博多港から90分の離島リゾート、壱岐島・海里村上の優雅な休日

2016.09.13

昨今、沖縄やアジアビーチなどでよく目にする離島リゾートでの休日。お待ちください!九州だって負けていませんよ。特にイチオシは福岡県の北西、玄界灘に浮かぶ壱岐島(いきのしま)に佇む「海里村上(かいりむらかみ)」。朝昼晩とさまざまな表情を見せる水平線を眺めながら、ウニやアワビやブランド牛などの島幸に舌鼓。しかもここは温泉王国の九州。2000年もの歴史を持つ赤褐色の湯も楽しめるんです。非日常の休日を求めるオトナ女子におすすめのリゾートです。

博多港からフェリーで140分、ジェットフォイルで65分

「海里村上」がある壱岐島へは、一般的に博多港から九州郵船のフェリー、またはジェットフォイルを利用します。ということから福岡の島と思いがちですが、正式住所は長崎県壱岐市。対馬や五島列島と同じ長崎県の島なのです。

島の大きさは東西15km、南北17km。紺碧の海と白砂のビーチに囲まれ、島内のあちこちに弥生時代の遺跡や古墳跡が点在。中国の古書「魏志倭人伝」にも「一支国(いきこく)」の名で記載されています。つまり古の歴史と美しい自然を今に残すのどかな島、それが壱岐なのです。
▲九州郵船のジェットフォイル「ビーナス」(博多~壱岐間片道4,040円)
ちなみにフェリーの乗船代は片道2等1,980円、1等2,800円。※すべて税込

博多港からの船は壱岐島の南西にある郷ノ浦港に到着します。そこからレンタカーで約15分。小さな港町、勝本町の湯ノ本エリアに入り、ゆるやかな坂をのぼると、右手に現れる銅板葺の屋根を配した瀟洒な建物が「海里村上(かいりむらかみ)」。博多港を出て約90分で到着です。
▲穏やかな湯ノ本湾に面した地下一階、地上3階建てのオーシャンフロントリゾート

重厚なエントランスを抜けると広いロビー。そして、目の覚めるような真っ青な水平線がどーん!
この大絶景を眺めながらのチェックインです。
ロビーには、チェックインカウンターというものはなく、一連の手続きはロビー内の大きなソファーや窓辺のテーブル席など、好きな場所でできるそうです。
▲エントランスの近くには一応カウンター席もありました。ゲスト用のカウンター席のライトは、帝国ホテルもデザインした近代建築の三代巨匠、フランク・ロイド・ライトの作品
▲窓辺にはちょっと呪術的なデザインのフランス製テーブルセットもあります
チェックインの際はウエルカムドリンクがサービスされます。コーヒー、紅茶などのソフトドリンクのみならず、スペインのスパークリングワイン「カヴァ」もあり。青い水平線を眺めながら、昼から優雅にカヴァをゴクリ。実に贅沢、あ~ゴージャス。

このまましばし、まどろみたいところですが、「お部屋からの眺めはココ以上ですよ」とやさしくささやくスタッフの方。ならばさっそく行きましょう。

眼下に水平線!空中にふんわり浮かんでいるような絶景客室

▲204号。広さ10畳(41平方メートル)のAタイプ

案内されたのは2階の和室。実は海里村上、小高い丘の上に建っていて、その周囲にも木々はもちろん、高い建物などは一切なし。大きな窓に映るのは澄み切った空、その下に青い水平線がチラリ。なんだかこの部屋、この空間、空に浮いているみたいな感じ。

