乗って、撮って楽しいスイーツ列車&SL列車!磐越西線の旅!/古谷あつみの鉄道旅Vol.5

2016.07.13

「古谷あつみの鉄道旅」も第5回目。今回のテーマは「JR磐越西線(ばんえつさいせん)」です。福島県の郡山駅と新潟県の新津駅を結ぶ路線で、今回は会津若松を中心とした会津地方を、会津に詳しい鉄道カメラマンの衣斐隆(えびたかし)さんにもお話を伺いながら巡ります。旅の計画の途中、事件(?)発生!さて、不思議なコンビで巡る鉄道旅企画はどうなるのでしょうか…。

▲郡山駅で出発前の記念撮影

今回の見どころはここ!

1.乗り鉄か、撮り鉄か、旅の目的を決めるべし!
2.観光列車だけじゃない、磐越西線の魅力
3.今日から、あなたもカメラマン。押せば撮れる!?最高の撮り鉄スポット!
4.乗るのか、撮るのか、SLばんえつ物語

1.乗り鉄か、撮り鉄か、旅の目的を決めるべし!

古谷「郡山駅に着きましたね。東京駅からあっという間でした。」
衣斐カメラマン「新幹線のなかで、土屋さんと古谷さん、全然しゃべらなかったですけど、どうしちゃったんですか?」
古谷「どうしたも、こうしたもないですよ!今回は対決なんです!(笑)」
衣斐カメラマン「た、対決!?どういう事ですか!?」
土屋「いやあ。SLばんえつ物語に乗るか、乗らずに撮るかで意見が分かれちゃってね~」
衣斐カメラマン「そこからどうして、対決に?」

今回の取材前に、旅のスケジュールを打ち合わせていた私と土屋さん。土屋さんからは、磐越西線を走るSL列車「SLばんえつ物語」に乗りたいという意見が出たのです。
けど私は、最近カメラにハマりだしたことから、モクモクと煙を上げるSL列車をどうしても写真に収めたい。1日1往復しか走らない列車なので、「撮る」と「乗る」。この二つの行動を一緒にすることは難しい……。
こうして意見が分かれてしまった私たちですが、グッド・アイデアがひらめいたのです!

古谷「こうなったら、対決しましょう!『撮り鉄旅』と『乗り鉄旅』どっちが面白いかですよ!」
土屋「磐越西線は乗る方が面白い。君には負けないよ。」
古谷「くぅ~!今回は、ヒミツのきっぷを駆使して楽しんでやりますからね!」
土屋「ヒミツのきっぷ!?なんだい?」
古谷「ふふふ…撮り鉄は車で撮影ポイントまで移動しないといけませんからね。『レール&レンタカーきっぷ』を使います!」
土屋「ほお~。なかなかやるな。じゃあ僕は『週末パス』だな」
▲左が「週末パス」、右が「レール&レンタカーきっぷ」。きっぷは実際に使用したものです

東京でこんなやりとりをしていた、私と土屋さん。
私が今回使用した「レール&レンタカーきっぷ」は、JRのきっぷと駅レンタカーを組み合わせたお得なきっぷです。
片道、往復、連続のいずれかの乗車券でJR線を営業キロ201km以上利用し、その経路上で「駅レンタカー」も借りる場合、乗車券が2割引、特急券などが1割引、レンタカーも割引料金で借りられるという、すぐれものなのです。

対する、土屋さんが選んだきっぷは「週末パス」。
このきっぷは、連続する土曜・休日(日曜、祝日)の2日間、関東・甲信越・南東北エリアのJR線のほか、会津鉄道をはじめ14社の普通・快速列車の普通車自由席が乗り降り自由になります。
素晴らしいのは、特急券や指定席券を買い足せば新幹線や在来線特急などにも乗れてしまうところ。鉄道好きには夢のようなきっぷです。
意見が食い違った私と土屋さんですが、旅の目的に合わせてきっぷを選ぶのは大切なこと。
「撮り鉄」と「乗り鉄」では、旅の目的と行動が大きく異なります。目的に合わせてきっぷを選び、よりお得に旅をしちゃいましょう!

