夏の夜の感動!ウミガメに会える砂浜を訪ねて

2016.08.02

太平洋に面した徳島県海部郡美波町(旧・日和佐町)の大浜海岸は、毎年夏になるとアカウミガメが産卵に訪れる場所です。実際に産卵しているウミガメに会えるかどうかは運しだいですが、たくさんのウミガメが飼育されている博物館「カレッタ」があるほか、ウミガメをモチーフにした看板やスイーツなどにも町のあちこちで出会えるので、素敵な思い出を作るのにピッタリです。

ドラマの影響で知名度は全国区の南国・美波町へ

四国八十八箇所巡りの第二十三番札所・薬王寺で有名な美波町。町の東側に位置する大浜海岸は、全国でも数少ないウミガメの産卵スポットとして知られ、ここを訪れるウミガメと共に、昭和42(1967)年に国の天然記念物に指定されています。
また、2009年放送のNHK 連続テレビ小説「ウェルかめ」の舞台となったことで、さらに知名度はアップしました。
▲美しい砂浜が500mに渡って続く大浜海岸。ウミガメの形をした看板がキュート

以前はウミガメが毎年延べ100回以上もこの砂浜に上陸していたそうですが、1990年代から全国的に激減し、2015年に上陸したのはわずか15回。それでもウミガメが産卵できる貴重な海岸環境を守るため、毎年ウミガメの上陸シーズンとなる5月20日~8月20日は夜間の立ち入りや光の規制がなされ、監視員が1時間ごとに巡回するなどの取り組みが行われています。
▲産卵中のアカウミガメ(写真提供:日和佐うみがめ博物館カレッタ)

ウミガメが上陸する時間のピークは22時~24時頃で、ピンポン球程の大きさの卵を2時間ほどで100個前後産み、多い個体でひと夏に4~5回産卵するんだそうです。
卵は50~80日で孵化し、子ガメたちは夜いっせいに砂から這い出して海に向かっていきます。大浜海岸では基本的に人が手を加えることなく孵化を待ちますが、卵は水に浸かってしまうと孵化しなくなるため、台風による高波などで危険にさらされる場合には別の場所に保護されるそうです。
▲産み落とされた卵(写真提供:日和佐うみがめ博物館カレッタ)

もしウミガメが上陸して産卵を始めた場合には、監視員の指示に従って近くで観察することも可能です。ただし、産卵しているウミガメの気持ちになって静かに見守ってあげてください。ストレスがかかるとウミガメが産卵をやめて帰ってしまうこともあるので、大きな声で騒ぐことはもちろん、フラッシュをたいてしまわないように写真撮影も控えましょう。
▲海岸にはウミガメ観察時の注意事項があるので、事前にしっかり予習しておいてくださいね

産卵した場所には日時や産卵時の様子が書かれた看板が立てられます。取材に訪れたほんの数日前にもウミガメが上陸し、産卵が行われたようです。
▲産卵場所を示す看板から波打ち際までは、うっすらとウミガメの足跡も残っていました

ウミガメを間近で見られる博物館

美波町のウミガメにどうしても会いたい方にオススメなのが、大浜海岸の目の前にある「日和佐うみがめ博物館 カレッタ」です。
ここでは100頭前後のウミガメが飼育されているほか、ウミガメに関する様々な資料を展示。水槽の中で元気に泳ぐ、意外に人なつこいアカウミガメたちの姿を見ることができます。
▲館内には全7種のウミガメの剥製が、解説とともに飾られています
▲こちらのコーナーはウミガメが辿ってきた進化の歴史を展示
▲子ガメから親ガメまで、元気に泳ぐ姿を観察できます。親ガメにはおやつをあげることもでき、近づいただけで足下まで寄ってきます

他にも実際に孵化したウミガメの卵の殻を触ることができたり、ウミガメの甲羅をランドセルのように背負ってその重さを体感できたりと、見るだけでなく触れて楽しめる仕掛けもたくさんあるので、小さなお子さんを連れたファミリーにもおすすめのスポットです。
▲驚くほど薄いウミガメの卵の殻。上にかぶせられる砂の重さに負けず、とはいえ子ガメの力で割ることができる絶妙な硬さなんですね
▲長さ約50cm・重さ約5kgの甲羅を背負って、あなたもウミガメ気分!?
▲最近では淡水カメの飼育・展示もしています。こちらはナガクビガメくん