どのお部屋も窓辺にはアンティーク調のテーブルセットが。204号は琉球畳が敷かれていますが、お部屋によって畳の大きさや家具、調度品がちょっとずつ異なるそうです。
スタッフの方が言うとおり、お部屋から見る水平線はロビーのものとはまた違った趣。しかもこの部屋に泊まった人だけがひとりじめできる大絶景です。
水平線をよ~く見ると左右の岬に挟まれて、小さな島々が浮かんでいます。
左から阿瀬(あぜ)島、蛇島、黒ヶ島、そして壱岐に伝わる鬼が島伝説に登場する平べったい手長島(たながしま)。「むかーしむかし、壱岐に住んでいた大鬼のデイが、ふんどしで鯨をすくいとろうと島をまたいだそうな。ぐっと腰を下ろしたら股間がどかっ!と手長島の上に。それで島は平らになったとさ」というお話。
お部屋のアメニティには、ゴージャス系リゾートの定番、南仏コスメブランド「ロクシタン」が用意されていました。女子のみなさまには嬉しいですよね。

10畳の和室をはじめ、海里村上の客室は和室2タイプ、和洋室2タイプ、和洋室+リビング1タイプの5タイプで、全15室あります。ちょっと他のお部屋も覗かせていただきました。
▲和洋室Dタイプ・208号の和室部分。和洋室合わせた広さは73~82平方メートル
▲洋室部分はこちら。セミダブルベッドが2つ。この部屋にはラミーの絨毯が敷かれていて、独特の凹凸が足裏を程よく刺激

ちなみにお部屋にはパジャマのほか、滞在用に濃いブラウンの作務衣も用意されています。上着+ズボンの作務衣は浴衣のように着崩れることなく、また動きやすいと多くのゲストから好評を得ているそうです。

作務衣に着替え、青い空と水平線をながめながらお部屋でゆっくり過ごすのもいいですが、このリゾートのもう一つの魅力、お忘れではないでしょうね。繰り返しますが、ここは温泉王国・九州。壱岐にももちろん温泉があり、しかも「海里村上」に湧き出るのは青い空と好対照の赤褐色の湯。新鮮な島幸満載の夕食まで、まだ少し時間があります。さあ、地下一階の大浴場に行きましょう!

青空の下で褐色の湯!露天の広さも泉質もかなり女性びいき

▲女性専用露天風呂。もちろんここからも青い空と海がまるみえ

一般的に男子を立てる風土の九州ですが、このリゾートは女性第一。大浴場の造りも女性用の方が大きめです。
「海里村上」のあるエリアは湯ノ本温泉という壱岐を代表する温泉地。その歴史も大変古く、朝鮮半島に出陣した神功(じんぐう)皇后が、息子である応神(おうじん)天皇の産湯につかわせたとの伝説も。
地元では子宝の湯として親しまれているそうで、その泉質はナトリウム塩化物泉。海辺に湧く湯に多くあるような、いわゆる“塩湯”タイプ。効能はやけど、切り傷のほか、神経痛、リューマチ、婦人病、皮膚病など、泉質も女性に優しい、嬉しい湯ですね。
▲内湯からもこの景色。湯はもちろん源泉かけ流し

敷地内に源泉を持ち、そこからの湯は65度。自然に冷ましながら湯船に注いでいるそうですが、なかなかの熱湯です。でも慣れると体にじんわり。その後、いろんな温泉成分がグイグイ肌にしみ込んでくるような感覚。湯ざわりも、いわゆる肌にまとわりつくようなヌルヌル系の湯とは好対照。肌をつるっ!きゅっ!と締めるような感じ。

この大浴場の利用時間は朝5時~11時、午後は14時~深夜1時。青空の下はもちろん、空も海も真っ赤に染める夕焼けシーン、さらに朝もやの港風景など、さまざまな海景色を臨みながらの湯あみも楽しめます。
さっぱりした後は、大浴場の隣にあるリラクゼーションルームでひとやすみ。
こちらももちろんオーシャンフロント。ゆったりとしたソファーが点在しています。フロントに連絡すれば、冷えたビールをはじめ、多彩なドリンクも用意してくれます(別料金)。ウエルカムドリンクに登場したスパークリングワインももちろんOK。
▲海風を受けながらクールダウンできるウッドデッキもあり
目の前に広がる湯ノ本湾は、日本の夕日百選にも選ばれたサンセットポイント。リラクゼーションルームやロビーで沈む夕日を楽しんだら、そろそろお待ちかねの夕食タイム。

剣先いかや天然鮑にウニ、壱岐牛など、壱岐ブランド食材がずらり!

