日本のうなぎ文化の中心地!長野県諏訪湖周辺のうなぎの名店4選

2016.07.28 更新

長野県一の広さを誇る諏訪湖。古くからうなぎの漁獲量が非常に多く、周辺には現在もうなぎ専門店が軒を連ねています。しかもこの辺りは、蒸し焼きの「関東風」と地焼きの「関西風」の店が混在していて両方の味わいが楽しめます。そんな”日本のうなぎ文化の中心地”といえる諏訪湖周辺のうなぎの名店をご紹介。土用の丑の日はおいしいうなぎを食べて、暑い夏を乗り切ろう!

専門店が多く、手頃な価格でうなぎが楽しめる名産地

昭和30年頃まで天然うなぎが豊富に獲れ、高い漁獲量を誇っていた諏訪湖。周辺の諏訪市、下諏訪町、岡谷市には現在でも多くのうなぎ専門店があり、それぞれの店舗で伝統の味が受け継がれています。

中でも岡谷市は、うなぎ専門店同士で発足した「うなぎのまち岡谷の会」が存在し、飲食店だけでなく持ち帰り専門の川魚店も数多くあるうなぎの激戦区。個性豊かな店が多いので、食べ比べするのもおもしろいですよ。
▲店ごとに、それぞれ違ったスタイルが確立している諏訪湖周辺のうなぎ店

関東風と関西風、さばき方と焼き方に違いあり!

ところで、うなぎの調理法には「関東風」と「関西風」があるのをご存知ですか。その違いは、さばき方と焼き方。

まずさばき方は、「関東風」が背開きで「関西風」が腹開きです。一説によると、うなぎが庶民の味として親しまれるようになった江戸時代、武家社会だった江戸では「切腹」を連想させることから背開きとし、商人が多かった上方では「腹を割って話す」意味で腹開きになったとか。

また、焼き方は、関東では蒸してから焼く「蒸し焼き」で、関西では蒸さずに焼く「地焼き」です。「関東風」のほうが余分な脂が落ちて皮も身も柔らかくなるため、上品でしっとりとした味わいになるのに対し、「関西風」はそのまま焼き上げるので、皮はパリパリで身はふっくらし、関東風とはひと味違ったおいしさが味わえるとのこと。
▲うなぎを蒸さずにそのまま焼く「関西風」。一度素焼きをした後、くり返しタレを付けてじっくりと焼き上げます

そんな「関東風」と「関西風」の両方のうなぎ文化が、中山道と甲州街道の合流点である諏訪には根付いているのです。

まずは東西両タイプのうなぎ店が混在する諏訪エリアへ

うなぎ店が集中しているエリアは大きく2つに分けられます。1つは、「関東風」と「関西風」のお店が混在している諏訪市や下諏訪町エリア。もう1つは、さばき方は「関東風」、焼き方は「関西風」の岡谷市エリア。
そこでまずは、下諏訪町で「関東風」と「関西風」のそれぞれのお店を訪ねました。

さばき方も焼き方も「関東風」で提供しているお店のひとつが「うなぎ林屋」です。明治26(1893)年に川魚販売専門の「湖水魚店 林屋」として創業し、平成16(2004)年に現在の5代目がうなぎ専門の飲食店もオープンさせました。
▲国道20号線沿いにある「うなぎ林屋」。隣には持ち帰り専門の川魚店「林屋川魚店」があります

脂を落とすために軽く蒸し焼きにしてから焼き上げたうなぎは、食感を残しつつもしっとりとしていてトロッと柔らかい味わい。中でも、代々伝わるタレを使った「蒲焼き」とニンニク塩を使った「塩焼き」の2種類のうなぎがのった「二色重」は、ひとつのお重でふたつの味わいが楽しめる、開店当初から人気のオリジナルメニューです。

なお、すべてのうなぎのメニューには山椒のほかにワサビとネギが添えられています。また、通常は「関東風」で提供されますが、お客さんの好みに応じて「関西風」での提供も可能です。
▲蒲焼きと塩焼きのうなぎが一度に堪能できる「二色重(税込2,470円)」
「関東風」に対して「関西風」を味わいたいなら、下諏訪町の住宅街にあって地元の人のみぞ知る穴場的な存在の「うな富」へ。家族で営む大衆食堂のような雰囲気ながら、地元の食通から「おすすめの店」として名前が挙がることが多い名店です。
▲住宅街の細い路地の先にある「うな富」。富所博司(とみどころひろし)さんご家族が営みます
▲うな重ではなく「丼」で提供されるうなぎは、創業以来、30年以上継ぎ足したコクのある濃いめのタレを使用

こちらのうなぎは、ひと口食べると、パリッとした香ばしい食感の後に、脂がのったジューシーな皮の旨み、そしてふんわりとやわらかい肉厚の身が口の中に広がり、食べ終わるのが残念に思うほど。

