絶景峡谷・高千穂峡で楽しむ涼しい、おいしい、幸せも掴める?夏休み

2016.08.03

九州を代表する絶景スポットの1つ、宮崎県の「高千穂峡」。かつて、有名なお茶のCMにも登場。涼スポットとしても人気な上、夏の風物「流しそうめん」もココが発祥とか。ご近所にある縁結び神社も見逃せません。

遊歩道から見上げて見下ろして
マグマが作った大峡谷を満喫

高千穂峡がある高千穂町は宮崎県の最北端に位置。大分県と熊本県の県境にある山深いこの町は、古事記・日本書紀にも記されている天孫降臨(てんそんこうりん)の舞台。天上にいた天照大御神(あまてらすおおみかみ)が孫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)をここ、高千穂に遣わしたという神話から、数々の神社やパワースポットが点在しています。
▲山深い高千穂町を見下ろす国見ヶ丘からの眺め。春と秋にはここから見事な雲海シーンも楽しめます

高千穂峡にも神話にまつわる数々のエピソードが残っています。その一方、地科学的に見ると、その誕生には高千穂町の西にある熊本県阿蘇市の阿蘇山が大きく関わっています。
今から12万年前、そして9万年前の計2回、阿蘇で大きな火山活動が起こり、そこからの火砕流が高千穂町・五ヶ瀬川の峡谷沿いに厚く流れこみました。
その堆積物が冷えて固まり、さらに長い年月をかけ、五ヶ瀬川に侵食されながら、高さ80~100mの断崖が約7kmも続くV字の大峡谷ができあがりました。
この大渓谷の正式名称は「五ヶ瀬川峡谷」。一般的に高千穂峡と呼ばれる観光スポットは、落差17mの「真名井(まない)の滝」から下流にかかる神橋(しんばし)を結ぶ約1.2kmの遊歩道一帯。
この遊歩道には「仙人の屏風岩」や「鬼八の大石」など、名所も点在しています。
▲火砕流が急激に冷却され生まれた、壮大な柱状節理の断崖
▲高千穂伝説にも登場する重さ200トンの凝灰岩の巨石「鬼八の大石」

さらに遊歩道を下流に進み、槍飛橋(やりとびばし)を渡ると、高千穂三橋と呼ばれる神橋、高千穂大橋、神都(しんと)高千穂大橋が一度に見えたりと、様々な渓谷シーンが楽しめます。
ただし、先の熊本地震の影響で、2016年6月4日以降、遊歩道の一部が立ち入り禁止になっています。最新情報は一般社団法人 高千穂町観光協会のホームページでご確認を。
▲真名井の滝展望台

写真の右手から先が2016年7月15日現在、立ち入り禁止に。遊歩道散策に規制はありますが、高千穂峡の目玉とも言うべき、真名井の滝はご覧の通り健在!
渓谷の中をボートが行き来しています。そう、名瀑は見下ろすだけでなく、大接近して、水面から見上げて楽しむこともできます。まさに「おーい、お○!」のCMロケ地がココ。ではさっそく、御塩井(おしおい)駐車場の下にあるボート乗り場へと向かいましょう。

乗場から幻想峡谷を挟んで往復約600m
カモをお共に手漕ぎボートで約30分の船旅

貸ボートの利用時間は8時30分~17時。料金は30分2,000円(税込)で、延長は10分につき300円(税込)。増水などで利用中止になることもあるそうで、その状況は随時、一般社団法人 高千穂町観光協会のホームページにアップされます。
乗船は1隻3名まで(ペットの同乗は不可)。現地申込みなので電話予約は受け付けていません。土日、夏休みは待ち時間が発生する場合も多いそうです。
さて、ライフジャケットを着たら、ボートに乗り込み、いざ、出発!
するとカモがすい~とお供。実は乗場にカモのエサが売っていて、それをねだってよってくるようです。横のボートのカップルが「かわいいね~、おいで~」とエサをまき始めた途端、渓流を優雅に泳いでいたカモたちが、一斉にボートに集結。その激しい食いつきに同乗の女子が「ぎぃゃあ~!」。ということもありますので、カモの扱いにはご注意を。

下流に進んで狭い渓谷に入ると、一気に涼しくなります。行き交うボートとの接触はもちろん、真名井の滝に近づきすぎないように注意しましょう。
真名井の滝に気を取られ過ぎて、反対側の岩肌に寄りすぎると、この小さな滝にやられます。ここでも「ぎぃゃあ~!」となっている方々がいらっしゃいましたので、こちらもまた、ご注意を。
そして、真名井の滝壺の近くへと侵入。
▲日本の滝百選にも指定されている真名井の滝

