盛岡名物・じゃじゃ麺の元祖、「白龍」へ

2015.06.17

お皿いっぱいに盛り付けた平打ちうどん。その上には刻んだキュウリと長ネギ、肉味噌が乗り、おろしショウガと紅ショウガが添えてある。インパクトたっぷりの「じゃじゃ麺」は盛岡のソウルフードの一つ。創業62年を数える「白龍(パイロン)」が発祥だ。

盛岡城下で、戦後に生まれた商店街。

岩手県の県庁所在地・盛岡市。その中心部にある内丸界わいは、県庁や市役所などが並ぶ官庁街だ。「白龍」があるのは、その官庁街と道つづきの桜山商店街。南部藩の守り神・桜山神社の参道沿いにある昭和レトロな飲食店街で、観光客にも人気だ。
ここは、第二次世界大戦後、引き揚げ者たちが集まってヤミ市が開かれた場所。小さな飲食店が軒を連ねるノスタルジックな空気、時代を感じる看板や店構え、ノラ猫がよく似合う路地裏……。日常のなりわいを積み重ね、今に続いている。

そんな懐かしい横丁の雰囲気に誘われて、皆、昼どきの息抜き、あるいは仕事を忘れる一杯を楽しみにやってくる。サラリーマンも、女性たちも、若者も―。

週末には観光客も多く、中でも、盛岡名物・じゃじゃ麺発祥の店「白龍」は、開店前から行列ができるほどの賑わいだ。

じゃじゃ麺ってなに?

じゃじゃ麺のルーツは、中国の家庭料理「ジャージャー麺」とのこと。「白龍」の創業者、故・高階貫勝さんが、第二次世界大戦時に旧満州で食べた、茹でたうどんに肉味噌や野菜などをのせた料理を再現したのがはじまりだ。戦後の盛岡で手に入る素材を工夫しながら、盛岡の人の舌に合うようにつくりあげた味。

観光ガイドなどで取り上げられる機会が増え、ここ何年か、じゃじゃ麺を提供する店も大分多くなった。しかし、元祖の味に慣れ親しんだ盛岡人の中には、単なるじゃじゃ麺好きを超えた「白龍」フリークも少なくない。
常連さんにはギョウザも人気。夕暮れ時には、ビールと一緒に味わいたい。麺は注文をいただいてから、約13~15分でじっくりゆで上げる。

味の仕上げは自分流に。

さて、このじゃじゃ麺。食べ方が実に面白い。湯気がほのかにあがるうどんを、とにかく大胆にかき混ぜて食べる。この時、好みで酢・ラー油・おろしニンニクなどを加え、自分流にカスタマイズするのも楽しみのひとつ。
「白龍」秘伝の肉味噌は化学調味料を一切使わず、しょっぱすぎず甘すぎず。調味料と合わさって生まれる味の奥深さは、食べてこそわかるのだ。味噌が麺にからむようによく混ぜたうどんは、食べる回数を重ねるごとにハマっていく。

そして、最後の楽しみが「チータンタン(通称チータン)」という卵スープだ。少し残しておいた具と麺を脇に寄せ、自分で卵を割りほぐしたら、お店の方に「チータンお願いします」と声をかける。麺のゆで汁と肉味噌、ネギ、ショウガを追加してもらえば、チータンの完成だ。
ゆで汁でふんわり溶いたチータンも、塩・コショウ・ラー油で、自分流に味を整え、レンゲなしで直接いただく。素朴でパンチの効いた味ながらも、すっと喉に染み入るチータンで締めくくれば、またすぐに恋しくなる不思議な一皿。それがじゃじゃ麺なのだ。
水野ひろ子

水野ひろ子

岩手県在住フリーライター。行政や企業等の編集制作に関わる傍ら、有志とともに立ち上げた「まちの編集室」で、ミニコミ誌「てくり」やムック誌の発行をしている。 (編集/株式会社くらしさ)

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