糸島半島の“突端”で昔ながらの塩づくりを行う塩守を訪ねる

2015.06.17 更新

地元・福岡のみならず、今や海外の料理人からも注目を集める「またいちの塩」。このミネラル豊富な天然塩を作っているのは、福岡の西端、糸島半島の“突端”にある、その名も「工房とったん」です。福岡市内から車で約30分。半島の西側の海岸線を走り続けると、いつしかアスファルトのない砂利道に。車が1台ギリギリ通る細い道を抜けると、「工房とったん」に到着。この地で塩づくりを始めて15年目を迎える塩守(しおもり)・平川秀一さんにお話をうかがいました。

▲この看板が目印。右の細い道を抜けると「工房とったん」に到着!

立体式塩田の造形美に感動!

工房の敷地に入ると、まずはフードや商品を販売するスペースがありますが、はやる気持ちをちょっと抑えて、まずは、いちばん奥にある立体式塩田をめざします。その造形美に圧倒され、高さ約8mから竹を伝わり落ちてくる海水の粒がキラキラと光る様子に目を奪われます。
▲頑丈な骨組みに竹の枝が逆さに吊るされています

半島の突端にあり、生活排水の心配がなく海水がキレイであるということ、また、福岡の沿岸の多くは北を向いているけれど、ここは南を向いており、塩田に陽が当たる時間が長いことから、平川さんはこの地で塩づくりをすることを決めたそうです。20歳よりカナダ、スウェーデン、ロンドンなどで料理人として経験を積み、帰国後も国内を中心に主に和食の料理人として活躍していた平川さん。料理における塩の大切さをわかっているからこそ、父・又一さんの「塩づくりをしたい」という想いに賛同し、26歳でこの世界に入りました。
▲海水が粒となって跳ねる様子はまるで宝石のよう

海水に天日を当てることを繰り返し、塩分濃度を凝縮させること約10日間。続いて工房内にある釜で濃度が高まった海水を炊いていきます。その日の気温や湿度などによって炊く日数は1~3日程度。その日の天候や気温、湿度によってその時間は変わってきます。そして、海水は徐々に美しい飴色へと変化していきます。
▲奥の釜は約60度、手前の釜は60~100度の間で調整します

朝、釜に火を入れると、おおよそお昼頃から塩の結晶ができはじめます。それを丁寧にすくい、目でわかる範囲でゴミなどを取り除く作業を夕方まで。ひたすら根気のいる仕事です。
▲塩の結晶を丁寧にすくっていきます

こうしてできた塩の結晶は1日寝かし、水分(にがり)を除いて、別の工房に運ばれ、機械で乾燥させます。そして、粒の大きさで選別し、再びゴミを取って、ようやく製品が完成するのです。
▲ここから1日寝かせます

「工房とったん」では、この塩づくりの様子を見学することができます。今春にはチャーミングなオーストリア人スタッフも加わり、英語やドイツ語での対応も可能になりました。
▲オーストリア人スタッフのグラッツさんと平川さん

美しい海を眺めながらいただく塩スイーツは格別!

▲「ごまプリン」(左)と「花塩プリン」(右)

また、ここを訪れる人々のもうひとつの楽しみは、この塩を使って作るスイーツ。とろっとろのカスタードプリンに、旨みが濃い一番結晶“花塩”とカラメルソースをかけていただく「花塩プリン」(350円・税込)は、全国放送の人気テレビ番組でも頻繁に紹介され、全国各地からの注文が殺到しているそうです。これらのスイーツは、「工房とったん」のほか、この後にご紹介する「季節屋」でも購入できます。
▲まるで海外のリゾート地のような解放感

もちろん、ここで作られた「またいちの塩」をはじめ、オリジナルのTシャツやトートバッグなどもこの工房で購入可能。平川さんのアイデアから生み出される商品はセンスが良く、お土産にもおすすめです。
▲種類豊富な塩を販売。2015年夏には「塩せっけん」が誕生!

地元素材を活かす食事処「イタル」

▲お魚ごはん(1,800円・税別)

もともと料理人だった平川さんは、2006年、この塩の美味しさを伝えたいと工房から車で約40分の場所に「イタル」という食事処をオープン。一時休業していましたが、2014年秋に復活。毎週金・土・日曜のみの営業で、平川さん自ら厨房に入り、糸島の旬の食材を使った3種類(野菜・肉・魚)の定食を提供しています。敷地内には、塩のほか、季節ごとに仕込む柚子こしょうやお米などを販売する「季節屋」もあり。旅の途中にぜひ立ち寄りたいものです。
寺脇あゆ子

寺脇あゆ子

福岡を中心にグルメや旅などを中心に活動するフリーの編集者・ライター。美味しいものがあると聞けば、行かずにはいられないフットワークの軽さが自慢。主な仕事はグルメ情報誌「ソワニエ」、greenz.jpなど。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

関連エリア

今おすすめのテーマ

PAGE TOP