「UCCコーヒー博物館」でコーヒー三昧の旅

2016.10.04 更新

日本を代表する飲料メーカー「UCC上島珈琲」が運営する「UCCコーヒー博物館」は、豊富な展示物や体験プログラムを取り揃えた、コーヒーの博物館。とっても奥の深いコーヒーの世界へと私たちを誘ってくれます。

「一杯のコーヒーはインスピレーションを与え、一杯のブランデーは苦悩を取り除く」
これは、コーヒーを愛して止まなかったという、かの有名な音楽家ベートーベンが残した言葉。

というわけで、今回のテーマは、ずばり「コーヒー」!
時代を超えて、国境を越えて、世界中のたくさんの人びとに愛されているその飲み物は、現在では世界で最も多くの国で飲用されている嗜好飲料なんだとか。
かくいう筆者もほぼ毎日お世話になっています。

そんな「コーヒー」の世界にどっぷりと浸かることのできる博物館が「UCCコーヒー博物館」。コーヒーだけにスポットをあてた博物館なんです。

いざ!UCCコーヒー博物館へ

やってきたのは、兵庫県神戸市にあるポートアイランド。「UCC上島珈琲」の本社がある所です。「UCC」といえばコーヒー。なんと世界で初めてミルク入り缶コーヒーの発売をはじめたメーカーなんです。
そして、その本社の隣に併設されているのが今回のお目当て「UCCコーヒー博物館」です。
▲「UCCコーヒー博物館」入口
「この博物館は、UCCグループの創業者・上島忠雄の『コーヒーの素晴らしさをひとりでも多くの人に伝えたい』との思いをうけて、昭和62(1987)年のコーヒーの日、10月1日に誕生しました。昭和56(1981)年に開催された神戸ポートアイランド博覧会に出展させていただいたパビリオン『UCCコーヒー館』が前身となっております」
と、案内してくださったのは博物館スタッフの小出眞梨子(こいでまりこ)さん。

グループ創業80周年を記念し、2013年にリニューアルしたというこの博物館は、コーヒーの歴史や文化をはじめ、コーヒーにまつわるさまざまな展示に加え、テイスティングコーナーや焙煎体験などの体験メニューも用意された、まさにコーヒーずくめの博物館。

コーヒーに特化した博物館というのは日本で唯一ここだけだそうで、世界的にもめずらしいということから、日本人はもちろん海外からもたくさんの方が訪れるといいます。
館内の受付を抜けると、まず広がっていたのは開放的でなんとも落ち着きのあるおしゃれな空間。
▲コーヒーの粉を漉(す)き込んだ手漉きの和紙で造られた巨大なアートワークが印象的
吹き抜けの高い天井に配された幾何学模様の天窓からは、太陽の光が差し込み、まるで万華鏡を見ているよう。そして、巨大な円柱の形をした4本の造形物が灯すやわらかいオレンジ色の光。とても落ち着きのあるアーティスティックな空間です。

「こちらのインテリアアートは、和紙デザイナーの第一人者、堀木エリ子氏が手がけたもので、コーヒーの粉を漉き込んだ手漉きの巨大な和紙が使われているんですよ」と小出さん。

ここにもコーヒーとは、さすがコーヒー博物館です。

コーヒーの歴史から、作り方・おいしい淹れ方まで。これであなたもコーヒー博士!?

「それでは、こちらへどうぞ」
早速、館内の展示を見て回ることに。順路に沿って、まずはエスカレーターを昇っていきます。

昇った先にまず見えてきたのは…
▲小さなコーヒーの木
「こちらが、コーヒーの苗木です。この苗木が大きくなり、花を咲かせ、実をつけ、そしてその実から生豆(なままめ)を採って、焙煎して、抽出して…とたくさんの工程を経て、私たちが飲むコーヒーになっていくんです」と小出さん。

