そのスケールはギネス級!世界に誇る瀬戸大橋のスゴさを体感

2016.09.15

本州と四国を結ぶ瀬戸大橋。幾つもの島々を結びながら青く穏やかな海に架かる姿は、瀬戸内を代表する景観のひとつです。今回は、その勇姿を臨むおすすめビュースポットはもちろん、橋の歴史を楽しく学べる場所や、橋の頂上に登ることができる、とっておきのツアーもご紹介します。

瀬戸大橋を探検するツアーは、スリル満点!

遠くから見晴らすだけでも気持ちのいい瀬戸大橋ですが、実際に橋の中を探検できるツアーがあるのをご存じでしたか?春と秋には「瀬戸大橋スカイツアー」、夏には親子が対象の「夏休み親と子の瀬戸大橋体験学習」が開催され、毎年大人気を博しています。(2016年の「夏休み親と子の瀬戸大橋体験学習」は終了しています)

普段は立ち入ることができない吊り橋の管理用通路を辿って、真横を電車が走り抜ける姿を見つつ、高さ175mの塔頂まで登って瀬戸内海の大パノラマを見渡せると聞けば、想像しただけで胸が高鳴ります。

人気が高いため抽選制となりますが、今回は夏の体験学習に、特別に参加させていただきました。集合場所は、香川県の与島(よしま)パーキングエリア。瀬戸大橋が架かる島々の中で唯一のパーキングエリアで、駐車場前の建物「与島プラザ」には、売店やフードコートのほか、眺めのいい展望台もあります。
▲与島プラザ屋上の展望台から見た瀬戸大橋。公園の緑との取り合わせも絵になる

今回のツアーは、与島プラザ内で瀬戸大橋の基礎講座からスタート。本州四国連絡高速道路の社員スタッフが、子どもにも分かりやすい解説をしてくれました。

瀬戸大橋とは、岡山県の児島と香川県の坂出(さかいで)を結ぶルートの、海峡部に架かる橋の総称。上が道路、下が鉄道という道路鉄道併用橋としては世界最大級の規模を誇り、長さは9,368mにも及びます。

3つの大きな「吊り橋」と、鳥が羽を広げたような形の2つの「斜張橋(しゃちょうきょう)」、三角形を組み合わせた形の「トラス橋」が主な橋です。
香川側から順に、吊り橋の「南備讃(みなみびさん)瀬戸大橋」「北備讃(きたびさん)瀬戸大橋」、トラス橋の「与島橋」、斜張橋の「岩黒島(いわくろじま)橋」「櫃石島(ひついしじま)橋」、そしてまた吊り橋の「下津井(しもつい)瀬戸大橋」となり、合わせて瀬戸大橋6橋と呼ばれています。

当時世界でも例のない長大橋の建設は“世紀の難工事”と呼ばれ、昭和63(1988)年の完成までに9年半もの歳月が費やされました。
▲瀬戸大橋の総工費は、1兆1,200億円もかかったそう

規模の巨大さの解説には、驚きの連続でした。例えば、瀬戸大橋の中で最大の「南備讃瀬戸大橋」は、吊り橋の塔と塔の間の距離が、土台では1,100mですが、頂上ではそれより32mmも長いのです。つまり、地球の丸みが影響するほどスケールが大きいということ。子どもたちも目を丸くしていました。

講座の後は、ヘルメットを被り、案内スタッフに誘導されて、いよいよ現場に出発。駐車場から少し歩いたところに鎮座する、「アンカレイジ」と呼ばれる橋台を目指します。アンカレイジは、吊り橋のケーブルをがっちりつなぎ止める役割を果たします。
▲左の大きなコンクリートの塊がアンカレイジ。この中に入って橋桁を右手に進み、右端の塔のてっぺんまで登るのが今回のツアー

ちなみに、今回登るのは「北備讃瀬戸大橋」の北側の塔。瀬戸大橋全体のルートの、真ん中より香川側に位置します。
アンカレイジの中は空洞になっていて、天井が高い!見上げると、鉄道の線路が横切っていました。さあ、エレベーターに乗って、一気に鉄道階の橋桁まで上昇します。心臓がドキドキしてきました。
▲写真中央の四角い箱のようなものがエレベーター。上まで登って階段を上がると、いよいよ鉄道階!