そもそも大浜海岸とアカウミガメの関わりは、昭和25(1950)年にまで遡ります。
当時の地元中学生たちがウミガメの保護に乗り出したことから始まり、それを支援する町民の輪が広がって今にいたるとか。その当時に保護されたアカウミガメの「浜太郎」は世界最高齢(2016年7月時点で65歳)のウミガメとして今でもカレッタで元気に過ごしており、この地域とウミガメの交流を物語る生き証人として親しまれています。
▲その堂々とした泳ぎっぷりは、ぜひ現地で確かめてみてください

博物館以外にも、町はウミガメだらけ

美波町内にはカレッタ以外にもウミガメをモチーフにしたものが多く、海岸周辺を軽く散歩するだけでも地元の人々がどれだけウミガメに愛着を持っているかを伺い知ることができます。
▲「カレッタ」横の電話ボックス。内側には魚も描かれています
▲歩きながら地面に目をやると、マンホールのフタにもウミガメのマークが
▲大浜海岸のトイレの前には、海の彼方を見据えるウミガメの石像があります
▲大浜海岸からJR日和佐駅へ向かう途中の厄除橋では、欄干にレリーフと石像を発見
▲JR日和佐駅には、鯉のぼりならぬウミガメのぼり(?)がお出迎え

ここに紹介したもの以外に、探せばもっといろんな場所にウミガメが潜んでいるはず。美波町ののどかな風景を散策しながら、ウミガメ探しも楽しんでみてくださいね。

老舗のお菓子屋さんの名物も、もちろんウミガメ

ウミガメの愛らしい姿は地元のスイーツにも活かされていて、そのうちのひとつが「アジュール昭吾堂」の「海亀マカロン」。
▲ゴマで作られた目が愛らしい海亀マカロン(1個110円・税込)

素朴な味わいで1993年頃から愛され続けてきたロングセラーのこの商品、最初はココナッツ風味のクロワッサン型をしていたそうですが、ある日お客さんから「せっかくウミガメが来る町なんだから、ウミガメの形にしてみたら?」と提案を受けて、今の形になったとか。

手作りで絞り出すためにあまり大量には作れませんが、おかげでひとつひとつに微妙な形の違いが生まれています。食べるとサクサクと軽い食感で、ほんのりとした甘さが後を引きます。
▲親ガメの海亀マカロン、子ガメのプチ・トルチェ(各70円・税込)、卵をイメージしたKAME-TAMA(2個110円・税込)のウミガメ三世代が勢揃い!

さらに最近では子ガメの姿をした「プチ・トルチェ」(トルチェ=仏語でカメ)も登場し、こちらはイチゴ、チョコ、オレンジなど6つのフレーバーのカラフルなラインナップ。ウミガメの卵をイメージし、徳島の特産品・和三盆糖を使ったちんすこうのKAME-TAMAもあり、それらを詰め合わせた「たまて箱」(1,700円・税込)は、この町の風景を伝えるお土産としても優秀なスイーツなのです。
▲清潔感のある白と海をイメージしたブルーの店内には、所狭しとお菓子が並びます
▲お店の奥にはカフェスペースが。窓からは穏やかな田園風景が望めます

カフェスペースでは、海亀マカロンをあしらった「AZUREマカロンパフェ」(780円・税込)などがいただけます。いろんなウミガメに出会える美波町の旅を、ウミガメのスイーツで締めくくるのもいいですね。
海から上がってくるウミガメに出会えるのは夏だけですが、それ以外のシーズンも様々なウミガメに出会える美波町。ぜひ一度訪れて、愛らしいウミガメの姿と穏やかな町並みに癒されてみてくださいね。
青井 康

青井 康

地元徳島のタウン誌で勤務後に独立し、現在フリーのライター兼グラフィックデザイナー。なぜかやたらと人から道を聞かれやすい体質。

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