もちろん、コーヒーの木のことやコーヒーができるまでのこと、なんとなくは知っていましたが、こうして小さな苗木を見ると、私たちが口にしているコーヒーができるまでの壮大さに改めて気付かされる思いです。
館内の展示はここから「起源」「栽培」「鑑定」「焙煎」「抽出」「文化」という6つのテーマにわけて構成されており、コーヒーの歴史、そして一杯のコーヒーができあがるまでの工程がわかりやすく紹介されていきます。
ここでひとつ、館内の展示をさらに楽しむテクニックをご紹介しましょう。
それがコチラ。
▲音声ガイドを聞きながら展示を見学できるスマートフォンサイトが用意されている
「UCCコーヒー博物館」では、なんとスマートフォンが案内してくれるんです。

「展示音声ガイド」というスマートフォンサイトが準備されていて、それぞれの展示の番号を選ぶとその展示の解説が聞けるという仕組み。音声ガイドを聞きながら回れば、展示がさらにわかりやすくなることまちがいなしです。
それでは、展示のいくつかをピックアップしてご紹介しましょう。
▲クラシフィカドールと呼ばれる、ブラジルのコーヒー鑑定作業を行う専門家
これは、コーヒー豆の鑑定の様子を表した展示。
コーヒーの生豆は、市場で取引されるために、厳しい鑑定を受けて等級が決められるんだとか。

世界最大のコーヒー生産国であるブラジルでは、「クラシフィカドール(ポルトガル語でコーヒー鑑定士の意)」と呼ばれる人たちが鑑定作業を行います。彼らはコーヒー鑑定士学校でさまざまな専門技術を学び、鑑定士認定試験をパスしたプロフェッショナル。わずかな違いも見逃さない彼らの卓越した味覚と鑑定技術にはただただ感心するばかりです。
▲展示室「焙煎」
こちらは、焙煎の工程を紹介する展示室。
「焙煎とは、生豆を炒ることによって、コーヒー特有の色や味わい、香りをつくり出す工程です。 焙煎はコーヒーの味を決定付ける重要なポイントであり、焙煎具合によって味はさまざまに変化していくんですよ」と小出さん。
浅炒り、深炒り、シティロースト…。焙煎に関するこれらの言葉を聞いたことはあるんだけど何がなんやらという人も多いのでは?
ここでは、壁一面を豪快に使って、焙煎度といわれる炒り具合の解説がされているほか、UCCのコーヒー製造工場などで実際に使用されている焙煎機も展示されています。
▲展示室「抽出」
そしてこちらは、世界各国のさまざまな時代のコーヒー抽出器具が展示されているコーナー。
おいしく便利にコーヒーが飲めるようにと時代とともに進化してきたさまざまな器具からは、人びとのコーヒーに対する情熱が伝わってきます。
館内の展示は、他にもまだまだみどころがいっぱい。
くちひげにコーヒーがつかないように工夫された面白いコーヒーカップの展示や…
歴史に名を残す偉人たちのコーヒーに関する言葉など、コーヒーに関する豆知識もたくさん紹介されています。

テイスティングにショッピング。展示以外も楽しい!

展示を楽しんだら、テイスティングコーナーに立ち寄ってみましょう。
ここでは一日4回決められた時間にコーヒーの飲み比べが実施されています。来館者は、入館時に配られたチケットと引き換えに無料で飲み比べができるんです。
▲テイスティングコーナー
「毎月テーマを決めて2種類のコーヒーを飲み比べていただいております」と係の方。
この日のテーマは、水出しアイスコーヒーとお湯出しアイスコーヒーの飲み比べ。ほかにも、同じ産地で等級の違うコーヒーやブラジルとコロンビアのコーヒーを飲み比べるなどテーマは毎月変わるので、さまざまな飲み比べを楽しもうと何度も訪れるリピーターもいるのだとか。
▲水出しアイスコーヒーとお湯出しのアイスコーヒーを飲み比べ
そしてこちらはミュージアムショップ。
こちらのショップには、コーヒーに関連する珍しいものや可愛いアイテムがいっぱい。
▲ミュージアムショップ
かわいい小さな麻袋付きの「UCCコーヒー博物館」オリジナルブレンドのコーヒー豆や、鉢植えで育てることのできるコーヒーの木のほか、鉢植えや小物入れとして使うのにおすすめなミニ樽など、お土産にもぴったりなコーヒーグッズがたくさん取り揃えられています。
▲写真左から、麻袋入りオリジナルブレンドコーヒー豆(100g税込720円)、コーヒーの木(税込360円)、ミニ樽(税込500円)
こうして、館内展示コーナーをひととおり案内してもらった筆者一同。
なんとなくしか知らなかったコーヒーの仕組みを勉強しながら、友人や恋人とコーヒーショップに行った際に、ついつい披露したくなるコーヒー小話をいっぱい覚えて、気分はコーヒー博士です。

