まちの名は「美星町」。住民一丸で守る“美しい星空”に会いに行こう!

2016.09.12 更新

岡山県井原市にある「美星町(びせいちょう)」。天文家の間で有名なこのまちは、全国に先駆けて光害防止条例を制定し、地域一丸となって星空を守っています。夜はまちと空が同化する神秘的な美星町。訪れるならキャンプに最適な、夏から秋がオススメ!

▲美星天文台付近から天の川を望む5月の空(写真提供:井原市美星天文台)

「多くの人々がそれぞれに感動をもって遥かなる星空に親しむよう宇宙探索の機会と交流の場を提供することが美星町及び美星町民へ与えられた使命」

こんなステキな前文を持つ光害防止条例を平成元(1989)年、全国に先駆けて制定した「美星町」(2005年の合併後は「井原市美星町」)。岡山市内から車で1時間半ほど走らせるとたどり着く、棚田や清流が印象深いまちです。
▲愛らしいイラストの看板がお出迎え
▲その昔、流れ星が近辺に落ちたことから、「星の郷」と呼ばれるようになった「星尾降神(ほしおこうしん)伝説」の残る「星尾神社」
▲境内に続く参道は、周囲の緑に溶け込む

まちを流れる「美山川」と「星田川」。それぞれの先頭1文字を合わせてその名になったとされる「美星町」は昭和63(1988)年、旧環境省が「星空の街」に認定。元々、「星の郷」として町づくりに取り組んでいた素地も重なり、星空を守る機運が高まって条例制定へとつながっていきました。

「美星町」では、夜空を明るくする散乱光を防ぐため、街灯には、光が水平以上に漏れない照明を使用し、看板を照らす照明などといったすべての上向きの明かりを禁止。さらに、屋外照明は午後10時以降、消灯することを奨励しています。主要道路も通っていないため、まちは星空と同化するほど真っ暗闇に包まれます。
▲「井原市星空公園」は2011年、テレビ番組の企画で、天文家によって「日本三選星名所」に認定。夜は道路に敷かれた蓄光石が光る。名づけて「願いかなう小径」(写真提供:井原市美星天文台)

星空とキャンプは好相性!

美星を訪れるのにオススメなのは、キャンピングに適している6~9月。まちの平均標高が300mという美星町は避暑地でもあるんです。満天の星空を眺めながらのキャンプなんて、ロマンチックでしょ?

この日は、テントも借りることができて、炊事場やシャワーなどの設備も整っている、岡山の人でも知る人ぞ知るとっておきの穴場キャンプ場に行ってきました!

それは、町の東部にある「大倉龍王山」(標高514m)の山頂付近にある「ir.bisei星空間オートキャンプ場」。
▲7つあるサイトは、天気予報が良いとあっという間に予約で埋まる

丘の上を涼風がなめらかに吹き抜け、眼下に緑の眺望が広がるバツグンのロケーション。

コーヒーを片手に読書するもよし、会話するもよし。夜の帳が下りるのをのんびりと待つぜいたくな時間が流れます。
▲カレーで腹ごしらえ。サイト横の管理棟で炊事もできる
▲ランプが灯れば、ムードも高まる

このキャンプ場の魅力は、運営団体にアリ。地元の若者有志でつくる「ir.bisei(アイアール.ビセイ)」(川上直哉代表)は、2013年に結成し、キャンプ運営やイベント開催などに取り組み、自主的に地域を盛り上げています。
▲「ir.bisei」のメンバーとそのご家族。メンバーは日頃から自前のカメラを持ち歩き、美星PRのためにSNSで発信している

この「星空間オートキャンプ場」の他、西部の木野山にある「木野山オートキャンプ場」も運営している彼ら。美星のキラーコンテンツである星空を、外部の人たちに楽しんでもらうには何が必要か真剣に向き合った結果、メンバー自らの手でキャンプ場整備に乗り出したのです。
▲「星空間オートキャンプ場」のトイレもメンバー自らがコツコツ整備。木の香りに囲まれた洗面所がとても快適!

手作り感やメンバーの地域愛が、この施設の居心地の良さを醸しているのですね。

2015年には、「空宙(そらそら)ガールズミーティング」を開催。「宙(そら)ガール」としても知られるタレントの篠原ともえさんをスペシャルゲストに迎え、音楽と星空、料理のコラボを楽しむ女性限定のイベントを企画、開催しました。2016年の今年は10月1日に開催予定です。(問い合わせ:井原市役所美星支所 0866-87-3113)
▲2015年に開催した「空宙ガールズミーティング」のポスター

ここ「星空間オートキャンプ場」の魅力をメンバーの中本力(なかもとちから)さんが教えてくれました。
「ベストコンディションだと夏は頭上に天の川がくっきりと浮かびます。特に未明の空は必見ですよ。このキャンプ場で美星の魅力をたっぷり感じてください」

宇宙と人間の叡智のフュージョン!「井原市美星天文台」

この日は夕方から晴れ予報でしたが、残念ながら、ジワジワと雲が広がり晴れ間がほぼ無い状況。わずかな雲間から天体観測できる希望を胸に、キャンプ場から車で20分ほどの「井原市美星天文台」を目指しました。
▲昼間の「井原市美星天文台」

