旭川ラーメンを食べるなら行くべし!とっておきの店3選

2016.08.19

旭川ラーメンは、北海道旭川市のご当地ラーメン。旭川ラーメンの主流は中太ちぢれ麺のしょうゆ味で、豚骨や鶏ガラなどのスープと魚介系スープをあわせたダブルスープに、たっぷりの脂が浮いているのが定番スタイルです。旭川市内に多数ある旭川ラーメン店の中で、ここは外せないというお店を3店紹介します。

▲旭川ラーメンの老舗、「旭川らぅめん青葉」の正油らぅめん

旭川ラーメンが誕生したきっかけは諸説ありますが、一般的には戦後間もない頃に誕生したと言われています。1947(昭和22)年に、市内中心部で屋台としてスタートした「旭川らぅめん青葉」と、同年にアイスクリーム屋から転身した「蜂屋」が、旭川ラーメンの老舗の店。ここから、旭川ラーメンの定番スタイルが市内に広まっていったとされています。
▲「蜂屋」のしょうゆラーメン。スープ表面が脂で覆われているので、できたて熱々でも湯気があまり立たないのが特徴的

両店とも中太ちぢれ麺で、しょうゆ味のダブルスープ。スープの上をたっぷりの脂が覆っています。旭川市は真冬には氷点下30度近くまで気温が下がることもある寒冷地なので、寒い日でもスープが冷めにくいようにと、表面を脂で覆うスタイルになったと言われています。

ラーメンのスタイルは同じでも、味わいは似て非なるもの!もちろん素材や作り方も各店独創的です。
今回は老舗の2店と、新進気鋭の1店を巡ってみました。

正統派旭川ラーメンを貫く「旭川らぅめん青葉」

▲「旭川らぅめん青葉」の正油らぅめん(税込750円)。大きな焼き海苔に、旭川らぅめん青葉という文字とタコのイラストが描いてあるのがトレードマークです

「旭川らぅめん青葉」は市内に2店舗あります。旭川駅から徒歩5分の市街地にある本店と、郊外にある「あさひかわラーメン村」内にあるラーメン村店です。今回は本店へ訪れました。
▲オレンジ色の暖簾が目印、極寒の真冬でも外に行列ができる日もあります

終戦後に誕生したバラックの中で、初代の村山吉弥(きちや)さんが1947(昭和22)年に屋台で営業を開始、ほどなくして現在の店舗から数百メートル北の雑居ビルに店舗をかまえました。
その後、息子の村山敏久さんが店を継ぎ、1989(平成元)年に現在の場所へ移転しました。
▲店内は厨房を囲むようにカウンター席があり、壁際に小さなテーブル席があります

現在は初代の孫、三代目の村山有一さんが跡を継ぎ、二代目とともに暖簾を守っています。
▲二代目の村山敏久さん(右)と三代目の有一さん(左)

初代が築き上げた味を三代にわたり継承し、スープは創業当時から継ぎ足しで使用し続けているそうです。70年近く続く伝統のスープは、海の幸と陸の幸からとったスープをミックスしたダブルスープ。沸騰させずに弱火でじっくりと、一昼夜かけて煮出しています。
▲茹で加減をチェック。伝統の味、最高の一杯を提供するため、気さくに話をしつつ目は真剣!

旭川ラーメンの麺の定番は、中太のちぢれ麺。少加水麺なのでスープを吸収しやすいうえ、縮れているためスープが絡みやすいのが特徴です。「旭川らぅめん青葉」も創業以来ちぢれ麺を使用しています。
▲白っぽい色をした麺が印象的。スープの上は、やはり煮出した出汁の脂が覆っています

スープをひと口すすると、しょうゆの風味がやさしくまろやかで、魚介の風味がほんのりと鼻に抜けていくような味わい。表面を脂が覆っていてこってりしていると思いきや、意外とさっぱりとした印象です。スープが濃く感じたら、薄めに調整もしてくれるそうですよ。
麺は歯切れがよく、スープによく絡みます。まるでスープを麺で食べるような感覚!?
▲最後まで熱々!フーフー言いながら、ズルッと一杯いただきました!