自分だけのコーヒーが作れる!焙煎体験に挑戦

「UCCコーヒー博物館」では、これまでご紹介してきた通常の展示のほかに、さらなるコーヒーの世界へと踏み込むことのできるさまざまな体験プログラムイベントが定期的に開催されています。

なかでもほぼ毎日開催されている定番の体験プログラムが「焙煎体験」。自分だけのオリジナルローストコーヒーをつくれるという素敵なプログラムなんです。(定員:12名、参加費:税込1,000円/人、要事前申し込み)

時間にあわせて、館内にある体験ルームへと向かった筆者一同。部屋の中には、コンロが設置されたテーブルが並んでいて、雰囲気はまさにお料理教室。前の机には5種類のコーヒーの生豆が並んでいます。
「どうぞ。お好きな席にお掛けになって開始時間まで今しばらくお待ち下さい」

現れたのは、先程まで、館内の展示を案内してくださっていた小出さん。火にかけられているコーヒー豆のイラストが描かれたエプロン姿で登場です。どうやら、本日の「焙煎体験」の講師を務めてくださるご様子。

小出さん改め小出先生の説明を聞いたらいよいよ焙煎体験スタートです!

まずは豆選び。体験参加者は、ひとりずつ自分好みの産地の豆を選びます。
ブラジル、コロンビア、キリマンジャロ、モカ、マンデリン。それぞれに特徴や合う炒り具合があるのでこれは重要な選択。

「すっきりした味わいがいいなら、これ。ミルクやクリームを入れて飲まれる方や、苦い方が好きな方はこの豆を深めに焙煎するのがおすすめで…」
先生は、一人ひとりにしっかりと相談にのってくれます。
豆選びが終わったら、いよいよ豆を火にかけていきます。
▲手網(てあみ)と呼ばれる器具に生豆を入れて、コンロの火にかける
「火から一定の距離を保ちながら、『バチバチ』と豆がはじける音がするまで振り続けてください。煙があがってきてもいったんコンロから離して冷ませば大丈夫ですので慌てずに…」
各テーブルを回りながら丁寧に説明してくれる先生。
▲コンロの火にかけたら、ひたすら振るべし!!
しばらくすると、コンロの周りに、豆の薄皮が飛び散り、徐々に豆が明るい茶褐色を帯びてきました。
「体感では、もう10分以上たってるんだけどなぁ~」
運動不足の筆者は、軽いエクササイズ気分で、無我夢中に網を振り続けます。

すると、
「パチ!」
おっ!!!!
「先生!先生!!!これですか?」
「うーん、そうですね。もうそろそろですかね」
笑顔で答える先生。

「あれ。まだなのか~」そう思った瞬間。
パチパチと音を立てながら、網の中の豆たちは、筆者の手の振りとは関係のない動きを見せ始めました。
「来ました。1ハゼですね。ここからもうしばらく自分好みの頃合いまで続けてください」

いままで夢中に網を振り続けていたために気づかなかったのか、あたりには香ばしい香りが。いわゆるコーヒーの香りというよりも、もっと木の実を焼いたような、アーモンドのような香りです。
▲コンロの周りにはたくさんの薄皮が
ここで、焙煎度についての説明を少々。
一般的には浅炒りは酸味が強く、苦味はひかえ目。そして深炒りにすればするほど、酸味が薄れ、苦味は強くなる傾向にあります。そして炒り具合は、8段階にわけて分類され、それぞれライトローストやシナモンロースト、イタリアンローストなどの名前がつけられています。8段階の真ん中にあたるのが「ハイロースト」と「シティロースト」。真ん中というだけあって一番飲みごろな焙煎度とされています。

