どんなに並んでも食べたい!超老舗「鳥料理 玉ひで」の元祖親子丼

2016.09.26

行列のできる親子丼の店として有名な「玉ひで」。ここは、親子丼が誕生した場所としても知られています。元祖親子丼は、いったいどのようにして生まれたのでしょうか。その誕生秘話と美味しさに迫るべく「玉ひで」を訪れました。

江戸の粋とおもてなしの心を感じさせる空間

「玉ひで」があるのは、江戸情緒あふれる日本橋人形町。江戸時代より安産・子授け祈願で有名な「水天宮」や代々続く工芸品店などがあり、歴史が感じられるエリアです。東京メトロ浅草線「人形町駅」のA2出口を出たすぐのところにお店はあります。白壁の美しい店舗の前には、すでに長蛇の行列が!
▲親子丼を求めてくるお客さんで、ランチ時はお店の前には長い列が。1、2時間待ちはざらだという

お店の玄関に入ると、大正12(1923)年の関東大震災で被災する前の店の写真や歴史を感じる看板などがおかれています。
2016年で創業256年を迎える「玉ひで」。その歴史は、江戸時代、宝暦10(1760)年にまで遡ります。将軍の御鷹匠(ごたかじょう)であった山田鐵右衞門(てつえもん)が妻の「たま」とともに人形町の地ではじめた鶏料理屋「玉鐵(たまてつ)」。この「玉鐵」がのちに名を変え、現在の「玉ひで」になったと言われています。江戸屈指の人気店であった「玉鐵」の名は、当時の文献にも載っているほど。現在と変わらぬ人気ぶりですね。

中居さんの丁寧な案内で、お料理をいただくお部屋に案内してもらいました。
こちらが、通してもらったお部屋の「松」。和のしつらえが美しく、格式が感じられます。

「玉ひで」には大小13の個室があり、そこでゆっくりと食事を楽しむことができます。中居さんの丁寧なもてなしに、素敵な個室……。これからどんなにすごい親子丼が出てくるのか、否応なしに期待が高まります!

これが本物の味。「玉ひで」の親子丼に舌鼓!

さて、それではお待ちかねの親子丼をいただくことにします。まず、ご用意いただいたのは大人気の「元祖親子丼(1,500円・税込)」。
「玉ひで」の家紋がはいった金色のふたをあけると、出汁のよい香りが漂います。うーん、いい香り。この香りだけで、絶品の親子丼だということを確信しました。
見るからになんとも豪華で美味しそうです。この親子丼にはLLサイズの玉子を2個使用しています。なんとこの玉子、数百種類の中から玉ひでの親子丼に合うものを厳選したのだとか。鶏肉は東京が誇るブランド鶏「東京軍鶏(しゃも)」のもも肉と胸肉を使用しています。お米もコシヒカリを親子丼にあわせて少し固めに炊いているのだとか。こだわりぬいた厳選食材を、惜しげも無くふんだんに使用した一品です!

それでは、さっそく一口いただきます。

食べごたえのある引き締まったお肉は、噛むほどに口の中に旨みが広がります。きらきらと輝くお米と濃厚な玉子の黄身が絡み合い、感動的な美味しさです。そして、親子丼に使われているつゆのどこか懐かしさを感じるやさしい味わい。多くの人が並ぶワケです。
▲ふんわり濃厚な玉子が美味しい「元祖親子丼」

続いていただいたのが、「白レバ親子丼(2,000円・税込)」。白レバとは、脂肪肝のこと。つまりニワトリのフォアグラです。人工的に鴨に栄養を与えて作るフォアグラとは異なり、鶏の白レバは自然にできたものを使用するため、大変希少な食材なのだとか。
そんな白レバをふんだんに使ったのがこちらの一品。白レバはやわらかく、一口たべると、濃厚かつ細やかなレバーの味がします。
▲大きめの白レバがたくさん入っている「白レバ親子丼」

この他にも、手羽やもも、むね肉が入った「“三昧”親子丼(1,900円・税込)」や炙り熟成ささみが入った「極(きわみ)親子丼(2,200円・税込)」といったメニューも。どれも美味しそうですね。

