一人一人の体質に合わせた究極のカウンセリングフード!?沖縄薬膳カレー/全国カレー巡礼の旅Vol.29

2016.07.22

今や世界中で愛されるカレー。しかし、カレーの世界というのは奥深いもの。この企画では、カレーの第一人者・井上岳久先生と、私、カレー初心者ライター・井上こんの“ダブル井上”で全国の名店カレーを食べ歩き、先生の解説とともに地域性や歴史背景も交えてさまざまなカレーを紹介していきます!

前回は、北海道生まれのスープカレーが沖縄らしく進化した「黒糖スープカレー」をご紹介しました。さて、今回はどんなカレーが登場するのでしょうか?

【Contents】

1.健康界最強ファミリー?身体を整えるカレーとは
2.お客さんの数だけ種類がある 食材が主役のカレーを一部ご紹介!

「なんとなくだるい」「風邪をひきやすい」――多くの方が抱える身体にまつわる悩み。私めもご多分に漏れず「寝つき寝起きともに悪い」とザ・現代人な悩みを持つのですが、今回はそんな身体の不調を薬膳の力で整えようという、その名も「薬膳カレー」の登場です!

ご存じ、カレーはさまざまな効能のスパイスを配合して作るもの。それ自体が健康食ひいては薬膳といえますが、さらに東洋医学やアーユルヴェーダといった伝統医学の考えに則ってスパイスを調合するお店も続々登場中!今回ご紹介する「羅針盤」(沖縄県沖縄市)もそのひとつ。

1. 健康界最強ファミリー?身体を整えるカレーとは

「羅針盤」を営むのは久場(くば)一家。薬剤師のお父さまと栄養士のお母さま、さらに長男、長女、次女がそれぞれ薬剤師、調理師、薬膳コーディネーターの資格を持つ健康界最強ファミリー(勝手ながら呼ばせていただきたい!)です。昼間はカフェ、夜は居酒屋として営業しています。
本日ご紹介する「薬膳プレート」(税込1,500円~1,700円)はスープ、前菜3種、ワンプレートに盛られた各種野菜とカレー2種、デザート、とコース仕立ての完全予約制。というのも、身体の悩みについてのカウンセリングシートを事前に送り、薬剤師の長男・良亮(よしあき)さんが東洋医学の観点から体質改善表を作成、それを基にお客さん別のコース内容が決まるシステムだから。

「カレーは健康によいと言われているけれど、一人一人の体質に合わせるとなると、ありそうでないんだよね。こちらはカレーツウでも知ってる人が少ない、とことん健康にこだわったお店です!」(井上先生)

ここで「東洋医学ってなんぞ?」という読者のために一行紹介風に説明すると、東洋医学とは“体調や全身の状態からその人の体質(=証)を見立てる”もの。病気だけを治療する西洋医学と異なり、より総合的に健康にアプローチするといいましょうか。
「うちの薬膳プレートは『医食同源』の考えに則り、その方向けに用意した食材が主役です。それらを32種類のスパイスと組み合わせてお作りするオーダーメイドなので、お客さまの数だけ種類があるといえますね。また、ここで召し上がるだけではなく毎日の生活にも取り入れていただけるよう、お渡しする体質改善表には適切な食材と同時に控えた方が良いものも合わせて50種類以上を細かく記しています」(良亮さん)
というわけで、井上先生と私が事前にお伝えしておいたカウンセリングシートを基に作っていただいた体質改善表を拝見!どれどれ、「寝つき寝起きともに悪く、やや過食気味(※他、恥ずかしくて書けない内容のため自粛)」な私の身体には、東洋医学的にどんな食べ物が合っているのだろう?

「こんさんの場合、陰陽のバランスが崩れた“陰虚”という証ですね。野菜ならトマト・きゅうり・きのこ類、魚介類ならヒラメ・カレイ・サバあたりがおすすめです。体質改善表には他にもたくさんの食材を載せているので、ぜひ食生活に取り入れてみてくださいね」(良亮さん)

2. お客さんの数だけ種類がある 食材が主役のカレーを一部ご紹介!

ここからは井上先生と私向けに作られたカレーをご紹介します。
まずは井上先生のプレートから。

レンコンやパプリカ、キノコソテーなどたっぷりの野菜に沿えられたカレーは「ひよこ豆とレンズ豆のカレー」(右)と「バターチキン」(左)の2種類。スパイスは、インドでのスパイス修行の経験も持つ次女で店主の美咲さんが現地で仕入れたオーガニックのものを使用します。
一方こちらは私のプレート。右側は井上先生と同じ「ひよこ豆とレンズ豆のカレー」ですが、左側が「マッサマンカレー」に。野菜のメンツも若干異なります。ちなみにマッサマンカレーとはタイカレーのひとつで、ココナッツのまろやかな味わいが特徴。いずれのプレートも雑穀米つきで、カレーをソースのように野菜にかけながらいただくそう。
ちなみに上写真の「日替わりカレー」(税込950円、夜のみ)なら予約なしでもOK。ラインアップはスリランカカレー、グリーンカレー、南インドカレーなど計7種類で、この日は豆カレーでした。
さて、それでは体質に合わせた究極のカウンセリングフード、心していただきます!
井上先生「うん!このバターチキン、スパイスがきれいにまとまっていて優しい印象だなぁ。嫌な尖りがまるでないよ。それに、カレーをソースのように使うっていうのもなかなか珍しいアイデア。こんさんのマッサマンはどう?」
こん「ココナッツとスパイスが絶妙に調和していて、辛さもあるんですがコクや甘みも広がりますね。こっちの豆カレーは、動物性素材を一切使わず昆布だしで仕上げたとあって、優しく沁みますね~!どんな野菜にかけてもマッチする万能型選手です!」
参考までにスープと前菜3種の一例もご紹介。カレーだけでなく、ほかの料理もすべてカウンセリングに基づいた仕立てです。
一例をご紹介すると、スープはビーツと豆乳仕立て、前菜は左から山芋と昆布の和え物、沖縄野菜・ハンダマの酢味噌がけ、切干し大根とキクラゲの和え物といった具合。いずれもカレーに向けてお腹が整うような過不足のない上品な仕上がりです。
そして、デザートにはフェンネルを混ぜ込んだスコーンやキンカンの蜂蜜漬け、有機ハーブをブレンドしたハーブティーが登場。(ハーブティーまで個人に合わせる徹底ぶり、お見事!)

さぁて、薬膳コースをたっぷり堪能したところで、本日のカレー格言へまいります!
井上先生「新しいカレーの境地を見つけたり!食材に合わせた味付け用カレー、しかも薬膳!」

こん「東洋医学に開眼!身体と心に向き合うカレー」

東洋医学の観点から、個人の体質(証)に合う食材やスパイスを取り合わせた薬膳プレート。1,500円の範疇をとうに超えるラインアップと丁寧なお仕事は脱帽モノです!
羅針盤さん、ありがとうございました!

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。

井上こん

井上こん

1986年生まれのフリーライター。「Yahoo!スポーツナビDo」「SPA!」「nomooo」「ウートピ」などのWEBメディアや雑誌「散歩の達人」などで執筆。

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