エレベーターを降りてアンカレイジを出ると、線路が通っている橋桁が目の前に現れました。線路脇の管理用通路を歩きながら、塔を目指します。点検作業をするスタッフ以外はまず通らないという鉄格子の通路は、下があまり透けていないので、思ったより怖くありません。とはいえ、この橋桁も海面から60m以上。巨大船も通り抜けられる高さを想定しているそう。

途中で、遠くからゴーッと音が聞こえてきました。「列車が来ますよ!」とのスタッフの声に、子どもも大人も目が輝きます。もの凄いスピードで駆け抜けていったのは、岡山と松山を結ぶ「特急しおかぜ」。間近で遭遇する迫力に、子どもたちは手を振って大喜びです。
▲管理用通路の間近を駆け抜けていった特急しおかぜ。この後、岡山と高松を結ぶ「快速マリンライナー」にも遭遇

270mほど歩いたところで、塔に到着。エレベーターに乗り込む前に、鉄道階の上にある道路階への外階段を上ります。ここでも思わず歓声が。すぐ脇に見える道路を、車がビュンビュン走っていくのです。道路の外側から俯瞰するというアングルが、なんとも新鮮でした。
▲道路階の階段からの眺め。瀬戸大橋は上階が道路、下階が鉄道なので、車で渡るほうが見晴らしは開けている

塔頂へと気持ちがはやりますが、その前にエレベーターは一番下の階へ。根元部分の橋脚への訪問は、春と秋のスカイツアーにはない夏の体験学習だけのスペシャルプログラムだそう。ちなみに、ツアー前の基礎講座も今回のみの内容です。
▲鉄道階を歩いている時に隙間から見えた、遥か眼下の橋脚。地面と海面にまたがって建っている

エレベーターから降りて橋脚に着くと、海面がすぐ近く。海の真ん中にそびえる吊り橋の塔の根元に立てるなんて、貴重な体験です。
▲橋脚のすぐ脇は海、上は瀬戸大橋の線路。線路を見上げる構図も新鮮だ

塔のてっぺんで、瀬戸内海の絶景を見晴らす

では、いよいよツアーのハイライト、塔頂に向かいます。再びエレベーターに乗って最上階へ。通路や階段を経て、最後にはしごの上のハッチをくぐり抜けたら、ついに塔頂のデッキです。そこには、想像を遥かに超える壮大な景色が広がっていました。

北のほうを向くと、岡山側の起点まで見渡せます!ルートが緩やかに湾曲しているので、トラス橋、斜張橋、吊り橋という3種類の橋が連続する光景が、すべて視界に入るのです。青々と広がる瀬戸内海、点在する島々、海を行き交う船といった景色とも美しく調和し、見飽きることがありません。175mという高さならではの、息を呑むパノラマ。爽快感が圧倒的でしたが、手すりから下を覗いてみると、さすがに足がすくみました。
▲塔頂から岡山側の眺め。左側にスパイラルする道路の下が与島パーキングエリア。その奥がトラス橋、斜張橋、吊り橋と続く
▲塔頂デッキの手すりから真下を覗くと、海岸が遥か遠くに見え、175mという高さを実感
▲西側を見やると、多島美と呼ばれる瀬戸内海の風景が、遠くまで広がって見える

反対を向くと、香川側。こちらの眺めは、また違ったダイナミックさがあります。今いる北備讃瀬戸大橋と、連続する南備讃瀬戸大橋という2つの吊り橋が一直線に伸びており、左右のケーブルのカーブと相まって、吸い込まれそうな感覚。景色の素晴らしさはもちろん、今回登ってみて初めて、瀬戸大橋のスケールの大きさをリアルに体感することができました。
▲塔頂から香川側の眺め。吊り橋の奥のすぐ右手に見えるのは、“讃岐富士”の愛称で知られる飯野山

大興奮のツアーの余韻が残る中、今回のガイド役を務めてくれたスタッフの杉山剛史(たけし)さんが、与島パーキングエリアの広場に展示されている実物大のケーブルレプリカを見せてくれました。なんと直径1m余り。直径5mmのワイヤー127本ぶんのストランドと呼ばれる束を、271本も束ねてあるそう。ワイヤー1本でも、小型自動車3台を吊り上げることができる丈夫さと聞き、瀬戸大橋の壮大さに改めて感じ入りました。
▲ケーブルレプリカの前で、実物のストランドを片手に説明してくれた杉山さん。背後の塔に架かるケーブルと見比べると、橋の大きさが実感できる

今回の体験学習は親子参加が基本ですが、春と秋のスカイツアーは一人から応募できて、定員も多いので狙い目。10月に開催される秋のスカイツアーは、空気が澄んでいて夏よりさらに見晴らしがいいそう。春より秋のほうが倍率は低いとのことなので、ぜひ応募してみてください。
※2016年の「夏休み親と子の瀬戸大橋体験学習」は終了しました。2017年以降の開催につきましては「本四高速」のホームページをご確認ください。

