奈良名物・柿の葉ずしの手作り体験と、夏しか味わえない柿の青葉ずし

2016.07.24 更新

最近ではメディアで取り上げられることも多く、奈良県民のソウルフードとして知名度がグンと増している「柿の葉ずし」。その名のとおり、柿の葉で包んだお寿司で、古くから奈良県の吉野地方で食べられてきた郷土料理です。今回は、文久元年(1861年)創業の老舗「平宗(ひらそう)」で柿の葉ずし作りを体験してきました。今なら、夏しか登場しない季節限定の青葉を使った柿の葉ずしも味わえます。

江戸時代から食べられていたという柿の葉ずし。
海産物が手に入りにくかった山間部の吉野では、魚料理は貴重なものでした。

腐らないよう塩で締めて運ばれてきた和歌山県熊野の鯖(さば)を薄く切ってご飯にのせ、抗菌効果のある柿の葉(奈良県は柿の名産地)で包みます。
それを木桶に入れ、上から重石をして1~2日置くことで、鯖と酢飯の旨みが合わさって味がなじみ、まろやかな風味に。柿の葉の香りが染みて、滋味豊かな味わいになります。
昔は、夏祭りのごちそうとして、各家庭で作られていました。

もとは鯖だけでしたが、今は鯖と鮭が定番。
奈良県民の間でしばしば行われる「鯖と鮭、どっち派?」の会話。
鮭好きの私は、子どもの頃から鮭派でしたが、大人になってから味の奥深さに気付き、鯖が大好きに!日本酒との相性もいいんですよ~。

奈良県内には柿の葉ずしの販売店が50店舗ほどあるようですが、その中でも、今回は「平宗」の柿の葉ずしをご紹介。
鯖の塩気と酢飯の甘さのバランスがちょうどよくって、我が家も御用達です。
▲柿の葉ずし、左は8個入り(鯖)1,176円、(鯖・鮭)1,306円、右は7個入り(鯖)907円、(鯖・鮭)1,004円。※いずれも税込

学びながら楽しむ、おいしい手作り体験をしよう

「平宗」では、柿の葉ずしの手作り体験を行っています。
体験は、吉野本店をはじめ、奈良店、法隆寺店、本社工場でできますが、今回は、世界遺産の薬師寺や唐招提寺からもほど近い「平宗別館 倭膳(わぜん) たまゆら」で体験しました。

「倭膳 たまゆら」では、2名から体験することができます(要予約、当日不可)。
▲ゆったりとした個室で体験できます。贅沢!

体験の所要時間は約45分。
まずは、世界的に活躍する奈良在住の映画監督・河瀨直美氏が手掛けた平宗オリジナルの柿の葉ずしの短編映画『つつむという優しい文化』を鑑賞。

吉野地方のおかあさんたちの柿の葉ずしへの思いや、柿農家・米農家の人々の営みなどを、河瀨監督らしい自然体な視点で描いた作品です。
世界的映画監督の作品を観ることができるなんて、嬉しい演出ですね!
▲柿の葉ずしをいただきながら、15分間の映画鑑賞を楽しみます

柿の葉ずしのことを学んだら、いよいよ手作り体験です。
鯖と鮭を各4つずつ作ります。
テーブルにセットされているのは、鯖・鮭が各4切れ、柿の葉、ご飯。
▲柿の葉ずしセット。完成形を見慣れているので、でき上がる前の食材が並んでるのって新鮮!

