個性豊かな味わいを楽しむ。鹿児島で訪れるべきラーメン店3軒

2016.07.25 更新

旅先ではご当地ラーメンを食べたくなるものですよね。鹿児島のラーメンは、豚骨と鶏ガラでとったスープと中太ストレート麺が定番です。今回は、そんな鹿児島ラーメンの中でも特に注目の個性豊かな3店舗をご紹介します。

観光客に絶大な人気を誇る名店「豚とろ」

まず訪れたのは、観光客に絶大な人気を誇る「鹿児島ラーメン 豚とろ本店」。県内に4店舗、福岡に1店舗を展開する人気ぶりで、観光客が列を成すのも同店にとっては日常茶飯事の光景ですが、創業は2003年と比較的新しいラーメン店です。
人気の秘密を探るべく「半熟煮玉子入り豚とろラーメン」(税込870円)を注文してみました。麺は鹿児島ラーメンらしい中太ストレート麺。具はチャーシュー、キクラゲ、揚げ玉ネギ、ネギ、煮玉子と至ってシンプルですが、器の中でチャーシューが圧倒的な存在感を放っています。そう、「豚とろラーメン」の人気の秘密は、このチャーシューにあるのです。
▲「半熟煮玉子入り豚とろラーメン」(税込870円)

チャーシューを口に入れると、噛む必要がないほど柔らかであっという間にホロホロととろけていきます。それもそのはず。このチャーシューは、1頭の豚からわずか200~300gしか取れない希少部位「豚とろ」を使っているのです。

店名の由来にもなった「豚とろ」は、豚の首から肩にかけての霜降り肉のことで、今でこそ頻繁に耳にするようになりましたが、創業当時はまだあまり知られていませんでした。そのおいしさにいち早く注目し、試行錯誤を経て「豚とろ」のポテンシャルを最大限に引き出すチャーシューを作り上げたのが同店なのです。
「チャーシューのレシピは門外不出なんですよ」と店長の清藤雄介(きよふじゆうすけ)さん。調味料の配合から火加減に至るまで、レシピを知る者はスタッフの中でもごく一部なのだそう。

鹿児島の醤油を使い、10時間ほどかけて炊き上げるチャーシューは、ジューシーなのに後味はスッキリ。麺もスープもチャーシューに合わせて考案したというほど、チャーシューは同店のラーメンの「顔」なのです。
▲店長の清藤雄介さん

同店では、豚骨と鶏ガラをベースにしたベーシックな鹿児島ラーメンのスープに、カツオ節や昆布などの和風ダシも加えているため、コクがありつつもあっさりといただけます。

また、麺の硬さをオーダーできるほか、替玉もあります。替玉は、違った食感を味わえるように「極細麺」を用意しているのだそう。こうした細やかなサービスもまた、観光客から支持を受ける理由なのかもしれません。

行列に並んででも食べる価値アリの「豚とろ」ですが、特に休日は混み合うので、開店直後やランチ時間を少しずらして行くのがおすすめです。

「早い、安い、旨い」がモットー。雰囲気の良さも魅力の「五郎家」

次にご紹介するのは、地元で今最も注目を浴びているラーメン店の一つ「五郎家(ごろうや)」です。繁華街から少し外れた立地にもかかわらず、同店目がけて訪れる客が後を絶ちません。

2004年に創業し、地元客を中心にリピーターを増やしてきた「五郎家」の名前が、県内全域に知れ渡るようになったきっかけは、2015年に始まった「鹿児島ラーメン王選手権」。鹿児島県民が投票して鹿児島ラーメンのナンバーワンを決める同大会で、「五郎家」は2016年度の王者に輝いたのです。
▲外観はあたたかみのあるウッディな雰囲気

「五郎家」で定番人気の「おなじみラーメン」は、器を覆うほどの大きなチャーシューが乗ったシンプルなラーメン。鶏ガラメインのあっさりとした豚骨スープに鹿児島の甘い醤油を加えたスープが特徴です。これに具材の茹でキャベツの甘さが相まって、一口すすればホッとするやさしい味わいに仕上がっています。
▲「おなじみラーメン」(税込583円)

麺は鹿児島ラーメンの定番である中太ストレート麺ですが、同店の麺は全粒粉入りなので、小麦本来の香りも楽しめます。

このように、「五郎家」は様々なこだわりが詰まったラーメンを提供していますが、「ウチはそんなに新しいことはしていないし、正直に言ってものすごいこだわりがあるわけでもないんですよ」と店主の竹田健介さんは言います。
竹田さんが創業以来、大切にしていることは「早い、安い、旨い」なのだそう。「この三拍子が揃っていることがラーメンの基本だと思うんです。だから、定番の『おなじみラーメン』は、消費税が10%になっても600円以下になる価格設定にしています」と竹田さん。
▲店主の竹田健介さん

