陸路では行けない知床半島の先端を目指し、知床岬クルージング

2016.08.15

世界自然遺産に登録されている北海道の知床で、陸路では行くことができない知床半島の先端部を海上から眺められると聞き、知床岬へ向かうクルージング体験をしてきました。海に落ちる滝や断崖絶壁の海岸など、手つかずの大自然の眺めに圧倒!ヒグマやイルカにも出合えました!

▲海上からしか眺めることができない滝がいくつも!

小型クルーザーで、迫力ある知床の大自然を体感

知床岬へのクルーズ船は、知床観光の中心、ウトロから出航しています。運航会社はいくつかありますが、今回乗船したのは、小型クルーザーで案内してくれる「知床クルーザー観光船 ドルフィン」。
大型観光船と異なり、小型クルーザーは船底が浅く小回りもきくため海岸線に近寄ることができ、迫力ある風景を間近で見ることができます!
▲「ドルフィン」は定員51名(うち旅客は48名)で、2階が天井や窓がないオープン席(雨天時はホロがつきます)、1階は一部オープン席と船内キャビン(客室)があります

クルーズルートは、ウトロ港から知床半島の先端、知床岬沖合までの往復。約3時間の船旅です。
行きは海岸線に沿いながら、滝を眺めたりヒグマの姿を探したりしながら知床岬沖合まで進み、帰りは知床半島の沖合を航行して雄大な知床半島の全景を眺めつつイルカウォッチング! 途中、番屋など漁師さんの施設以外に人工物はなく、大自然の中を進んでいきます。
▲ガイドの柴田さん。船上で景色の紹介をするだけではなく、ヒグマをはじめ動物を見つけて教えてくれました

海上は気温が低く風もあたるので、夏でも厚着は必須。防寒用のベンチコートを無料で貸してもらえます。風が強い日は波しぶきがかかることもあるので、レインコートもあったほうが安心です。
▲ウトロ港を出航!いざ、秘境知床岬へ!

それでは、知床岬往復の見どころをいくつか紹介します!

切り立った断崖絶壁の海岸線がどこまでも!海辺に落ちる滝がいくつも!

ビューポイントの一つは、断崖絶壁の岩肌から流れ落ちる滝の数々。崖の上から海へ豪快に流れる滝や、岩肌から噴き出すように染み出る滝など、まるで映画やアニメの世界に迷い込んだかのような風景がいくつもあるのです!

ウトロ港を出航して、最初に目をひく滝が「フレぺの滝」です。
▲落差約60mもある「フレぺの滝」。別名「乙女の涙」と呼ばれています

岩の上部から地下水が流れ出て、海辺に落ちていく滝です。滝の上付近には展望台があり、陸路からも行くことができますが海岸線には下りられないため、このように滝の全景を眺められるのは海路のみ!
しかも、入江になっているので大型船では近寄りにくい場所。クルーザーの特権です!

「フレぺの滝」がある入江から知床岬へと進むと、次の入江には、「湯の華の滝」があります。
▲「湯の華の滝」。間近で見ると豪快さに圧倒されます!滝の近くまで寄ることができたのも、クルーザーだからこそ

高さ100m以上あるという断崖の間から、幾筋もの地下水が噴き出す「湯の華の滝」。別名「男の涙」と呼ばれています。由来は、「乙女の涙」と比べて勢いよく豪快に流れているからと言われていますが、諸説あるようです。

「湯の華の滝」を過ぎると、岩肌に大きな穴が開いている「クンネポール」が見えてきます。巨大な海の洞窟です。
▲アイヌ語で“黒い洞窟”という意味の「クンネポール」

ダイナミックな風景が続きこれだけでも十分感動ものですが、ウトロから知床岬へ向かいまだ1/4弱しか進んでいません。この先、さらに息をのむような風景が続きます。

切り立った崖の上や下に、野鳥や野生動物が現れることも!

切り立った断崖の上を眺めていると、オジロワシやケイマフリなど珍しい野鳥が飛び交う場面に出合うこともありました。ただ、カメラを向けても距離があるうえすぐ飛び立ってしまうので、撮影は難しいです。
▲双眼鏡で覗けば動物たちの姿もバッチリ!双眼鏡は乗船手続きの時に300円(税込)で貸してもらえます

今回の航行で、柴田さんも珍しいと言っていた野生動物との出合いはこちら!
▲スペシャルゲスト、トドが登場!体格が小さめなので、子どものトドのようです

「クンネポール」を過ぎると、なんと、崖の下の海辺にトドがいたのです!トドが見られることはあまりないそうです。これはラッキーでした!

