そうめん発祥の地で、独創的な「三輪そうめん」を味わい尽くそう!

2016.08.26 更新

夏の定番・そうめんの発祥地は奈良県の三輪です。本場・三輪にはそうめんを味わえるお店がいくつかありますが、今回ご紹介するのは、嘉永3(1850)年に創業したそうめんの老舗「池利(いけり)」が直営する「千寿亭」。最高級のそうめんをリーズナブルに味わえるうえ、ここにしかないオリジナリティあふれるメニューがいっぱい。わざわざ食べに行きたくなる、美味なる三輪そうめんをご紹介します。

そうめん専門の食事処、その草分け店へ

そうめんの産地は日本中にありますが、起源は奈良の「三輪そうめん」。
その歴史は今から1200年以上前に遡ります。
桜井市三輪にある日本最古の神社の一つ「大神神社(おおみわじんじゃ)」の宮司の子息が、三輪の土地と三輪山から流れ出る水が小麦の栽培に適していると知ったことから、小麦を育て小麦粉を原料にそうめんを作ったのが始まりといわれています。
 
江戸時代に、お伊勢参りの宿場町として栄えた三輪のそうめんが全国へと伝わり、庶民に親しまれる食べ物として広まりました。
▲そうめん専門の食事処の先駆けとして、今も第一線を走る「千寿亭」

現在、三輪にはそうめんを味わえるお店が点在しますが、その中でも「千寿亭」は、そうめんの有名メーカー「池利」が昭和55(1980)年にオープンした直営店。それまでそうめんを専門に提供する食事処がなく、先駆けとなったお店です。
▲開店当初から変わらない民芸調の店内は落ち着いた雰囲気 
 
千寿亭では、三輪そうめんの中でも、素麺師(そうめんし)と呼ばれる熟練の技を持った名人が作る最高級の手延べそうめんを使用しています。
▲最高級そうめんの「山辺の道」が使われています

細い麺なのにコシがあり、普段食べているそうめんとは食感も味もまったく違うことにびっくりするはず! 
11月から3月の冬の寒い時期に作られることで、歯ごたえのあるコシの強い麺ができるのだそうです。

最高級麺で作る、ユニークなそうめんメニュー

千寿亭のそうめんメニューのラインナップは実にユニークです。
人気の7つのメニューをご紹介していきます。 

まずは、開店当初からの看板メニュー「冷やし三色素麺」。 
風流な竹の器に、通常の白いそうめんと、玉子麺、抹茶麺が盛られた3つの味が楽しめるそうめんです。 
玉子麺と抹茶麺は、50年以上前に先々代の社長が開発した業界初の麺。食材を小麦粉に練りこんで手延べ麺にするのは難しく、画期的な試みでした。
▲「冷やし三色素麺」810円(税込)。つゆにつけてすすれば、玉子と抹茶それぞれの香りがほのかに感じられます

「冷やし三色素麺」に、エビやオクラなど季節の野菜の天ぷらが付く「天ぷら付」もあります。
真ん中には、なんとそうめんの天ぷらが!
茹でる前のそうめんに薄く衣をつけ、油に入れると、花が開くようにぱっと扇形に広がるのだそう。サクッと揚げられたそうめんは、専門店ならではのネタですね。
▲扇状に揚げられたそうめんの天ぷら

天ぷらはそうめんと同じつゆにつけていただきます。カツオ、昆布、アゴ、シイタケからとったキリッとしたつゆに、天ぷらの油が染み出て、食べ進めると旨みが増していきますよ。
▲涼やかな「冷やし三色素麺天ぷら付」1,004円(税込)

三色のそうめんの次は、五色のそうめんが味わえる「五品素麺」です。
文字通り、5種類のそうめんが味わえる贅沢なセットです。しかも、どれもとっても手が込んでいます。
▲「五品素麺」1,641円(税込)

右手前の黄色の麺は、カボチャを練りこんだ温かいそうめん。カボチャをすりおろした白玉が付いているのもユニークです。

左手前はホウレンソウのそうめんを海苔と薄焼き玉子で巻いた一品。そばの海苔巻きはあるけれど、そうめんの海苔巻きは珍しいですよね。
とろろの入ったつゆを絡めていただきます。
▲ホウレンソウのそうめんと玉子の色合いもきれい。上品な味わいです

真ん中は梅そうめん。大根おろしとさっぱりいただきます。

右奥は、トマトを練りこんだ麺をトマトのつゆでいただく、トマト尽くしの一品。麺の横に添えられているのは、カリッと焼いた奈良県五條市の人気豚「ばあく豚」。食感のアクセントになっています。 

左奥は奈良県宇陀市の名産・金ゴボウを練りこんだ、とても珍しいそうめん。ゴボウの香りがふわ~と鼻に抜け、風味、味ともに太鼓判。添えられている金ゴボウの天ぷらと一緒に味わうと一層おいしいです!