価格も手頃で、うなぎ3切れがのった「うな丼(上)」は、小鉢2品と肝吸いが付いて税込2,600円、2切れの「うな丼(並)」は税込1,900円です。
▲店内はカウンターと小上がり3卓のこぢんまりとした雰囲気

「さばきは関東風、焼きは関西風」が岡谷市のスタイル

そしていよいよ独特のうなぎ文化を持った岡谷市へ。「裂きは背開きの関東風、焼きは蒸さずに焼く関西風」という作り方は岡谷ならではのものです。
▲備長炭の直火で焼く岡谷のうなぎ。甘めのタレも特徴です

そんな岡谷の中でも、天竜川の源である「釜口水門」のすぐ脇にあり、庶民的な雰囲気で地元の人に親しまれているのが「うなぎの館 天龍」です。注文を受けてから焼き上げるうなぎは、皮はパリッと香ばしく、身は表面をカリッと仕上げながらもジューシーでやわらか。タレとの相性が抜群です。それに、うなぎもごはんもボリューム満点!
▲「うな重(税込3,500円)」。お重の蓋を開けると香ばしいタレの香りが立ち上がり、同時に照りのあるうなぎが現れてテンションが上がります!

また、すべてのうなぎのメニューに付く吸い物は、プラス100円で肝吸いに変更できます。肝吸いには、炭で炙った香ばしい肝が入っているのもこの店の特徴です。そのほか、「お子様用うな重(税込1,800円)」もあります。デザートには、タレを使った「うなぎアイス(税込300円)」なるメニューもあるのでぜひチャレンジしてみたいですね。

カウンター席がある店内は、一人でも入りやすい雰囲気なので、取材時も開店と同時に多くの一人客が来店していました。
この道20年となる店主の今野利明さんは、「小細工を一切しないこと」が信条だそうです。
▲今野さんは、「うなぎのまち岡谷の会」の会長も務めています
一方、落ち着いた雰囲気で人気があるのが、高級料亭のような佇まいの「御うな 小松屋」です。うなぎは天然に近い露地池養殖で育ったものの中から、その時期最高品質のものを熟練の職人が厳選。中でも、薬味を添えたりお茶漬け風にしたりと3通りの食べ方が楽しめる「御うなまぶし」は人気のメニューです。ひと口サイズにカットされたうなぎは、ほどよい香ばしさがありながらもふんわりと柔らかくて上品な味わい。甘めながらくどさがないタレは、大正5(1916)年の創業以来継ぎ足して使っているそうです。
▲「御うなまぶし(上・税込3,600円)」。量が少なめの「御うなまぶし(お手軽・税込2,500円)」もあるので、少食な人や子どもにもおすすめです
▲定番の「うな重(上・税込3,200円)」には、肝吸いのほかにワカサギの甘露煮やイナゴの佃煮などの先付けが付きます

川魚の佃煮や甘露煮の販売店として創業し、作りたてのうなぎ料理を提供したいという思いから、平成19(2007)年にオープンした「御うな 小松屋」。店内は小上がりもイス席になっていることから、年配者も利用しやすい造りです。
▲個室もあるので、さまざまなニーズに合わせて利用することができます

土用の丑は夏だけじゃない!岡谷には「寒の土用丑の日」も

日本には昔から夏場の「土用の丑の日」にうなぎを食べる風習がありますが、「土用の丑の日」は、春夏秋冬それぞれの季節にあるのだとか。しかも、実はうなぎの旬は、寒い時期を乗り越えようと脂をたくさん蓄える10月から12月の冬場なのだそう。

そこで、岡谷市では旬である冬にこそうなぎを食べようと、毎年1月最終の丑の日を「寒の土用丑の日」と定め、2月には「岡谷寒うなぎまつり」を開催しています。栄養価が高いうなぎは、夏バテ防止だけでなく厳冬期を乗り越えるスタミナ増進にもよいとされている食材。そんなうなぎを夏も冬も楽しめるのは「うなぎのまち」岡谷ならではです。

諏訪湖周辺には、今回ご紹介した4店舗以外にもたくさんのうなぎ店があります。「関東風」と「関西風」だけでなく、夏と冬のうなぎを食べ比べてみるのも、この地域の粋な楽しみ方ですね。
島田浩美

島田浩美

編集者/ライター/書店員。長野県出身・在住。信州大学卒業後、2年間の海外放浪生活を送り、帰国後、地元出版社の勤務を経て、同僚デザイナーとともに長野市に「旅とアート」がテーマの書店「ch.books(チャンネルブックス)」をオープン。趣味は山登り、特技はマラソン。体力には自信あり。(編集/株式会社くらしさ)

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