世紀のプロジェクト、瀬戸大橋の歩みを辿る

瀬戸大橋の迫力を間近に体感すると、もっと詳しく橋のことを知りたくなってきました。そこで、香川側の橋のたもとに広がる「瀬戸大橋記念公園」へ。ここの一角に建つ「瀬戸大橋記念館」では、建設の経緯から架橋技術の粋まで、世紀の一大プロジェクトの全貌を余すところなく伝えてくれます。
▲ケーソンと呼ばれる基礎の型枠を、大型クレーンで海中に沈める工程を解説してくれる館長の廣瀬義文(よしふみ)さん。動く模型の展示が分かりやすい

「本州と四国の間に橋を架けるという構想は、実は明治時代からあったんです」
こう語ってくれたのは、館長の廣瀬さん。先見の明に富んだ香川県会議員・大久保諶之丞(じんのじょう)が明治22(1889)年に提案したときは、まだ夢物語だったといいます。その後、技術の発達と共に構想が本格化し、昭和53(1978)年に工事が始まりました。

工事は困難の連続でしたが、最も大変だったのは、海底に基礎を作る工程でした。固い岩盤の上に堆積していた土砂をダイナマイトで爆発させて取り除いた後、大きな型枠を船で曳いてきて海底に沈め、その中にコンクリートを充填。一連の作業の大変さが、動く模型を使った展示などで、臨場感たっぷりに伝わってきます。

お気に入りのビュースポットを見つけよう

どこから見ても絵になる瀬戸大橋ですが、おすすめのビュースポットを幾つか紹介しましょう。まずは瀬戸大橋記念館内の「Hashi cafe」。こちらの営業は週末と祭日のみですが、平日も自由に休憩が可能。円形の店内はガラス張りになっていて、吊り橋を間近に眺めることができます。
▲「Hashi cafe」からは、南備讃瀬戸大橋・北備讃瀬戸大橋をのんびり眺められる

記念館屋外の公園にも、素敵なスポットがあります。2013年度の瀬戸内国際芸術祭で制作された、アート作品のベンチにゆったり腰掛けながら眺めるのも気持ちのいいひとときです。
▲アーティストの藤本修三さんが手掛けたベンチが置かれた記念館の公園。芝生やオリーブの木の緑も目に優しい

瀬戸大橋記念公園の隣には、上空からのビュースポットもあります。その名も「瀬戸大橋タワー」。瀬戸大橋開通時に催された博覧会の施設として作られた回転式展望台です。
リング状のキャビンが、回転しながら108mの高さまで上昇。頂上でもゆっくり3回転します。与島の向こうの斜張橋まで見晴らせて気持ちいい!歴史を知ってから改めて眺めると、本当に凄いプロジェクトだったのだと、感慨もひとしおです。
▲瀬戸大橋記念公園の隣にそびえ建つ瀬戸大橋タワー。右奥が記念館。写真では見えにくいですが斜張橋など、橋を象った噴水もあります
▲タワーからの眺めは、開放感抜群。約10分間の空中散歩が楽しめる
ほかにも、記念公園内の「東山魁夷せとうち美術館」や、近隣の「沙弥島(しゃみじま)海水浴場」、体験学習で紹介した「与島プラザ」展望台もおすすめです。いろいろ回ってみて、自分のお気に入りスポットを見つけてください。

ライトアップされた夜景も見逃せない

昼間の瀬戸大橋もきれいですが、光に照らし出された夜景の美しさも必見。毎週土曜のほか、年末年始・祝日など、年間80日ほどライトアップされます。

季節や天候に左右されないビューポイントとしておすすめなのが、香川県宇多津町にあるアミューズメント施設「プレイパークゴールドタワー」。
▲宇多津町のランドマークであるゴールドタワー。その名の通り、金色のハーフミラーが眩しく輝いている

展望台の最上階は127mの高さがあり、見晴らしは最高です。宵闇が濃くなるにつれ、点灯された橋の姿が鮮やかに浮かび上がってくる様を、ゆったり味わってみませんか。
▲ゴールドタワーの展望台からの眺め。薄暮の時間は、島々のシルエットも浮かび上がり美しさもひとしお
もっと間近に見たければ、瀬戸大橋記念館の展望台へ。斜め下から見上げるアングルは、遠景とは違った迫力があります。
▲記念館の展望台からの夜景。海に映り込む姿もフォトジェニックだ

いかがでしたか?実際に眺めたり探検したりする瀬戸大橋は、写真やテレビで見るのとは段違いの迫力です。ツアーは抽選制というハードルがありますが、素晴らしい思い出になること必至ですので、ぜひトライしてみてください。
puffin

puffin

東京でのライター生活を経て、現在は縁あって香川県在住。四国のおおらかな魅力と豊かな食文化に触発される日々。取材で出会うモノ・コトの根幹に流れる、人々の思いを伝えたいと願っている。

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