そしてもう一つ、竹田さんが大切にしていることは「お店の雰囲気づくり」。店内には心地良いジャズのBGMが流れ、ガーランドやかわいらしい照明が空間を彩ります。「ラーメンというよりもお店の雰囲気を味わいに来て欲しい」という竹田さんの思いが、店内に溢れているようです。
▲店内の装飾は竹田さんのアイディアによるもの

「鹿児島の老舗ラーメン店の味は、何世代にも渡って食べ継がれているから鹿児島県民のDNAに組み込まれているのだと思います。『五郎家』もそんなラーメン屋になることが今の目標です」と竹田さんは語ります。

ランチ時を過ぎていたにもかかわらず、店内は様々な年齢層のお客さんで賑わっていました。創業12年目を迎え、竹田さんの思いは確実にお客さんに伝わっているようです。

鹿児島県民のソウルフード「こむらさき」の個性派ラーメン

最後にご紹介するのは、昭和25(1950)年創業の老舗「ラーメン専門 こむらさき 天文館店」。創業時から鹿児島一の繁華街・天文館(てんもんかん)で営業を続ける同店のラーメンは、「鹿児島のソウルフード」と言っても過言ではないほど地元で愛されています。
▲60年以上に渡って天文館の変遷を見守ってきた「こむらさき」

「こむらさき」のラーメンは、麺もスープも一般的な鹿児島ラーメンとはまったく異なります。スープのベースとなる豚骨は、豚足やカルビ(アバラ)、アタマなどの厳選した部位のみを使用し、丸鶏を加えます。匂いの強い背骨は使わないのが同店のこだわり。それにシイタケのエキスをブレンドして、旨みとコクが凝縮した独特のスープが出来上がるのです。
▲ラーメン(鹿児島黒豚チャーシュー入り)並盛(税込1,000円)

そして、「こむらさき」のもう一つの特徴が無潅水の自家製細麺です。一般的なラーメンの麺は、黄色っぽい色をした潅水麺ですが、「こむらさき」の麺は真っ白。製造した後に地下の麺倉庫で風を送りながら1週間ほど熟成させてようやく完成するのだそう。
▲ラーメンらしからぬ真っ白な麺が特徴

手間ひまを惜しまず、無潅水の自家製麺にこだわる理由を「うちのスープに合うということと、最後まで飽きずに食べられるからです」と語るのは、二代目店主の橋口芳明(はしぐちよしあき)さん。ツルツルと喉越しの良い細麺は、子どもからお年寄りまで食べやすく、上品な味わいです。
▲二代目店主の橋口芳明さん

キャベツがたっぷり載っているのは、栄養のバランスを考え、体にやさしいラーメンを提供したいからなのだそう。また、三枚身と赤身をミックスさせた鹿児島黒豚のチャーシューは、食べやすいサイズにカットしたり、スープは少しでも冷めにくいように最後に入れたりと、お客さんのことを考えてラーメンを提供していることが伝わってきます。こうした創業以来変わらないおもてなしの精神こそ、「こむらさき」が世代を超えて人々に愛されるゆえんなのでしょう。
▲昔は珍しかったオープンキッチンスタイルを創業時から守っている

「人の好みは千差万別だし、うちの味は個性的なので10人中3人がおいしいと思ってくれればいいと思っています。でも、帰省したお客さんが『懐かしい』と言ってくださったりするのは本当にうれしいですね」と橋口さん。

二度、三度と食べるうちにやみつきになる「こむらさき」のラーメン。ここでしか味わえない一杯をぜひご賞味ください。
鹿児島ラーメンの注目店をご紹介しましたが、行ってみたいお店は見つかりましたか?最後に鹿児島のラーメン屋さんの豆知識を一つ。鹿児島のラーメン屋さんに行くと、ラーメンを注文した後にサービスで大根の漬物が出てきます。

卓上に置いてあってセルフで取り分けたり、小皿にのって出てきたりと、店舗によってスタイルは違いますが、箸休めやお口直しにぴったりなので、皆さんもぜひ召し上がってみてくださいね。
▲「豚とろ」の漬物はセルフで取り分けるスタイル
さわだ悠伊

さわだ悠伊

鹿児島市出身・在住のフリーライター。グルメ、旅、コラム等ジャンルや媒体を問わず活動中。鹿児島県内の離島取材も豊富。

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