暑い山形生まれ!「冷やしシャンプー」に“涼”を求めて

2016.08.17

「冷やしシャンプー」というものをご存知ですか?今や、山形の夏の風物詩となった「冷やしシャンプー」。県内の理容室には夏の間、「冷やしシャンプーはじめました」の青いのぼりが立てかけられます。「シャンプーが冷たいの?」「水で流すの?」そんな疑問に答えようと、暑い山形の「冷やしシャンプー」を体験してきました。

▲青いのぼりが正統派「冷やしシャンプー」(商標登録済)の証

冷やすことを前提に作ったオリジナルシャンプーを使って

「冷やしシャンプー」とは、1990年代後半に山形市で冷やすことを前提に独自の調合のもとに開発された、オリジナルの“冷やしシャンプー”を使って洗髪するサービスのこと。県内の理容室の有志が集まり、2003年から「冷やしシャンプー」を通した様々な活動を展開しています。

冷やしたシャンプーで髪を洗うと、成分に含まれるメントールの爽快感が増し、清涼感あふれる心地良さが実感できます。今では、県内約300店舗で正統派「冷やしシャンプー」を実施。体験しようと全国からわざわざ訪れるお客さんも増え、夏の山形観光の新しい目玉としても注目されています。
▲希望者には販売も。冷やしシャンプー(右)1,000円、冷やしトリートメント(左)1,500円※ともに税別

「冷たい」演出と、爽快感がたまらない!

実際、シャンプーをされている様子を取材しようと、山形県冷やしシャンプー推進協議会(以下 協議会)幹事長の大沼幸市(こういち)さんのお店「メンズ・ヘアリズム」を訪ねました。

運ばれてきたのはワインクーラーに入った「冷やしシャンプー」と「冷やしトリートメント」。
氷を見ただけで冷たい感覚が伝わってきます。
▲お店の冷蔵庫にはシャンプー類がたくさん
▲ワインクーラーに入れて“シャンプーソムリエ”!?

お客さんに楽しい時間を過ごしてもらって、気持ちよく帰ってもらうために、冷酒のボトルにシャンプーを入れたり、シャンプーと水をカクテルシェーカーに入れてシャカシャカ振ったりと、お店によって演出はいろいろ。

「メンズ・ヘアリズム」では、希望があれば、洗髪前の頭にちょっとかき氷を乗せたりもするそうですが、必ずお客様の体調を伺った上で行うとのこと。
「お客様にはお医者さんやその道の専門の方がいらっしゃるので、その方から医学的な見地でのアドバイスをもらいながら進めていきました」(大沼さん)

この日は「メンズ・ヘアリズム」常連の三井さんに「冷やしシャンプー」のモデルになっていただきました。
▲三井さんは「冷やしシャンプー」を始めた頃からの大ファン

早速、「冷やしシャンプー」を頭にかけてゴシゴシ。液体の温度は0度程度。慣れた三井さんは笑顔ですが、初めての人はその突然の冷たさに声を出してしまう人がほとんどだとか。

泡で洗っている間はメントールのスース―とした感覚はほとんどありません。洗い流していくうちに次第に強くなっていくそう。
▲メントールの爽快感がじわじわと

洗い流すときは、お湯、ぬるま湯、水から選ぶことができます。初めての人はぬるま湯が無難!?シャンプーの後は「冷やしトリートメント」を付けて流し、冷たいタオルで拭いてシャキッ!

「洗い終わった瞬間がいちばん刺激的なんですよ。」と三井さん。
▲洗髪後30~40分間はスース―感が持続します
「冷やしシャンプーってメンズ限定なんですか?」
「女性OKの理容室もありますよ。体験してみますか?」
「え?……はい」

大沼さんに紹介していただき、協議会メンバーの庄司孝久(たかひさ)さんのお店「ニューセンス」に直行。私も体験させていただくことにしました。
▲このお店には女性専用のスペースがあります
▲店長の庄司さん。こちらにも青いのぼりが
▲庄司さんのお店ではカクテルシェーカーを使って

「ひぇっ!」

シャンプーを付けた瞬間、つい声が出てしまう冷たさ。慣れてくるとメントールの効いた爽快感が!スース―とした感覚はありますが、ノンシリコン、低刺激なのでピリピリした感覚はありません。
▲次第に冷たさにも慣れてきます

「すすぎはお湯にしますか?」
「いえ、水でお願いします!」ときっぱり!

冷たさをMAXで感じたいとお願いしてみましたが、さすがに冷たい!(笑)
暑い夏にすっきり、さっぱりしたい人は水での洗髪にチャレンジしてみてくださいね。
▲洗髪しているうちにスース―っとした感じが強くなっていきます

トリートメントは、シャーベット風。とにかく、すべてがクール!
▲少し凍らせた「冷やしトリートメント」

ドライヤーで乾かしてもらった後は、シャンプーとトリートメントに含まれるさくらんぼエキス効果で、驚くほどサラサラに!

