山には興味があるけど歩いて登るのはちょっと…という人にも、手軽に森林浴が楽しめるこのモノレール、ピッタリですよ。

心地良い疲労を、秘境の温泉で癒す

モノレールでせっかく引いた汗も、日差しの下に戻ってくればまたジワ~ッと復活。せっかくここまで来たんだから、「いやしの温泉郷」の温泉にも入っていくのがスジというもの。立ち寄り入浴もOKなこちら、泉質はアルカリ性単純温泉。フロントで受付を済ませたら、いざ大浴場へ。
▲山小屋を思わせる「いやしの温泉郷」

大浴場の浴槽は、建物と同様に木をふんだんに使っていて、お湯に浸かっている時にふっと漂ってくるヒノキの香りがさらにリラックス気分を高めてくれます。
お湯はサラリとした肌触りで、ここまでの疲れを優しく癒してくれます。究極の爽快感を味わいたいならやっぱり露天風呂にも入らなきゃいかんでしょう、ということで露天風呂へ。
▲多少混み合っても窮屈さを感じない、広い湯船の中で手足をいっぱいに伸ばしてリラックス
▲透き通ったお湯は熱すぎることもなく適温。こういう温泉、大好物です

世界一づくしのモノレールで味わった森林浴気分の余韻とともに、広い湯船の中でゆっくりと身体を休め、最高のリラックスが味わえました。
夏本番の季節、涼しい森林浴と温泉のセットで身も心もリフレッシュしに訪れてみてくださいね。
青井 康

青井 康

地元徳島のタウン誌で勤務後に独立し、現在フリーのライター兼グラフィックデザイナー。なぜかやたらと人から道を聞かれやすい体質。

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