道中に出くわす光は対向車のライトだけと言っても過言ではないほど、本当に真っ暗。野生の動物が車道を歩いていることもあるので、運転には細心の注意が必要です。

車のライトが星の観測に影響を及ぼすため、専用駐車場から上り坂300mを歩きます。道路脇に点在する高さ約30cmの街灯がほんのり照らす程度でほぼ暗闇。徹底的に星優先ですね。

この天文台は、1993年に設立。「最高の星空を最高の条件で見ることができるように作られ」(パンフレットより抜粋)ており、切り開かれた丘の上に立っています。
▲天文台と満天の星空(写真提供:井原市美星天文台)
▲運が良ければ、頭上にくっきりと天の川が。さきほどご紹介した「星空間オートキャンプ場」からも同様の景色が見える(写真提供:井原市美星天文台)

「井原市美星天文台」は、中国地方屈指の大きさを誇る「101cm反射望遠鏡」や、特殊なフィルタを用いて太陽を撮影しモニターで見られる「太陽望遠鏡」など設備が充実。天文愛好家はもちろん、家族連れも気軽に楽しめる人気スポットなんです。
▲入口付近の外に展示している「渾天儀(こんてんぎ)」。中国古代に使われていた天体位置測定器械の実物大レプリカ

夜間の天文台は、望遠鏡での観測がメイン。
綾仁(あやに)天文台長によると、「101cm反射望遠鏡」は、人間の瞳の2万倍の光を集め、肉眼では見ることができない星雲やはるか彼方の天体を見ることが可能。この時期は、土星や火星を見ることができるそう。

「さっき、雲間から土星が見えましたよ!」という台長さんの呼び掛けで、望遠鏡のある部屋に直行!レンズを覗いてみると、リング付きの土星がクッキリ!自分の目でしっかりと捉えた、初めての土星に感動です!
▲CGかと思うような土星の形がくっきり(写真提供:井原市美星天文台)
▲自在に開閉するドーム状の天井と巨大な望遠鏡が、観測する星に合わせてググーーっと動く。その様子がとってもクールで子どもも大人も目が釘付けに
▲望遠鏡から見える月のクレーター(写真提供:井原市美星天文台)

太陽の20倍以上の大きさという37光年先の恒星も観測。眩い光は宇宙に浮かぶ巨大なダイヤモンドのようでした。

改めて宇宙って未知で偉大。合わせてこんな望遠鏡を作った人間の叡智も偉大。
観測部屋からつながるベランダは、最高の見晴らし。わずかな雲間に、先ほど望遠鏡越しに見た土星や火星、恒星が肉眼で見えました。

スタッフの人たちが丁寧に解説してくれるので、訪れた際はいろいろ質問してみて!

星に願いを――。ロマンチックなイベントも充実

美星は星空を鑑賞するだけじゃありません。まちが取り組む「願いかなう町✽美星」のプロモーションも要チェック!

毎年8月は、「願いかなう町」にちなんだ2大イベントが開かれます。

「美星町」を中心に、岡山県内37カ所、広島県5カ所で「願いかなうポスト」を設置。ポストに投函した願い事は、美星町の「星尾神社」に集められ、毎年8月7日、同神社で願い事の成就を祈願。天に向かって焚き上げる「七夕祈願祭」が開かれます。
▲観光スポットや公共施設に設置している「願いかなうポスト」。わたしも投函♪

同じく8月に開かれる町最大の夏イベントが、「天の川まつり」。

全国から募った願い事が書かれた約2,000個の「願い事灯ろう」を路上に飾る、夏の名物行事です。
▲一般道の区間を通行止めにして並べられる「願い事灯ろう」。会場は「星の郷 青空市」周辺(写真提供:天の川まつり実行委員会)
▲「願い事灯ろう」を一斉に焚き上げるのが祭りのフィナーレ。闇夜に燃え盛る火柱は圧巻(写真提供:天の川まつり実行委員会)

西野曻(にしののぼる)美星町観光協会会長によると、昔はお盆の頃、自宅前に灯ろうを飾る習わしがあったことに注目。1999年から毎年開催しているそうです。
▲実行委員会がオリジナル開発したダンボール製「願い事灯ろう」と、祭りの魅力を語る西野会長

天の川に見立てた幻想的な光の群れを目当てに、県内外から多くの観光客が訪れる「天の川まつり」。8月に訪れる際は、ぜひ地上の天の川も堪能してみて!

美星の自然と温かい人たち、宇宙の神秘に触れ、すっかり美星ファンに。次こそ、満天の星空のリベンジ!美星の空に、再訪を誓いました。
ココホレジャパン

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ココホレジャパンは「地域の魅力を広告する」地域広告会社です。 広告といってもチラシやポスターをつくるだけではありません。地域のおいしい野菜があれば、それを使って商品も作ります。素敵だと思う商品を販売したりもします。地域の魅力を掘り起こして「これ、いいでしょ!」と伝えていく、それが私たちの仕事です。

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