【2017年版】国内外で注目を集める「田んぼアート」。大地に描かれた芸術は圧巻!

2017.08.02 更新

田んぼをキャンバスに見立て、色の異なる稲を使って巨大な絵や字を作り出す「田んぼアート」。まさに大地の芸術といえますが、青森県田舎館(いなかだて)村の田んぼアートはその緻密な作り込みや芸術性の高さから海外メディアにも取り上げられるほど注目され、毎年話題となっています。ちなみに2017年は、過去最高に細かい絵が描かれているとの前評判。期待に胸が高鳴ります!

▲2013年に描かれた田んぼアート「悲母観音と不動明王」

本当に稲だけで表現しているの?過去の名作をまずはおさらい

1993(平成5)年に始まった田舎館村の田んぼアートはこれまでに21のテーマで作品を製作。2012年からは会場を2ヶ所に増設し、毎年2作品を楽しめるようになりました。2016年は国内で大ヒットしたNHK大河ドラマと映画がテーマとなり、「真田丸より 石田三成と真田昌幸」と「シン・ゴジラ」が製作されました。
▲「真田丸より 石田三成と真田昌幸」。山本耕史演じる石田三成と草刈正雄演じる真田昌幸が描かれた(2016年)
▲「シン・ゴジラ」(C)TOHO CO. LTD(2016年)

まるで絵画のように細かく描かれた絵柄はもちろんのこと、近年は背景にもこだわりを見せ、グラデーションで表現されていたり、絵の情景がわかるような作品となっていたりすることも田舎館村の田んぼアートの特徴です。
▲背景までしっかり描かれた「富士山と羽衣伝説」(2014年)。天皇皇后両陛下も見学された

2012年には、和洋のショービジネスをテーマにした「花魁(おいらん)とハリウッドスター」を、道路を挟んだ2面の水田を用いて表現。アニメ放送45周年を記念して作られた2014年の「サザエさん」など、趣向を凝らしたさまざまなテーマに沿った田んぼアートが見物客を魅了しています。
▲大衆演劇の女形・梅沢富美男をモチーフにした花魁(2012年)
▲その隣の水田には、有名なワンシーンをモチーフに描かれたマリリン・モンローが(2012年)
▲「サザエさん」(c)長谷川町子美術館(2014年)

2017年は原点回帰をテーマに

このように毎年話題となる田舎館村の田んぼアートですが、2017年は村民たちの手で題材を決め、老若男女問わず誰もが分かるテーマになりました。第1田んぼアート会場では、日本神話から「ヤマタノオロチとスサノオノミコト」の戦いを描き、第2田んぼアート会場ではおとぎ話「桃太郎」から桃太郎がお供の動物を引き連れて鬼退治に向かうシーンを描いています。
▲「ヤマタノオロチとスサノオノミコト」(2017年7月13日撮影)
▲過去作品の中で最高の細かさを誇るというヤマタノオロチ
▲桃太郎(2017年7月13日撮影)

1番の見ごろは7月中旬~8月中旬あたりですが、見学は稲の収穫前の10月10日まで可能。稲穂が色づいた田んぼアートもセピア色のような味わいがあり、また違った見え方になります。
▲夏と秋では見え方に変化がある(2015年9月下旬撮影)

さらにもう1つ、写真では伝えきれない魅力を紹介します。それは、風に揺られて動く稲穂によって田んぼアートも動いているように見えること。こればかりは現地で見てみないと分からないですね。
▲稲穂が揺れると絵が動いているように見える

さらに石のアートにも新作が登場!

第1田んぼアートは村役場が見学会場となります。この会場には、2016年に「4階展望デッキ(大人300円/小学生100円)」が新設され、城の形をした「6階天守閣展望台(大人200円/小人100円) 」に代わってメイン会場となりました。一方通行だった6階に比べ、より多くの人に見やすい環境となりました。
▲4階屋上展望デッキ

一方、第2田んぼアートは、第1田んぼアート会場から東に2kmほど離れた道の駅いなかだて「弥生の里」内にあり、高さ約14mの「弥生の里展望所(大人300円/小学生100円)」から見ることができます。
▲第2田んぼアート会場「弥生の里展望所」

「弥生の里展望所」では田んぼアートのほか、近年新たに作られた「石のアート」を見ることができます。
石のアートは色の異なる4種の小石で描かれた作品で、2015年7月に第2田んぼアート会場の横に作られました。
▲高倉健さんの石のアート(2015年)

2015年の石のアートは、2014年11月に亡くなった俳優の高倉健さん。青森を舞台にした映画『八甲田山』に出演した縁がきっかけで描かれました。さらに2016年には、石原裕次郎さんの石のアートが描かれました。田舎館村長自ら石原プロダクションに直談判して実現したとか。
▲石原裕次郎さんの石のアート(2016年)

そして2017年、高倉健さんの跡地を利用し、イギリスの公妃「プリンセスダイアナ」が新たに描かれました。赤く塗られた石を使ったという胸元のバラと唇が特徴で、在りし日の美しい姿が見事に表現されています。
▲「プリンセスダイアナ」(2017年)

石のアートには、田んぼアートで培われた測量の技術やノウハウが活かされています。大地という大きなキャンバスに描かれたアートの迫力はぜひ現地で体験してほしいものです。

田んぼアートの裏側とさらなる取り組み

田舎館村の田んぼアートは村興しの一環として、1993(平成5)年から始まりました。村の主幹産業として長い歴史を持つ稲作を使った観光コンテンツを作ろうと、スタート当初から村民の手で田植えを行い、絵柄も村民たちが考え、少しずつ進化させてきました。
▲田植えや稲刈りは地元ボランティアを中心に手作業で行う。後方の建物は村役場

現在では、ボランティアの田植え参加者の公募には県内外から応募があり、その影響力の大きさから、さまざまな企業や団体から絵柄にしてほしいというオファーがあると言われています。2017年は原点に帰って村民たちの手でテーマを決定しましたが、2016年のテーマも2015年の夏ころからすでに依頼があったそうです。
▲2016年の絵柄を発表する田舎館村長(2016年4月撮影)

さらに2016年からは、第2田んぼアート会場の再活用として「冬の田んぼアート」が製作されています。雪原を踏み固めて描くというアートを手掛けるのは、世界的に活動し、各地でスノーアートを製作するイギリス出身のサイモン・ベックさん。

ライトアップされたスノーアートは世界初であり、幻想的な光と影の作品となっています。
▲スノーアートの陰影を強調するライトアップ(ライトアップはスノーアートのみ)

いかがでしたか?田んぼアートは農業のおもしろさを伝えるだけでなく、見る人を魅了し、毎年多くの人を呼び込める観光コンテンツとして青森を代表するものになりました。大地に描かれた芸術をぜひその目で確かめに来てみてください!

最後にアドバイスを。ケータイのカメラでは田んぼアートが大きすぎて1枚に収めることが難しいため、パノラマ撮影をおすすめします。
▲パノラマ写真であれば1枚の写真に収めることができる (c)円谷プロ

※価格は全て税込です。
くどうたける

くどうたける

東京でウェブライターを経験し、2012年に青森へ移住。地域新聞や地域の情報を発信するお仕事をいただきながら、田舎でせっせと暮らしてます。(編集/株式会社くらしさ)

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