断崖絶壁の海岸線はこの先まだまだ続きます。
観光スポットとして有名な知床五湖の水が地中に染みこみ地下水となり、岩肌から水が流れ落ちているのではないかと言われている岩場も。
▲岩肌からちょろちょろと地下水が流れ落ちています。この断崖の上付近に知床五湖があります

知床岬へ向かい、さらに進んでいきます。
▲漁師さんの漁場となっている場所を避けるように、海岸線から離れ沖合を進んでいきます

次に登場する見どころは、カムイワッカ川が流れ落ちる「カムイワッカの滝」。この川の水には硫黄分が強い温泉が含まれていることで知られ、川の上流には観光スポットとして有名な「カムイワッカ湯の滝」があります。
「カムイワッカ湯の滝」へは近くまで道路が通じているので陸路で行くことができますが、「カムイワッカの滝」へは道路がないので、海路で船上から眺めることしかできません。
▲「カムイワッカの滝」。川の流れがそのまま海辺に落ちています

「カムイワッカの滝」の少し先には、「ヨウシペツの滝」があります。
この付近には硫黄山という活火山があり、硫黄山中腹から流れているので、別名「硫黄滝」と言います。
▲落差約80mある「ヨウシペツの滝」。一筋の細い滝で優雅な印象です

ヒグマを探そう!

「ヨウシペツの滝」を過ぎしばらく進むと断崖が途切れ、平地が現れます。山と山に挟まれたルシャという地区で、ヒグマが頻繁に出没するエリアとして知られています。

目をこらして海岸線をじっと眺めていても、はじめは慣れないのでなかなか見つけられません。柴田さんが「あそこにいます!」と指を差した方向に目を向けると、岩浜を歩くヒグマを発見!
▲漂着物が散らばる岩浜でヒグマを発見!海上からだと距離があるので、小さく見えます

自分ではなかなか見つけられませんでしたが、柴田さんが教えてくれたため、この日はヒグマを数回目撃できました。
ちなみに、このクルージングでは9割5分の確率でヒグマを目撃できるそうですよ。

いよいよ秘境、知床岬へ!

ルシャ地区を過ぎると、また断崖が連なる海岸線になります。ウトロから知床岬へ向かい、3/4位進んだところに、知床で一番美しい滝と言われている「カシュニの滝」があります。
今まで見てきた滝は海辺の岩浜などに流れ落ちる滝でしたが、この滝は水がダイレクトに海へ流れ落ちる滝。つまり滝壺が海なのです。
▲落差約30mの「カシュニの滝」。せり出した岩の上から水が海へ流れ落ちます

この付近や知床半島先端には道路がないので、陸路で近づくことは不可能です。この滝を眺められるのは海上からのみ。大自然の姿がそのまま残る、まさに秘境!
奇岩が連なる海岸線沿いを進んでいくと、少しずつ知床半島の山並みが低くなってきました。知床岬も目前です。
▲ウトロから約45km、知床岬の沖合へ到着。岬の先端付近はなだらかな地形です

晴れて空気が澄んだ日はこの先に国後島も見えます。訪れた日は雲が多かったため、残念ながらうっすら山影が見えた程度でした。
知床岬は一般の観光客が上陸することはできないので、船上からの見学のみで引き返します。
▲後ろを振り返り、知床岬の写真を。名残惜しい気分でした

雄大な知床連山とイルカがお出迎え!

往路は海岸線沿いをゆっくり眺めながら進みましたが、復路は知床半島の沖合を一気に進んでいきます。
沖合には、イルカの群れがいることが多く、クルージングでもよく遭遇するそうです。今回訪れた時も、イシイルカの群れを数回目撃!
▲波しぶきを立てながら水中を泳ぐイシイルカ

水族館のイルカショーのように海面をジャンプするわけではないので、写真を撮るのは非常に困難。大海原でイルカが泳ぐ姿を見つけてすぐにカメラをかまえても、その時には既に海に潜ってしまっているので…。写真ではなく脳裏に焼き付けるしかなさそう!?今回は上の写真のみ撮影に成功しました!

海面ばかり眺めていては勿体ない!遠くに目を移すと知床連山のすばらしい姿が目の前に広がっています!
▲カムイワッカの滝と硫黄山

イルカたちの姿と、知床連山の山並みに見とれること間違いなし!知床岬への往復とはいえ、海岸線沿いを進んだ行きとは異なり沖合を通るので、飽きることなく絶景を楽しめました。
▲羅臼岳やサシルイ岳などが連なります。海岸線沿いは大型観光船が航行しています

陸路がないため近づくことができない、知床半島先端部。海上からのみ眺めることができる断崖絶壁の海岸や数々の滝、知床連山の山並みなど、雄大な大自然が目の前に広がりました。小型船だからこそ近寄ることができる入江では、目の前に迫る滝の豪快さに圧倒!
さらに、船内ガイドが風景や自然について詳しく案内してくれるうえ、ヒグマなど野生動物を見つけてアナウンスもしてくれました。自然に詳しい現地の人と一緒だからこそ知ることができる楽しみです。
知床が世界自然遺産である所以の、手つかずの大自然を体感できる知床岬へのクルージング。皆さんも楽しんでみませんか?
川島信広

川島信広

トラベルライター・温泉ソムリエ・イベントオーガナイザー/横浜市出身、札幌市在住。北海道内の全市町村を趣味で訪ね歩くうちに北海道の魔力に惹かれ、都内での雑誌の企画営業と執筆業務を経て北海道へ移住し独立。紙媒体やweb媒体などで主に観光や旅行、地域活性をテーマにした取材執筆と企画・編集を手がける。スイーツ好きの乗り鉄、日光湿疹と闘う露天風呂好き。

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