高知のホエールウォッチングは、土佐湾を回遊する「海の貴婦人」ニタリクジラとの遭遇率抜群!

2016.09.05 更新

全国各地で人気のホエールウォッチングのなかでも、高知県近海は「ニタリクジラ」を観察できる数少ないエリア。穏やかな性格と優雅なその姿から「海の貴婦人」と呼ばれるニタリクジラとの出会いを求めて、いざ出航!

(写真提供:宇佐ホエールウォッチング協会)

土佐湾に棲み着いているから遭遇しやすいニタリクジラ

▲体長12~15mにもなるニタリクジラは迫力満点(写真提供:宇佐ホエールウォッチング協会)

ニタリクジラは黒潮より沖でエサを求めて回遊することが多いといわれているが、土佐湾には数十頭が棲み着いており、識別もされてることが特徴だ。
棲み着いている理由は分からないものの、土佐湾で操業する漁師たちはその習性や動きを把握しやすいために、遭遇率もぐっと高まるのだ。

宇佐ホエールウォッチング協会では、それらのニタリクジラの目撃例を漁師同士で共有し、最新の情報をもとに、最も遭遇率が高いエリアを目指す。

海を知り尽くしたベテラン漁師が案内

高知県内では現在4つのエリアでホエールウォッチングのサービスを行っている。今回選んだのは「宇佐ホエールウォッチング協会」。集合・出航場所の「宇佐しおかぜ公園」は、高知市中心部から車で約30分というアクセスの良さが売りだ。
▲この日案内してくれた、宇佐の海で約50年漁師を続けているベテラン、久保松男さん。ホエールウォッチングも20年以上のキャリアがある

7隻ある船はいずれも定員10~15人程度の小型漁船。運転するのも地元の現役漁師。小回りがきく小型船で、しかも周辺の海を知り尽くした漁師の案内だからこそ、高確率でクジラに出会うことができるのだ。
▲船には日よけの屋根が設けられているが日焼け対策は万全にしておこう

乗船する際には、飲料水、日焼け止め、帽子を持っていこう。また暑い季節でも長時間潮風に当たるので、ウインドブレーカーなども用意していた方が良い。乗り物酔いしやすい人は、もちろん事前に酔い止め薬を服用することも忘れずに。ライフジャケットを着用したらいよいよ出発だ。

100頭越えの「マイルカ」の群れがお出迎え

▲横浪(よこなみ)半島の断崖絶壁を眺めながら船は進む

午前8時に港を出港した船は徐々にスピードを上げて沖に向かう。船上を吹き抜ける潮風も心地よい。

出航してからおよそ30分。急にスピードを上げた船に久保さんの「マイルカの群れがいます!」の声がマイクを通して響く。それと同時にお客は一斉に船首へ移動する。
▲船首の先に表れたのはマイルカの群れ。水中に潜っているのを含めると100頭はいる
▲中には親子イルカが仲良く並んで泳ぐ姿も見える

船首に集まったお客からは「うわー、かわいい!感動!」の歓声が上がる。イルカの群れは船を先導するように進み、時に数頭がジャンプを繰り返す。ある程度進むと全てが海中へ潜り、その姿は見えなくなる。

すると今度は予想もせぬ別の場所からひょっこり現れる。イルカの群れが現れるたびに「あ!あそこにいる!」との声が響き、船はその方向へ素速く船首を向ける。小回りの効いた動きができるのも、小型船とベテラン漁師の運転技術があるからこそ。
▲船を先導するように進むマイルカの群れ
▲船のすぐ横を横切ることもある(写真提供:宇佐ホエールウォッチング協会)

マイルカの歓迎は30分ほど続き、その後はぱたりと姿が見えなくなった。
「さあクジラを探しに行きましょう」と久保さんの声が響き、船首を沖に向けて船は再び進み出した。

出会いは突然。シャッターチャンスは逃さずに

出航して約2時間。陸地がかすむほど沖に出た時、「クジラがいます!」と久保さんの声が響いた。
▲船首にある物見台は子どもたちに人気。眺めは最高!

船首の先に一瞬見えたクジラの背中。「ブォッ」という音と共に潮吹き孔から潮を吹く「ブロウ」も一瞬見えた。船上が歓声に満たされたのもつかの間、クジラはその後潜って姿を見せない。

「あそこにいる!」という声と同時に、船は方向転換して全力疾走でクジラを追う。しかし今日のクジラは恥ずかしがり屋なのか、すぐに海中へ潜ってしまう。次に現れたのは、船のすぐ横。
▲船のすぐ横に一瞬背中を見せたニタリクジラ。潮吹き孔が確認できる

巨大な背中を見せたニタリクジラは、またもやすぐに海の深くへ潜っていった。出会えたのはわずか数分。それでも巨大な体躯が広い大海原に姿を見せる瞬間は鳥肌が立つほど感動だ。

あいにくこの日はこれ以降ニタリクジラの姿は見えなかったが、これも自然の生き物を相手にするホエールウォッチングゆえに仕方がない。運に恵まれれば、2~3頭が船の近くでゆったりと泳ぐ姿を見ることができるらしい。
▲船が来ても悠然と泳ぐニタリクジラ(写真提供:宇佐ホエールウォッチング協会)
▲運が良ければこんな至近距離からも観察できる(写真提供:宇佐ホエールウォッチング協会)
▲お腹を見せて優雅に泳ぐニタリクジラが見られることも(写真提供:宇佐ホエールウォッチング協会)

午後1時頃、帰港。ニタリクジラには一瞬しか出会えなかったものの、100頭を越えるマイルカの群れや雄大な太平洋の風景に圧倒された乗客一同は、皆とても満足げな表情で下船していく。

ニタリクジラやマイルカのほかにも、やや大型のバンドウイルカやハナゴンドウ、オキゴンドウなどのイルカの仲間たちや、海鳥のオオミズナギドリ、トビウオ、ウミガメ、サメなどが、不意に現れることもあるので、周囲に注意しながらクルージングを楽しもう。

高知でのホエールウォッチングのシーズンは4月後半から10月末まで。約5時間のクジラを追う感動の船旅をぜひ一度体験してもらいたい。
藤川満

藤川満

清流・仁淀川流れる高知県いの町在住。出版社勤務を経て「撮って書く」フォトライターに。カヌーやトレッキングなど自然と親しむ一方で、利酒師の資格を有する日本酒党。またジャズライブの撮影はライフワークのひとつ。

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