というわけで、もちろん自分好みの具合まで焙煎すれば良い訳なんですが、そういわれましてもどうしたもんかというときには、テーブルに置かれている「ハイロースト」と「シティロースト」に焙煎されたコーヒー豆の色見本と見比べたりしながら、焙煎を進めていきます。
コーヒー豆が、ほどよいくらいに色づいたら、豆をざるにあけて、うちわで扇いで冷まします。
「せっかくいいタイミングで火をとめても、余熱で焙煎が進んでしまうので、手早く冷ましましょう」
なるほど、火を止めてからも気が抜けません。
▲うーん。いい香り!
完成した焙煎豆は、もちろんお土産に。豆のまま持ち帰ることも可能ですが、希望すれば、先生がその場で挽いて粉にしてくれます。
▲こちらが「ハイローストJamesスペシャル」…です
袋にシールを貼ったら、世界にひとつだけのオリジナルコーヒーが完成!
自宅に帰って飲むのが楽しみです!
見て、香って、味わって…。
奥深いコーヒーの世界をあらゆる方向から完全網羅する「UCCコーヒー博物館」。
きっと、まだあなたが気づいていない新しいコーヒーの魅力を教えてくれるはずです。

博物館の見学の後は、喫茶室「コーヒーロード」で至高の逸品を味わう!

最後にご紹介するのは喫茶室「コーヒーロード」。館内に併設されている喫茶室ですが、博物館に入館しない人も利用できる施設です。
ここでは、UCCの直営農園産のコーヒーや、なかなか他では味わうことのできない世界の珍しいコーヒーなどを取り揃えるほか、たくさんのアレンジコーヒーも楽しむことができます。
▲UCC直営農園ブルーマウンテンNo.1(税込1,050円)、カフェ・マリアテレジア(税込600円)
写真左は、ジャマイカのブルーマウンテン地区にあるUCC直営の農園で大事に育てられたコーヒー豆を使ったUCCイチオシのスペシャルティコーヒー。

近年、高級なコーヒー豆を提供するコーヒーショップが増加し、「スペシャルティコーヒー」という言葉が聞かれるようになりました。これは、日本スペシャルティコーヒー協会が認めたコーヒーのことで、日本で流通しているコーヒー全体の約10%ほどしかないといわれるまさに一級品。

こちらでは、このUCC直営農園のブルーマウンテンのほか、4種類のスペシャルティコーヒーを楽しむことができます。

そして写真右は、オーストリアの女帝「マリア・テレジア」が好んだと伝わるコーヒー。深煎りのコーヒーにホイップクリームを浮かべ、オレンジのシロップを加えたアレンジコーヒーです。
コーヒーの香りとオレンジの爽やかな香りが見事に調和した一杯で、ふつうのコーヒーはちょっと苦手という方にもオススメ。
もちろん淹れ方にも並々ならぬこだわりが。
「同じコーヒー豆でも、淹れ方によって味は変わってきます。当店ではペーパードリップ、サイフォン、カフェプレスの3つの抽出方法からどの淹れ方がいいか、お客さまに好みで選んでいただけるようにしているんです」とお店の方。淹れてくれるのは、コーヒー抽出のスペシャリストたち。

コーヒー博物館併設の喫茶室なので、ある程度は予想していましたが、まさかここまでとは。
まるで飲んだ人たちに、
「本物のコーヒーはこういう味なんだよ」
と教えてくれるかのような、至高の一杯。

博物館でコーヒーの世界にどっぷりとつかった後は、ぜひこちらで本格コーヒーを味わってみてください。
James

James

イギリス人と日本人とのクォーター。大学では工学部、情報システムを専攻したかと思えば、ミュージシャンとしてギタリスト、MC、DJとして活動。TVやラジオなどでも活躍。その後(株)アドビジョンにて、デザインやコピーライティングなどマルチに活躍。バックグラウンドを活かした独自の視点が人気のライター。

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