衣斐カメラマン「なるほど。そんな経緯があったんですね…。」
古谷「と、いうわけで今回は、私は衣斐さんと行動します!レール&レンタカーきっぷの威力を見せつけてやりましょう!撮り鉄するなら、このきっぷです!」
土屋「子守りを頼むよ~衣斐さん。僕は週末きっぷを使って、存分に磐越西線を楽しむよ。」
古谷「くぅ~!子守りだなんて!ますます負けられません!」
土屋「その前に、一時休戦だ。アレに乗らなくては。」
古谷「そうですね。休戦して、行きましょう!」
衣斐カメラマン「えぇ~!?仲直り!?よくわからない二人だなぁ…。」
▲郡山駅の会津若松行き普通列車の発車案内に、謎の文字が…

2.観光列車だけじゃない、磐越西線の魅力

▲フルーティアふくしまの前で記念撮影

私たちが仲直り?して乗り込んだのは、郡山駅と会津若松駅の間を走る観光列車「フルーティアふくしま」でした。ソファタイプの座席がゆったりと並ぶ車内では、季節のスイーツと飲み物が楽しめます。

古谷「フルーティアふくしま!女子はワクワクしちゃいますよね。」
土屋「ワクワクするのは女子だけじゃないよ…。」
衣斐カメラマン「土屋さん、大の甘党だからなあ…。」
土屋「フルーティアふくしまは、福島県産を中心としたフルーツを使ったケーキを出してくれるとあって、僕もワクワクしているのさ。」
古谷「この列車だけはしょうがないですよね!でも、人気列車なのによく席が取れましたね。」
土屋「早めの予約が必要だね。フルーティアふくしまは、JR東日本の『びゅうプラザ』でしか予約ができないんだ。」
▲手前の2両が「フルーティアふくしま」。普通列車や快速列車に連結されて走ります

土屋「スイーツももちろん楽しみなのだけれど、磐越西線にはもっと別な魅力もある。」
古谷「もっと魅力的なもの?なんでしょう?」
土屋「車窓だよ!磐越西線の車窓は、僕が初めて乗った大学生の時から印象深いものがあった。」
古谷「私は磐越西線は初めてなので楽しみです!どんなものが見えるんですか?」
土屋「いや、会津のシンボルでもある磐梯山(ばんだいさん)を除いて、これが見える!という目玉のようなものはないんだけれど、車窓全体のレベルが凄く高いんだよ。」
古谷「土屋さんが言うなら間違いないですね。楽しみです。」
▲フルーティアふくしま車内で提供されるスイーツプラン(飲み物付き)。季節により内容は変わる(写真提供:JR東日本)
▲磐梯山の麓を走る「フルーティアふくしま」

郡山駅を出発した列車は、まず郡山の街中を走ります。しかし、そんな都会の風景はすぐに終わり、田畑が現れ、どんどん山奥へと進みます。

土屋「磐越西線は、郡山からすぐに西へ向かう。左右どちらの席でも美しい車窓が見えるよ。」
古谷「ちょっと!すでに車窓が大変なことになっていますよ!水田や畑が、こんなにも美しいなんて!」
土屋「まだまだ、序盤さ。翁島(おきなしま)駅に近くなったら移動しよう。」
古谷「移動?わかりました。それにしても、水田が水鏡になって山々を写す姿は、きれいですね…。」

磐越西線には、中山峠を越える急勾配があり、かつてはスイッチバックが行われていた中山宿駅の旧ホームなどを車窓から眺めることができます。
列車が急勾配を登る時は車輪とレールから独特の摩擦音がして、旅情を感じさせてくれます。私は、その音を「ヒューン、ヒューン」と表現していますが、皆さんにはどう聴こえますでしょうか?
急勾配を登る列車に乗った時は耳を澄ませてみてください。
▲カーブの連続で高原のような雰囲気の中を走る、磐越西線の普通列車