神話では天孫降臨の際、この地に水がなかったために天村雲命(あめのむらくものみこと)という神が、天上の水「天真名井(あまのまない)」の水種をこの地にもたらし、湧水とした。この真名井の滝の水も、天真名井の湧水、つまり天からの水、と言われています。
でも実際は、峡谷の上の自然公園にある「おのころ池」の水が流れ落ちているそうです。とはいうものの、下から見上げるこの景色、なんとも神秘的。まさに天からの水が降り注ぐような光景!
真名井の滝付近を過ぎると、峡谷の幅が少し広がります。そのまま下流へと進んだ後、Uターン。再び涼しい峡谷内に入り、真名井の滝へと進むと…。
先ほどとはまた違った滝風景のよう。わずかな時間でしたが、峡谷に差し込む日の角度が、少し変わったためでしょうか。見上げる角度や差し込む光によってさまざまな峡谷シーンが楽しめる。これもボートに乗っての滝鑑賞ならではの醍醐味です。

帰路も峡谷の両側から落ちる滝に気をつけつつ、ゆるゆると進み、ボート乗り場に帰着。乗船してからちょうど30分。滝のある峡谷を挟んで、往復約600m、けっこうあっという間の遊覧観光でした。

一方、夏休みの高千穂峡は、毎晩22時までライトアップを行っています。真名井の滝はもちろん、その上にあるおのころ池の周囲も、さわやかな緑あふれる昼間とは異なる幻想的なシーンが楽しめます。
▲ライトアップした真名井の滝
▲おのころ池のライトアップ

高千穂峡生まれの夏の風物麺
「元祖流しそうめん」を味わう

高千穂峡のもう一つの名物が、流しそうめん。渓谷内にあるお食事処「千穂の家」さんは昭和30年(1955年)創業。お店の右横には「元祖流しそうめん」と書かれた看板!
「青竹の樋(とい)を利用した流しそうめんはうちの先代が考案したものです」と語るのは現社長の佐藤さん。きっかけは地元の新聞。
「かつて先代が、『高千穂町の玉垂(たまたれ)の滝では、地元の人が岩肌を流れる湧水を使ってそうめん流しを楽しんでいる』という記事を読んで、『これはビジネスになるかも!』と思ったそうです。しかし、岩を使ったスタイルでは保健所の許可が下りない。そこで当時、雨樋などに使われていた青竹の樋を使ったスタイルを考案しました」と佐藤さん。

保健所からのお墨付きを得た上で、やってみるとこれが大盛況!やがて“元祖流しそうめんの店”として新聞などのメディアが紹介。さらなる話題を産むと共に、青竹の樋を使った流しそうめんが全国に広まっていきました。
▲流しそうめんのヒントになった「玉垂の滝」は千穂の家のすぐ近く。ここの湧水は高千穂エリアの上水道になるとか
店内には約5mの青竹の樋が4本。玉垂の滝からの湧水によって運ばれるそうめんは、九州を代表する手延べそうめん「島原そうめん」。
樋の先の小窓からそうめん係のおねえさまが顔をだし、「はい、いきますよ~」。
流されてきた一口分のそうめんを静かにお箸ですくいます。すくえなくても大丈夫。逃したそうめんは、樋の下に用意されたざるでキャッチ。後でちゃんと持ってきてくれるのでご安心を。
冷たい湧水で締めて流されてくるそうめんは、つるつるシコシコ。それを高千穂特産の椎茸を使った秘伝のツユにつけていただきます。

ちなみにピーク時には竹の樋の両脇がゲストで一杯になるそうですが、そうめん係のおねえさまが「まずは上手の4名様、はい、流しますね」とグループごとに、丁寧に流してくれるそうです。おねえさまの言うことをしっかり聞いて、慌てず、ズルせず、そうめんをすくって味わいましょう。

「流しそうめん」は1人前180~200gで500円。追加つゆ100円を頼んでふたりで味わってもOK。またそうめんのお替りは500円(いずれも税込)。さらに、そうめんだけでは物足りない人は、こちらを。
▲「やまめ定食」1,300円(税込)。そうめん流しにヤマメの炭火焼き、さらに高千穂の山里料理付

高千穂の祭事では欠かせない煮しめをはじめ、ゆず、よもぎなどの3種の刺身こんにゃく、冷や奴、サラダ、さらに高千穂米のおにぎりが2個付いています。特にヤマメは高千穂町でも有数の渓流・秋元川育ちの絶品もの。また、上記からヤマメを外した「そうめん定食」も1,000円(税込)で用意。野菜たっぷりの「だご汁定食」800円(税込)もおすすめです。

昼は良縁を願い、夜は神楽。
高千穂神社は2度参るべし!