創業当時の味を頑なに守り続ける老舗の店。今では市民のほかに国内外から観光客も多数訪れる、行列ができる人気店です。旭川ラーメンとはなんぞやと思う方は、まず「旭川らぅめん青葉」に!通の方は、「正油らぅめん」のほか、塩や味噌もお試しあれ。

焦がしラードの力強い味わいにこだわる「蜂屋」

▲「蜂屋」のしょうゆラーメン(税込750円)。味とともに見た目も濃厚な色あいのスープが特徴です

「蜂屋」は市内に2店舗あり、旭川駅から徒歩10分ほどの旭川五条創業店と、旭川四条駅から徒歩5分ほどの旭川本店です。今回は旭川本店を訪ねました。
▲店の脇には駐車場もあり、街中ながらアクセスしやすい立地です
▲店内は大衆食堂のような佇まいで、昔懐かしい雰囲気です

「蜂屋」が創業したのは、1946(昭和21)年。初代の加藤枝直(えなお)さんが、アイスクリーム屋として店を開きました。当時は戦後直後のため、砂糖が配給制で手に入りにくかったことからハチミツを使ったアイスクリームを販売していました。「蜂屋」という店名の由来はここからきています。
▲店内で販売しているはちみつアイスクリーム(税込300円)。さっぱりした味わいでラーメンのシメにピッタリ!

創業して間もない頃、近隣に住む大陸からの引揚者に教えてもらった中華そばをアレンジし、自分なりに試行錯誤してラーメン作りを始めたそうです。

旭川周辺は養豚業が盛んだったため、タダ同然でもらえた豚骨でスープ作りをしたものの、臭みが強かったので海産物のスープを足してみようと試作を重ねました。タイ、アジ、煮干などいくつかの素材を試していくうち、豚骨スープにタイとアジのスープをミックスしたダブルスープが完成しました。
▲お店の成り立ちを語る息子で二代目の加藤直純(なおすみ)さん。「蜂屋」の代表で、本店を切り盛りしています

「蜂屋」のスープは、単に2つのスープを煮出して合わせているだけではありません。豚骨スープも、魚介系のスープも、スープをとったら巨大な水槽で一晩冷やし、浮いてきた脂や不純物を取り除いているそうです。
▲店舗裏の工場内にある水槽。地下水が絶えず注がれ、ここでスープを冷やしています。ミネラルや鉄分が多いという地下水、スープの水にも使用しています

ひと手間かけたスープ、これでもまだ物足りなく感じたため、ラードを加えてみたそうです。しかし、脂がスープの上に蓮の葉のように散らばり見栄えが悪く旨みも少ないので、さらにひとひねりしました。
これが、「蜂屋」独特の焦がしラードです。背脂と鰹節のダシを混ぜて炙り、コールタール状にドロドロにしてからさらにラードと混ぜて、これをスープの上に浮かべています。
▲麺も自家製。添加物を使わず小麦とかん水のみで、毎日使う分だけを店舗裏の工場で作っています

1947(昭和22)年に、焦がしラードが浮かぶ独特なラーメンを提供しはじめるとすぐに人気となり、ほどなくしてアイスクリームの販売をやめ、ラーメン一本で営業を続けてきました。アイスクリームは、創業約60年後に復活販売され、現在では秘かな人気メニューです。
▲超濃厚なスープの色に、真っ白い麺が映えます

スープをすすると、焦がしラードの苦々しくも香ばしい香りと、豚骨とアジの風味がガツンと口の中に広がります。濃厚でかなり強い風味ながら、脂っこさはなくすっきりした味わい。それぞれの旨みが絶妙にブレンドされて、一体感があるスープです。
麺は旭川ラーメン特有のちぢれた低加水麺なので、スープをよく吸い絡みつきます。しだいに麺にもスープの旨みが帯びていくような味わいです。
▲「蜂屋」の味は人により好き・嫌いがはっきり分かれるようですが、私はどハマり!また食べたくなる圧倒的な美味さ!