古谷「まるで、緑のトンネルですね。こんな綺麗な緑色は初めて見ました…。」
土屋「ある、画家が言ったんだ。緑だけは、絵の具が何種類あっても足りないと。ここは、それがよくわかる景色が見られるね。」
古谷「本当にそうですね。目に入る色が、ほとんど緑なのに、見飽きないです。冬はどんな景色になるんでしょう?」
土屋「冬は雪景色だし、もちろん秋の紅葉もすばらしい。けれど僕は、やはり春から夏にかけての新緑の時期がお勧めだね。さぁ、もうすぐ翁島に着くよ。こっちへ来て!」

古谷「車両の最後尾ですか?」
土屋「僕のお勧めの車窓さ。翁島駅から東長原駅までは、ここで車窓を見るのが一番だ。」
古谷「ここで車窓を眺めると、カーブを曲がるのがよくわかりますね。」
土屋「そうさ。これを見せたかったんだ。この区間はカーブの連続で、S字を描いて列車が進むんだ。」
古谷「これは、すごいですね。クネクネだ!翁島までは磐梯山が右側に見えていたのに、今度は左側に…。あ、また今度は右だ!」
土屋「列車がいったいどう走っているのかわからなくなるだろう?」
古谷「すごく面白いです。これから、どう進むのか、ドキドキしちゃいます!」
土屋「それに、高原の雰囲気を思いっきり楽しめるだろう?」

郡山からのフルーティアふくしまの旅は1時間10分ほど。美しい車窓に見とれている間に、あっという間に会津若松に到着します。

古谷「いやぁ~。ケーキを食べる暇がないくらい、車窓に見入ってしまいました。」
土屋「僕が、君の分までケーキを食べておいたよ。」
古谷「ええっ!?土屋さん、出てきた2個のケーキだけじゃなくて、いつの間にか私のケーキも食べたんですね…。」
土屋「ははは。美味しかったよ。」
古谷「フルーティアふくしまは、列車自体も素晴らしいですが、なにより車窓ですね。普通列車でもう一度乗りたいです。」
土屋「観光列車が素晴らしいのではなく、車窓が素晴らしいからここに観光列車が走る、という感じかな。」

3.今日から、あなたもカメラマン。押せば撮れる!?最高の撮り鉄スポット!

▲会津若松駅で記念撮影。動輪は「SLばんえつ物語」の運行開始を記念したものです

古谷「会津若松駅到着ですよ。決戦の時ですよ!」
衣斐カメラマン「また、対決モードになった!本当に別行動するんですか?」
土屋「僕はここから、SLばんえつ物語に乗る。子守り、頑張ってねぇ~!」
衣斐カメラマン「古谷さんと2人かぁ…。」
古谷「なにか不満でも!?」
衣斐カメラマン「あ、いや、そういう訳では…。じゃあ、早速レンタカー借りに行きますか。」

「乗り鉄」を楽しむ土屋さんとは、ここで一度お別れです。
駅レンタカーの営業所は、どこでも駅のすぐ近くにあるので、重い荷物を持っていても安心。列車を降りてすぐ利用できます。
▲レンタカーを借りてすぐ出発です!

古谷「さぁ!出発ですよ~。と言っても私、運転できませんけどねぇ~。ははは。」
衣斐カメラマン「まぁ、レンタカー記念に1枚。ね。」
古谷「あとは、衣斐さん!お願いしま~す!」
衣斐カメラマン「とほほ…。」

衣斐カメラマンの運転で、撮り鉄旅に出発です。衣斐さんは毎年、何回も会津へ撮影に訪れており、地理にとっても詳しいのです。今回は、ちょっとたくさんお願いをしちゃいます!