夕食の舞台はロビーの左手にあるお食事処・和佳(わか)。
こちらも湯ノ本湾の姿を一望できる設計になっています。テーブル席もありますが多くのゲストはカウンターに座り、海をバックに料理人たちが目の前で仕上げる旬素材を活かした品々を味わいます。

また、「海里村上」では夫婦やカップルはもちろん、おひとり様の滞在も少なくないとか。ホームページにはシングル利用プランもあります。そういった方を席に案内する際には、あえてカウンターの中央にある板場前の席をおすすめしているそうです。
▲板場前は板長の包丁さばきが目の前で見え、かつ食材や料理の解説を独占できる、まさにお食事処のセンター席

夕食の開始時間は18時から。日の長い夏季は、カウンター越しに青い水平線から真っ赤な夕焼け、そして漁火が灯る夜景へと移り行く海景色も楽しめます。
▲5月~9月は湯ノ本湾の水平線に、このようなイカ漁の漁火シーンも

刻々と変わる風景同様、目の前に運ばれるお料理も実に多彩。品数も食前酒からデザートまで13種。果実酒の食前酒の後、まずは「冷製の前菜」。
▲鮑肝塩辛、トマト蜜漬けなど5種(一例)

細かな手仕事の前菜を味わった後は、天然サザエのエスカルゴ風などの魚介を使った温かい「前菜二」、「口直し」と続き、玄界灘でとれた新鮮魚介の「お造り」が登場。
▲旬魚の4~5種盛り(一例)

壱岐を代表するブランドやりいか「剣先(けんさき)いか」は実に甘く、食感もネットリ!鮑やイサキ、鯛など、全て壱岐で獲れる天然モノ。どれも新鮮でプリプリというより、ブリンブリンの食感。

また、壱岐の魚介で忘れてならないのが生ウニ。
▲宿泊プランによっては鮑の上にたっぷりウニをのせた「海里焼き」も登場

島の周囲をびっしり覆う海藻をたっぷり食べて大きく育ったムラサキウニや赤ウニは色合い鮮やかで、何より味が濃厚!旬は4月~10月ですが、素潜り漁のため、入荷できない日もあるとのこと。食べたい人はぜひ、事前にご確認を。

天然魚介のお造りの後は梅紫蘇大根などの箸休め、そしてお肉を使った「前菜三」、ブランド和牛「壱岐牛」の登場です。
▲壱岐牛霜降りタタキ。柔らかで、実にジューシー

海の幸だけでなく和牛も壱岐の特産。壱岐で生まれ、海風からのミネラルを吸収した牧草を食みながらストレスフリーで育った壱岐牛は、他の黒毛和牛を凌駕する柔らかな肉質と細かな霜降りが特徴。

一部の壱岐牛は生後7~8カ月で島を離れて関西、近畿で育てられ、それらは松坂牛や神戸牛の名で市場にでることもあるそうです。ちなみに壱岐と牛の関わりはとても古く、弥生時代にはすでに牛の飼育が行われていたとか。時を下って奈良、平安時代の朝廷の牛車(ぎっしゃ)にも「壱岐牛」が使われていたそうです。

さて、地野菜のサラダや炭火焼きなどの野菜料理をはさんで、いよいよメイン料理。その主役は壱岐の特産「天然鮑」!
▲玄界灘産の天然鮑。薄くスライスしたものを2種類の食べ方で満喫

長崎県は全国でも有数の鮑の産地。中でも壱岐は鮑のエサである海藻が豊富で、荒波にもまれて育つため、身が大きく厚い、そして何より味が濃い!しかも鮑はビタミンB1・B2、カルシウム、コラーゲン、グルタミン酸、グリシン、タウリンなど、美容と健康に欠かせない成分がたっぷり。これは女子だけでなく、体力減退気味のおじさんにとっても嬉しい限り。しかも天然モノは、そのパワーも養殖の比ではない!
そんな天然鮑をしゃぶしゃぶ&炭火焼きの2パターンで味わいます。
▲しゃぶしゃぶ後、アワビからのダシも加わったスープで特製雑炊も楽しめます
▲炭火で軽くあぶった鮑を特製のアンチョビバターにつけて

