奇岩が連なる絶景・厳美渓と空飛ぶだんご

2016.08.24 更新

岩手県の一級河川・磐井(いわい)川沿いに約2kmにわたって巨石・奇岩が連なる渓谷「厳美渓(げんびけい)」。かつて仙台藩主・伊達政宗が日本三景の松島と並べ、「松島と厳美がわが領地の二大景勝地なり」と称賛し、何度もこの地を訪れたという説も残っています。この渓谷の上空をだんごが飛んでいると聞き、美しい景色の見どころと噂の真相を確かめに行ってきました。

活力に満ちた上流と、静かで癒される下流へ

厳美渓は驚くほど長い時間を積み重ねて生まれた奇跡の風景。約900万年前、栗駒山の火山活動によって生み出された岩石がこの地に堆積。岩石は川の流れによって少しずつ浸食され、現在のように複雑で入り組んだ形に変化しました。昭和2(1927)年、国の名勝・天然記念物に指定され、古くから親しまれてきた景勝地です。
▲天工(てんぐ)橋周辺の岩場は多くの人が集まるビュースポット
約2kmという比較的短い区間の中で多様な雰囲気を味わえるのも厳美渓の特徴です。厳美渓のほぼ中央にある天工橋から上流は荒々しい急流やゴツゴツとした岩場が広がり、下流は葉擦れの音が聞こえるほど穏やかな川など、変化に富んだ景観を楽しめます。

気軽に散策をするなら、天工橋より下流を周遊するコース。川沿いの道を30分ほど歩き、木々や川のせせらぎに癒やされる自然豊かな時間を過ごせます。
▲下流は時間が止まったかのように静かな水面をたたえています
▲下流側の御覧場(ごらんば)橋。ギシギシと揺れる吊り橋の上からの眺めも風情を感じます
▲厳美渓の中ほどにある天工橋から上流は、荒々しい急流地
たっぷり堪能するなら下流の後に上流にも挑戦しましょう。天工橋から約1kmほど上流にある長者滝橋を渡り、対岸の道を戻ってくる約70分のコースです。川沿いから少し離れて一般道を歩く道のりですが、車通りもあまりなく、のどかな景色が続く気持ちいい散策を楽しめます。

自然の力を感じる甌穴を見つけよう

上流側では珍しい甌穴(おうけつ)も多く見ることができます。甌穴とは、小石が水流によって岩の上でグルグルと回り、岩盤を削ってできた穴のこと。気が遠くなるほど長い年月をかけて作り出された自然の芸術作品です。
▲よく見ると穴の中に小石があるものも
椀のように削られた岩肌など渓谷のいたるところに大小さまざまな甌穴が点在し、独特な水の流れを生み出しています。しぶきをあげる川面や不思議な形状の岩壁を眺めていると、日常から離れ、太古の世界を少しだけ感じられる気がします。

渓谷を滑空する「空飛ぶだんご」

散策のあとは、名物団子に舌鼓。天工橋たもとの東屋に、渓谷の対岸にある茶屋の2階から団子が届く「かっこうだんご」があります。
▲東屋にあるカゴにお金を入れて、木板をたたいて店へ合図をします
▲店の方がケーブルを操り、お金の入ったカゴが茶屋へ登っていきます
▲しばらくすると、カゴがケーブルでスルスルと降りてきて、団子とお茶が到着!
カゴが空中を飛んでくるような姿はまさに「空飛ぶだんご」!昭和初期から愛され続けている厳美渓の名物です。たっぷりと入ったお茶がこぼれずに届く妙技には、観光客から驚きの歓声が上がり、写真や動画を撮る人でにぎわいます。
▲団子はこし餡、ゴマ、みたらしの3本入りで1箱400円(税込)。作りたてでやわらかい食感
「かっこうだんご」を作っているのは、明治40(1907)年創業の「郭公屋(かっこうや)」。創業者がカッコウ鳥のマネが上手で、地域の人や観光客に向けて披露していたことが店名の由来という、ユニークなお店です。
カゴを操っているところを誰でも見学できるということで、さっそく対岸のお店へ。
カゴの昇降はすべて手動!この日カゴの操作を担当していたのは現在70歳を超える店主の千葉さんです。
▲軽妙なトークで人気者の4代目店主・千葉晴夫さん。後ろに立つ創業者の木像とどことなく似ています    
▲カゴを手繰り寄せる体験もできます。ケーブルが長くて、なかなか大変です
店内で渓流を眺めながらゆっくりと団子を楽しむこともできるので、空飛ぶ団子を体験したあとは、お店に足を運んでみるとさらに楽しめますよ。
厳美渓は、春は桜並木、秋は紅葉、冬は雪景色と四季折々の美しさも見どころ。訪れる度に新たな魅力に出合い、自然の偉大さを感じられる場所ですよ。
▲紅葉の見ごろは例年10月中旬~11月上旬。鮮やかに色づいた紅葉が見事!
▲雪景色は奇岩の美しさを際立たせ、幻想的な雰囲気に
菊地裕子

菊地裕子

広告営業、編集プロダクション勤務を経て、仙台を拠点に活動するフリーのライター。グルメ、観光を中心に幅広い記事を執筆中。

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