南アルプスの麓「サントリー白州蒸溜所」で、奥深きウイスキーの世界を味わう

2016.08.21 更新

南アルプス甲斐駒ケ岳の麓・白州。ここに、シングルモルトウイスキー「白州」誕生の地である「サントリー白州蒸溜所」があります。山梨県北杜市の豊かな自然、南アルプスの山々に磨かれた清らかな水に魅せられ、白州に蒸留所ができたのは1973(昭和48)年。何年もの時間をかけてつくられるウイスキーの魅力に触れ、ここでしか飲めないというウイスキーの原酒を味わいたい。そんな思いで、白州蒸溜所ツアーに参加してきました。

豊かな自然と水の山に囲まれた「サントリー白州蒸溜所」

ほのかな甘みとすっきりとした味わいが人気のシングルモルトウイスキー「白州」。権威ある酒類コンペティションISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)でも賞をとるなど、世界でも知られています。
その「白州」がつくられているのが、南アルプスの山々に囲まれた「サントリー白州蒸溜所」。敷地面積約82万平方メートルという広大な森の中に、ウイスキーの醸造・蒸溜棟、貯蔵庫のほか、ウイスキーの歴史を学ぶ「ウイスキー博物館」や地元素材を活かした料理が味わえるレストラン「ホワイトテラス」などがあります。
▲駐車場で車を降りて受付を済ませると、目の前に続くのは木漏れ日の散策道

周辺の森を楽しみたい人は、野鳥を観察できる森の散策コース「バードサンクチュアリ」もオススメ。1年を通じて約50種類もの鳥たちが訪れます。
▲小鳥のさえずりを聞きながら歩いた先に、白州蒸溜所ツアーの集合場所「ウイスキー博物館」があります
▲博物館では、サントリー創業者・鳥井信治郎氏が逆境のなかいかに情熱を燃やして日本のウイスキー文化を創り出したのか、知られざるエピソードが満載です

大人だけが楽しめる、工場見学とテイスティングツアーがスタート

今回参加する「白州蒸溜所ツアー」は、白州の製造工程見学とテイスティングができる約80分のツアー(税込1,000円※20歳以上、要予約)。その他、敷地内には「南アルプスの天然水」の工場もあり、その製造工程を見学できる約60分ツアーもあります(無料)。「子どもを連れて工場見学に行きたい」というときはこちらがおすすめです(事前に問い合わせを)。

白州蒸溜所ツアーで最初に訪れるのは、仕込から発酵、蒸溜まで行う「醸造・蒸溜棟」です。そもそもウイスキーは何でできているのか、「シングルモルトウイスキー」とは何かといった基礎知識や、ウイスキーの製造工程を教えてもらいます。
「シングルモルトウイスキーとは、“ひとつの蒸溜所”で蒸溜された“モルト(大麦)”だけを使用したウイスキーのことです。つまり「白州」は、この蒸溜所で蒸溜した原酒だけでつくられています」

そう話すのは専任のガイドさん。白州蒸溜所では、まずはじめに南アルプスの山々に磨かれた天然水と、厳選された二条大麦を仕込み、麦のジュースのようなウイスキーの元をつくります。
▲原料となる麦芽の香りを楽しみます。ピートという燃料をたきつけて乾燥させたピーテッド麦芽は、ウイスキーのスモーキーな香りの元となります。

そこに酵母を加えて発酵させ、2回蒸溜してできるのがウイスキーの原酒です。生まれたての原酒は、数年~数十年かけて樽の中で熟成されるのですが、蒸溜釜の形や大きさ、熟成樽の種類、熟成庫内の保存位置などさまざまな要因によって何百通りにもなるそう。
その原酒を複数ブレンドすることで、「白州」は香ばしくも、森の若葉のような爽やかですっきりとした味わいへと変化していくのだとか。
▲木桶の発酵槽。麦汁に酵母を加え、約3日間寝かせます。木桶には、森に住む乳酸菌が住みついており、甘みのある香りやクリーミーな味わいが生まれるそう

ガイドさんに連れられさらに進むと、“ポットスチル”とよばれる蒸溜釜がずらりと並んでいる部屋に。
ここで、2度にわたり蒸溜(沸騰させて蒸気としてあがったものを冷やして液体化)することで、アルコール度数は70%近くになります。
蒸溜されたばかりのウイスキーの原酒は無色透明。これが樽に詰められ、数年がかりの熟成を経て琥珀色になるのです。
なお、1つの蒸溜所に大きさや形が異なる釜があるのは、世界でも珍しいのだとか。「ウイスキー原酒の味わいを変えるため、いろいろな形の釜を使っているんですよ」とガイドさんが教えてくれます。
▲釜の形によって異なる味わいを、つくり手が一つひとつチェックするそう