少し火がはいることで、身の甘さ、そして柔らかさがグッと増します。お造りで味わった歯応えとはまた違う美味しさ、楽しさがあります。ちなみに島にある8世紀頃の遺跡「串山ミルメ浦遺跡」からは、朝廷に納めていた干し鮑が出土。壱岐牛同様、壱岐と鮑の歴史も深いんですね。

メイン料理後はご飯物。これもちょっと衝撃的。釜炊き白ご飯のほか、生うに丼、こだわり玉子の目玉焼き丼、壱岐牛一口カレー、壱岐牛ミニすき焼き丼、さらにシャリを軽くつかんでネタをのせる関西の市場に登場するつかみ寿司(3~5貫)の5つから選べます。

そして留碗の干し貝柱入りワカメスープ、デザートのフルーツと海里特製野菜ジュースで、壱岐素材尽くしの豪華会席は終了。かなりお腹いっぱい。豪華食材を食べつくした達成感、幸せに包まれた充足感で、しばらく席を立つことができませんでした。

お食事処では島の食材に合う多彩な壱岐焼酎をはじめ、アルコール類も多彩にありますが、場所を変えてもう少し飲みたい場合はロビーの右奥にある落ち着いた雰囲気のカウンターバー「One’s Bar」に移動するのもいいですね。

朝食も海を眺めながらゆったり。そして12時のチェックアウトまで、館内でのんびり

「海里村上」は朝が遅い。というのも、ほとんどのゲストが朝寝坊だから。朝食時間は7時~10時(ラストオーダー9時半)ですが、ゲストが朝食会場に現れるのは9時近く。朝の海を眺めつつ、約1時間かけてゆっくりと島の味を味わうそうです。

朝食は和洋2タイプから選択。和食は夕食と同じ「お食事処・和佳」にて。
▲朝食の一例。大きく身の厚い地元の干物のほか、小鉢料理も多数

洋食はロビーの右手の「One’s Bar」で。4~5種類の前菜、スープ、卵料理などをコース仕立てでいただきます。

また、一般的な宿泊施設は15時チェックイン、10時チェックアウトですが、「海里村上」は14時チェックイン、12時チェックアウト。つまり、最大22時間のロングステイ滞在が可能です。10時に朝食会場を後にしても、海を望む極上のステイはまだ2時間も楽しめます。
ライター山田は迷わず、大露天風呂へ。そしてリフレッシュルームのふかふかソファーに身を沈め、ただひたすらぼーっと水平線を眺めて過ごしました。

ちなみにリフレッシュルームはチェックアウト後も利用できるそうです。博多港行きジェットフォイルの午後便は3便。一番早い14時10分発に乗るとしたら、13時半まで、リフレッシュルームでのんびりくつろげますよ。
いかがでした?実におこもりし甲斐のあるリゾートじゃありませんか?ロケーション、設備、グルメ、そして温泉と全てが充実。さらにアクセスの良さ。繰り返しますが、福岡から約90分で到着です。ちなみに人気観光地の湯布院温泉へは福岡から車で90分、別府は120分、黒川温泉は120分強。それらに行くのと同等、あるいは近いかもしれません。

2016年に入ってニュースポットが続出している福岡市。それらを訪ねつつ、夜の屋台もはしごして、翌朝、壱岐に渡って「海里村上」で優雅に過ごす。そんな2泊3日旅もおすすめですよ。
山田誠

山田誠

新潟県十日町市生まれ、現在は福岡県福岡市在住のフリー編集者・ライター。九州の宿や温泉、飲食、雑貨系のショップ、さらに漁村、農村、道の駅など、暮らしと休日に関わるスポットをほぼ毎月、年間150軒以上を取材。取材後は必ず近隣の直売所で地元食材を買って帰る。1児の父。

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