高千穂峡観光の前後にぜひ寄りたいのが、約1900年前に創建されたと言われる「高千穂神社」。
高千穂峡へと向かう県道203号沿いにある大きな鳥居が目印です。ここをくぐり、木々に覆われたの中の参道を進み、石段を上ると神社本殿に到着。
安永7年(1778年)に建て替えられたこの神社本殿と源頼朝の奉納といわれる鉄造狛犬一対が、国の重要文化財に指定されています。
高千穂峡八十八社の総社である高千穂神社。ここは縁結び・夫婦円満・諸願成就・農産業・厄祓のご利益があることでも有名。それを象徴するのが、本殿の左にある「夫婦杉」と呼ばれる巨大樹。
天に向って真っ直ぐ伸びる2本の杉。その根元をよくみると…
なんと幹が1つに。この2本の周りを夫婦、恋人、また友達と手を繋いで3回まわると縁結び、家内安全、子孫繁栄等の願いがかなうと言われています。
▲この夫婦杉をモチーフにしたお守りもあり。縁結守500円

次に本殿の右手へ。回廊の東側には主祭神である三毛入野命(みけぬのみこと)が神話に出てくる荒神「鬼八」を退治する姿が彫られています。
三毛入野命がギロッと睨み、ムギュッと踏みつけているのは、高千穂峡にあった巨石「鬼八の大石」を投げたという、あの鬼八。かたや鬼八は手を合わせて、「勘弁してくれ~」と命乞いしているかのよう。

その彫像が見下ろす先に、「高千穂宮鎮石(しずめいし)」なる石が祀られています。第11代垂仁(すいにん)天皇の御代に社殿を創建した際、用いられたという「鎮石」。実は、この石に祈れば、人の悩みや世の乱れが鎮まると言われています。
早速、いろいろお祈りしてみました。
すると、近くにいたバスガイドさんがお客さん方にこんな説明を。
「この鎮石にはパワーがあるそうです。みなさん、手をかざしてみてください。触っちゃだめですよ!人によってはなにかを感じるそうです。ビリビリくるそうです」。
と聞いて私もさっそく石に手をかざしてみました。残念ながらなんにも感じません。しいて言えば、ひんやり感。石が冷たいからそう感じたのかなぁ。

また高千穂神社では、国の重要無形民俗文化財に指定されている「高千穂の夜神楽」も、毎晩楽しむことができます。
▲天照大神を天岩戸より誘いだす「鈿女(うずめ)の舞」

場所は境内の神楽殿、時間は20時~21時。受付は19時からで当日受付のみ。鑑賞料1人700円で、全33番ある神楽の中から「手力雄(たじからお)の舞」「鈿女の舞」「戸取(ととり)の舞」「御神体の舞」の4番の奉納が見学できます。
▲天照大神を見つけ出す「手力雄の舞」

各集落の舞手によるある熱のこもった奉納はかなりの迫力です。
緑の境内の参拝と夜神楽鑑賞。時間があったら、昼夜2回訪れてほしい高千穂神社。ここから高千穂峡へは車で約5分。ちなみに高千穂峡のライトアップは22時までなので、夜神楽の後でも十分楽しめます。
最後に高千穂峡への最新アクセスをご紹介。熊本地震のため、現在、熊本方面からのルートが一部、通行止めになっています。2016年7月15日現在、一般社団法人高千穂町観光協会が紹介しているルートは、熊本空港からはグリーンロード南阿蘇、高森町を経由して車で約2時間、また、宮崎空港からは延岡経由して車で2時間20分。詳しくは一般社団法人 高千穂町観光協会にお問合せを。ホームページでも高千穂へのルートマップをアップしています。

高千穂町には今回紹介した3スポットの他、天岩戸神社や高千穂温泉、さらに高千穂牛と見どころ、湯処、食い処が満載。夏はもちろん、秋の紅葉シーンもおすすめですよ。
山田誠

山田誠

新潟県十日町市生まれ、現在は福岡県福岡市在住のフリー編集者・ライター。九州の宿や温泉、飲食、雑貨系のショップ、さらに漁村、農村、道の駅など、暮らしと休日に関わるスポットをほぼ毎月、年間150軒以上を取材。取材後は必ず近隣の直売所で地元食材を買って帰る。1児の父。

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