「冷やしシャンプー」誕生秘話を知る

山形発祥の理由、なぜこんなに「冷やしシャンプー」が有名になったのか、他のシャンプーとどう違うのか等、その“謎”について、大沼さんに伺いました。
▲「冷やしシャンプー」を最初に考案した理容室「ヘアリズム」の大沼さん

「山形の夏はとにかく暑く、涼しい店内でも顔を剃っているときは熱いタオルをかけるし、ドライヤーで熱風まであてる…。暑い夏に熱い工程しかないので、思いつきでシャンプーを冷蔵庫に入れ、冷やして使ってみたらお客さんからの評判が良くて」

「それで『冷やし中華はじめました』をもじり、『冷やしシャンプーはじめました』と書き、店先に貼ってみたんです。それを女子高生が写真に撮り、メディアに投稿してくれたことがきっかけで知られるようになりました」(大沼さん)
▲店内のディスプレイは夏、夏、夏!

2008年の夏、フジテレビ系列の番組「笑っていいとも!」を皮切りに連日メディアで「冷やしシャンプー」のことが紹介され、一気に知名度がアップ。その年の暮れ、山形県民がMVK (Most Valuable Kenmin)に選ばれた日本テレビ系列の番組「秘密のケンミンSHOW」では、さらに「山形ケンミンの秘密」で第一位に選ばれるほどの話題に。

ただ冷たいだけのシャンプーじゃない!

「冷やしシャンプー」は、ただ冷たいだけではありません。一般的なメントール系のシャンプーは刺激が強いこともあり、協議会では冷やした時にちょうどよい刺激になるようにメントールの量を調整し、さらに抗酸化作用があり保湿力が高いとされる「さくらんぼ」のエキスを配合したオリジナルのシャンプーを作りました。
▲さくらんぼエキスが入ってます

「山形特産の果物のエキスを入れられないかというアイデアがメンバーから出て、様々な山形産の果物を使って試行錯誤していたとところ、化粧品に使える県産のさくらんぼエキスがあることを知り、さくらんぼエキスを配合した、冷やしシャンプーを開発できました」(大沼さん)

こうして、子どもや女性にも安心の優しいシャンプーがついに完成!「冷やしシャンプー」公式のシャンプーとして使われるようになりました。

「おくりびと」ならぬ「ひやしびと」

山形県では「冷やしシャンプー」をする理容師を「ひやしびと」と呼びます。

ある日、脚本家で東北芸術工科大学教授でもある小山薫堂さんが、「冷やしシャンプー」の噂を聞きつけ大沼さんの店を訪れました。「冷やしシャンプー」を体験しながら、映画好きな大沼さんと「おくりびと」の話で盛り上がり、帰る時に「ひやしびと」という言葉を残してくれた小山さん。
▲来店したその場で「ひやしびと」と命名

ひやしびとのメンバーと芸工大の学生たちとが一緒にボランティア活動をはじめることになったのも、その縁がきっかけ。東北大震災が起きた2011年の夏、被災地の仮設住宅に学生たちと赴き「愛すシャンプー」と名付けた洗髪のボランティアを行いました。被災者だけでなく、ボランティアとして現地で支援している人たちにも大変喜んでもらったそうです。
▲東松島仮設住宅での支援活動
▲山形市で開かれるイベント「日本一の芋煮会」にも参加。「日本一のさくらんぼ祭り」でも体験できます

今年、2016年は熊本地震への支援として、山形県内で開かれるさまざまなイベントに出店し洗髪を行い、1コイン(500円)を募金してもらう活動を続けています。
▲町の観光イベントにも出店

“冷やし文化”が根付く町

意外に思われるかもしれませんが、山形市は昭和8年(1933)年7月25日に40.8度を記録。2007年に塗り替えられる前まで74年間もの長い間、日本における最高気温の記録を持っていた地域。そうしたことから、「冷たい○○」という“冷やし文化”が根付いてきた町なのです。

「出張の際に冷やしシャンプーを体験した方たちから口コミで広がり、夏の時季には県外からわざわざ来てくださるお客様も増えました。山形の“冷やし文化”を観光と結びつけていきたい」と大沼さん。

「冷やしシャンプー」を使ったひやしびとたちの今後の取り組みに期待が高まります。
▲タイのテレビ局からの取材。今や日本だけでなくアジアへと広がります

体験したい方に朗報!

「山形県を訪れたときに正統派『冷やしシャンプー』を体験してみたい」という方に朗報です。ホームページからチケットをダウンロードし、対象となる理容室に持参すると1コイン(税込500円)で体験できます。

[期間]2016年6月11日(土)~9月10日(土)
[対象]山形県を訪れてさっぱりしたい方
[対象店舗]県内124店舗
※詳しくはホームページ参照。各店舗に電話での事前予約が必要です。
通常料金はカット込なら無料、またはメニュー料金プラス数百円で体験できますが、お店によって異なることもありますので来店の時に確認してくださいね。
ちなみに「ヘアリズム」では、カット料金プラス100円(税別)で冷やしシャンプーができ、その収益は全て募金しています。

この夏、暑い山形で「冷やしシャンプー」体験はいかがですか?
撮影:佐藤友美
佐藤昌子

佐藤昌子

エディター&ライター。山形県知事認可法人アトリエ・ミューズ企業組合専務理事。山形県内を中心にタウン誌、フリーペーパーや企業広報誌等ジャンル問わず、印刷物の企画、取材・編集の仕事を手掛ける傍ら、モデルハウスのディスプレイやリメイク等『気持ちの良い暮らし方』も提案している。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
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