衣斐カメラマン「で、古谷さんはどんな写真が撮りたいんですか?」
古谷「SLがモクモクっと煙を上げる写真を撮りたいです!あと、大自然!といった雰囲気の写真を。」
衣斐カメラマン「注文が多いなぁ…。う~ん。」
古谷「ほら。ありません?誰でも綺麗な写真が撮れそうな場所。」
衣斐カメラマン「まぁ、あるにはありますよ。でも、今回だけですよ。内緒にしておいてくださいよ。」
古谷「安心してください。全部、記事に書きますから!」
衣斐カメラマン「とほほ…。」
私たちがまず向かったのは、上野尻駅に近い、第一の撮影ポイントです。

古谷「わぁ!撮り鉄の人がいっぱいいる~!」
衣斐カメラマン「ここは、撮りやすいですし、色んな雰囲気の写真が撮れますよ!」
古谷「ここなら絶対にいい写真が撮れますね!」
衣斐カメラマン「撮影を始める前に、しなければならないことがあります!さて何でしょう?」
古谷「腹ごしらえ!」
衣斐カメラマン「こりゃダメだ。土屋さんがいないと…。」

衣斐カメラマンに教わった、撮影を始める前にする、3つのこと。撮り鉄をするにはとても大切なことです。

1.他の人のカメラに自分が入り込まないか注意すること。
2.列車の走行を妨げるような場所ではないか、もう一度よく考えること。
3.撮りたい列車が走る時間を確認したあと、準備をすること。

衣斐カメラマン「この3つができたら、あとは自由に撮ってみてください!」
古谷「は~い!お花と撮りたいなぁ…。」
衣斐カメラマン「僕は、あっちで撮るから、あとで見比べてみましょう!」
古谷「はい!楽しみです!」
衣斐カメラマン「良い写真が撮れても、わぁ~っと叫んじゃダメですよ。」
古谷「叫びませんよ!キャッとはなるかもしれませんが。」
衣斐カメラマン「…。特にSLは、ビデオ撮影している人も居るから、声が入って迷惑がかかってしまうんだ。」
古谷「じゃあ、キャッ!もダメですね!気を付けます!あ、もう列車が来ますね。じゃあ、撮ります!」
▲私が撮影した写真。念願のモクモク写真です
▲衣斐カメラマンの写真。子供たちを入れた素敵な写真です

古谷「撮れました!モクモク写真です!」
衣斐カメラマン「おぉ!いきなり花メインの写真とは…。大胆ですね!」
古谷「大胆なんですか?これ。衣斐さんの写真、子供たちが手を振っていて素敵!」
衣斐カメラマン「人を入れるのもテクニック!許可はちゃんと取ってくださいね。」
古谷「他の場所でも、SLばんえつ物語を撮りたいです!撮れませんか?」
衣斐カメラマン「そうですね…あそこなら、先回りできるかもしれません」

古谷「次はどんな写真が撮れるんですか?」
衣斐カメラマン「SLといえば、鉄橋だよね!」
古谷「有名な山都(やまと)の鉄橋ですか?」
衣斐カメラマン「正解!ここから少し距離があるけど、無理はせず、ゆっくり安全運転で行こう。交通ルールを守らない撮り鉄になっちゃダメですよ!」
古谷「安全に楽しく!ですね!」
▲「山都の鉄橋」こと、一ノ戸川橋梁

SLには、やはり鉄橋がよく似合います。鉄道写真で有名な山都の鉄橋の正式名称は一ノ戸川橋梁。山都駅からも近く、SLばんえつ物語の運行日は、多くの鉄道ファンが集います。
架けられてから100年以上にもなる、歴史ある鉄橋です。

古谷「間に合いましたね。」
衣斐カメラマン「ここは大きな道から少し入った所にあって駐車しやすく、手頃な撮影ポイントなんです。」
古谷「お、お、あ、あ、歩きにくいです!」
▲砂利道に苦戦する私…

衣斐カメラマン「えぇ~!今気づいたけど、撮影にそんなヒールで来ちゃダメですよ!」
古谷「もっと奥で撮影したいのですが、これじゃあ先へ進めません…。」
衣斐カメラマン「無理しないで、そこで撮ってください。」
古谷「うぅ…。」

写真に写るからといって、ヒールを履いてきてしまった私。これでは砂利道などは危険で歩けません。撮影の時には歩きやすい靴で行くのがお勧めです。
▲山都の鉄橋で私が撮影した写真!