次におすすめしたいのが、「3種のつけ汁 彩(いろどり)」。 
美しく盛られた冷やしそうめんに、カツオとシイタケ味、トマト味、くるみ味の3種類のつゆが付いています。
▲「3種のつけ汁 彩」1,166円(税込)。薬味皿には、焼き目を付けて炊いたかしわ(鶏肉)が添えられています   

珍しいトマト味のつゆは、カツオや昆布のダシをベースにトマトを刻んで加えた果肉入り。酸味がちょうどよく、まさにイタリアン!なおいしさで、暑い夏もつるつるっと食べやすいのが魅力です。
一方のくるみ味のつゆもベースはトマト味と同じ和風つゆ。そこにすりおろしたくるみを入れることで、香ばしさが立っています。
3種類それぞれの味を食べ比べしながら楽しめるのが人気の理由です。

続いては、そうめんの定番でもある「ぶっかけそうめん」。  
ですが、こちらはカボチャやレンコン、ジャガイモ、アボカドなどの野菜の素揚げと、香ばしく焼いたばあく豚が盛られた豪華版です。
▲「ぶっかけそうめん」1,188円(税込)。麺が見えないほど具だくさん

野菜をたくさんとれるので、年齢問わず女性に人気のメニューです。

野菜がたっぷり入ったそうめんがもう一つ。焼きそばならぬ「焼きそうめん」です。
▲「焼きそうめん」1,166円(税込)

キャベツやニンジンなど具材も焼きそばと同じで、奈良県のブランド肉・大和肉鶏(やまとにくどり)から出る油でそうめんを炒め、隠し味に白味噌を加えたソースで一気に仕上げます。  
焼きそばよりも麺が細い分ソースが絡みやすく、つるつるっといけちゃいます。最初はそのまま食べて、途中で半熟卵を混ぜて味の変化を楽しむのも◎。
▲刻みネギ、海苔、カツオ節とともに豪快に混ぜて

冬の定番「にゅうめん」は、夏も大人気

続いてご紹介するのは「にゅうめん」。
にゅうめんは「煮麺」と書かれることもある、温かいそうめんのこと。奈良の郷土料理で、特にそうめんの産地である三輪では昔から、晩秋の頃からそうめんをさっと煮たてた「にゅうめん」が食べられていました。

千寿亭でも、開店当初はにゅうめんを知らない人が多かったそうですが、現在では全国的に認知されるように。
温かいにゅうめんは冬に食べるものだと思い込んでいましたが、意外にも夏に食べる人が多いんだそうです!
▲「トマト味噌にゅうめん」982円(税込)。プチトマトのスライス、カリカリに焼いたばあく豚、シメジがトッピングされています   

なかでも、ぜひ味わってほしいのが「トマト味噌にゅうめん」。  
和風だしをあわせたトマトベースのだしに味噌を加えたスープは、酸味と甘みが重なり濃厚な味わい。そこにトッピングされたチーズが溶け出し、まろやかに。  
トマトと味噌とチーズ…、そこにそうめんが絡まることで、今まで食べたことのないにゅうめんになっています!   

さらにもう一つ。ユニークなにゅうめんがあります。「豆乳あんかけにゅうめん」です。
▲「豆乳あんかけにゅうめん」1,166円(税込)

ん?麺が見えない…。  
それもそのはず。スープの中には長い麺ではなく、刻んだそうめんが入っているんです。それがとろみとなって豆乳のスープと絡まり、「あん」のようになっていることから「あんかけにゅうめん」と名付けられました。

手前に浮かんでいるのは、ご飯の中に刻んだタコを入れて焼いたおやき。これまたとっても珍しい組み合わせですよね。おやきは香ばしく、とろ~り優しい風味の豆乳ともマッチしています。

「にゅうめんを頼まれるのは、女性の方が多いです」とホール係の森本ひろみさん。冷房の効いた部屋で食べるあったかいにゅうめんって、おいしいですもんね。
▲「湯がきたてのそうめんは本当においしいですよ」と森本さん

店内では、そうめんの販売も行っています。
店内でいただいたそうめんと同じ商品も販売しているので、おみやげに贈答にぜひ。
▲左手前の麺つゆ「素麺つゆ瓶」432円、「素麺つゆ缶」216円。そうめんは手前から時計回りに、トマト・カボチャ・ホウレンソウを練りこんだ「野菜を使った三輪素麺」780円、吉野葛を練りこんだ「葛そうめん」540円、「三色三輪素麺」540円、「国内産小麦使用三輪素麺」540円、「三輪素麺」330円。すべて税込   

個人的におすすめなのが、小さな木箱入りのそうめん。9kg入りで販売されている大きな木箱のミニチュア版で、9束入り。 
ディスプレイするだけでも可愛いので、奈良のおみやげとしてプレゼントすると喜ばれます。
▲「“9束入り”小さな素麺箱」1,300円(税込)

本場のそうめん尽くし、いかがでしたか。
そうめんのことを知り尽くした老舗そうめんメーカー直営だからこその魅力的なメニューばかりです。 
ぜひそうめん発祥の地へ、変わり種そうめんを味わいに来てください。
白崎友美

白崎友美

奈良の編集制作会社EditZ(エディッツ)の編集者。大阪、京都で雑誌や通販カタログなどの制作を行い、現在は居住する奈良県に軸足を置き、奈良の観光関連のガイドブックやホームページなどを制作。自社媒体の季刊誌『ならめがね』にて、「ユルい・まったり・懐かしい」奈良の魅力を発信している。

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