次に訪れたのは、樽が眠る貯蔵庫。ウイスキーの濃厚な香りに迎えられ中に入ると、ひっそりと並ぶ大量の樽が目に飛び込んできます。ホワイトオークなどの木でできた樽は、職人の手によってつくられたもの。北米やヨーロッパ、国内など、樽材の産地によってウイスキーの味わいも異なるといいます。
▲1つの貯蔵庫内には数千個以上の樽が保管されているとか

熟成していく中で、ウイスキーは平均すると年に3%ほど蒸発し、その量も変化していきます。白州には12年、18年、25年ものがあり、例えば25年間同じ樽で熟成すれば、樽の半分以上は蒸発してしまう計算になります。深みを極めた、高価なウイスキーである理由が分かります。
▲4年もの(左上の樽)と比べると、12年もの(右上の樽)は樽の3分の1程度のウイスキーがなくなっています。蒸発した分はスコットランドで「天使の分け前」とよばれているのだとか

また、樽は繰り返し熟成に使うので、何回使われた樽なのかによってもウイスキーの味わいは変わるそうです。おいしいウイスキーを生み出すためにかけられる、膨大な時間と人の力。今回、初めてその工程を知り、ウイスキーのありがたさを実感しました。

ツアーの最後は待望のテイスティング。ここでしか味わえない原酒に酔う

熟成を終えたウイスキーの原酒はブレンダーの手に渡り、いくつもの個性を持つ原酒が厳選・ブレンドされることで「白州」が出来上がります。

ツアーの最後は、ブレンダーによるテイスティングと同じ方法で「白州」の原酒を飲み比べるというお楽しみの試飲タイム。ウイスキーがいかに時間をかけてつくられるものかを知った後だと、原酒を味わえる贅沢さに背すじが自然と伸びていきます。
▲ウイスキーは、色合いを楽しむところから始まります

まずは、仕込と同じ水源の「南アルプスの天然水」で喉を潤します。次に、非売品である「ホワイトオーク樽原酒」と「ライトリーピーテッド原酒」それぞれの色、香り、味を堪能。ブレンダーと同じように、ウイスキー1:常温の水1の“トワイスアップ”という飲み方でテイスティングすることで、原酒の味と香りが口の中でふわっと広がります。
▲原酒の琥珀色は見とれるほどきれいです

最後は、待ちに待った「白州」の試飲へ。ガイドさんに教わりながらつくるのは、オススメの飲み方「白州 森香るハイボール」です。
「氷をたっぷり入れたグラスに、『白州』を適量注ぎ、マドラーを使ってしっかりかき混ぜます。ウイスキーとグラスがしっかり冷えたら、目減りした分の氷を足して、炭酸水(南アルプスの天然水スパークリング)を加えて出来上がり。白州1:炭酸水3~4の割合で注ぎ、ミントの葉を添えるとより爽やかになりますよ」(ガイドさん)
▲ほのかな甘みと、すっきりとした口当たりで、ついつい飲み過ぎてしまいそう

思う存分、「白州」を楽しんだら、約80分のツアーは終了。
「もっといろんなウイスキーを味わいたい」という方は、世界中のウイスキーや原酒をお手ごろ価格で提供している敷地内の「Bar白州」にも行ってみましょう。
▲「白州」や「山崎」はもちろん、蒸溜所限定ウイスキー(15ml)などが税込100円~と驚きの価格で楽しめます

また、お腹がすいたらレストラン「ホワイトテラス」へ。白州の森の中でウイスキーを飲みながらいただく旬の料理は絶品です。どれも「白州」(シングル・税込680円)との相性が最高でした。
▲左手前から時計回りに、白州産4種ソーセージの盛り合わせ(税込1,080円)、自家製樽燻製の盛り合わせ(税込1,280円)、チーズのウイスキー樽燻製(税込680円)

ウイスキー好きはもちろん、「空気の澄んだ南アルプスの地でゆっくり過ごしたい」「美味しいものを食べたい」「工場見学を楽しみたい」といった軽い気持ちで訪れても、1日中楽しめる「サントリー白州蒸溜所」。知られざるウイスキーの世界に触れる、大人な休暇を過ごしてみてはいかがでしょうか。
田中瑠子

田中瑠子

ライター兼編集者。神奈川県生まれ。広告会社、出版社を経てフリーランスに。アスリートからビジネスパーソンまで人物インタビューを幅広く手がける。昨今ロードバイクにハマり、全国津々浦々チャリンコ旅を楽しんでいる。(編集/株式会社くらしさ)

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