超強烈なインパクトがある「蜂屋」のラーメン。この味に魅せられて通いつめる人が多いというのも頷ける味でした。

和食の要素を取り入れた「旭川らーめん いってつ庵」

最後の一軒は、旭川駅から旭川市旭山動物園方面へ車で15分ほど進んだところにある、「あさひかわラーメン村」の中にあるお店へ行きました。
▲ショッピングセンター「パワーズ」内にある「あさひかわラーメン村」

「あさひかわラーメン村」は、「旭川らぅめん青葉」をはじめ、旭川ラーメンの名店8軒が並びます。お気に入りのお店で食べてもよいですし、小盛りのラーメンを用意している店が多いので、いくつかのお店を食べ比べして渡り歩くのも楽しいです。

今回はこの中にある一軒、「旭川らーめん いってつ庵」を訪ねました。
▲1999(平成11)年に開店して以来ずっと、「あさひかわラーメン村」に店をかまえています

お店のルーツは、旭川駅近くにあるラーメンを提供している和食屋さん。1999年に店舗を増やし、「あさひかわラーメン村」内に「夢想漣(むそうれん)まつ田」として開店。のちに「いってつ庵まつ田」となり、2014年に独立して「旭川らーめん いってつ庵」となりました。
▲「うちは和食から生まれた旭川ラーメンなんです」と語る店主の山中宣直(のりただ)さん

王道の旭川ラーメンとともに、新たなご当地ラーメンを提供しているということで、今回はその2つのラーメンを作ってもらいました。
▲低加水麺を使用。水分量が少ない麺なので、のびやすくコシがなくなりやすいため、少し硬めに茹でて提供するそうです

他店は一般的に、豚骨などの臭みを和らげ旨みを増すために魚介系スープを使っていますが、「旭川らーめん いってつ庵」は元々和食屋だったので、数種類の素材からとった魚ダシがメイン。アジ、コンブ、煮干、干しシイタケなどからとった魚介系スープと、豚骨と鶏ガラでとったスープを合わせ、一昼夜煮込んでいます。
旭川ラーメンの特徴であるダブルスープですが、魚介系の和の風味が強いのが特徴です。
▲旭川ラーメンの小盛りバージョン、ミニラーメン(正油)(奥、税込400円)と、新ご当地ラーメンの旭川しょうゆホルメン(手前、税込850円)

「ミニラーメン(正油)」は、「いってつ庵」が提供している旭川ラーメン「いってつラーメン」(税込700円)の麺を半分にして、具材をシンプルにしたもの。「あさひかわラーメン村」内で食べ比べ用として提供しているものです。
▲ミニラーメン(正油)は、トッピングがネギのみとシンプル。かけそばならぬ、かけラーメン!?

スープをひと口すすると、しょうゆのやさしい味わいと魚介の香りがふんわりと鼻に抜けていきます。豚骨の力強い味わいも感じますが、まろやかで繊細な和の風味を楽しめます。
▲旭川しょうゆホルメン。スープも麺もミニラーメン(正油)と同じものを使用しているそうですが、味わいは全く別物!

旭川はラーメンの街ですが、養豚業が盛んな地域だったため、戦中・戦後の食糧難時代にホルモンを塩焼きして食べる習慣が根付いた街でもあります。
そこで、市内のラーメン店8店が共同で、2012年から旭川の2大ソウルフードのコラボ「旭川しょうゆホルメン」を提供しています。
▲軟らかいホルモンを、旭川産の香ばしい醤油と国産コラーゲンで煮込み、ラーメンにトッピング

煮込んだホルモンから出るエキスがスープに溶けだし、しょうゆ味のスープがまるで味噌ラーメンのような、まろやかさとこってりさがある味わいとなっています。ホルモンは臭みもなく、軟らかくて歯切れがよく食べやすいです。
▲スープもじっくり飲みたい!ホルモンも味わいたい!麺ものびてしまう前に早く食べたい!どれから先にいこうか悩みつつも、一気に完食!
旭川ラーメンは、ダブルスープのしょうゆベースにちぢれ麺ですが、味わいはお店により千差万別。今回紹介したお店のほかにも、市内には名店と呼ばれているラーメン店が多数あります。
食べ歩きして、さまざまな味わいに巡り合えるのも楽しみ!あなた好みの至極の一杯を探してみてはいかがですか?
川島信広

川島信広

トラベルライター・温泉ソムリエ・イベントオーガナイザー/横浜市出身、札幌市在住。北海道内の全市町村を趣味で訪ね歩くうちに北海道の魔力に惹かれ、都内での雑誌の企画営業と執筆業務を経て北海道へ移住し独立。紙媒体やweb媒体などで主に観光や旅行、地域活性をテーマにした取材執筆と企画・編集を手がける。スイーツ好きの乗り鉄、日光湿疹と闘う露天風呂好き。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP