口いっぱいに広がる黒糖の深みが病みつきに!沖縄黒糖スープカレー/全国カレー巡礼の旅Vol.28

2016.07.08

今や世界中で愛されるカレー。しかし、カレーの世界というのは奥深いもの。この企画では、カレーの第一人者・井上岳久先生と、私、カレー初心者ライター・井上こんの“ダブル井上”で全国の名店カレーを食べ歩き、先生の解説とともに地域性や歴史背景も交えてさまざまなカレーを紹介していきます!

前回は福岡市のお洒落スポット、薬院のビアバルから店主渾身の「牛スジビールカレー」をご紹介しました。さて、今回はどんなカレーが登場するのでしょうか?

【Contents】

1.沖縄名物のアレ?なさそうでなかった意外な組み合わせ
2.陰の立役者、黒糖の働きっぷりとは

「拝啓ぐるたび様 いちカレー好きとしていつも楽しく拝見しております。これまで関西、九州、北海道と各地を飛び回っておられますが、我が沖縄のカレーもなかなか負けていないものと……(以下略)」
というお便りが編集部に届いたかどうかはさておき、沖縄ラヴァ―のみなさまお待たせいたしました!今回は本連載初となる沖縄上陸の巻です!沖縄グルメといえば、とかくゴーヤや沖縄そばあたりのイメージが先行しがち。け・れ・ど!ありました、ありました、そんじょそこらじゃ食べられないカレーが!(上写真は「北谷アメリカンビレッジ」)

1. 沖縄名物のアレ?なさそうでなかった意外な組み合わせ

今日のお店は、沖縄本島の中部に位置する北谷町のアラハビーチ沿いにある「沖縄黒糖カレーの店 あじとや」さん。2012年オープンの泡瀬店(本店)、2号店の首里城店、そしてここ北谷町店の3店舗を展開する、沖縄では珍しいスープカレー専門のお店です。

「スープカレーというのは具材とスープにご当地の特色が表れるんだよ。寒いところで食べるイメージが強いスープカレーが、常夏の沖縄でどのように変化しているのか、楽しみだね!」(井上先生)
オレンジと緑の陽気カラーな壁にラタン調家具、店内はゆったり南国らしい雰囲気。なんといっても素敵なのが、窓の向こうのどこまでも続く海、海、海!
文句無しのオーシャンビューを前にいただくのは一番人気、あじとやグリルドチキンカレー(税込980円)。聞けば、こちらのカレーには沖縄産黒糖を使われているそうな!

と、ここで浮かぶはある疑問符。はて、北の大地で生まれたスープカレーと沖縄名物の黒糖……なさそうでなかった南北タッグとはこれいかに?
そのカギを探ると、なんとオーナーの山崎憲次(けんじ)さん、沖縄から約3,000km離れた札幌生まれ札幌育ちと生粋のミスター道産子というじゃありませんか!沖縄に移住する前は、札幌に本店を構えるスープカレーチェーン店「lavi」のプロデュースなどを手がけられていたそう。一方でサーファーとしての顔もお持ちで、愛する波を求めて南下し続けた結果、ついに最南県で大好きなカレー店を立ち上げてしまったというわけ。いわば沖縄におけるスープカレーの伝道師のような存在!

でも、なんで黒糖を?
「沖縄では家庭でも黒糖をよく使うそうなんです。どうせなら沖縄らしさのあるカレーを作りたいと思って」(山崎さん)。
ちなみに、店名の「あじとや」とはご家族の名前を一文字ずつ取って組み合わせたものだそう。沖縄の暑さも吹っ飛ぶハートウォーミングな由来が素敵!

2.陰の立役者、黒糖の働きっぷりとは

さっそくいただきます!
さて、肝心の黒糖のお味。「どうせ甘いだけでしょ?」なんて思ったあなた、今すぐ南に向かって謝罪!

特徴的な甘みが、豚骨と鶏ガラから抽出したブイヨンに奥行きを生み、さらに対比効果によりスパイスの輪郭も引き立たせ……と、黒糖ったらまあよく働く子でして!それでいてしゃしゃり出た印象などみじんもなく、まさに隠し味の鑑。
「のどの奥でパチパチとした辛み、そして口いっぱいに黒糖のコクを感じるね。スープカレーってあっさりしがちだけど、黒糖が全体に深みを持たせています」と井上先生も太鼓判!

さらに、7種類のスパイスには香りの強いスリランカ産の有機栽培ものを中心に使用する一方で、ウコンのみウッチンと呼ばれる沖縄産を使っているのがポイント。
井上先生「いや~、沖縄のウコンはやはり特徴的な香りだね!大地のような力強さというか……」
こん「たしかに!野生的でパワフルなんだけど、ほかのスパイスとも調和しているのがまたすごいですね(明日元気になりそう!)」
ウッチンの出番はこれに留まらず。下茹でした鶏モモ肉にもたっぷりのウッチンを塗り込み、皮がパリッとなるまで焼き上げれば、ジューシーな繊維質を噛むほどに土っぽい香りがふわりと放出され、チキンだけでいただいてもたまらな~く美味。下に敷かれたライスももちろんウッチンと一緒に炊き上げたもの。やや固めのそれをカレーに浸したときの一体感ときたら!

あぁ今日もおいしくいただいてしまいました。では、カレー格言にまいります!
井上先生「カレー進化論!カレーはその地の環境に合わせ、無限に進化!」

こん「北国生まれのスープカレーが黒糖でReborn!」

北のカレー料理人と南の特産=黒糖が出会って生まれた黒糖スープカレー。いやはや、あらためてカレーの柔軟さを思い知りました!

井上先生「2002年にブームになる前は、スープカレーのお店は札幌周辺にしかなかったものなんだよね。それが今、全国を駆け巡って沖縄まできていることに、スープカレーを全国に広めた立場としては感慨深いものがあるね!」
最後は沖縄三線とカチャーシー(沖縄の手踊り)で過去最高にやんちゃな締め写真で。あじとやさん、ありがとうございました!
井上こん

井上こん

1986年生まれのフリーライター。「Yahoo!スポーツナビDo」「SPA!」「nomooo」「ウートピ」などのWEBメディアや雑誌「散歩の達人」などで執筆。

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