彦根「せんなり亭伽羅」で極上の近江牛を頬張る口福なひととき
滋賀県は日本三大和牛の一つと言われる「近江牛(おうみうし)」の産地。昔から米の生産や農業が盛んで、牛を飼育するための環境に恵まれていると言われています。今回は最高品質の近江牛を「せんなり亭伽羅(きゃら)」で思う存分いただきました!

近江牛の美味しさを知り尽くす名店
昭和32(1957)年に彦根の地で近江牛肉の販売を始めました。
今回訪れたのは千成亭の2店舗目として、平成9(1997)年にオープンした「せんなり亭伽羅」。彦根城すぐそばの「夢京橋キャッスルロード」にあり、ゆったりとした雰囲気の中で近江牛の美味しさを楽しめると、県内外の方に人気が高いお店です。

暖簾をくぐり、石畳の小道を通って店内に入ると、「近江牛」指定店の登録証がお出迎え。

近江牛は松阪牛や神戸牛と同じ黒毛和牛がルーツ。
滋賀はもともときれいな水と良い飼料が豊富なことから、牛の肥育に最適な土地だと言われており、そこで育った近江牛のきめ細かい肉質はプロの料理人からも高い評価を受けています。
「千成亭」では提携牧場のほかにも自社牧場があり、大麦、麦ぬか、米ぬか、ふすま、大豆、稲ワラなど化学飼料は一切使わない伝統的な肥育で育てられています。

その日使われる肉は牧場からの個体識別番号つき。どこでどのように育った牛が使われているのか、一目でわかるようになっているのも自信と安心の証ですね。

厳格な品質管理のもとで育てられた近江牛の料理、これは期待が高まります。
お茶で食べる近江牛のしゃぶしゃぶ!
名前の通り、お茶が入った出汁でしゃぶしゃぶをいただきます。

「茶しゃぶ」に使われる肉は最高級のサーロイン。ステーキ用の肉としても有名なこの部位は赤身と脂のバランスが絶妙なのです。

まずは下準備。昆布でとった出汁が沸いたら、鍋にお茶を注ぎます。お茶は滋賀県信楽名産の「朝宮茶(あさみやちゃ)」。1200年以上前から作られている国内でも古いお茶で、「日本茶のロマネコンティ」とも言われています。そんな朝宮茶に含まれている成分・タンニンにより、肉をたくさん食べても胃もたれを防ぐのだそうです。

お茶を注いだ後の出汁は緑がかった黄金色になりました。立ち上る湯気からほんのりと爽やかなお茶の香りが漂ってきます。

さぁ、ここでいよいよ肉の出番。光り輝く出汁の中に肉をくぐらせていきます。
入れた瞬間から脂がじんわり溶けていくのは、脂の融点が低い牝牛の肉にこだわっているから。



例えるなら、まるで口の中が肉の布団で包まれていく感じでしょうか。ずっとこの心地よさに包まれていたいのに、いつの間にか溶けてなくなってしまい、肉の幸せな余韻だけが残ります。
一枚食べる毎に炸裂する満面の笑み。肉の甘みと旨みにノックダウン寸前です。

しかし、いくら肉好きのひとでも食べ進めていくと次第に胃が重くなってくるもの。ところが、この「茶しゃぶ」だと後味がさっぱりしているので、いくらでも食べることができそうな気がします。
これぞお茶の効果!ご年配の方も最後まで美味しくいただくことができるメニューですよ。
近江牛の恨みは歴史も動かす!?
「食肉として牛肉が食べられるようになったのは、日本では近江が最初だと言われています。もともと牛は農作業に活躍する家畜として扱われていたり、仏教の『殺生禁止』の教えがあったりしたことから、食べることはタブーとされていたんですね。ところが彦根藩は陣太鼓に使う牛の皮を幕府に献上するのが慣例で、江戸時代には唯一公式な屠殺(とさつ)が認められていた場所でした」
その後、彦根の牛肉は“滋養に効果がある薬”として「反本丸(へんぽんがん)」という名で流通するようになり、次第に食べられるようになったのだそうです。幕府のお偉い方も牛肉の美味しさの虜になり、彦根から全国に届けることもあったのだとか。

日本の歴史の中でも有名な「桜田門外の変」は実は近江牛が原因という説もあり、彦根藩の井伊直弼(いいなおすけ)が、近江牛の味噌漬けが好きだった水戸藩主の徳川斉昭(なりあき)に肉を贈らなかったことから起こったとも言われています。
いやはや、食べ物の恨みは恐ろしいですね。
究極の食べ方でいただく近江牛は数量限定!
最高の品質の肉を刺身で食べられるなんて…幸せすぎます。

トロと聞いて脂がしっかり乗っているイメージがありましたが、こちらは驚くほどきめが細かくて繊細。同じトロでもマグロと比べると近江牛の方があっさりしていて、先ほど食べたしゃぶしゃぶの肉とはまた違った美味しさを感じることができます。
そして、日によって入荷しないこともあるという稀少な部位「タン」の刺身。

これを目当てに来店されるお客さんもいらっしゃるとのこと。
同じタンでも部位によって歯ごたえがまったく違い、舌先の部位になるにつれて歯ごたえのある独特の食感を楽しむことができます。
そして最後は近江牛の生肉がお寿司になって登場!
まさに日本人ならではの肉の楽しみ方です。


牛トロはまるでシルクの糸がほどけていくようなやさしい口溶け。タンは海鮮の寿司にはないような歯触りを楽しむことができます。
たたきはさっと表面を炙った肉を、トロ柚庵は肉をやさしく蒸したものが握られていますが、繊細な火の通し方の違いでこうも食感が変わるのかとビックリ!口の中でじんわり溶けた肉の脂とシャリのマリアージュに感動すら覚えます。
刺身や握り寿司は最高の鮮度が求められるため、毎日数量限定です。部位によっては入荷がない日もあるため、事前に電話で問い合わせをするのがおすすめですよ。
「せんなり亭伽羅」は個室の座敷席から広々としたテーブル席など、少人数から大人数に対応した席が充実。
築300年の蔵を改装したモダンな雰囲気の特別室などもあり、用途に応じて選ぶことができます。

彦根に足をのばす際は、ぜひ近江牛を堪能してみてくださいね!
せんなり亭伽羅
滋賀県彦根市本町2-1-7(夢京橋キャッスルロード)
[営業時間]11:30~14:30、17:00~22:00(L.O.20:30)
[定休日]火曜※祝日の場合は営業
0749-21-2789

石原藍
ローカルライター。 大阪、東京、名古屋と都市部での暮らしを経て、現在は縁もゆかりもない「福井」での生活を満喫中。「興味のあることは何でもやり、面白そうな人にはどこにでも会いに行く」をモットーに、自然にやさしく、心地よい生き方、働き方を模索しています。趣味はキャンプと切り絵と古民家観察。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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