行列必至!山形発祥・冷やしラーメンの「栄屋本店」

2016.08.28

「冷やし中華」のスープ有りバージョンではありません。「冷やしラーメン」(店によっては「冷たいラーメン」)は、見た目には「通常の温かい醤油ラーメンを冷たくしたもの」ですが、この美味しさは食べてみなければわかりません。今や、山形名物として県内の至る所で食べることができる「冷やしラーメン」。このラーメンを65年前に考案し、一躍山形を代表するグルメにまで押し上げた「元祖冷しらーめんの店 栄屋本店」を訪ね、その美味しさを探ってきました。

▲暑い夏は冷たいラーメンのとりこに

「元祖冷しらーめんの店 栄屋本店」は、平日のお昼ともなると店の前に長蛇の列ができる人気店。山形の夏を彩る「花笠まつり」開催中は日に700人もの来店があると言うから驚きです。

「冷たいラーメンが食べたい」というお客さんの声がきっかけに

冷やしラーメンの開発に取り組んだ初代店主の阿部専四郎(あべせんしろう)は、13歳の頃から山形の老舗そば屋で修行し、 昭和7(1932)年、25歳の時に山形市本町に「栄屋本店」を開業しました。当初は、蕎麦とうどんを提供していましたが、終戦後、昭和24(1946)年に統制解禁となった中華そばを売り出しました。

中華そばを提供するようになって2年が経った頃、常連客から「山形の夏は暑いので冷たいラーメンが食べたい」という声が聞こえてきました。その言葉が冷やしラーメンを作るきっかけとなったのです。
▲濃紺ののれんがお迎え

あたたかいスープを単に冷やすだけでは脂が浮き、食べた時にも油っこさが残ってしまう…。試行錯誤を繰り返しながら、1年かけてようやく「脂がかたまらない」スープが完成。昭和27(1949)年、日本で初めて「冷やしラーメン」が誕生しました。

その美味しさは口コミで瞬く間に広がり、ある全国誌で取り上げられると、人気は山形市から全国区へと。

ちなみに、県内で同様のラーメンを提供する店では「冷たいラーメン」「冷やしラーメン」と呼びますが、栄屋本店では「冷しらーめん」として商標登録をしています。

「冷やしラーメンを作ったときの苦労話は祖父や父も聞いてないそうです。代々、基本的な作り方を受け継いできました」と話すのは4代目の阿部竜也さん。
▲2代目、3代目とともにのれんを守る4代目の竜也さん

「以前はスープにネギ油や紅花油を使った時期もあったと聞いていますが、今はゴマ油と白絞油(しらしめゆ)をブレンドしたものを使っています。3代目からだし汁に昆布を入れるようになりました」。基本はそのままに、代が替わるごとに味は進化しているのだそう。

冷たいラーメンに適した麺、スープにこだわり抜く

麺はスープが絡みやすいようにと特別に配合して作った栄屋本店オリジナルのもの。太麺はスープに絡みにくいため、ストレートの中太麺を製麺所に製造委託しています。この太さにたどり着くまでも紆余曲折があったことは言うまでもありません。
▲熱湯にパラパラと

たっぷりのお湯に、多い時は30人分くらい一度に入れるときも。
▲熱湯の中に麺を泳がせて

水でしめるとちょうど良い硬さになるように、茹で時間は7分。あたたかいラーメンの場合より長めに茹でます。
▲手で触って硬さを慎重に見極めます

「父には“他の作業をしていても、常に麺に気を向けているように”と教えられてきました」と竜也さん。麺を上げるときのタイミングは、触覚と視覚、職人の勘が頼りです。
▲味は麺の茹で方で決まる!?
▲大きなざるで麺を残さないようにすくい上げる
▲麺をしめるのは蔵王山から引いている水で

あっさりなのにコクがある。スープは全部飲み干したくなる美味しさ

▲「冷しらーめん」の完成!

トッピングされているのはメンマ、きゅうり、板かまぼこ、チャーシュー、もやしの5品。スープが冷たいのでキュウリやもやしがシャキシャキ!
▲野菜は地元・山形産

透き通ったスープは、チャーシューを煮込んだ醤油だれと水、そして鰹と昆布のだし汁をあわせ、丁寧に作られています。ごま油の風味が程よく、油っぽさはなく、あっさりしているのにコクがあります。暑い日は飲み干したくなるほど冷たくて美味しい!
▲美味しさのヒミツは澄んだスープ

口に麺を入れた瞬間、冷たさが口の中に広がり、清涼感たっぷり。もちもち、つるつるの食感に感動!麺にスープがよく絡みます。中太の麺はボリュームも期待通り!
▲毎日40分ほど煮込んでつくるチャーシュー

「『冷たいラーメンってどんなものかと思っていたけど、本当に美味しかったです。遠い所から来た甲斐がありました』と、初めていらしたお客様から言っていただくことが多いので嬉しいですね」。お客様さんからの言葉が何より嬉しいと話す竜也さん。
▲店内には、噂を聞きつけて訪れた著名人の色紙が何枚も!
▲落ち着いた店内

「冷しらーめん」は、お土産用として店内でも販売しています。お土産用のスープには山形特産のラ・フランス果汁が入っていますよ。
▲冷しらーめん5人前2,160円(税込)※生麺・メンマ付き
▲冷しらーめん。右:生麺2人前520円(税込)、左:乾麺2人前432円(税込)

栄屋本店では通年で「冷しらーめん」を提供しています。また、県内の蕎麦店、ラーメン店でも各店独自の冷たいラーメンを食べることができます。通年または夏期限定メニューとして、お店によって提供する期間はそれぞれ。

暑い夏、山形で“本場”の味に触れてみてください。
撮影:佐藤友美
佐藤昌子

佐藤昌子

エディター&ライター。山形県知事認可法人アトリエ・ミューズ企業組合専務理事。山形県内を中心にタウン誌、フリーペーパーや企業広報誌等ジャンル問わず、印刷物の企画、取材・編集の仕事を手掛ける傍ら、モデルハウスのディスプレイやリメイク等『気持ちの良い暮らし方』も提案している。

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