古谷「やっぱり、SLには鉄橋ですね~!でも、やっぱり少し遠かったかも。次回からの教訓にします。」
衣斐カメラマン「そうですね。でも、綺麗に撮れていますよ!」
古谷「衣斐さんの写真も見たいです!」
▲私と同じ、山都の鉄橋で衣斐カメラマンが撮影した写真

古谷「クオリティーが全然違いますね…。私ももっと上手に撮れるようになりたいです。」
衣斐カメラマン「練習です、練習!」
古谷「でも、今日は大満足です!そういえば、さっき土屋さんからメールがきていて、ばんえつ物語の展望車両に乗っていたそうですよ!鉄橋から私たちのこと、見えたかもしれませんね。」
▲SLばんえつ物語を牽引する、C57 180

ここから少し、文章を土屋さんにバトンタッチ!土屋さんはいったい、どんな旅をしていたのでしょうか……。

……と、いきなりバトンを渡されてしまいました。あ、土屋です。
僕が乗ったSLばんえつ物語は、新潟発会津若松行きの上り列車。そう、古谷さんと衣斐カメラマンが撮影していた列車に、野沢駅から乗り込みました。
SLばんえつ物語には、普通車とグリーン車が連結されているのですが、僕は今回、グリーン車の席を確保することに成功!ここは非常に人気が高く、満席の日も多いのです。おかげで優雅な1時間あまりが過ごせました。
▲SLばんえつ物語のグリーン車(写真提供:JR東日本)

上りの場合、グリーン車が最後尾になるので、専用の展望室から過ぎ去ってゆく風景が存分に楽しめます。
客室も往年の特急列車の「1等展望車」をイメージしたレトロ調のデザイン。昔のお客さんはこんな旅をしていたのかなあ…と想像力がかきたてられました。
リクライニングシートを倒し、音と揺れから、蒸気機関車が先頭で力いっぱい走る姿を、飲み物を片手に想像してみる。そんな「乗り鉄」なりの楽しみがお勧めできる、SLばんえつ物語のグリーン車です。

4.撮るのか、乗るのか、SLばんえつ物語

撮影を終え、会津若松駅を目指した私たち。衣斐カメラマンの指導のもと、想像以上の写真が撮れて大満足です!レンタカーがあったからこそ撮れた写真でしょう。

古谷「私も少し、SLばんえつ物語に乗りたいです。会津若松発新潟行きの下り列車に乗ってみますね!」
衣斐カメラマン「了解です!僕は撮影があるので、後から野沢駅まで2人を迎えに行きますね!」

古谷「あ、土屋さんだ!」
土屋「お~い!」
古谷「ふふふ。ここで合流ですね!どうでした?乗り鉄旅は?」
土屋「よかったよ~。君も乗ればわかるさ。」
古谷「撮り鉄旅も最高でしたよ!乗るのも楽しみです。私だけ両方楽しめちゃうなんて!ぐふふ。」
▲「SLばんえつ物語」の普通車(写真提供:JR東日本)

土屋「さっき、僕はグリーン車に乗ったから、今度は普通車でいいよね。」
古谷「おぉ!これは!なんだか乗り心地が電車とはずいぶん違いますね!」
土屋「客車列車だからね。SL列車特有の引っ張られている感じが伝わってくるだろ?これがまた、魅力的なんだ。」
古谷「煙の臭いもしますね!なんだか、車内もレトロですし、タイムスリップしたような気分です。」
土屋「窓から見える煙もまた、SLに乗っていることを感じさせてくれるね。」

C57形は1937(昭和12)年に1号機が誕生。大きな動輪と細いボイラーによって優美に見えるその姿から、「貴婦人」という愛称で親しまれてきました。
「SLばんえつ物語」を牽引するC57 180は1946(昭和21)年に生まれ、いったん引退した後、1999年(平成11)に再び線路上を走れるように修復。現役復帰を遂げました。

「SLばんえつ物語」は沿線の住民たちにもとっても愛されています。その証拠に、列車が汽笛を鳴らして走ると、農作業をする人たちも手を止め、乗客に懸命に手を振ってくれるのです。汽笛の音と、沿線の人々の優しさが胸まで響いてきます。