親子丼は、こうして生まれた!親子丼の誕生秘話

玉ひでのこだわりが凝縮された親子丼は、いったいどのように生まれたのか。店主の山田 耕之亮さんにお話をうかがってみました。
▲「玉ひで」18代目の店主、山田 耕之亮さん

「創業当時、うちは鶏鍋屋だったんです。明治20年代に女将の「とく」が、鶏すきの割下で玉子を煮てごはんと一緒に食べるお客さんの姿を見て、思いついたのが親子丼。五大丼といわれる丼ものの中でも、ルーツがはっきりしているのは親子丼だけなんですよ」と、山田さん。
ひとつのメニューが時代を超えて全国の人々に愛されるなんて、すごいことです。

そして、今回は親子丼が生まれる元になった「玉ひで」のもう一つの名物、軍鶏の鶏すきをいただきたいと思います。普段は夜のコースでしか食べることができませんが、今回は特別にご用意していただきました。

「一般的に「すき焼き」といえば、牛肉を想像しますが、実際に日本人が牛を食べ始めたのは幕末の頃からなんです。それまではすき焼きといえば、鶏肉や魚介などが使われていたんですよ。なかでも、勇壮で引き締まった身が美味しい軍鶏肉は、江戸っ子に人気の食材のひとつでした」と山田さん。
▲「軍鶏すき焼き(夜のコースから)」

もちろん食材についても「玉ひで」ならではのこだわりがあります。
「軍鶏は、契約農場から「まる」と呼ばれる頭も足もついた状態で送られてきたものをさばきます。手間はかかりますが、その味わいは格別なんですよ」という山田さんの言葉からは、お客さんに美味しいものを食べて欲しい、という想いがひしひしと伝わってきました。

他にも、かための豆腐やほぐしやすいしらたきも「玉ひで」のすき焼きに合うように、それぞれの専門店でわざわざ作ってもらうのだそうです。

厳選された食材を、特製の土鍋で煮込んでいきます。席に一人ずつ中居さんがついて調理してくれます。軍鶏肉の旨みを引き立てるために、鍋の中身にゆっくりと熱が伝わり、保温性も高い土鍋を使っているところにもこだわりが感じられますね。
皮やつくね、もも肉、むね肉、手羽肉を煮込んでいきます。いい匂いが漂ってきました。
煮込みはじめてから5分ほどで出来上がり!なんとも美味しそうです。

さっそく一口、「玉ひで」特製の温泉玉子につけていただきます。軍鶏肉の旨みが口のなかにジュワッと広がります。玉子も濃厚で美味しい!生玉子ではなく、温泉玉子を使っているのは、軍鶏肉の繊細な旨みを感じ取ってもらうため。生の玉子だと食材と絡まりすぎてしまい、牛肉など肉の味が強いものとは合いますが、鶏肉にはマッチしにくいのだそうです。
親子丼を食べたあとですが、こちらもぺろっと平らげてしまいました。

最後に、夜のコースでしか食べられない「玉ひで」特製の「玉五(たまご)プリン」を特別にいただきます。とろけるようなしっとりとしたプリンの美味しさを香ばしいキャラメルソースが引き立てます。
▲名物の「玉五プリン」。いただけるのは、夜のコースのみ

265年という長い歴史を紡ぐ老舗「玉ひで」。店主の山田さんは「現在のメニューは、いろいろな料理を考案して、最終的にお客様に選んでいただいたものが残っているんです」と語ってくれました。

老舗という看板に甘んじることなく、食材に対するこだわりを大事にしつつも、時代にあわせてメニューを変えていくところが人気の秘密なのかもしれません。ぜひ、「玉ひで」で本物の親子丼、そしてそのルーツの鶏すきを味わってみてください。
立岡美佐子

立岡美佐子

編集プロダクション・エフェクト所属の編集者&ライター。好きなものは、旅行とごはん。おいしいものやステキな景色のためならば、日本といわず世界各国どこへでも! 住まい、旅、食、街などジャンルを問わず執筆中です。 編集:山葉のぶゆき(エフェクト)

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