そして、料理長の登場です。
手袋をはめて、教わりながら作っていきます。
▲盛田慎吾料理長。わかりやすく教えてくださいます

まずは、鯖から作っていきます。
柿の葉の中央に、裏向きにした鯖をのせます。
鯖の上に、あらかじめ4等分されたご飯を1つのせます。
空気が入らないように端を押さえて。
きゅっと巻きます。
寿司を縦にして、葉の上下部分を押さえます。
指で押さえた真ん中に向かって、左右を折りたたみます。
そして、吉野杉の箱に詰めていきます。
鯖が終わったら、次は鮭です。
4つ作り終え慣れてきたところで、鮭の方は、ご飯を4等分にわけるところから行います。
そして、鯖と同様に巻いていきます。
じゃん!詰め終わりました。
初めてにしては、なかなか上出来(かな?)
手前に縦に並べているのが鯖で、奥が鮭です。
こうすることで、葉をあけなくても、どちらが鯖かわかりますね。

あとは、ふたをして箱に入れて。
完成です!
自分が作ったとは思えない、立派な柿の葉ずしになりました!
すぐに食べてもおいしいですが、もともと柿の葉ずしは保存食。
このままの状態で1日置き、味がなじむ翌日に食べるのがオススメです。

夏だけの柿の青葉ずしをいただこう

通常の柿の葉ずしの葉は、夏期に採った柿の葉を塩漬けにし、年間を通じて使用していますが、「平宗」では、6月~8月末限定で、青葉を使った柿の葉ずしをいただくことができます。

見た目にも違う青々とした葉は、葉自体がやわらかく、とても瑞々しいんです。
香りもフレッシュで、夏しかいただけないというプレミア感もある、知る人ぞ知る柿の葉ずしです。
▲右が青葉で、左が通常使用されている柿の葉

その名も、古伝柿の葉ずし「宗助(そうすけ)」。
このお寿司は、葉が青葉なだけではなく、通常の柿の葉ずしと違い、奈良の老舗醤油蔵の糀(こうじ)を用いて、昔ながらの製法で発酵させた鯖を使用しています。

お米は奈良県産のヒノヒカリ、お酢は創業350年の奈良の老舗の純米酢、甘みを足すのは奈良の酒造が作る本みりん。

そして柿の葉は、奈良県産で無農薬・無消毒の刀根早生(とねわせ)柿という品種の渋柿の葉。
甘柿の葉よりも抗菌作用に優れ、富有柿の葉よりも柔らかくて大きいので、お寿司を包むのに適しているそうです。

ちなみに「宗助」は、創業者の名であり、現社長のお名前でもあります。
原点に立ち返り、本来の柿の葉ずしの価値を見直してもらうため冠されました。

常時店頭で販売している商品ではないので、必ず5日前までに予約を。
店内でも味わうことができますが、その際も同じく5日前までの予約が必要です。
▲包まれていても、青々としているのがわかります。「宗助」は鯖135円/個、鮭167円/個(いずれも税込)。予約時に好きなネタを伝えると用意してくれます

「宗助」は、吉野檜を使った特製の木桶に入れてもらうことも!
この木桶は、かつて各家庭で使われていたものを小さいサイズにして復刻したもので、釘を使わず、手作業で丁寧に組み立てられています。
▲特製吉野檜の木桶に詰めた「宗助」鯖30個入り8,690円(税別)~。特製吉野檜の木桶だけの販売も(税別・3,500円)。通常の柿の葉ずしを詰めてもらうこともできます

「ホームパーティーに持っていかれる方もいらっしゃいます。すごく喜ばれるそうですよ」と、店長の飯田恭代さんも太鼓判。
▲気さくな飯田店長は、柿の葉ずし手作り体験の司会進行もされます
▲「倭膳 たまゆら」では、柿の葉ずしのほか、本格会席料理を味わうことができます。柿の葉ずし体験と食事のセットもありますよ(応相談)

本場の柿の葉ずしをまだ食べたことのない人も、瑞々しい青葉が香る、夏限定の柿の葉ずしが目当ての人も、ぜひ一度味わってみてください。
自分で作る体験をしながら味わうと、柿の葉ずしの深みを知り、一層好きになりますよ。
白崎友美

白崎友美

奈良の編集制作会社EditZ(エディッツ)の編集者。大阪、京都で雑誌や通販カタログなどの制作を行い、現在は居住する奈良県に軸足を置き、奈良の観光関連のガイドブックやホームページなどを制作。自社媒体の季刊誌『ならめがね』にて、「ユルい・まったり・懐かしい」奈良の魅力を発信している。

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