古谷「なんだか泣けてきました。ジーンとしちゃって…。」
土屋「そうだろう!僕は何時間でも乗っていられるよ。」
古谷「綺麗な夕日ですね。水鏡に夕日と煙が写って、なんとも言えない景色ですね。」
▲「SLばんえつ物語」の展望車(写真提供:JR東日本)

土屋「こういう時は、展望車へ移動だよ。」
古谷「ここはすごく開放的ですね。車窓を独り占めできるような気分です!」
土屋「子供やファミリー向けのフリースペース『オコジョ展望車』や、グリーン車専用の展望室もあるんだけど、ここは誰でも入れる。」
古谷「贅沢すぎますね。フルーティアふくしまから眺める郡山~会津若松間の景色と、また一味違います!」
土屋「乗る列車や区間が違えば、見えるものも変わる。そんな違いを楽しむのも良いね。さぁ、もうすぐ野沢だ。降りるよ。」
古谷「嫌です!まだ乗ります!」
土屋「ここで降りなきゃ、会津若松に戻れないよ。また今度。」

子供みたいな事を言い出した私。でも、それくらい、まだ「SLばんえつ物語」に乗っていたかったんです。
15時25分に会津若松駅を出発し、野沢駅には16時25分に到着。1時間も過ぎたとは考えられないほど、時を忘れさせてくれる列車旅でした。
土屋「ほんとに子守りは大変だ。野沢駅では、停車時間が10分あるけど、その間にお楽しみがあるよ。」
古谷「なにか面白いものが!?降りまーす!」
土屋「ゲンキンなやつ…。」
古谷「で、なんですか?お楽しみって?」
土屋「運転台に乗せてくれるんだよ。」
▲初めてSLの運転台へ!

古谷「うわぁ!SLの運転台ってこんなに暑いんですね!化粧が溶ける(笑)」
土屋「子供もたくさん順番を待っているから、早く降りてね。記念撮影もしなきゃ!」
▲C57の前で記念撮影

古谷「旅の思い出もバッチリですね!」
土屋「最後に列車を見送ろう!」
▲列車を見送る二人

古谷「いやぁ、大満足の1日でした!撮って、乗れて、本当に贅沢な1日でした。これは私の勝ちですよね!?」
土屋「君は、週末きっぷを甘く見てるね。勝負はこれから。明日に続くよ…」
古谷「これから?今日はもうレンタカーを返して終わりじゃ…?」
土屋「僕を甘く見ちゃ困るね!」

不思議なコンビで行く、古谷あつみの鉄道旅も始まったばかりなのに早くも意見が食い違った二人。さて、勝負の行方はどうなるのでしょうか…?

次回、古谷あつみの鉄道旅 Vol.6は、会津鉄道へ!

土屋武之(鉄道ライター)

鉄道を専門分野として執筆活動を行っている、フリーランスのライター・ジャーナリスト。硬派の鉄道雑誌「鉄道ジャーナル」メイン記事を毎号担当する一方で、幅広い知識に基づく、初心者向けのわかりやすい解説記事にも定評がある。
2004年12月29日に広島電鉄の広島港駅で、日本の私鉄のすべてに乗車するという「全線完乗」を達成。2011年8月9日にはJR北海道の富良野駅にてJRも完乗し、日本の全鉄道路線に乗車したという記録を持つ、「鉄道旅行」の第一人者でもある。
著書は「鉄道のしくみ・基礎篇/新技術篇」(ネコ・パブリッシング)、「鉄道の未来予想図」(実業之日本社)、「きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)、「鉄道員になるには」(ぺりかん社)など。

古谷あつみ(鉄道タレント・松竹芸能所属)

古谷あつみ(鉄道タレント・松竹芸能所属)

小学生の頃、社会見学で近くにある車両基地へ行き、特急電車の運転台に上げてもらったことがきっかけで、根っからの鉄道好きとなる。 学校卒業後は新幹線の車内販売員、JR西日本の駅員として働く。その経験から、きっぷのルールや窓口業務には精通している。 現在はタレント活動のほか、鉄道関係の専門学校や公立高校で講師をしている。2015年には、「東洋経済オンライン」でライター・デビューし、鉄道旅行雑誌「旅と鉄道」等で執筆活動中。

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