断崖に佇むノスタルジックカフェ・岬。海と音楽と美味しい珈琲に癒されて

2016.07.16 更新

房総半島を海沿いに東へ向かう国道127号線、明鐘(みょうがね)トンネル入口付近の側道をひょいと海側に入った岬の突端にカフェ「岬」はあります。まるでイタリア映画に出てくるようなノスタルジックな原風景と、不思議な静寂とに包まれた、カフェ「岬」を訪れました。

「おいしいコーヒーあります」の看板に誘われて

うっかりすると通り過ぎてしまいそうなトンネルの脇道を入り、原っぱに車を停めて崖に向かって歩くと、すぐに現れる一軒家。周囲には海と崖以外、何もありません。
1978年のオープン以来約40年、今も昔もこの場所にあるカフェ「岬」は、明鐘岬のシンボルになっています。
▲訪れたのは春の初め。店へと通じるセピアな雰囲気が、まるでイタリア映画のよう
▲崖に面したテーブル席は「岬」のシンボル
▲岩山と断崖の間に建っています。まさに岬の突端
▲入口には「おいしいコーヒーあります」の看板

小説『虹の岬の喫茶店』、映画『ふしぎな岬の物語』のモデルにもなったという人気のカフェ「岬」。扉を開けると、心地よいジャズの音色が響きわたります。朝一番、美味しいと評判の珈琲を注文しました。
▲レトロな雰囲気の店内。窓外にはテラス席もあります

鋸山の湧水で淹(い)れる珈琲は、ふっくらとした味わい

▲豆をミルで挽いて一杯ずつ丁寧にドリップ。お水は鋸(のこぎり)山の湧水を使っています

「うちのは、珈琲が苦手な人でも飲めるのよ」と店主の玉木節子さん。実際に「ここの珈琲なら飲める」と言うお客さんもいるそうです。温かみのある陶器のカップ(姪っ子さん作)に注がれた珈琲を一口いただいてみると、口あたりがとてもやわらかく、表現するなら「ふっくら」とした味わい。

苦みが強いわけでも酸味が強いわけでもない、不思議な豊かさに満ちています。体の力がすーっと抜けていくような安心感を覚えました。
▲「美味しくなあれって言わないんですか?」と聞いてみると、「心のなかでね」と節子さん
▲せっかくなので、テラスに出て景色とともにブレンドコーヒーを頂きました(一杯・税込500円)。その他7種類のストレートコーヒーが楽しめます

晴れの日も、嵐の日も。365日、毎日営業

「遠方から来てくれるお客さんも多いから」という理由から、開店以来、毎日店を開けています。朝10時から日没まで。もちろん、冠婚葬祭などの特別な事情で、時間をずらすこともあるけれど、たとえ数時間であっても必ず店を開けるそう。岬に台風が直撃した日も、「ずぶぬれになってやって来る人がいるかもしれない」とお店を開けて待っていたそうです。
求める人がいるからこたえる。シンプルだけど、並大抵のことではなさそうです。
▲海側に面したカウンターからは水平線が望めます。天気の良い日は富士山もよく見えるそう
▲双眼鏡を借りて海を眺めると、波間に浮かぶ鳥の姿もくっきり。長い年月をかけて波に削られた岩も見えるのだとか
▲BGMは毎日節子さんがセレクト。店内にはジャズやフォークなどの心地よいギターの音色が響きます

一杯の珈琲でつながる人と時間

お客さんがゼロの日はないという「岬」。最近では、小説や映画の人気もあって、海外からの来客も多いそう。おしゃべりをする人もいれば、一言も交わさずただ静寂を楽しんで帰る人や数年ぶりにフラッと訪れる人もいます。

それでも「一度でも来てくれたお客さんの顔は忘れない」と節子さん。
以前、火災に見舞われ店舗が焼失したことがありました。そんな時、お店の常連さんをはじめ、たくさんの人が手を差し伸べてくれ、すぐに再建することができたのだそうです。

人とのつながりの強さを物語るように、お客さんからもらった絵や小物、家族や友達の写真、手作りのお菓子など、カフェには温かさがあふれています。
▲この日も、遠方からの常連さんが穏やかな時間を楽しんでいました。良質な音を奏でるスピーカーも実はお客さんからのプレゼント
▲パン屋を営む節子さんの妹さんお手製のお菓子
▲映画『ふしぎな岬の物語』で使われた小道具も楽しい思い出
▲一杯の珈琲を楽しみに来てくれる人がいる。それが節子さんの誇りと情熱の源

海と珈琲と音楽。心からリラックスできる至福のカフェ

リラックスし過ぎて、つい時間を忘れ、気づけばお昼間近。ほかのお客さんにならって、ピザトーストとバナナジュース、デザートにチョコレートケーキ、そしてもう一杯珈琲を注文しました。今度はモカをいただきます。やはり海を眺めるテラスの特等席で。
▲ピザトースト(500円)、バナナジュース(500円)、チョコレートケーキ(450円)、モカ(600円) ※すべて税込

ちなみに、海に沈む夕陽を眺めながらの一杯も格別だそう。夕暮れ時の訪問もおすすめです。
ここにあるのは、海と珈琲と音楽だけ。気づけば呼吸がゆったりと深くなり、体の力が抜けていることに気づきます。
心からリラックスしたら、また明日から頑張ろう。そんな意欲がわいてくる、癒しの時間をもらいました。
平間美樹

平間美樹

某広告代理店で情報誌・Webサイト等の広告企画・制作を経て独立。現在、企画制作会社CLINK(クリンク)を運営し、結婚・進学・就職・旅行など幅広い分野で企画・ライティング活動中。テニス・フラ・猫にハマる日々。 テニス観戦でグランドスラムを達成するのが目下の目標。

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